【SPEAKY 3000HGX】テイルウオークが2020年市場に投入したリール!
テイルウオークは、株式会社エイテックが2006年にリリースを始めた、新進気鋭のルアーフィッシングブランドです。まだ16年目ではありますが、ルアー、ロッド、アパレルを中心にファンを増やしてきました。中でもロッドは独創的なモデルが多く、コアなファンが多数存在しています。そんなテイルウオークから、2020年、初のコンパクトスピニングリールがリリースされました。それが「SPEAKY(スピーキー)」です。一体どんなリールなのでしょうか? テイルウオークが満を持して市場に送り込んできたコンパクトスピニングリール、SPEAKY 3000HGXについて、詳細を見ていきましょう。
テイルウォークのスピニングリール
テイルウオークのスピニングリールはこれまで、オフショア専用の大型スピニングリール「KUROSHIO PGX」と、「KUROSHIO HGX」しかありませんでした。しかし、この「KUROSHIOシリーズ」はなかなか良くできたリールで、3000番〜6000番のラインアップで、オフショアであらゆる大型魚と対峙してきました。アルミ素材を極め、高密度のダイカスト、高精度のマシンカットから作り出されたパーツを、ボディコア、スプール、ドラグノブ、ハンドル、ベールなどに多用し、剛性の高いオフショアリールとして定評がありました。このKUROSHIOシリーズは、メーカー希望小売価格2万円と、コスパにも優れていました。そんなKUROSHIOでの実績をブラッシュアップし、テイルウオーク初のコンパクトスピニングリール「SPEAKY」が誕生しました。
「SPEAKY」とは?
商品名の「SPEAKY」とは、「Smooth」と「Peaky」を組み合わせた造語です。「peaky」とは、「神経質で、ある特定の領域では能力を発揮するが、他の領域では扱いづらい」というような、どちらかと言うとネガティブな言葉ですが、そこに「smooth」を合わせ、「全領域で優れた能力を発揮する」という意味を持たせています。あらゆるフィールドで過酷なテストを繰り返し、魚種を問わず、常にスムーズでピークな挙動を示す道具であるという、開発陣の思いが込められたネーミングとなっています。それを実現するために、様々なテクノロジーが投入されています。
SPEAKYのラインアップ
SPEAKYは2000HGX、2500HGX、3000HGX、3500HGXの4サイズがラインアップされていますが、その味付けは2000HGX、2500HGX、3000HGX、3500HGXとでは明確に異なります。前者はトラウト、バス、エギング、ライトソルトゲーム向きのフューチャリングであり、後者はライトショアジギング、サーフゲーム、タイラバ、スーパーライトジギングなど、オフショアゲームなどでのビッグワンとのやり取りも見据えた味付けとなっています。
ドラグワッシャーの構成を変え、ドラグの性格を変えている
一番の違いはドラグの性格。2000HGXと2500HGXは、細いラインを使った、ラインの滑り出し重視のため、「ラグフリーフェルトワッシャー」が採用されています。基準のドラグ滑り出し荷重を700gに置いて、180度緩めると200gダウン、180度締めると250g滑り出し荷重が上がるセッティングとなっています。対して、3000HGX、3500HGXのドラグは、ワッシャーに「タフアレイカーボンドラグワッシャー」が採用されています。これは、滑り出し荷重を700gに置いているのは一緒ですが、180度緩めると300gダウン、180度締めると350g滑り出し荷重が上がるセッティングです。よりバワフルなドラグ設定が可能となっています。最大ドラグ釣力は、2000HGX、2500HGXは7kg、3000HGX、3500HGXで9kgとなっています。
SPEAKYのボディ部、駆動部の剛性はどうか?
SPEAKYのボディ材質は、炭素繊維強化ナイロンが使われています。カーボンの添加率は分かりませんが、15%程度ではないかと思われます。シマノのCI4+で30〜40%程度、ダイワのZAIONで40%を超える添加率であると想像できます。カーボンの添加率が上がると成形性が極端に悪くなりますが、現状、リール用樹脂パーツとしては.ダイワのZAIONが一歩リードといった印象です。ドライブギアは3D超々ジュラルミンのマシンカット品を使用しています。超々ジュラルミンのマシンカット品なんて、他メーカーのミドルグレード以上でないと使われない素材です。また、メインシャフトにも超々ジュラルミンを使用しております。オシレーションの滑らかさとファイト時のスプールの安定性を確保します。そして、ボディと同じ材質のローターを使用して、徹底的に慣性モーメントを排除した軽量ローターがついています。
SPEAKY 3000HGXのスペック
SPEAKY 3000HGXは、ギア比は5.2、ハンドル1回転あたりの最大巻き長さ78cmという、超標準的なギアレシオとなっています。これは、ギア剛性を保ちながら、パワープレイもスピードプレイもどちらもこなせることを意味しています。フィールドを選ばず、どこでもガンガン使い倒す、傷がつこうがお構いなしで攻めたい場所を攻める、そんな「遠慮のいらない相棒」的な使い方が似合うと思います。ラインキャパはPE1号で480mもあります。オフショアも十分イケます。シャロスプールなんてものは存在しなかった昭和の時代、リールはみんなこんなにたくさんのラインキャパがありました。下糸を巻くことが面倒くさいアングラーのため、スプールの軸にパチンと嵌めて、ラインキャパを半分くらいに減らすことができる「エコノマイザー」なるアタッチメントを使ったものでした。そんな時代の質実剛健なスピニングリールが、令和の時代に、素材の進化を遂げて復刻した、そんなテイストを感じることができるリールです。
SPEAKY 3000HGXを何に使うか?
筆者はズバリ、沖磯でのロックフィッシュゲームに派手に使い倒してみたいと思っています。太めのラインを使い、ハタ、クエ、ヒラスズキなどを相手に、ハードなコンタクトを繰り広げられるパワーがあります。そして、沖にボイルが見えたら速攻でメタルジグをキャスト、そんなフレキシブルな釣りにマルチに使いたいと思います。2万円でお釣りが来る価格帯であれば、様々なシーンでこき使い、根に潜ったハタなどを強引に引きずり出すようなタフなファイトをガンガンやっても壊れないでしょう(ベイル周りが弱いというレビューをいくつか見かけたのでそこは注意です)。いずれにしても、フィールドテスターが何人もえげつないほどのダメ出しをしまくった挙げ句、出来上がった納得の逸品です。ゲームフィッシングタックルメーカーとして確固たる地位を築き上げつつあるテイルウオークの渾身の作品、手を出さずにはいられないのです!