真冬の海釣りは、アツいファイトが最大の魅力。バッチリ防寒対策しましょう!
作成:2021.11.30更新:2021.11.30
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真冬は釣りのオフシーズンと捉え、釣りをあまり行わないアングラーもいるかと思います。多くの魚が沖の深場へ落ち、越冬している状況で、わざわざ寒さをおして釣りをすることに疑問をもつ人は少なくありません。しかし、真冬の釣りは、ライバルが他の季節より少なかったり、真冬ならではの、脂の乗った美味しい白身魚が多く釣れるので、真冬にこそ活性が上がるアングラーがいるのも事実です。
真冬の釣りは非常に厳しいコンディション下でのアクティビティになりますので、体を冷やさないことを第一に考えなければなりません。しかし、単純にもこもこに厚着をしてしまっては、釣りのような激しいアクションは出来なくなってしまいます。
今回は、真冬の海釣りに適した防寒対策について説明していきます。
真冬の釣りは過酷だが楽しさは格別!
真冬の釣りは、釣行前の準備が何よりも大切です。防寒着、防寒グッズなど、限られた荷物運搬キャパの中で厳選しなければなりません。しかし、工夫次第では真冬ならではの趣のある釣りが可能となります。
例えば漁港や堤防など、火気の使用が禁止されている場所ではNGですが、そうでない場所なら、携帯式のガソリンコンロやカートリッジ式コンロなどを持ち込んでお湯を沸かし、コーヒーを淹れたり、カップラーメンやカップ味噌汁、カップスープなどで身体の中から温めながら、寒さに負けずに釣りをすることもできます。
真冬の釣りは、他のシーズンとは異なり、釣れに釣れ続けて忙しいといったシチュエーションは滅多になく、寒さに耐え、孤独に耐える釣りであることが多いのですが、そんなタフコンディションの中で、お湯を沸かして暖を取る時間が、真冬の過酷な釣りの中ではひとつの大きな楽しみになります。
真冬の寒さ厳しい時期にどうして釣りをするのか言われれば、一言で言えばそれが釣り師の性であるということなのですが、こうして温かいものを飲食しながら釣りをすることは、真冬ならではの楽しみ方です。さらに、真冬に釣れる魚は美味で大型の白身魚が釣れるチャンスが他のシーズンよりも高いことがあげられます。
赤身魚と白身魚の違い
暖海性の魚に代表される青物は、その殆どが典型的な赤身魚です。24時間365日世界中の暖海域を泳ぎ回る必要性があり、泳ぎながら体に大量の酸素を取り込むため、筋肉は酸素を運搬するためのヘモグロビンやミオグロビンといったタンパク質の色素の影響で赤く染まります。しかし、冬の魚は、なるべく運動量を減らしてエネルギー消費を少なくしながら冷水域で暮らしますので、ヘモグロビンやミオグロビンの量は赤身魚の10分の1以下しかありません。
筋肉には赤身魚のタンパク質の代わりに脂肪をため込んでエネルギー源とするため、筋肉は白く、脂の乗った肉質となる魚が多いのです。刺身の他、煮魚にしてもてんぷらタネにしても鍋のタネにしても好適で、加熱してもパサつかず、冬ならではの暖かい料理に向いています。私はこれを目的に真冬も釣りをしています。というより、灼熱の真夏よりもむしろ積極的に真冬に釣りをしています。
真冬の釣り・防寒対策のイロハ
真冬の釣りは防寒対策が一番大事であることは当たり前ですが、釣りの防寒対策にはいくつか鉄則があります。特に難しいことはありませんが、釣りだけにとどまらず、アウトドアでのアクティビティに共通する鉄則ですので、参考にしてください。
着ぶくれはNG
防寒のため、たくさん着込んでモコモコになるような恰好はNGです。キャストなどに支障が出ることはもちろんですが、一番の理由は、フックを引っ掛けてしまうリスクが高くなることです。ダウンジャケットやスキーウエアのようなものを着ていて、誤ってフックをガッツリと引っかけてしまうと、バーブレスフックなら問題はあまりありませんが、カエシのついた通常のフックでは外す際に必ず穴が開いてしまいます。ダウンジャケットなどは表生地に穴が開いてしまうと、そこから羽毛や中綿が飛び出してくるようになります。そうなってしまうと、高価な費用を払ってメーカーに送って修理してもらうしかありません。
