釣りの始め方について、どこから手を付ける? 今さら聞けないことについて解説します!
作成:2024.07.21更新:2024.07.21
目次
これから釣りを始めたいと考えている方の中には、とこから手を付けたらいいのかわからないと思っている方もいらっしゃるのではないかと思います。そんな時、あれもこれもと道具を買い揃える前に、ちょっと考えていただきたいことについて解説して行きたいと思います。ちなみに今回は、主に大人の釣りデビューを前提に記述して行きます。
釣りを始めたいときにはまず『何を釣りたいか?』を考える
あなたが「釣りを始めたい」と思ったきっかけは何でしょう? 友人や同僚から誘われたのでしょうか? それとも、釣りの動画を見て自分もチャレンジしてみたいと思ったのでしょうか? もし、前者であれば、どこから準備をすればよいのかは、誘ってくれた友人や同僚に訊けば、揃えるべき道具についてはある程度解決できるでしょう。また、仕掛けの作り方や道具の扱い方、実釣時の立ち回り方法や釣り方なども面倒を良く見てもらえるでしょうから、おんぶにだっこで色々教えてもらうのがいいかも知れません。
しかし、あなたが後者の場合は、釣りを始める前に、あなたの「WILL」を明確にし、そのWILLに基づいた準備をしなければなりません。
まずは「何を釣りたいか?」考えれば、自ずと用意すべき「道具」が決まり、修得すべき「知識」が決まり、「行くべき場所」が決まります。以下に、ショアでできる主な釣法を、手軽に楽しめる順にあげていきたいと思います。
サビキ釣り
例えば、魚屋で売っているアジやサバ、イワシなどの魚を自分で釣って新鮮なうちに食べてみたいと思ったら、堤防での小物サビキ釣りがおすすめです。タックル類も安価なもので十分間に合います。足元に群れが接近してきたら一投ごとにすべての針に魚がかかると言った状態で、数釣りを楽しめます。
投げ釣り
シロギスやハゼなど、場所を問わず手軽に釣れる魚を数釣りしたければ、投げ釣り、或いはちょい投げと呼ばれる、キャスト釣法をマスターしましょう。投げ釣りをマスターしておけば、例えば、ロングキャストが必要な冬のカレイ釣りや磯からのブッコミ釣り、胴突き投げ釣り、ショアジギングなど、他のあらゆる釣りに応用が利きます。
ロックフィッシュ
キジハタやアイナメ、クロソイなど、岩礁地帯に居着く魚は通称「ロックフィッシュ」と呼ばれます。これらの魚は大型の魚が多く、ゲーム要素も強い釣りです。ソフトルアーを主体とした釣りになります。
また、テトラポッド帯の穴に仕掛けを投入して、穴に隠れたロックフィッシュを直撃する「穴釣り」のメインターゲットでもあります。
ショアジギング
スズキやイナダ(ブリの若魚)、ヒラメやマゴチなどの中型フィッシュイーターを釣りたければショアジギングがおすすめです。キャスティングの技術を習得したら、応用編で是非とも挑戦したい釣法です。
ハードルアーやソフトルアーをキャストし、ルアーにアクションをかけて生命を吹き込み、フィッシュイーターを誘惑して食いつかせるため、ゲーム性が高く、ターゲットの魚もサイズが大きいパワーフィッシュが多いのが最大の魅力です。「100かゼロか」といった、ギャンブル性の高い釣りではありますが、自分のテクニックが如実に結果に表れる、非常にエキサイティングな釣りです。
フカセ釣り
クロダイやメジナといった、いわゆる磯の王者を釣りたいと思ったら、フカセ釣りに挑戦してみましょう。フカセ釣りは数ある釣りの中ではちょっと異質かも知れません。
「コマセ」と呼ばれる撒き餌を撒き、自分の釣り座周辺にターゲットの魚を寄せて釣るメソッドです。他の釣りよりも圧倒的に長い竿を扱い、細いラインを使います。仕掛け作りも複雑なため、ある程度釣りの経験を積んでから始めるのが良いでしょう。
道具をそろえる前に
