冬のフカセ釣りは忍耐力と調整力が試される。激シブの状況を打開するために知恵を振り絞ろう!

作成:2024.01.14更新:2024.01.14

江ノ島表磯で釣れた30cmの口太メジナ

冬のフカセ釣りは水温が低く、ターゲットの活性も低いため、非常に厳しいと言わざるを得ませんが、エサ盗りが少なく、大物が釣れる可能性があります。しかし、いかんせん魚の活性が低いので、ただひたすらコマセを打って仕掛けを流しているだけではなかなか本命に口を使ってもらうことはできません。

活性が低い魚にどうしたら口を使ってもらえるか知恵を絞り、状況を見極め、仕掛けをアジャストして行かなければなりません。今回はそんな厳しい冬のフカセ釣りに関して、渋い状況を打開するためのテクニックについて考えていきたいと思います。

冬の海は多くの魚にとって過酷な環境である

冬の海は危険がいっぱい。絶対に体を濡らさないことが大事

いうまでもなく、魚は「変温動物」です。周囲の温度(水温)の変化に伴って体温が変化します。北方性の魚を除き、ほとんどの魚は18℃~25℃程度が適水温とされています。冬のフカセ釣りのメインターゲットである寒チヌ、寒グレについては、ある程度順応性がありますが、それでも水温が10℃を切ると極端に活性が下がります。

積極的にエサを求めて泳ぎ回ることはせず、体力を温存するため、ひとところに隠れてじっとしている時間が長くなります。それでも、全くエサを取らなければ死んでしまうため、摂餌を全くしないということはあり得ません。冬のフカセ釣りは、そういう活性が大変低い中で魚が生命維持のために最低限の摂餌をする一瞬を仕留めなければならないという難しさがあります。
それを成し遂げるために、魚の居場所を突き止め、魚の鼻先に餌を運んでやらなければなりません。

厳寒期のフカセ釣り、ターゲットはどこにいる?

磯からコマセを投げているシーン。海は穏やかで天気の良い朝マズメ

水温が低い厳冬期、変温動物である魚は、回遊魚を除き、無駄に体力を消耗しないように、積極的に泳ぎ回ってエサを探すという行動をあまりとりません。そのため、コマセを大量に撒いてターゲットをおびき寄せるという方法が通用しにくい状況であることが多く、アングラーは様々な工夫を凝らし、トライアンドエラーを繰り返しながらターゲットに口を使わせなければなりません。
そもそも活性が下がっているのですから、大量にコマセを撒くことにあまり意味がありません。撒いたコマセがたまたまターゲットの鼻先に流れ、それを捕食することで満足されてしまっては元も子もありません。魚がいるであろう場所を見定め、コマセと刺し餌が確実にそこに届くよう、効率よく打つ必要があるのです。
また、餌盗りがほとんどいない厳冬期は、夏場のように、餌盗り用のコマセを足元に打ち、本命用のコマセを遠投して、餌盗りと本命を分断する必要がありません。そのため、基本、真冬のコマセは足元に打ち、コマセが流れて行く先に食わせを同期させることに注力すれば問題ありません。

勝負は日中か!?

厳冬期のフカセ釣りは、朝マヅメ時に好機は少ない?

厳冬期のフカセ釣りは、朝間詰め狙いはひょっとするとあまり重要ではないかもしれません。もちろん、釣りのセオリーとしては、朝間詰め、夕間詰め狙いはテッパンではありますが、厳冬期は未明から現場に入って、日の出を攻略するには寒すぎます。水温が低く、ただでさえ魚の活性が低い状態であるのに、一日で最も気温が低い朝間詰め時に好機が訪れたことは経験上あまり記憶にありません

場所取りのために未明から現場に入りますが、フカセ師は日が昇るまで釣りはしない人がほとんどです。

ただし、厳冬期でも自分は場所取りのために、未明から現場には入ります。しかし、自分の釣り座が確保出来たら、日が昇るまでは仕掛けづくりやコマセづくりなどは何にもせず、温かい飲み物を飲みながら、空が明るくなるのをボケーッと待ち、明るくなってからコマセを仕込み、仕掛けを作り始めます。

まずは日が昇ってから、ターゲットが潜んでいそうなポイントを何か所か見定め、それらをひとつひとつ丁寧に攻略して行きましょう。そのうち、水温がわずかに上昇気配になってくれば、僅かながらターゲットの活性も上がってくることでしょう。もちろん場所や潮回りにもよりますが、例えば日の出時刻の前後に満潮或いは干潮が重なる時は、勝負は朝9時~正午頃までに少ないチャンスが訪れるということが多いような気がします(あくまで”そういう気がする”ということです)。

潮の流れを厳しく読む

複雑な潮の流れで仕掛けの制御が困難なケース

ターゲットがいそうなポイントの目星がついたら、白色など視認性の良い明るいカラーのコマセを少量撒いてみて、コマセがどの方向へ流れて行くか良く見極めます。コマセが流れて行く先に藻場やシモリ根などの、魚が身を隠すことができるような場所があれば、その周辺に仕掛けを落としてみましょう。沖だけでなく、足元も丁寧に探りましょう。隠れているターゲットの鼻先に刺し餌を流すことができれば、反応は弱いながらも本能的に食ってくれるでしょう(高活性時の大きなアタリはほとんど期待できません)。

深場を丹念に探れ!

