アブガルシアのスピニングラインで、正真正銘のハイエンド機である、REVO MGXtremeは、プロも絶賛の超軽量機。異次元の軽さを体験せよ!
アブガルシアのスピニングリールのフラッグシップライン「REVO」シリーズの中でも、2020年現在最上位機種は、2018年に発売された「REVO MGXtreme(レボ エムジーエクストリーム)」です。この機種は、圧倒的な軽さを誇り、他社のフラッグシップ機を凌駕する超軽量モデルとなっています。衝撃のデビューから2年経ちましたが、2年経った今でもプロアングラーの評価は高く、その地位は揺らいでいません。MGXtremeとはどんなリールなのでしょうか?
アブガルシアの日本事業について
アブガルシアが日本に上陸したのは1970年頃と言われています。当時、アブガルシアの前身であるスゥエーデンのアブ社と輸入代理店契約を結んでいたエビスフィッシングという会社が取り扱っていました。欧州を中心に大ヒット機種となっていた両軸受けリール「AMBASSADEUR(アンバサダー)」をはじめとして、欧州スタイルの日本への移植という感じで導入されていたようです。1979年、米国でアブ社の輸入代理店をしていたガルシア社の倒産に伴い、ガルシア社をアブ社が買収し、1984年、アブガルシア社が誕生します。エビスフィッシングが日本でアブガルシアの代理店をしていたのは1988年までで、以後は「オリムピック」ブランドで釣具事業を展開していた、マミヤ・オー・ピー社が代理店としてアブガルシア製品の普及に務めていました。2000年、マミヤ・オー・ピーの釣具事業撤退に伴い、アブガルシア社を買収した米国ピュア・フィッシング社の日本法人、ピュア・フィッシング・ジャパン社が商品開発、製造販売を含めたすべての日本事業を担っています。
2000年以降の日本国内でのアブガルシア
それまでは日本市場向けの商品はほとんどなく、欧米式のタックルカルチャーを日本に持ち込むスタイルでしたが、日本を重要なマーケットとして捉えていたピュア・フィッシング・ジャパン社は、プロアングラーとのコラボレーションなど、当時としては斬新な手法で徐々にその地位と知名度を確立して行きます。その商品開発の思想には、アブガルシアの哲学があります。それは「シンプルであること」、「基本性能を上げること」にあります。必要最低限の機能は高いレベルで備えるが、それ以上の機能は無理に備えない。シンプルで使いやすい釣具を通して、アングラーの技術向上を図るという哲学があります。この設計思想が、ハイコスパリールを続々と世に送り出すアブガルシアの真骨頂なのです。
アブガルシア・スピニング元年
アブガルシアには「スピニング元年」と言われた年があります。2016年、アブガルシアはこれまでの同社のスピニングリールとは一線を画す「REVO MGX」を発売します。従来のスピニングリールと比較し、衝撃の軽さと巻き心地の滑らかさで、多くのトッププロアングラーの支持を獲得し、業界を震撼させました。アブガルシアは同年、REVOブランドのスピニングリールはMGXの他、「PRM」、「ALX」と畳みこむように新機種を発売しました。この成功により、アブガルシアのスピニングリールは一気にそのブランド価値を高めて行きました。以後、2017年には超ハイスピードギアを搭載した「REVO ROCKET」、2018年にはシリーズ最高峰となる「REVO MGXtreme」を発売し、2020年、MGX、ALXを刷新します。新機構「フリクションフリー」を搭載し、さらに巻き心地が向上した「MGX THETA(エムジーエックス シータ)」、「ALX THETA(エーエルエックス シータ))」を発売しました。2016年からわずか4年で、アブガルシアのスピニングリール「REVO」シリーズは劇的な進化を遂げました。
REVO MGXtreme 3000SHは異次元の軽さを実現!
アブガルシア REVO MGXtremeがアブガルシアの最上位機種たり得る理由は、その驚異的な軽さにあります。MGXtreme 3000SHの自重は175g。同サイズのシマノのフラッグシップ機、ステラ C3000XGは210g、ダイワのフラッグシップ機、イグジスト LT3000XHは195gです。この圧倒的な軽さを実現するために、アブガルシアはすべてのパーツの素材と造型をMGXtreme専用品で仕立てています。「Real Finesse model」を標榜するMGXtremeはローターにCMg(カーボン強化マグネシウム合金)を使用しています。これは、軽さと強靭さ、更にリサイクル性も備えた素材で、自動車部品、航空機部品などの分野での応用が期待されている材料です。これをローターの素材に使用しています。低慣性モーメント、超軽量ローターは、回りはじめが軽く、止めたいときにビタッと止める、シビアなアクションを可能にします。まさにリアルフィネスゲームに特化したスピニングリールとなっています。
軽さと強さを高い次元で両立させる基本設計
REVO MGXtremeは、マグネシウム合金と超々ジュラルミンとカーボン繊維強化樹脂を巧みに使い分け、軽さと強さという相反するファクターの両立を、ほぼ限界の次元で達成していると言えます。ギアボックスはワンピースのマグネシウム合金「Feather Metal」、ステム部はC6カーボン、メインシャフトとドライブギアには超々ジュラルミンが使われています。素材の選定と使い分けは妥協点は全くなく、ほぼ完璧と言えるでしょう。そして、そうして選定された素材を高い精度でパーツに加工し、精度の高い組み立て技術の裏付けがあって、タフでありながら、高いコンフォータビリティを兼ね備えた製品に仕上げています。これでメーカー希望小売価格44,000円。実勢価格は3万円を切ります。この基本性能の高さとコストパフォーマンスの高さが、多くのトッププロの支持を得ている理由です。また、アブガルシアのリールの魅力には、デザイン性の高さもあります。アグレッシブでスパルタンなデザイン、ひと目見てアブガルシアとわかるデザインや、ポイント的にゴールドやレッドを上手く使うカラーリングなども、コアなアブガルシアファンの心をガッチリ掴んで離さない要因であると思います。
付属品の多さがプレミアム機であることを物語る!
REVO MGXtremeには、様々な付属品がついてきます。セミハードタイプのリールケース、糸を引き出す際のスプールのクリック音を大きくするためのスプールクリッカースプリング、別売の「Abu works」スプール交換用パーツキット、EVA製ハンドルノブアッセンブリー、交換用コルク製ハンドルノブ、シンカーキーパーが付属されています。プレミアム機感満載です。
アブガルシアの最上位機種はほぼ完璧なスピニングリール。だが・・・
REVO MGXtream 3000SHの実力値は、アブガルシア最上位機種として揺るぎないものであることは疑いの余地はありません。しかし、他の機種にある機能で、MGXtremeに備わっていない機能が2つあります。「2way DRAGシステム」と、「フリクションフリー機構」です。このうち、2way DRAGシステムは、正直なくても困らない機構ですし、「Real Finesse model」を標榜するMGXtremeであれば、相応の高機能ドラグであるため、敢えて2way切り替えは必要ないと言い切れます。しかし、フリクションフリー機構は、MGXtreme発売後に開発された機構であり、2020年に発売された下位機種「MGX THETA」と「ALX THETA」に採用されている新機構です。ピニオンギア内面に通っているメインシャフト(スプールを上下させるシャフト)がピニオンギア内面に直接触れない機構で、理論的にはオシレート(スプールの揺動)時の音も摩擦もゼロにした画期的な機構です。この機構は今後のアブガルシアのスピニングリールにとってはキーテクノロジーとなり得る重要な機構です。この機構がMGXtremeにも採用される日が来ることに期待したいところです。