フカセ釣りに最適なリールは?汎用リールとレバーブレーキ式リールの違いについて解説!
作成:2022.03.28更新:2022.03.28
目次
主に地磯や沖磯でコマセを撒きながら、メジナやクロダイを狙うウキフカセ釣りは、非常に繊細な仕掛けを使います。理由は、メジナやクロダイといった、いわゆる「磯上物(いそうわもの)」と呼ばれる、ウキフカセ釣りの対象となる魚は比較的知能が高く、水中を自由に落ちてくるコマセに含まれる餌と、ハリスと針につけられた餌の沈み方の違いを見抜くと言われるため、「コマセと刺し餌の同調」が何よりも大切であると考えられているからです。
すなわち、仕掛けに取り付けられた餌が着水したあと、コマセに含まれる餌と同じスピードで沈み、同じ方向に流れて行くようにコントロールしなければなりません。そのため、ラインはなるべく細くして、余計な抵抗を受けないようにして、あたかもハリスも針もついていないかのように演出します。
そんな繊細な仕掛けを扱いながらも、いざヒットしたら、想像を絶する力強いファイトを繰り広げてくれます。華奢な仕掛けがブレイク寸前の状態まで追い詰められながら、ギリギリの攻防を行う最前線のツールがリールです。そんなフカセ釣りに相応しいリールに求められる機能について考えてみたいと思います。
フカセ釣りは他の釣りとはタックルが違う!
フカセ釣りは他の釣りと比較するとかなり特異な釣りかも知れません。まず、ラインを張りっぱなしにしている場面はほとんどありません。これが一番の違いでしょう。仕掛けを投入したら、ある程度ラインスラッグは回収しますが、仕掛けが馴染んだあとはテンションは掛けず、仕掛けが流れるがままにラインを出して行きます。
仕掛けを投入する際、払い潮と呼ばれる、足元から沖に向かって流れる潮の場合は、コマセも仕掛けも足元に投入し、ラインを引き出しながらどんどん沖に向かって流して行きます。逆に当て潮と呼ばれる、沖から足元に向かって流れる潮の場合は、仕掛けの投入位置を遠くしなければなりません。そのため、軽量のフカセ仕掛けを遠投出来なければなりません。
そして、フカセ釣りは、ターゲットのサイズに対して、メインラインやハリスが非常に細いものを使います。すべてがコマセと刺し餌の沈み方・流れ方を同調させるためです。細い仕掛けは、仕掛けの制御、コマセと刺し餌の同調には威力を発揮しますが、そのままでは、大型魚がかかった際にすぐにラインブレイクしてしまいます。
そのため、ラインが受ける直接的な力を、竿の柔らかな曲がりと、適正に釣力を調整された、リールのドラグ機構で受け止め、魚の引きのパワーをいなし、一進一退のやり取りをしながら、魚との距離を徐々に縮めて行きます。この、ロッドとリールによるショックアブソーバーの機能が正しく発揮できなければ、一発でラインブレイクとなるでしょう。このように、細いロッド、細いライン、細いハリスを使ったギリギリの攻防の末、大物をキャッチするのがフカセ釣りの最大の醍醐味です。
レバーブレーキ式リールの利点とは?
シマノ「15 BB-X テクニウム 2500DXGS LEFT」
フカセ釣り特有のスピニングリールである、レバーブレーキ式リール(一部のシーバス用リールにもレバーブレーキ式があります)は、汎用リールではリール本体の下部、ローター裏の回転部のにある、ローター逆転ON/OFFスイッチの代わりに、リールフット部から伸びるブレーキレバーにより、ローターの逆転のON/OFF切り替え、ローターを逆転させてラインを出す/ローター逆転を瞬時に止める動作をするスピニングリールです。この機能は、ドラグとは全く目的が違う機能です。ドラグは、魚の強烈な引きによりラインに破断限界に近い力がかかった時に、スプールが回転してゆっくりラインを放出し、ラインにかかる力を軽減する機構です。対してレバーブレーキは、魚とのファイトの過程において、竿を伸されてしまったとき(すなわち、水面に対して竿の角度がなくなり、竿の曲がりによるショック吸収が出来なくなった状態)に、握っているレバーを一瞬開放し、ローターを逆転させてラインを出し、その間に素早くロッドを立てて角度を確保し、体勢を立て直すための機構です。体勢が整ったら、すぐにレバーを握り、ローターの逆転を速やかに止め、無駄にラインが出ないようにして再び巻き攻勢に入ります。