水温が低い冬季は少しでも水深のある場所で、シモリ根や藻場がある場所を狙う。

低水温期のフカセ釣りは、水深があり、潮の流れが比較的緩やかなポイントを丹念に探るのがセオリーです。周囲より水深があるポイントには、魚が身を隠している場合が多いのですが、夏場などの高活性時は上層部を漂う餌を見つけたら果敢に浮き上がって来て餌を強引に捕食するのに対し、低活性時は餌が自分がいるレンジまで落ちてくるのをじっと待っています。先にも述べた通り、動きの少ない低活性の魚の鼻先に餌を送り届け、食い気の小さなバイトを確実にとらえてフッキングさせなければならないので、全神経を集中させて深場を丹念に攻略する必要があります。ここが、厳冬期のフカセ釣りの最も難しく、逆にバッチリハマったときの達成感が高活性時とは比べ物にならないほど大きい理由です。

仕掛け・餌を工夫せよ!

狙うべく場所を定め、水深があり、シモリ根や藻場があり、活性の低いターゲットが身を潜めている場所を攻略しているはずなのに、それっぽい雰囲気はあるのに、全く反応がなく、エサがまるまる残って帰ってくるということも非常に多いのが冬のフカセ釣りです。そんな時は、仕掛けが悪いのか、コマセが悪いのか、餌が悪いのかなど、考えられることをひたすらチューニングしながら粘り強く攻略すると、膠着状態を打破することができるかもしれません。
ここでは、そうした激シブの状況を打開するために実施すべきことについて紹介して行きます。

コマセの量は少なめに、レシピにひと工夫

冬の激渋な状況下では、コマセの撒き過ぎは逆効果。コマセ柄杓はカップサイズを落とすのがベター。

夏場とは違い、厳冬期は餌盗りの数が少ないため、コマセの絶対量は少なめで良いでしょう。ターゲットの魚の活性も低いため、撒かれたコマセを少々ついばんだ程度で、本命魚が満足してしまう可能性があります。他のシーズンでは、ターゲットを足止めさせるため、コマセは絶え間なく撒くことが推奨されますが、冬季はそもそも魚が餌を求めて広範囲を泳ぎ回るようなことは少ないので、可能なら、コマセ柄杓のカップサイズは夏場より小さいものを使うと良いでしょう。数分に一度、小さなコマセカップ(10~15cc程度のカップ)で1杯撒けば十分でしょう。写真上のコマセカップは容量14cc、下のコマセカップは40ccです。

冬のフカセ釣り、コマセにアオサノリを混ぜると効果覿面。干潮時に顔を出すアオサノリは是非予め摘んでおこう

コマセのレシピにもひと工夫が必要です。冬のフカセ釣りのターゲットである寒グレは、低水温期には食性が変わり、オキアミなどの甲殻類をあまり食べなくなります。全く食べなくなるということはありませんが、真冬はアオサノリやハバノリなど、薄くて柔らかい海苔類を好んで食べる傾向があります。そのため、コマセには現地で採取できるアオサノリを混ぜ、食わせ餌も折りたたんだアオサノリを針に刺して流すと、積極的に食ってくることがあります。ブダイやタカノハダイなども、低水温時のノリ餌は効きます。クロダイも雑食性なので当然食ってきます。
干潮時など、岩肌が露出している場所にはたくさんのアオサノリがついているはずです。10分も真面目に採取すればかなりの量を採ることができます。コマセに混ぜるものは細かく砕いてからコマセとよく混ぜ、刺し餌にするものは一枚のノリを折りたたんだりクルクル巻いたりして小さくまとめ、針に刺します。厳冬期はノリ入りコマセを使うと、俄かに活性が上がるという経験は私も何度もしています。

寒グレ狙いに効果覿面、アオサノリを大量に配合した、ヒロキュー「海苔の力」ヒロキュー

寒グレ用の配合コマセで、「ヒロキュー・海苔の力」という、海苔の粉末を配合した商品もありますので、それを使うのも手です。少し割高ではありますがアオサノリを採取する手間がかからず、低活性のグレやブダイなどによく効くため、オススメです。