襟の後ろにフードがついている上着を着る場合は、必ず取り外しができるものを選びましょう。フードを頭に被って釣りをする場合は良いですが、フードを被らないときは外せるものでないと、不用意にフックを引っ掛ける原因になりますし、キャストするときにもフードが邪魔になります。
防寒の大原則は、「インナーには薄いものを重ねて着る」です。セーターや厚手のトレーナーなどももってのほかです。なるべく体にフィットする長袖のTシャツ(できればスポーツ用のストレッチシャツなどのようなタイトフィットのものが吉)を2~3枚重ね着するのがおすすめです。
ボトムスには股引を履くと、辛い下半身の冷えを軽減できて良いでしょう。ただし、ボトムに股引を履くと、日中は暑く感じるかも知れません。神奈川県在住の私は1月2月の厳寒期に履くか履かないかといったところですが、寒冷地にお住まいの方や、真冬に夜釣りする人、朝間詰め時を専門に狙う人は股引は絶対に履いたほうが良いです。日が昇り、しばらくすると、天気の良い日などは汗ばんでくることもありますので、自由に脱ぎ着して調整できるようにするためにも、薄物の重ね着が原則です。
アウターは、できれば釣り専用の上下組のウェアをおすすめします。適度に体にフィットし、モコモコにならない上、肘や膝などの可動部周辺がストレッチ素材になっていたり、立体裁断になっていたりして動きやすく、表生地と裏地の間には防水透湿フィルムが挟まれていて、外からの水を通さず、内部の湿気は外に排出する機能を持っています。
フックが不用意に引っかからないよう、表面はスムーズ加工され、あらゆるポケット部には防水ファスナーが採用され、水を中に入れない工夫が施されています。価格は安くはないですが、毎年新味製品が発売されますので、その前後に型落ちの旧モデルをの処分品を安く買えますので、そういうのを狙うのも手です。
絶対に濡らさない
どんなに防寒着をバッチリ着ていても、濡れてしまったらすべてが水の泡です。すぐに着替えることができればベストですが、そうもいかないと思います。そのために、絶対に服を濡らさないよう、細心の注意を払いましょう。例えば釣りしていて波をかぶらないよう、周りに注意を払うことはもちろん、意外と厄介なのが、魚を触った後手を洗ったり、トイレに行って手を洗ったりした際、袖口を濡らしてしまうとなかなか乾かず、そこから体温を奪われてしまうことがあります。
袖口を濡らしてしまわないよう、手を洗う際は面倒でも、寒くても、必ず腕まくりをしてから行うべきです。さらに最悪は、靴の中が濡れてしまうことです。どんどん体温を奪われ、つま先が痛くなり釣りどころではなくなってしまいます。冬の釣りは防水性能および保温性の高い靴を履きましょう。ここだけは、安物を求めず、いいモノを買うべきです。これらの理由から、賢明な皆さんにはお分かりかとは思いますが、真冬は雨中の釣りは厳禁です。たとえカッパを着ていたとしても禁止です。身体が濡れてしまっては、体温がどんどん下がってしまい、非常に危険です。
末端を冷やさない
人間の体は、末端が冷えてしまうとどんどん体力を奪われ、体が動かなくなってしまいます。末端とは、手の先、足の先、耳です。ここをケアするだけで、体感の寒さをそれなりに軽減できます。手の場合は、冷えて悴んでしまうと、ラインを結束したり、針にハリスを結んだり、ルアーチェンジのためにスプリットリングをあけるなどの細かい作業が出来なくなります。そうならないために、ネオプレンゴム製の厚手のフィッシンググローブを使用する、或いはポケットに使い捨てカイロを忍ばせておいて随時手を温めることで対策します。因みに私は、指先の感覚が変わるのを嫌い、3つ指切りのフィッシンググローブを真冬でも使っています。寒さ対策はポケットに忍ばせた使い捨てカイロで行っています。
