アブガルシア オーシャンフィールド3000H/3000SHは、オフショアジギングに特化したパワフルなリールだ!
アブガルシアのスピニングリールには面白い商品があります。オフショアフィッシングに特化した「OCEANFIELD(オーシャンフィールド)」がそれです。発売当初は2500番、3000番、5000番の3サイズでしたが、現在は2000番が追加されて全4モデルとなっています。全モデルに替えスプール(シャロースプール)がついています。オフショア専用リールとは、一体どんなリールなのでしょうか? 今回は、OCEANFIELD 3000H/3000SHについて紹介して行きます。
オフショア専用リールとは?
アブガルシアのスピニングリールのラインアップの中で、オフショアフィッシングに特化していることを謳っている物がオーシャンフィールドです。オフショアフィッシング用のリールとショアフィッシング用のリールとは何が違うのでしょうか?公式ホームページの、OCEANFIELDのコピーには、「ジギング、タコ釣り、さまざまなビッグゲームの入門にオーシャンフィールド」とあります。この文言から言えることは、まずは「パワー重視」のセッティングになっているということです。この「パワー重視」を実現させるためには、まずは、ドライブトレインを収納するボディコアとケースの剛性が高くなければはじまりません。
剛性確保の最低条件であるX-クラフテックを採用
OCEANFIELDは、全グレードで、高強度アルミ鋳造合金製のワンピースボディ「X-グラフテック」を採用しています。これは、ジギングなどのパワフルフィッシングをするためには最低限なくてはならない機能です。すなわち、ハンドル回転によるパワーの入力を、その力を受けたドライブギア、ピニオンギアなどギアが力を保ったまま正しく伝達するよう、パワーロスすることなくローターに、あるいはメインシャフトに伝えるため、最もパワーロスにつながる「ハウジング・軸受のネジレ」を徹底的に排除しなければなりません。それを解消するための第一歩が、メインボディのワンピース化です。お金を掛けられる機種の場合は、その材質にまでこだわり、軽さと強さを両立するのでしょうが、この価格帯では軽さより剛性を重視せざるを得ないのは致し方ないところでしょう。
オフショア専用リールを謳うためのもう一つの特徴
オフショアでの釣りは、ポイントに到着するまでは船の上です。そしてその船は、客船ではないので、当然自分の部屋はありません。何が言いたいかというと、体も道具も屋外にむき出しであり、船は飛沫がバンバン飛び放題であるということです。耐塩水性が、ショア専用の汎用リールより求められるということです。この耐塩水性に対しては、ダイワではマグシールドがあり、シマノにはXプロテクトがあります。それぞれ、強力な水侵入防止効果をもつ、他社にはない、両社の看板テクノロジーです。アブガルシアは正直、ここが弱点です。上位機種には、ベアリングに「Salt Shield ベアリング」と呼ばれる、ベアリング全体に撥水コーティングが施された高級ベアリングが主要な部分には使われています。しかし、OCEANFIELDには残念ながら採用されていません。必要最低限の耐食性ベアリングである、HPCRベアリングが使われているのみです。ここは、コスト目標を達成するために涙を飲まざるを得なかったのでしょう。アングラーのメンテナンスの手腕に期待したと言うことですね。
OCEANFIELD 3000H/3000SHの基本スペック
アブガルシア OCEANFIELD 3000H/3000SHのスペックを見てみましょう。ギア比は5.8で、ハンドル1回転あたりの最大ライン巻き長さは82cmです。ハイギアのカテゴリーに辛うじて入るかと言ったところです。少しでもパワーを残しつつ、ジギングが出来るスピードを持たせたといった印象です。最大ドラグ釣力は5kgです。オフショアジギングのリールよりとしては少し心許ない数字かも知れませんが、カーボンマトリックスとフェルトのハイブリッドドラグワッシャーが、ドラグにかかる突然の張力変動などの挙動をしっかりと制御してくれるので問題ありません。ベアリング数は7個(ボールベアリング6個+ローラーベアリング1個)で、このクラスのリールとしては、多く使用されており、快適な回転性能を支えています。自重は288gと、このクラスとしてはやや重めですが、オフショアジギングができるパワフルな製品を低コストで作るためには必要な重量だったのかもしれません。
その他の機能
OCEANFIELD 3000H/3000SHのその他の機能としては、キャスト時のライン放出の際、ループが広がりすぎるのを抑えるスプールフランジ形状を持つ、「ロケットスプールリップ」、スプールの上下運動のスピードを遅くした「スローオシレーション」により、スプールにラインを密に巻き付けることができ、巻癖などのライントラブルを軽減、ラウンド形状のEVA製ビッグノブがついていて、ジギングのバワフルなリーリングをサポートしてくれます。そして何より、替えスプールが付属しているのが嬉しいです。標準スプールは、PE2号、フロロカーボン3号(12lb)で150m、替えスプールは、PE1.2号、フロロカーボン2号で150m巻けます。このスプールを使い分けることで、ほぼ全てのソルトウォーターでの釣りが可能となるでしょう。
OCEANFIELD 3000H/3000SHは何に向いているか?
OCEANFIELD 3000H/3000SHは、ボディ材質、ギア材質など、剛性に関わる部分は最低限、ジギングなどのタフなシーンでも活躍できるパワーを持っています。ギア材質に、軽量で強度の高い超々ジュラルミンの冷間鍛造品などが使えれば良かったのかもしれませんが、コストの制約上採用できない分、絶妙なギア比の選択でパワーをカバーしていると言えます。5000番になると、ギア比は4.8となり、さらにパワー重視の設定になっていますが、このギア比の選定あたりは、低コストで商品を作り上げる必要があった、アブガルシアの熟慮の跡が伺えます。OCEANFIELD 3000Hでは、オフショアジギングなど、よりパワフルでエキサイティングな釣りに、替えスプールを付けた3000SHでは、ショアからのライトジギングなどに向いています。スプール2つで、青物、シーバス、フラットフィッシュ、ロックフィッシュなど、あらゆるターゲットをカバーできます。OCEANFIELDの最大の魅力は、もしかしたらこの「替えスプール(シャロースプール)付属」かもしれません。
大物デビューに是非おすすめしたい逸品!
アブガルシア OCEANFIELD は、これまで別の釣りをやっていたアングラーが、ジギングで大物狙いにチャレンジするためのタックルとして最適な製品だと思います。実質8,000円程度で手に入るスピニングリールの中で、出色のパワーを持っています。そんな中でも、3000H/3000SHは、万能リールとして、様々なフィールで活躍できるでしょう。そして、替えスプールがついていることの価値を思い切り満喫して下さい。オフショアフィッシングのエントリーリールとして、派手に使い倒せるOCEANFIELD 3000H/3000SHは、正しくメンテナンスさえしていれば長く使える相棒となるでしょう。