この機構は、竿を伸されることのない非力な魚がかかった時は特に必要のないものですが、35cmを超えるメジナ、40cmを超えるクロダイがかかった時は必要な機構です。このサイズを超えてくると、簡単にはランディングまで持って行くことが出来ず、一進一退の攻防を数分間繰り広げることになります。特に、ファイトの中盤、いい感じの場所まで浮いて来たなと思った頃合いに、殆どの個体がもう一度グーッ! と抵抗を試みます。その際、メジナはゴンゴンと下に潜ろうとし、クロダイは横に走ろうとする傾向が強いです。いずれも、根に潜られてしまうと、メインラインが根ズレを起こし、ラインブレイクとなってしまうので、根に潜られる前にレバーを強く引き、ローターが逆転しないようガッチリとラインの放出を止める必要があります。
こうした、レバーを握る→巻く→竿を伸される→レバーを離す→ラインを出し体勢を立て直す→レバーを握る→巻く・・・という一連のやり取りが、ブレーキレバーのみででき、魚を掛けたあとの戦闘力が汎用スピニングリールよりもはるかに高いのがレバーブレーキ式スピニングリールなのです。
ただし、先にも書きましたが、ある程度のサイズ以上の魚でないと、レバーブレーキ式リールは宝の持ち腐れと言えるでしょう。しかし、沖磯に乗る場合や、オナガ(クロメジナ)を狙う場合は、レバーブレーキ式スピニングリールで臨むべきでしょう。
汎用スピニングリールを選ぶ場合のポイント
とはいえ、レバーブレーキ式スピニングリールは非常に高価です。一番安価なモデルでも2万円以上します。標準的なモデルで4万円〜5万円くらい、ハイエンドクラスなら10万円くらい覚悟しなければなりません。フカセ師ならば是非とも欲しいアイテムではありますが、地磯で五目釣り的にフカセ釣りを行う程度であれば、2500番前後の汎用スピニングリールでも十分問題なく対応できます。
ロングキャストに対応したスプールが搭載されているものを選ぶ
フカセ釣りに汎用スピニングリールを使用する場合のポイントは、まずはキャスト性能を考慮しましょう。ショアジギングやサーフキャストのように、重量のあるタックルをフルキャストするわけではないので、ロングストロークスプールなどは特に必要はありませんが、細く、軽い仕掛けを近いポイントでも10m、遠いポイントなら30m程度キャストしますので、ダイワでいう「LC-ABS」スプール、シマノでいう「AR-C」スプールを搭載した、ラインの放出性が良く、ライントラブルが少ないものを選びます。
ドラグ性能の良いものを選ぶ
フカセ釣りで汎用スピニングリールを使う際の、魚を掛けたあとの攻防の生命線となるのがドラグです。シマノのハイスピードドラグやダイワのクイックドラグのように、ドラグノブ1回転でドラグ釣力をフリーからMAXまで調整できるモデルではなく、幅広い微調整が可能な、通常のドラグシステムを搭載したものを選びます。ドラグノブをわずかに動かしただけでもドラグ力の差が感じられる高性能のドラグが良いです。また、カーボンクロス製のドラグワッシャーが使われているものは耐久性の点で優れています。
また、可能であれば、ラインローラーにはベアリングが入ったモデルが良いです。ベアリングがないモデルは、ラインローラー部のカラー(樹脂リング)を外して、ベアリングを入れるチューニングができるモデルもあります(改造は自己責任で!)。
ローター逆転のON/OFFスイッチがついているものを選ぶ
最近は、ローター逆転のON/OFFスイッチが廃止されているモデルが増えています。主な理由は防水性の確保とコストダウンですが、フカセ釣りに限って言えば、ローター逆転のON/OFFがあったほうが良いかも知れません。万が一大物が掛かり、竿が伸されるシーンに直面した場合、ベイルを起こしてラインを放出するのは危険です。スイッチを操作し、一瞬ローターを逆転させ、素早くラインを放出し、体勢を立て直す必要があります。
この場合、ハンドルはしっかり握った状態で逆転ON/OFFスイッチを操作し、ラインを出したら速やかにしっかりハンドルを握ってローターを止めてから、逆転スイッチをOFFにします。ハンドルが勢いよく逆転している状態でスイッチを操作すると、スイッチ及びローラークラッチが破損する恐れがあります。
フカセ釣りにおすすめのスピニングリールリールを紹介!