さて、釣ってみたいたい魚はなんとなく頭に浮かんでいるでしょうか?先項でも書きましたが、あなたの知人の中に釣りに詳しい人でかつ面倒見の良い人、すなわち、あなたのフィッシングキャリアの「師匠」となりうる人がそばにいてくれるのであれば、最初は道具は貸してもらえるかもしれませんし、あなたの釣りデビューに向けて、「これをマスターしてないと釣りができない」という、絶対に習得すべき最低限のスキルを身に着けておかなければなりません。
ノットは最低でも3~5種類くらい習得必須
ノットとは、「結び方」のことです。釣りの世界にはさまざまなノットがあります。道糸と道糸、道糸とショックリーダー、道糸とハリス、道糸とサルカン、幹糸からエダスを出す、ハリスと針、ショックリーダーとスナップ、ショックリーダーとルアーアイ・・・。「釣り ノット」と、ちょっとネットで検索しただけで、何万件もヒットするはずです。どれを習得すれば良いか迷ってしまうはずです。しかし、ノットには用途によって、適したもの、適さないものがあり、すべての用途をひとつのノットで賄えるということはありえません。
古来より親しまれているノットの他にも、日々新しいライン素材に対応したノット、結び方が簡単で強度が強いノットが開発されています。それらを全部覚える必要は全くありませんが、自分がやりたい釣りに応じて、最低でも3~5種類のノットを習得しておく必要があります。
また、メインラインにPEラインを使う釣りをする場合は対策が必要です。表面エネルギーの小さいPEラインは、引張強度は大変強いのですが、滑りやすく、締結強度が著しく低いという欠点があります、そのため、フロロカーボン或いはナイロンのショックリーダーを結ぶ必要があります。通常のノットの他にさらに1~2つ、「摩擦系ノット」と呼ばれる、「すっぽ抜け防止」のための強固なノットを習得する必要があります。
詳しい結び方はネット上にいくらでも掲載されていますのでここでは割愛いたしますが、これから釣りを始めようという初心者の方は、まずは「ユニノット」、「クリンチノット」、「ブラットノット」の3つが必修課題です。市販のハリス付きの針を購入する、または仕掛けごと市販の仕掛けセットを購入して使う場合はこの3つで間に合います。針に自分でハリスを結ぶ場合は針専用の結び方を1~2種類(外掛け結び、内掛け結びなど)習得しておく必要があります。
ノットの習得は「量より質」
ノットの習得について、非常に大切なことがあります。それは、「中途半端にいろんなノットを覚えるよりも、完璧に結べるノットをいくつか覚える」方が優れているということです。ネット上では、ノット別の結束強度比較と銘打って、様々なノットの切断強度を測定する動画がたくさんあります。確かにノットごとに「高強度のノット、中強度のノット、手軽に結べるが低強度のノット」というのはあります。
しかし、ノットの結束強度は、「結びの完成度」に依存します。つまり、一生懸命結んでみたけど、締め付け後の結び目のカタチが悪いノット、締め付けが甘いノットなどでは、理論上の強度と比較して簡単に20%や30%、場合によっては50%以上の強度低下となってしまします。それよりも、理論上の強度はそこそこのノットでも、風が強い環境や薄暗い環境などでも、いつでも自信をもって完璧に結べると言える、身体で覚えたノットを使う方が正解です。
そういう、「完璧に結べる自信のあるノット」を3つ持っている人の方が、「出来栄えはともかく、何十種類のノットを結べる」という人よりも優れています。
釣りで使うノットは、釣りだけではなく、日常生活の様々な場面で非常に役に立つライフハックです。釣りを始めたのを機に、様々なノット、アウトドアシーンで役に立つロープワークなどにハマる人もたくさんいます。覚えておいて損はありませんね!
