オフショアジギング、キャスティング用スピニングリールのサイズ、ギア比はこう選ぼう!
作成:2021.05.31更新:2021.08.20
目次
オフショアスピニングリールを選ぶ目安
オフショアゲームで使用するスピニングリールのサイズやギア比など様々な種類があります。始める時には種類が多すぎてわからない、なんてことはよくありますよね。ここではリールのサイズやギア比などを選ぶ時に目安となる基準をいくつかご紹介します。当然地域によって差はありますので、あくまで一般的な選び方として捉えていただければと思います。
よく行く海域の水深
いわゆる近海ジギングといわれる釣りでは、深くても水深120m辺りまでで釣りをすることが多いです。水深が深くなればなるほどメインラインにかかる水圧は増えるので、アングラーへの負担は増していきます。近海ジギングでは青物を狙うことが多く、ヒットする確率も高くなります。そうなると10キロ以上の魚がヒットすることを想定すると、ドラグ値は4~5キロに設定したいところです。ドラグ値はメインラインの強度の1/4~1/3辺りがラインブレイクもしにくく最適な強さなので、自ずとメインラインの太さを決められるのです。
メインラインを最低300m巻けるラインキャパシティ
近海ジギングで最もオールマイティに使用できるのがPE2.5~3号あたりでしょう。この辺りの太さをメインラインにしていればドラグを4キロ前後に設定できるので、中型青物程度でもそれほどドラグを引き出されずにファイトできるからです。またラインの量については、ショアからの釣りであれば150~200mもあれば十分です。しかしオフショアでの釣りの場合には最低でも300mはラインを巻いておきたいところです。
例えば水深100m前後のポイントで釣りをしている時に、エアノットなどのライントラブルが発生してしまった場合には、200mしかラインがなければそこで釣りを終了しなければならない状態に陥ってしまいます。またマグロがヒットする可能性のあるポイントでは、マグロが掛かった場合を想定しなければなりません。マグロのファーストランは100mとも言われているので、一気にラインを引き出されても十分に戦えるラインの量が必要なのです。そういった理由から、オフショアでのラインは300m巻くのがスタンダードと言われています。
ジギングではハイギアが一般的ですが、ドテラ流しの場合はパワーギアがおすすめ
近海オフショアジギングでは、ある程度スピーディーに誘うことが多くなります。ワンピッチジャークをメインに、時折ストップやフォールを交えて釣ることになりますし、ポイント移動の際には一気にジグを回収しなければなりません。そうなるとハイギアの方が圧倒的にアングラーへの負担が少なく、身体に無理をさせずに1日釣りを楽しめるでしょう。
しかし潮流が速いエリアや風が強い時に船をドテラ流し(スパンカーと言われる「帆」を立てて、風の力で船を少しずつ流しながら釣るスタイル)で流す場合、ラインの払い出される量が多くなりその分メインラインにかかる水圧も増えます。そうなるとハイギアのリールでは巻きが重くなってしまい、少し釣りをしただけで腕がパンパンになってしまいます。なのでそのようなスタイルの釣り船をよく利用する時はパワーギアのモデルを使用した方が良いでしょう。
キャスティングゲームではPE4号以上が必須
カツオやシイラといった比較的ライトなキャスティングゲームではPE2号程度を使用しますが、ヒラマサやブリの場合は4~6号、マグロの場合は8号以上と太めのラインを使用することになります。そうなると必然的にリールのサイズは大きくなり、ヒラマサキャスティングでは14000~18000番、マグロキャスティングでは18000~20000番といった大型番手を使用するようになります。ギア比は魚との距離を一気に詰めることのできるハイギア、もしくはエクストラハイギアがよいでしょう。
狙うターゲットと釣り方でリールサイズが決まる
青物ジギングで狙うターゲットとして、最も多いのがブリ、ヒラマサでしょう。ブリやヒラマサであれば上記の通りPE2.5~3号が300m巻けるのが基準となりますが、10キロオーバーのブリが頻繁に釣れる日本海の海域では、PE4号を推奨している釣り船もあります。