amazon.co.jp「19 ヴァンキッシュ C2500SXG」
これまで、フカセ釣りに適するリールについて説明してきましたが、ここからは、フカセ釣りにおすすめのスピニングリールについて、レバーブレーキ式リール、汎用リールよりチョイスし、あまり高価でなく、必要にして十分のミドルクラス以下のモデルを紹介いたします。
レバーブレーキ式スピニングリール
まずは、予算が許すならば是非ともひとつ仕立てて欲しい、レバーブレーキ式スピニングリールを紹介します。
シマノ 17 BBハイパーフォース C3000DX XG S
シマノ「20 BB-X ハイパーフォース C2000D XXG」
17BBハイパーフォースは、シマノ独自のレバーブレーキ機構である、「SUTブレーキ」が搭載されたモデルです。SUTブレーキは、「Smooth UnTurned handle blake」のことで、ローター逆転時に、ハンドルが回らず、ラインだけ出て行く機構です。これにより、ローター逆転時にハンドルが勢いよく回ることによる手元のブレが解消され、体勢の立て直しが容易に可能となります。4万5千円くらいで入手可能なミドルエンド機になります。
SUTブレーキ搭載モデルはハンドルの左右付け換えができませんので、購入時は右ハンドル機、左ハンドル機を間違わないよう気をつけましょう。尚、BBハイパーフォースには、SUTブレーキを搭載しないノーマルブレーキモデルもあります。こちらはHandleの左右付け換えが可能です。
シマノ 16 BB-X ラリッサ C3000DXG
amazon.co.jp「16 BB-X ラリッサ 2500DXG」
シマノのフカセ釣り用レバーブレーキ式スピニングリールの入門機としての位置づけのBB-X ラリッサは、汎用スピニングリールの使い勝手の良さそのまま、レバーブレーキシステムを搭載したような、レバーブレーキデビューするアングラーには非常に求めやすい、2万円前後のエントリーモデルです。
HAGANEギア、HAGANEボディ、X-SHIPといった強度十分のギア、ボディ機構に加え、AR-Cスプール、ワンピースベールなど、細いラインをキャストする際にもトラブルの少ない、安定した仕掛けの飛びを実現します。
ダイワ 19 ラグザス 3000H-LBD
ダイワ「19 ラグザス 2500 LBD」
ダイワのレバーブレーキ式スピニングリールの中ではエントリークラスに分類されるモデルですが、上位モデルにしか使われてこなかった、「BITURBO(バイターボ)ブレーキ」を採用したモデルです。
BITURBOブレーキとは、簡単に説明すると、制動力が向上したブレーキシステムで、従来のレバーブレーキシステムよりも摩擦係数が2倍のチタンディスクを採用することで、ローターの逆転を完全に止めるための力が半分で済むという先進のブレーキシステムです。これにより、長時間使用しても疲労が少なく、レバーを握っているのにラインが徐々に出てしまうということがなくなります。
実質、3万5千円前後で手に入るレバーブレーキ式スピニングリールとして、驚きのハイパフォーマンスを発揮してくれるモデルと言って良いでしょう。
ダイワ 19 シグナス 3000H-LBD
ダイワ「19 シグナス 2500 LBD」
2万円前後で手に入る、ダイワのレバーブレーキ式スピニングリールの中で最安価モデルながら、BITURBOブレーキを搭載し、その他の機構も上位モデルとほぼ同じ、驚きのコスパを誇る、レバーブレーキ式スピニングリールです。
上位機種との違いは、ボディ材質、ローター材質、ブレーキレバー材質等だけで、やや自重が重い(それでも3000H-LBDで285gです)モデルです。初めてのレバーブレーキ式リールとして強くおすすめできるモデルと言えます。
汎用スピニングリール
最後に、そこまで予算がかけられないというアングラーにおすすめの、高性能の汎用スピニングリールを紹介します。
シマノ 21アルテグラ C3000HG
シマノ「21 アルテグラ 2500」
2021年に、業界が騒然とした驚きのフルモデルチェンジを遂げたアルテグラシリーズは、これまで上位機種にしか採用されていなかった、静謐で滑らかな回転をもたらすマイクロモジュールギアⅡやサイレントドライブ、さらにシマノ最強の防水システムであるX-プロテクトを惜しげもなく搭載したモデルです。1万5千円前後で手に入るスピニングリールとしては、驚きの高性能リールといえるでしょう。フカセ釣りに限らず、あらゆる釣りに使えるバーサタイルなモデルとしておすすめです。
シマノ 21ナスキー C3000HG
シマノ「 21 ナスキー C3000SH」
アルテグラ同様、2021年のビッグモデルチェンジにより、前モデルから大幅な変貌を遂げたモデルが21ナスキーシリーズです。こちらもサイレントドライブを搭載し、ハンドルもねじ込み式に変更され、巻きの滑らかさ、ハンドルのガタが大幅に改善されています。1万円を切る価格で手に入りますので、小物五目フカセ釣りを行う場合などに手軽に使えるリールとしておすすめです。
ダイワ 19 レグザ LT3000S-CXH
amazon.co.jp「19 レグザ LT3000D-CXH」
アルミ合金製ボディにタフデジギアを搭載したレグザシリーズは、ダイワのミドルクラスのスピニングリールの中でも剛性が高いモデルです。ボディとローターの間の隙間にはマグシールド防水も施され、一切の摩擦による抵抗がない非接触防水が実現しています。1万5千円以下で手に入る剛性の高いリールです。
ダイワ 21フリームス LT3000-CXH
ダイワ「21 フリームス LT2500-XH」
2021年にダイワが新たに開発したカーボン繊維強化樹脂材料である「ZAION V(ザイオン バーサタイル)」を採用した軽量スピニングリールです。バインダーとなる樹脂に混ぜるカーボン繊維の長さと量を最適化し、ZAION相当の強度を確保しつつコストを抑えた新素材で、今後下位機種への採用が期待される素材です。こちらも1万5〜6千円で手に入ります。
フカセ釣りにのめり込むならレバーブレーキ式リールを!
レバーブレーキ式リールは安いものではありませんが、フカセ釣りに、腰を据えてじっくり取り組みたいというのであれば、レバーブレーキ式リールを購入することをおすすめします。汎用スピニングリールと比べると、大物が掛かったときのやり取りに明らかな差が出ます。レバーブレーキ式リールの使用には慣れが必要ですが、1回の釣行でマスターできるはずです。レバーブレーキ式リールの世界にハマると、フカセ釣りがライフワークになってしまうかも知れませんよ!