アブガルシアのフラッグシップ「REVO」シリーズ最速の韋駄天「ROCKET」はダテじゃない!
アブガルシアのフラッグシップモデルは、ベイトリールもスピニングリールも「REVO」シリーズです。Revolutionを謳うからには、アブガルシア独自の革新的な技術がいくつも奢られています。しかしながら、REVOシリーズは他社ハイエンドラインと比較すると非常に安価で、コストパフォーマンスが高いモデルばかりです。そんなREVOシリーズの中から、ショアジギングに最適な、驚異のリトリーブスピードを誇る「ROCKET」を紹介します。
アブガルシア「REVO」シリーズとは?
アブガルシアの歴史を語る上で欠かせない、同社の釣具事業の礎にして、今日に至っても売れ続けている、クラシカルスタイルの両軸受けリールライン「AMBASSADEUR(アンバサダー)」シリーズは別として、同社のロープロファイル型ベイトリール、スピニングリールともに、ハイエンドラインは、「REVO(レボ)」シリーズと呼ばれます。アブガルシアの最先端テクノロジーを惜しげもなく搭載し、素材の選定から切り出し、造形、組み付け、フィニッシング(仕上げ)に至るまで、一切の妥協がない、アブガルシアの粋を極めたラインが「REVO」シリーズです。そこまで造り込まれたシリーズではありますが、他社のハイエンドラインと比較すると半額程度のメーカー希望小売価格なんです!奇を衒うことなく、累々と積み上げたノウハウをブラッシュアップし続け、他社が追随できない価格を実現しています。2020年6月現在、REVOのスピニングリールは11機種もラインアップされています。
REVO ROCKET 3000Sの特徴
先ほど、「奇を衒うことなく、累々と積み上げたノウハウを・・・」と書きましたが、このROCKET 3000Sは、ひょっとすると、そんなフィロソフィは当てはまらない「異端児」かも知れません。なぜなら、普通では考えられない、超ハイスピードリールなんです。スピニングリールとしては例を見ない、ギア比7.0という、ベイトリールのハイギア機並の、クレイジーといえなくもないスーパーハイギアリールなんです。「そんなスピード必要ある?」と言われるかもしれませんが、もちろんちゃんと意味があります。脱線恐縮ですがここでクイズです。日本の道路交通法では高速道路でも自動車の最高速度は120km/hと決められています。しかしなぜ、車のスピードメーターは軽自動車で140km/h、普通車で180km/h〜220km/hまで目盛りがあるのでしょうか(飾りではなく、本当にそこまでスピードが出る設計なのです)?・・・答えは「危険を回避するために、スピードを落とすよりも、スピードを上げて回避する方が確実な場合があるから」です。ブレーキかけると後続車に追突される恐れがある場合、或いは、並走する車が突然自分に近寄ってきた場合などが該当します。閑話休題。アブガルシア REVO ROCKET 3000Sは、実はそれと同じような意味を持つリールなんです。攻める場面では、スピードを活かしてナブラ打ちの回数を上げる、守る場面では、スピードを上げることで、船舶の接近や他人の仕掛けがクロスしてくる危険を回避できます。
超速、ハンドルひと巻き最大108cm!