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ハリス・針はひとまわりサイズダウンする

ハリスは釣りのタックルにおいて、最もこだわるべきアイテムのひとつです。

コマセと刺し餌の同調は他のシーズンより気を使う必要があります。水中での挙動をできる限りナチュラルに見せなければなりません。そのため、ハリスは他のシーズンより細いものを使用します。フロロカーボン1.2号若しくは1.5号までで行きましょう。場合によってはハリスの長さも長く取ります。通常2ヒロ(約3m)程度ハリスを取っていれば、3ヒロにしてみたり、或いはウキの上まで長く取ってみたり(すなわち、水中に入っている部分をすべてハリスにする)、試行錯誤しながら餌が自然に流れながらゆっくり沈んで行くように演出してみましょう。
ハリスをそこまで長く取ると、仕掛けの取り回しは難しくなりますので、ラインメンディングはこまめに行う必要があります。
低水温下では、魚は餌を一気に食い込むようなことはしません。口を最小限しか開かず、餌を軽く咥え、違和感を感じなければ少しずつ食べるというような捕食法になりますので、針も餌も小さめにして、ターゲットに飲み込ませてしまうつもりで攻略しましょう。オキアミを食わせで使用する場合は、頭を落として針に丸く小さくつけたり、殻を剥いて中身だけを針に刺すなど、ターゲットが食い込みやすいように工夫してやると良いでしょう。

チャンスタイムは逃すな!

地磯フカセ釣りでのメジナの釣果

厳冬期のフカセ釣りは、チャンスは多くはありません。それでも、終日全くノーチャンスかと言えば、決してそんなことはありません。しかし、ただひたすら粘るだけでは、チャンスはやって来ないでしょうし、仮にチャンスが来たとしてもそれをモノにすることは難しいでしょう。
少ないチャンスをモノにするためには、常に状況を観察し、現状を少しずつ変え続け、ぴったりハマる条件を探り当てなければなりません。

水温はこまめにチェックする

冬季の地磯フカセ釣りには水温計は必携。こまめに水温を測り、上昇局面では積極的に仕掛けて行こう。

水温はこまめにチェックしましょう。早朝から釣りを始める場合、天気が良く、風がない日であれば、時間の経過とともに水温はわずかながら上昇します。仮に0.5度でも水温が上がれば、それだけで低活性のターゲットが活動を開始するということは良くあることです。この機を逃してはいけません。
少なくとも1時間に1回は水温を測りましょう。写真のような、釣り用の赤外線式の非接触水温計は、お世辞にも精度が高いとは言えないので、水温が何度から何度になったということにはあまりシビアになる必要はありません。「前回測定時より上がったか、上がってないか」を確認しましょう。
水温が上がり始めるタイミングと、潮位や潮流の変化が重なれば現状を打破することができるかも知れません。

タナ調整も頻繁に行う

堤防からウキフカセ釣りをしている時のウキの写真

フカセ釣りにおいて大変重要な事は、「コマセと刺し餌の同期」と、「正しいタナを攻略すること」に尽きます。寒グレをターゲットにしている場合は終日ボトム狙いでも問題はありませんが、寒グレをメインターゲットにしている場合はタナの調整は頻繁に行いましょう。
タナが深すぎる場合は、アタリがウキにうまく伝わらず、浮きに変化がないのに餌だけ盗られていたり、釣れたとしても毎回針を飲まれてしまいます。逆にタナが浅すぎる場合はサイズが小さいものばかりだったり、ボラが掛かってしまったりします。
タナの調整は、長くても50cm程度のレンジでこまめに調整します。深いところから徐々に浅くして行くのが定番ですが、数投流してみて、反応が得られなければ次々とタナを上げ下げして、ヒットポイントを根気よく探り続れば、少ないチャンスを確実にモノすることが出来るでしょう。

渋い状況を打開して上げた一枚は格別!

江ノ島表磯で釣ったクロダイ

いかがでしたでしょうか? 厳冬期のフカセ釣りは、やはり困難を極める茨の道となることが多いのですが、ライバルや餌盗りの数が少ないため、腰を据えてじっくりと大物に挑むことが出来ます。
常に状況を捉え、自らが積み上げて来た知識と経験を総動員し、一投一投違う手を打つことが出来る人、すなわち、引き出しの多い人が最終的に少ないチャンスを確実にモノに出来る確率が高い人ということになるでしょう。
そこまで知識や経験がない人はノーチャンスかと言えば、決してそんなことはありません。経験がなければ手数で対抗すればよいのです。大切なことは、「絶対に釣り上げる」という強い意志と、「常に現状を否定し、次々と手を変え品を変える行動力」に尽きます。
ああでもない、こうでもないと、常に仕掛けをいじりながら、数をたくさん打つ人が強いのだと思いますよ。

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初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)


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