REVO ROCKET 2500Sは使い手を選ぶ超特急だ!
スピニングリールでギア比7.0という機種は他に聞いたことがありません。 アブガルシア・REVO ROCKETは、2000番、2500番、3000番のラインアップ全番手でギア比が7.0という特殊なスピニングリールです。 一体どんな人に、どんな釣りに向いているのでしょうか? 超ハイスピードの意味はどこにあるのでしょうか? 異端児とも思える、アブガルシア REVO ROCKET 2500Sの真髄に迫ります。
他にどこにもない、突き抜けたスピニングリール
アブガルシアの、スピニングリール、ベイトリールを含めたリールのラインアップの中で、 2021年3月現在のフラッグシップラインは「REVO」シリーズです。 その中で、「ROCKET」は、スピニングリール、ベイトリールともに、他にはない高いギア比を持ち、圧倒的なスピードを誇るモデルです。 高いギア比のリールを作るには、理論的にはドライブギアを大きく、ピニオンギアを小さくすれば良いのですが、そんな簡単な話ではありません。 ギア比が高くなればなるほど巻きは重くなり、ギアにかかる負荷も大きくなります。少なくとも「一般受け」はしないであろう、 REVO ROCKETをリリースした、アブガルシアの狙いは何なのでしょうか?それはズバリ 「決戦用タックルとして、トーナメンターを満足させる」ことに尽きます。
REVO ROCKET 2500Sの基本スペック
では、REVO ROCKET 2500Sの基本スペックを見てみましょう。ギア比は先述の通り、驚異の7.0、ハンドル1回転あたりの最大巻き上げ量は98cmです。 2500番のスピニングリールで、1回転98cmなどというものは他にはありません。1回転98cmは、一般的には4000番クラスのエキストラハイギア並の巻き上げ量です。 ドラグは最大釣力5.2kg、カーボンマトリックスワッシャーにより、摩擦熱に強く、広いレンジで滑らかで安定したパフォーマンスを発揮するドラグになっています。
ラインキャパは、ナイロン6lbで100m、PE0.8号で150mです。ソルトウォーターのジギングでは少し心許ないかも知れません。 どちらかと言うと、大河川や湖沼でのバス釣りや、ソルトウォーターではボートキャスティングによるシーバス釣りのような中距離戦に向いています。 自重は205gと、このクラスのスピニングリールとしては標準的な重量です。
スピードを持て余すなかれ!
さて、この圧倒的なスピードをどう使いこなすかということですが、単に仕掛けを素早く手元に回収するとか、 ジグを速く泳がせるとかだけであれば、使いこなせているとは言えないかも知れません。 例えば、キャスト後にラインスラックをスピーディーに回収し、仕掛けを素早く潮流に馴染ませ、目的のポイントに送り込んだり、 リフトアンドフォールの場面では、大きくリフトし、そのままハンドルを1〜2回転させ、即座にテンションフォールに持ち込む、 突然目の前でボイルが起こったときはフルスピードでリトリーブして魚にアタックさせたりします。
また、ファイト時は、ラインが送り出される場面を耐え、テンションが抜けたら一気に巻き上げて手前に引き寄せて主導権を握るなど、 アングラーの技量に応えられる能力を備えています。逆に、テクニックに乏しいアングラーでは、このリールの潜在能力を引き出すことは難しいでしょう。
圧倒的なスピードを支える機構
REVO ROCKETの7.0という圧倒的なギア比は、ただいたずらに上げたものではありません。 ギア比を上げるということは、ギア自体に大きな負荷がかかり、壊れやすくなること、 巻きが重くなることというデメリットがありますが、REVO ROCKETは、ドライブから入力されるアングラーのリーリングのパワーを最初に受けるピニオンギアの材質を、 他のスピニングリールとは異なるものを使用しています。
通常、汎用スピニングリールに使用されるピニオンギアの材質は真鍮を使います。真鍮とは、銅と亜鉛の合金で、黄銅とも呼ばれ、 古くから使用されている金属です。真鍮は切削やはんだ付け、メッキなどの加工性が良いため、スピニングリールのピニオンギアは殆どが真鍮製です。 しかし、REVO ROCKETのピニオンギアは、真鍮よりも耐腐食性、耐摩耗性に優れた、銅にアルミニウム、鉄、ニッケル、 マンガンを添加したアルミニウム青銅が使われており、驚異の高ギア比駆動を支えています。 ピニオンギアにアルミニウム青銅が使われている機種はREVO ROCKETのみです。
その他の機構
REVO ROCKETの特異な特性を支える機構は他にも充実しています。 ボディ材質は「IM-C6」と呼ばれる、高強度アルミ鋳造合金製ギアボックスと、 カーボン繊維強化樹脂製リールフット・ステム部がインモールド成形(同じ金型内で異種材料を融合させる成形法)された、 シームレスな高強度材料になっています。ローターもマグネシウムに匹敵する強度を誇る、軽量なC6カーボン製ローターとなっています。 ラインローラー部とピニオンギア部にはソルトシールドベアリングが採用され、高い防水性と防錆性を確保しています。
ライバル不在の超高速機、知恵と技術で使いこなせ!
何度も言いますが、REVO ROCKET 2500Sは、汎用リールとしてのバーサタイル性はありません。 2500番というサイズとラインキャパより、ショアジギングにも向いているとは言えません。 やはり、流れがある場所に素早くアプローチする、あるいは、エギングやワインド釣法などのルアーの操作をこれまで以上にスピーディーに行う、 フッキング後の取り込みにメリハリを持たせる、すなわち、ゴリ巻きではなく、守るべき時はひたすら我慢をして、詰めるときは一気に詰めるといった、 クレバーな攻防をするといった、ワンランク上のレベルの釣りでこそ威力を発揮しそうです。