スペック表を見て驚きなのですが、ハンドル1回転あたりの最大巻き取り量が108cmなんです! 他に見たことありますか? 3000番クラスのスピニングリールでひと巻き1m超えるもの・・・。実は、REVO ROCKETのベイトリールにはあるんです。それについては別の機会でお話しさせていただければと思います。さて、REVO ROCKET 3000Sのスペック、やはり目につくのは、リール1回転あたりの最大巻き上げ量ですね。108cmというのは凄いことなんです。考えてもみてください。仮に水深30m、或いは距離30mのショートキャストでジギングしていてヒットさせたとします。ランディングまでハンドル28回転しかかからないのです。これは驚異的です。ショアジギングでナブラを発見し、なんとか仕掛けが届くくらいの距離だったとします。ナブラによるお祭り騒ぎは時間との闘い。うかうかしているとあっという間に消え去ります。そんな僅かなチャンスタイムに仕掛けを何回通せるか、これが勝負の分かれ目です。ナブラの発生場所を抜けたら、次のキャストのために、仕掛けを全速力で回収しなければなりません。そんな時にこのROCKET 3000Sはライバルを圧倒するスピードで回収できます。一日続ければキャスト数に相当の差が出ると言うわけです。もちろん、ジギングでカツオやメジマグロ(クロマグロの幼魚)などの泳力スピードの速いターゲットに対して、超高速リトリーブで効果的にアピールすることもできます。
パーツの素材選定へのこだわり
REVOシリーズは、素材の開発も抜かりはありません。特にボディコアとローターには非常に軽量で強度の高い素材が採用されています。ボディコアの一番負荷がかかる部分、メインドライブを格納するギアボックス部は、アルミ鋳造合金を使用し、ねじれ剛性を確保し、その周辺はカーボン繊維強化プラスチックをインモールド成形(金型内にアルミ鋳造合金のギアボックス部を入れ、その金型内にカーボン繊維強化プラスチックを射出し一体化させる成形法)により、シームレスで剛性と軽量化を両立したボディコアを実現しています。これをIM-C6ボディ(インモールド-カーボン6)といい、REVOシリーズのみに搭載されているパーツです。ローターはC6と呼ばれるカーボン繊維強化プラスチックを採用しています。このC6カーボンは、マグネシウム合金並みの剛性かあり、剛性を損なうことなく大幅な軽量化を実現しています。ROCKET 3000Sの自重は225gは、見た目のサイズ以上に軽く感じることでしょう。長めのハンドルバーは回転力の軽減にもつながっていて、リーリング時の疲労の蓄積を抑えてくれます。
その他の機能
REVO ROCKET 3000Sには、クラス最高水準の12個のベアリングが内蔵されています(11ボールベアリング+1ローラーベアリング)。そのうち、自らの回転をスプール上下運動の力に変換するピニオンギアと、ラインと常に接するラインローラーの2か所には、内輪、外輪、支持体、鋼球に至るまで、ベアリングを構成するすべてのパーツに撥水コートを施し、塩噛みの軽減、回転フィールの向上と長期耐久性を与えた「Salt Shield」ベアリングを使用しています。その他のベアリングも耐食性の高いHPCRベアリングが使われています。また、スムーズなラインの放出と、回収時のスプールへの密な巻取りを行うために、スプール、ローターの位置関係、ラインローラーとラインの接触角などを最適化した、ロケットラインマネジメントシステムを採用、ユニフローベールと呼ばれる、ベールの接合部をシームレスにした構造が、ベール周辺のライントラブルをさらに軽減させてくれます。さらに、駆動部は、高強度アルミの精密マシンカットによる高精度の切り出しを可能にした「AMギアリングデザイン」、コンピュータ構造解析によるギア歯形状の最適設計を実現した「COGギアデザイン」が、異音のない滑らかな回転を長期間にわたり維持し、REVO ROCKET 3000Sの驚異的なハイスピードアクションを支えています。
エキストラハイギアの功罪
他に類を見ない、超ハイスピードモデルのREVO ROCKET 3000Sですが、上級者向けのリールといえます。ハンドル1回転で108cmもの巻き上げを「してしまう」のです。高速リトリーブを必要とするショアジギングの場面ではライバルに差をつける大活躍をしますが、その他のシーンでは仕掛けのコントロールが難しくなります。特に、レンジキープが難しく、このリールを自在に操るには経験が必要でしょう。ショアジギング以外の釣りでは、根がかり回避のため、仕掛けを高速で回収する場面が多い、地磯でのぶっこみ釣り、あるいはキャスティズム(胴突き仕掛けを投げるロックフィッシュ釣り)などに限定されるかもしれません。個人的にはダート系エギングに使ったら面白いのではないかと思います。
結論! 汎用性はないが、コアなジギンガーなら違いは一目瞭然、是非欲しい韋駄天リール!
以上、アブガルシア REVO ROCKET 3000Sについて紹介いたしましたが、スピードという明確な特徴を持っているため、ショアジギングをメインでやっている方には大変おすすめです。青物との勝負であれば、このスピードは武器になります。このスペックで実勢価格2万円を切るものは他にありません。REVO ROCKET 3000Sの圧倒的なスピードを引っ提げて、ライバルよりも多くのキャストをし、納得のビッグワンを釣り上げてください!