また最近流行りのトンボジギング(ビンチョウマグロを狙ったジギング)でもPE4号がメインとなるので、8000番が基準となります。あとはパワーギアのモデルを使用する場合には、大きな番手を選ぶとスプールが大きい方がハンドル1回転あたりの巻き取り長が増えるので、パワーと巻き取り長の長さを兼ね備えた14000番を選ぶのも一つの手です。
逆にハイギアモデルの場合にはスプール径が大きいと巻き取り長が多くなりすぎてしまうので、8000~10000番が良いでしょう。ヒラマサをキャスティングで狙う場合にはPE4~6号がメインとなり、マグロを狙う場合にはPE8号とジギングに比べてラインが太くなるので、必然的にリールのサイズも大きくなります。このようにギア比とリールのサイズはターゲットや海域、釣り方を複合的に考えて選ぶのが良いです。
スピニングリールのグレード
次に重要なのがリールのグレードです。オフショア用スピニングリールは汎用スピニングリールと比べても高価なものが多いです。安いモデルでも2万円程度しますし、最も高いハイエンドモデルでは10万円以上のものもあります。勿論個人の財布事情もありますが、できるだけグレードの高いものを選んだ方が良いのには理由があります。
オフショアの釣りはリールに最も負担がかかる
オフショアジギングでは水深100mから魚を引き揚げたりすることがよくあり、キャスティングゲームでは時には20キロにせまるヒラマサや30キロオーバーのマグロと対峙しなければいけません。そういう環境での釣りなので、当然もリールにかかる負担は非常に大きくなります。勿論安価なモデルでも釣り上げることは可能ですが、安価なリールだと負担に耐え切れずに壊れてしまうことが多々あります。その度にリールの修理にかかる費用や、新しく買いなおさなければならない場合を想定しなければいけません。長くこの釣りを楽しむのであれば、可能な限り上位機種を購入した方が後々後悔することが少なくなると思います。
高価なモデルは巻き上げパワーが高い
高価なモデルは当然使用されている素材も良いものが多く、巻き上げパワーに影響するドライブギアも非常に強固になっています。安価なモデルではファイト中にドライブギアが欠けてしまったりして、最悪の場合には魚をキャッチできないといったケースも起こりえるのです。それに巻き上げパワーが高いと、入れ食い状態になった場合にも疲れずにドンドン釣りを展開できます。高価なモデルであれば、魚のキャッチ率も上がりアングラーへの負担も少なくすみ、そして1度買えば長年にわたって愛用し続けられるのです。
できるだけボディーの剛性感の高いものを選ぶ
ボディーの剛性感が低いと、大きな魚がヒットした場合にパワー負けしてしまい、リールのハンドルを巻けないといった状況に陥ってしまいます。剛性感が高いモデルの条件としては、ボディーの素材が強固なものであるということ、魚の引っ張りに対してハンドルを巻いたときに撓まないボディー構造にあります。
例えばダイワの20ソルティガや21セルテートSWといった機種では、アルミ合金製のワンピースモノコック構造のボディーが使用されているので、撓みに非常に強く作られています。ボディーは撓まない=ハンドルを巻く時のパワーが逃げすにラインに伝わります。逆に剛性感の低いモデルでは、魚がヒットした後に、ボディーの撓みが原因でハンドルが巻けないといったシチュエーションに陥ってしまうこともあります。このことからも分かるように、オフショアゲームでは剛性感の高さは必須条件となります。
安いモデルはMAXドラグ値が低いものが多い
オフショアのビッグゲームで大物を相手にする場合には、いかにラインブレイクせずにキャッチまで持ち込むかがキーとなります。そこで重要なのがドラグの性能です。MAXドラグ値が高ければ、それだけドラグ設定の幅が広がります。安価なモデルではMAXドラグが10キロ程度のものが多く、また細かな設定がやりづらいものが多いです。一生に一度釣れるかどうかという大物をキャッチできるか否か、そこにはタックルの性能が大きく影響することになります。
