アブガルシアのハイエンド機「REVO MGXtreme」に次ぐ、最新モデル「MGX THETA」はベイトフィネスゲームに特化したスタイリッシュな逸品だ!
アブガルシアのスピニングリールのフラッグシップライン「REVO」の中には、2018年発売開始した、プロも絶賛する超軽量最上位機「REVO MGXtreme(レボ・エムジーエクストリーム)」があり、現在においても、同社最上位機種としての地位を守っていますが、2020年1月、「REVO MGX THETA(レボ・エムジーエックス シータ)が発売されました。」このMGX THETAは、MGXtremeと何が違うのか? どちらを購入するのが良いのか? について、MGXtremeとの違いにフォーカスを当てて見て行きたいと思います。
2020年、最新のテクノロジーを引っさげて登場したREVO MGX THETA
REVOシリーズの最上位機種は2018年に発売したREVO MGXtremeであると書きましたが、MGXtremeは、材料の選定にこだわり抜き、究極の軽さを実現したハイエンド機です。REVO MGXtreme 3000SHは自重175g、対してMGX THETA 3000SHは188gと、13gの差があります(188gでも充分軽いですが)。何故この2020年のタイミングで、REVO MGXtremeの弟分ともいうべき、MGX THETAが発売されたのでしょうか?その秘密は、アブガルシアが新たに開発した技術である、「フリクションフリー」という、新しいメインシャフト支持構造にあります。
REVO MGX THETAの目玉、「フリクションフリー」構造
REVO MGX THETA に初めて搭載された「フリクションフリー」とは、アブガルシアが開発した新しいドライブ機構のことです。一般的にスピニングリールは、ハンドルの回転によるドライブギアの回転力を、ピニオンギアを回転させながら、ローターを回転させる力と、スプールを前後に動かすためのメインシャフトの往復運動の力の2つに変換する仕組みなのですが、これまでは、メインシャフトがグリスアップされたピニオンギアの内面にピッタリハマり、擦れ合いながらピニオンギアは回転、メインシャフトは往復運動をしていました。この、ピニオンギアの内に高摺動ブッシュを噛ませて、ピニオンギアとメインシャフトが直接擦れ合わないよう、僅かな隙間を設けた構造となります。ピニオンギアとメインシャフトは接触しないわけですから、スムーズで静かな回転が得られるという画期的な構造です。このフリクションフリーは、REVO MGX THETAと、2020年6月発売の廉価モデル、REVO ALX THETAに搭載されています。
REVO MGX THETA 3000SHの基本スペック
REVOシリーズは、アブガルシアのフラッグシップラインですが、同じREVOと言っても、材質や採用されているテクノロジーや味付けがかなり異なっています。REVO MGX系は、ブラックバスのベイトフィネスにフォーカスしたリールというテイストです(もちろん、ソルトも対応ですよ)。フロロカーボンの4lb〜8lbの細いラインを使い、軽い仕掛けを正確にキャストするのに向いています。MGX THETA 3000SHのギア比は6.2、最大巻き上げ量は96cmのハイギアタイプ、最大ドラグ釣力5.2kg、ラインキャパはPE1.2号で150m、フロロカーボン8lbで110mです。ベアリング数は11個、うち、ラインローラーとピニオンギアのベアリングには、撥水加工が全面に施され、塩噛みを激減させる、Salt Shieldボールベアリングが採用されています。
その他の機能
軽さと剛性を担保するために、アブガルシアが出した答えには、いくつかありますが、この、REVO MGX THETAに使われている、「feathermetal(フェザーメタル)」と呼ばれる、マグネシウム合金のワンピースボディコアは、現在の釣具素材テクノロジーでは最適解とも言える素材です。軽さと強度を兼ね備えた素材として、耐衝撃性能を謳うデジタルカメラの筐体やパソコン、自動車部品など幅広く使われています。マグネシウムにアルミや亜鉛、珪素などの添加剤を加えて重合させたマグネシウム合金は、鉄の4分の1ほどの重さで、鉄同様の強度が得られます。アルミニウムと比較しても3分の2程度の重さです。このマグネシウム合金を、ステムからギアボックス、側板まで、ワンピースで鋳造し、軽さと強度を、現在のテクノロジーで考えられる最高レベルの高さで両立させています。
最上位機種・MGXtremeとの違いは何?
最上位機種のREVO MGXtremeと、最新のREVO MGX THETAとは具体的にどこはが違うのでしょうか?メーカー希望小売価格では、7,000円の価格差があります。同じ3000SHで比較すると、MGX THETAは37,000円、MGXtremeは44,000円です。この差はどこから生まれたのでしょうか?これは、それぞれの設計思想の違いから生まれた差であると言えます。素材の徹底的な見直しによる軽量化を図っているMGXtremeに対して、フリクションフリー機能の搭載による巻きのコンフォータビリティを追求したMGX THETAと言えるでしょう。
具体的にどこが違う?
ギアボックスフレーム材質は、MGX THETA、MGXtremeともにワンピース構造のマグネシウム合金、「Feathermetal」を使っていますが、MGX THETAは、ステム部からボディコアに至るまで、すべての部分がfeathermetalなのに対し、MGXtremeはボディコア部はFeathermetalですが、ステム部はC6カーボンという、アブガルシア独自開発のカーボン繊維強化樹脂を使用しています。マグネシウム合金同等の剛性を維持しながら、さらなる軽量化が図られています。ローター材質は、MGX THETAはC6カーボンをメイン素材に使用しているのに対し、MGXtremeはカーボンとマグネシウムの複合材料で構成された低慣性モーメントローターを採用しています。慣性モーメントが低いと言うことは、惰性でローターが回ることが少なく、回りはじめも軽いと言うことです。すなわち、アングラーのハンドル捌きにシビアに反応することを意味しています。素材の大きな違いはこの2点となります。
どちらを買うべきか?
はっきり言って、「MGX THETA」をオススメします。MGXtremeのアドバンテージを全て捨ててでも、「フリクションフリー」はどうしても欲しい機能です。MGXtremeに「フリクションフリー」が搭載されれば、当然それを求めるのが一番なのですが、タイミングの問題だったのでしょう。フリクションフリーが完成した際、MGXtremeのボディに組み入れるためには現行品の大規模な金型変更が必要だったと考えるのが自然でしょう。もしくは、MGX THETA、ALX THETA、さらにラインアップを拡充し、敢えて「THETA」シリーズ=「フリクションフリー搭載機」として、MGXtremeとは別のシリーズで成熟させて行くつもりなのか、アブガルシアの今後の動向が気になるところであります。