足の場合は手よりもさらに気をつける必要があります。つま先が冷えてじんじんと痛くなってくると、歩くこともままならなくなり、釣りどころではなくなってしまいます。足先は絶対に冷やしてはいけません。裏起毛の暖かい長靴を履き、靴下を2枚履くなどして、冷やさない工夫をします。靴の中に入れる小さな使い捨てカイロを使うのも良いでしょう。
耳を冷やしてしまうと、頭全体の体感温度が下がり、実際の気温以上に寒くなります。対策としては、ニット帽を耳まで覆うようにかぶる、イヤーマフを使う、ネックウォーマーで耳まで覆うなどが考えられます。もし、顔全体が寒くてどうしようもならないようであれば、最強の防寒対策、目出し帽をかぶりましょう。くれぐれもそのままコンビニなどに入店しないように。この、手、足、耳といった、身体の末端をケアするだけで、体感温度を数℃上げることができます。逆に言うと、ここのケアができていないと、どんなに着込んでも体が感じる寒さは緩和できません。
暖を取る工夫
真冬の釣りは、ハイシーズンのように、忙しいほどに爆釣できるようなことはほとんどありません。寒風吹きすさぶ厳しい環境の中での一発狙いといったイメージがあるかも知れません。しかし、終日厳しい環境の中で釣りをすることはありません。ちょっとした工夫で小さな幸福を感じながら釣りを楽しむことができます。
風裏を探す
南風の日は必要ないかも知れませんが、真冬の北風、西風は非常に冷たくて厳しいです。そんな時は、風が吹いてくる方向に山や大きな建物があり、風を受け止めてくれる「風裏」を探しましょう。完全な風裏に入れることは難しくても、風裏にあたる方向にいれば、少なくとも体感温度を上げることができます。
陽だまりを探す
真冬の日差しは弱々しくても、何物にも代えがたいありがたい存在です。風裏でかつ陽だまりを見つけることができれば最高なのですが、風に直面する場所でも陽射しがあるとないとでは雲泥の違いがあります。投げ釣りの場合は、キャストした後、置き竿にして陽だまりで丸まってアタリを待つということも、体力を奪われないようにするためには重要です。
お湯を沸かす道具を持ち込む
漁港や有料の海釣り施設などでは、火気の使用が禁止されているところがほとんどですが、そうでない場所であれば、カートリッジ式或いはガソリン式のアウトドアコンロとヤカン、PETボトルの水を持ち込み、お湯を沸かしましょう。寒くてどうにもならない時、コーヒーを淹れたり、カップラーメンを啜ったりすれば、身体の中からポカポカに温まり、「ヨシッ、もうひと頑張りしよう!」という気分になります。真冬の釣りの醍醐味といえば大げさかもしれませんが、キャンプをしない私がコールマンのガソリンコンロを何台も買い替えながら長年使っているのは、釣り場でコーヒーを淹れ、カップラーメンを食べるためです。真冬の過酷な釣りのシーンで小さな幸せを感じられる瞬間です。
他人の迷惑にならないように、くれぐれもお湯を沸かしてコーヒー、カップラーメン、カップみそ汁、カップスープで暖を取る程度にとどめましょう。デーンと調理用具を広げてバーベキューまがいの行為をを釣り場でするのはご法度です。そして、ゴミは何ひとつ残してはいけません。すべて持ち帰ります。
真冬のアツいターゲットを酒の肴に!
真冬の釣りは、防寒対策さえキチンと出来ていれば、ライバルも少なく、エサ盗りも少なく、考えようによっては快適な釣りができると言えます。メインターゲットとなりうる魚種は多くはありませんが、釣り味も食味も良い白身魚がアングラーを楽しませてくれます。
フカセ釣りではメジナ、ブダイは真冬が最も美味しい時期です。投げ釣りではアイナメ、カレイが、アツいターゲットとなるでしょう。ロックフィッシングではカサゴ、クロソイ、カワハギなどが我々を楽しませてくれます。厳寒期の冷たい荒波に揉まれる冬の時期を耐え抜くために蓄えた良質の脂肪分は刺身にしてプリプリで甘く、火を通せばホクホクと口の中でとろけます。鍋よし、天ぷらよし、唐揚げよし、どう料理しても絶品の肴になります。これらをアテに熱燗をクィっと飲る。これこそが、厳しい寒さを省みず真冬の海に出る目的だったりします。