シーン別のおすすめのオフショア用スピニングリール
まずは近海ジギングを始めてみたい、ブリを狙いたい
これからオフショアジギングを始めたい、最初なので入門用のモデルから始めてみたい、という方にはエントリーモデルからスタートしましょう。オフショアジギングでよく狙うターゲットとしてはブリ類(イナダ、ワラサなど)がポピュラーです。近海のブリジギングではPE2.5~3号のライン、メタルジグは150~200gあたりが必要なスペックとなります。価格2万円からのエントリーモデルとしては、シマノではストラディックSW 6000HG、ストラディックSW 8000HG、ダイワではブラストLT6000D-Hあたりが良いでしょう。
水深20~40mのシャローエリアでジギングでヒラマサを狙いたい
ヒラマサの世界記録が釣れたことがあることで有名な千葉県の外房エリアでは、非常に浅い水深でジギングすることが多いことで有名です。シャローエリアでのジギングでヒラマサがヒットした場合、一気に根に潜られてしまうケースが多くなります。
そのヒラマサのファイトに負けない為にはパワーギアのモデルが最適です。ヒラマサが海のスプリンターと呼ばれるほど強烈なファイトが魅力の魚ですので、リールの巻き上げパワーのあるハイエンドモデルをおすすめしたいです。シマノでは19ステラSW 8000PGか21ツインパワーSW 8000PG、ダイワでは20ソルティガ 8000Pや21セルテートSW 8000Pがおすすめです。
キャスティングでヒラマサを狙いたい
オフショアのビッグゲームで最もファンが多いと言われるのがヒラマサのキャスティングゲームではないでしょうか。ヒットした直後に一気に根に向かって走るファイトが魅力的なヒラマサですが、大型の個体になるにつれてジギングでのキャッチ率がどうしても下がってしまいます。そんな大型のヒラマサは、水面というアングラー有利の状況からスタートできるキャスティングゲームで狙った方が、獲れる確率はグッと上がります。
大型ヒラマサとのガチンコファイトは、一度味わうと病みつきになります。使用するリールは中堅機種~ハイエンドモデルまでが道具を信頼して、不安もなく全力ファイトに集中できるでしょう。シマノでは19ステラSW 14000XGか21ツインパワーSW 14000XG、ダイワでは20ソルティガ 14000XH、20ソルティガ 14000XHが一般的です。九州の玄界灘や五島列島に潜む20kgを優に超えるモンスターを狙いたい場合は、迷わず前述した4機種の18000番台を選ぶとよいでしょう。
キャスティングでマグロを狙いたい
ルアーフィッシングの最高峰の1つとも言えるのが、マグロのキャスティングゲームでしょう。クロマグロなどは大きいものは100kgにせまるものもヒットする可能性もあります。当然そう簡単に釣れるものではありませんが、一生に一度対峙できるかどうかといった大物とのファイトにはPE8号以上は必須です。マグロのファーストランは100m以上とも言われるので、300mは必要最低限のライン量でしょう。そんなマグロキャスティングゲームはボディー、ギア、ドラグ、全てのリール性能の真価が問われる釣りです。そのような釣りはやはりハイエンドモデルを使用すべきではないでしょうか。シマノであればステラSW 30000、ダイワでは20ソルティガ 20000Hがマストです!
オフショアゲームでメモリアルフィッシュと出会おう
一部地域を除けば、ショアからの釣りよりも、オフショアの釣りの方が大物に出会える機会は圧倒的に多くなります。また釣れないポイントであれば、船長が判断してドンドンと新しいポイントに移動してくれます。そのポイントは、船長が長年培ってきた経験や知識、実績から導き出されたポイントです。たとえしばらくアタリがなくても、自分のルアーを信じて状況を推察し、様々なアクションやスピードなどを試行錯誤して魚への距離を縮めていくのがこの釣りの最大の楽しみであると思っています。そしてその先には、必ずメモリアルフィッシュに繋がる道が少しずつ開いていくことを信じています。