釣り堀などで練習する
早くタックルを一式揃えて釣りに出かけたい気持ちをグッと抑え、釣り堀などで実戦練習をすることをおすすめいたします。金魚でもフナでもコイでもニジマスでも構いません。手ぶらで釣り堀へ行き、タックル一式を借りて釣りをやってみましょう。
釣り堀ではリールを使ったタックルを扱うことはできないことがほとんどですが、仕掛けがどういう構造をしているのか、餌の付け方、ウキ下の調整、仕掛けのコントロール、アワセのやり方、フッキング後の竿の取り回しなど、釣りの基本的なテクニックを理解するのにもってこいです。そして何よりも、魚がかかった時の竿先から手元に伝わる「あの快感」を簡単に味わうことができます。この、魚が抵抗し、竿を曲げる感覚を味わいたくて、釣り師は飽きることなく何度でも釣りに出かけるのです。
一番のおすすめは「海上釣り堀」と言って、海上の生け簀の上に釣りができる構造物を設けた釣り堀です。ここでも道具はすべてレンタルできますし、基本、初心者にはスタッフがついてくれます。ターゲットは比較的サイズが大きく、パワーもあるマダイや青物なので、強いタックルを扱います。
リールの使い方、ドラグの設定、ファイトのやりとりの仕方などを身体で理解できます。スタッフに釣り方を教えてもらえたり、タモを当ててもらいランディングを手伝ってもらえたり、サポートも充実しているため、初心者でも楽しく釣りができますが、非常に価格が高いのが玉に瑕です。
毒魚、危険魚、採捕禁止生物を頭に入れておく
海釣りの場合、毒針を持ち、刺されると危険な魚や身に毒によって食べると中毒を起こす魚がいます。それも、頭で思っている数倍の種、個体数がいます。これら危険魚は可能な限り頭に入れておきましょう。近年では、カツオノエボシなど、刺されるとアナフィラキシーショックを起こし、生命の危険が及ぶほど強毒の生物も増えています。自己責任と心得、危険生物を見分けられる目を養い、万が一触れて刺されてしまった時の応急対処の方法も頭に入れておきましょう。
また、ウニやサザエ、アワビ、ナマコ、場所によってはタコやエビなどは、漁協に認められている人間以外の採捕が禁止されています。釣れてしまったからと言って持ち帰ってしまったり、その場で食べてしまったりすると、窃盗罪の嫌疑をかけられることもあります。近年、密漁の厳罰化が進んでいます。そんなつもりはなかったでは済まされない事例が増えています。くれぐれも採捕禁止の生物を採ることのないように。
あらゆる釣りに共通のアイテムから買い揃える
ノットもある程度覚え、釣り堀などでの実釣も経験した上で、さぁ、いよいよ自分のタックルを揃えようか! という段になりました。この時点で、自分がデビューする釣りのメソッドが明確になっているのならば、釣具屋の店員と相談しながら粛々と道具を揃えて行きましょう。そうではなく、まずはいろんな釣りを一通りやってみて、そこから自分が気に入った釣りを極めて行きたいと思うなら、まずはあらゆる釣りに共通のアイテムを揃え、ロッドやリールは取り敢えず「万能」を謳ったものを選んでおけば良いでしょう。
釣りデビューのためイチから揃える場合の順番
まず、竿とリールを買って、仕掛けを買って・・・と、少しづつタックルを揃えて行く行程は非常にワクワクし、楽しいものです。しかし、ちょっと立ち止まってください。「イチから道具を揃える」ならば、ちょっとそれでは順番が違います。タックルを揃える順番は、
- 安全装備:フローティングべスト、釣り場に応じた専用シューズ、帽子、サングラス、手袋等
- ツール類:ハサミ、針外し、フィッシュグリップ、水汲みバケツ、ランディングネット、クーラーボックス、ツールボックス等
- 消耗品類:道糸、ハリス(ショックリーダー)、針、セット仕掛け、天秤、ウキ、オモリ、サルカン、スナップ等
- 竿、リール
の順番で少しづつ揃えて行きましょう。重要なことは、あなたの師匠(と呼べる人がいる場合)や釣具店の店員など、信頼できる人のアドバイスを受けながら少しづつ買い揃えて行くということです。闇雲に買い漁っても、結局自分の釣りでは使わないものを買ってしまったり、いざ現場に出たときに針などの重要なパーツのサイズが合わなかったり、無駄な買い物になってしまします。
