ボトムラインながら驚きの高コスパ、カーディナル3 STX 2500SHが凄い!
アブガルシアのスピニングリールの中で最も安価なラインに位置する「カーディナルシリーズ」が、2021年、フルモデルチェンジを実施し、「カーディナル3」になりました。全モデルのスタイリッシュな外観はそのままに、更にコスパを高めました。いわゆる「安かろう何とやら」ではない、「ちゃんと使える」汎用スピニングリールです。今回は、「カーディナル3シリーズ」より、最上位機種のSTX 2500SHを紹介します。
「カーディナル」シリーズの歴史
アブガルシアの前身、スウェーデンのABU社は1921年創業、もともと時計工房でした。機械式時計の精密部品の製造で培った技術を、タクシーの料金メーターの製造に応用し、ヒット商品となりましたが、第2次世界大戦が始まるとタクシー需要はなくなり、次の一手として、リールの製造をはじめました。1941年に、完全ハンドメイドのベイトリールを4モデル計100個製造し、釣具メーカーとしての道を歩み始めました。
ベイトリールの製造から遅れること8年、1949年からスピニングリールの製造を開始。1955年に、のちに世界的大ヒットモデルとなる「カーディナル」の前身となるスピニングリール「ABU 444」が発売されました。そして、1965年、初代カーディナル66、カーディナル77が発売されました。このリールは自重400を超える大型リールでしたが、初代カーディナルから10年後、1975年に、コンパクトボディとリアドラグ搭載、インスプール化したカーディナル33が発売されると、日本でも大ヒットモデルとなり、特に渓流トラウトのシーンでは絶大な支持を受けました。現代のカーディナルシリーズは当時のカーディナルとはコンセプトが異なりますが、その名は現在に引き継がれ、日本市場においてはアブガルシアのエントリークラスのこうコスパモデルとして、ビギナーを中心に愛されているモデルとなっています。
カーディナル3 は3タイプあり
カーディナル3は、「S」、「SX」、「STX」の3タイプのモデルがあります。「S」は、最も安価なライン付きモデルで、「SX」は本体のアルミシャロースプールに加え、ラインキャパの異なるグラファイト製ディープ替えスプールが付いたモデル、「STX」は、本体のアルミスプールと同じ、色違いのアルミ替えスプールが付いたモデルとなっています。アルミ替えスプール付属の「STX」でも、メーカー希望小売価格6,900円~7,200円と、驚きの低価格となっています。だからといって、スピニングリールとしての基本性能が蔑ろにされているということは全くありません!
カーディナル3 STX 2500SHの基本スペック
カーディナル3 STX 2500SHの基本スペックを見て行きましょう。ギア比は5.8、ハンドル1回転あたりの最大巻き上げ量は82cmのハイギアタイプです。ドラグは最大釣力5.2kgの一般的なドラグが搭載されています。ラインキャパは、ナイロン6lbで100m、PE0.8で150mです。替えスプールもラインキャパは同じです。自重は263gと、お世辞にも軽量とは言えませんが、この価格帯では何とか許容範囲といったところでしょう。
ツールとしての完成度は高し!
カーディナル3 STX 2500SHは、アブガルシアのスピニングリールの中ではボトムラインにあたる製品ですが、価格以上にタックルとしての性能はしっかり作り込まれています。中でも特筆すべきは、カーディナル3 STXおよびSXには、ねじ込み式ハンドルが採用されたことです。この価格帯のスピニングリールで、ねじ込み式ハンドルが採用されているものは他メーカーにはひとつもありません。供回り式ハンドル(ハンドルシャフトを挿入して反対側のネジで止めるタイプ)とは比較にならないほどハンドルがガッチリ固定され、ブレ・ガタのないリーリングが可能となりました。これだけでも十分にこのリール選ぶ価値はあります。
そして、STX 2500SHにはアルミ製替えスプールがついていて、ひとつのボディで様々な釣りに使い倒せる汎用性も大変な魅力です。アブガルシアのすべてのスピニングリールに採用されている、ラインのスムーズな放出を制御し、巻取り時はスローオシレーションシステムが最適な巻取りアングルを保ち、スプールに均一にラインを巻き取る、ロケットラインマネジメントシステムも当然、カーディナル3にも全モデル採用されています。
防水性能と巻きフィールは必要最低限
カーディナル3 STX 2500SHは非常に良く出来た格安スピニングリールではありますが、さすがに防水性能や回転フィールは必要最低限と言ったところでしょうか。良好な状態を維持するためには、釣行後のメンテナンスを必ず行うことが必要です。ドラグノブを締め、上からシャワーで水をかけ、塩分やホコリを落としたらドラグノブを緩めて陰干しし完全に乾燥させ、メインシャフトとベールアーム、ラインローラー、ハンドル部に注油してから収納しましょう。メンテナンスを一度でも怠るとフィーリングが悪化してしまいます。
同価格帯のライバル品と比較してもコスパは高い!
カーディナル3 STX 2500SHと実勢価格の似通ったモデルとしては、ダイワ リバティクラブ 2500、シマノ ネクサーブ 2500HGなどがあります。どちらも実勢価格5,000円前後で手に入るモデルであり、入門者向けのスピニングリールとして実用的な機能は備えていますが、やはりねじ込み式ハンドル採用で、かつアルミ製替えスプールが付属しているカーディナル3 STX 2500SHに軍配が上がります。
ちょい投げ釣りやボート釣り、エギングやライトジギングまで、守備範囲は広い!
カーディナル3 STX 2500SHは、ビギナー向けのスピニングリールではありますが、ちょい投げ釣りからライトジギングまで、対応できる釣りは非常に多いでしょう。ドラグを緩めればエギングに使うことも出来ます。ロケットラインマネジメントシステムのお陰でキャスタビリティは良好なので、堤防や地磯からの中距離狙いのショアキャスティングもこなせるでしょう。モチロン、替えスプールには太さの異なるラインを巻いておいて、臨機応変に仕掛けを変えながら、ターゲットを特に定めず、行きあたりばったりの気ままな釣りを楽しむのに良い相棒となるはずです。