購入するタックルは、財布と相談しながらということになりますが、子供の釣りデビューであれば、釣具店で最も安価に販売されているロッド/リールセットでも良いでしょうが、大人のデビュータックルとしては全く力不足です。どんな釣りをする場合でも、最安価帯のタックルは避けた方が良いでしょう。具体的には、リールもロッドも店頭売価で1万円以上のものを選んでおけば、よほどのことがない限り問題なく使えるはずです。
その他ツール、消耗品類も、上を見たらキリがありませんが、大事なことは「魚に直接コンタクトするパーツ」にはお金をケチってはいけないということです。すなわち、針、ハリス(ショックリーダー)、道糸については、ある程度値が張るものを買った方が、実際の釣りのシーンでトラブルが少ないということは間違いありません。
釣種別の標準的仕掛けについて
最後に、釣種別の標準的な仕掛けについて、簡単に記します。もちろん、ポイントまでの距離、水深、ターゲットの魚のサイズ等により、タックルの号数は変わりますので、参考程度ということで。
サビキ釣り
竿・・・サビキロッド 3,6m~4.5m
リール・・・汎用スピニングリール#2000相当
道糸・・・ナイロン2号~3号
仕掛け・・・市販のサビキ仕掛け・コマセカゴ付き(針の本数は3~6本が使いやすい) ※サイズ違いを3種類ほど用意しておくと良い。
オモリ・・・ナス型オモリ6号~8号
投げ釣り(フルキャスト)
竿・・・サーフキャストロッド 3.9m~4.5m
リール・・・サーフキャストリール#4000〜#5000相当
道糸・・・PE0.8号~1号
力糸(テーパーライン)・・・ナイロン4号→10号程度
天秤・・・海草天秤、ジェット天秤など(オモリ25号~35号)
オモリ・・・25号~35号(片天秤の場合)
仕掛け・・・市販の投げ釣り仕掛け
投げ釣り(ちょい投げ)
竿・・・ちょい投げロッド 2.4m~3.6m
リール・・・汎用スピニングリール #2000~#2500相当
道糸・・・ナイロン3号~5号
天秤・・・ジェット天秤10号~15号
仕掛け・・・市販の投げ釣り仕掛け(2本針~3本針)
ロックフィッシュ
竿・・・ロックフィッシュロッド(ショアジギングロッド、シーバスロッド代用可) 7ft〜9ft
リール・・・汎用スピニングリール#3000相当・ノーマルギア
道糸・・・PEライン0.8号〜1.2号
ショックリーダー・・・フロロカーボン3号(12lb)〜5号(20lb)
仕掛け・・・ジグヘッドリグなどソフトルアー系
ショアジギング
竿・・・ショアジギングロッド、シーバスロッドなど、8ft~10ft
リール・・・汎用スピニングリール#3000~#5000相当・ハイギアorエキストラハイギア
道糸・・・PE0.8号~1.5号程度
ショックリーダー・・・フロロカーボン4号(16lb)~6号(24lb)
ルアー・・・現地の当日のベイトフィッシュがわかれば、それに似せたルアーがおすすめ
フカセ釣り
竿・・・【メジナ狙い】磯竿1号~2号(先調子)、【クロダイ狙い】チヌ竿0号~1.5号(胴調子) 5.3m
リール・・・汎用スピニングリールorレバーブレーキ式スピニングリール#2500~#3000相当
道糸・・・ナイロン1.75号~2.5号
ハリス・・・フロロカーボン1.2号~2号
ウキ・・・自立型小型棒ウキor中通し式円錐ウキ 浮力0~5B(メジナ狙い)、1号~2号(クロダイ狙い)
オモリ・・・ウキの浮力に対応したガン玉
針・・・グレ針4号~6号、チヌ針1号~3号
その他・・・潮受けパーツ、ウキ止め、コマセバッカン、コマセ柄杓、餌バッカン等
準備万端整ったらすぐに釣りを始めよう!
いかがでしたでしょうか? ちょっと書き散らかしてしまった感が否めませんが、釣りデビューを思い立った日からすべきことについて、わかりやすさに重点を置いて書いたつもりです。あとは身近に「信頼のおける釣り経験者」を捕まえて留め置くことが速い上達のコツだと思います。
「案ずるより産むが易し」となるか、「事実は小説より奇なり」となるかは、釣りを教えてくれる人によるところが大きいということも無きにしも非ずですが、とにかく釣りをやってみましょう! きちんと準備した人には、必ず「ビギナーズラック」が訪れます。そして、釣りの沼にズッポリとハマって、釣りがあなたのライフワークとなることを願って止みません!