シマノ「ヴァンフォード」は2020年の業界最大級の話題、期待の大型新人だ!
作成:2020.09.09更新:2021.08.20
VANFORD(ヴァンフォード)|SHIMANO公式
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2020年の釣り業界にとって最大の話題は、間違いなくシマノ・ヴァンフォードのデビューではないでしょうか?シマノが軽さと感度の高さを武器に、続々と市場に新機種を投入しているマグナムライトシリーズ(旧・クイックレスポンスシリーズ)から、超ハイコスパモデル「ヴァンフォード」がフルラインアップでデビューを果たしました。メーカー希望小売価格30,000〜34,000円のレンジながら、上位機種に採用されている最新テクノロジーのほとんどを網羅し、上位機種を脅かすパフォーマンスを発揮すること間違いなしの大型新人です。今回はその中から、スピード自慢のバーサタイル機、C3000XGを紹介します。
ヴァンフォードの概要
ヴァンフォードは、ストラディックCI4+の後継機種の位置付けです。2016年にデビューしたストラディックCI4+は、シマノが開発した高用量カーボン強化樹脂CI4+をメイン素材に使用し、クイックレスポンスシリーズの申し子として、巻き出しの軽さと反応の速さ、感度を極めた大ヒットモデルとなりましたが、ヴァンフォードは、ストラディックCI4+を更にブラッシュアップし、クイックレスポンスシリーズの最高峰機種であるヴァンキッシュに迫る機能を身に着けつつ、大幅なコストダウンを図ったモデルとなります。2000SからC5000XGまで、全14モデルをラインアップしています。ヴァンフォードは、クイックレスポンスシリーズに変わる新しいカテゴリー、マグナムライトシリーズの一翼を担う機種として、ツインパワーXD、サステイン、コンプレックスCI4+と共に、新たなグループを形成しています。
ヴァンフォードC3000XGの基本スペック
ヴァンフォードC3000XGの基本スペックを見ていきましょう。ギア比6.4、ハンドル1回あたりの最大巻き上げ長さは94cmのエキストラハイギア仕様です。このギア比、実は後述するマイクロモジュールⅡやマグナムライトローター、180gという自重などの融合で、スペック値以上のスピードが出るようになっています。簡単に言えば、軽さとメカの滑らかさにより、アングラーのハンドル回転のパワー入力が軽やかで、結果、クラス最速の巻きスピードを叩き出します。「SUPER FAST」機の真骨頂です。最大ドラグ釣力は9kg、ラインキャパはナイロン3号で150m、PE1号で400mあり、ショア、オフショア問わずあらゆるシーンで使える万能性が特徴です。
ヴァンフォードに採用されたシマノスピニングリールテクノロジー
VANFORD(ヴァンフォード)|DAIWA公式
ヴァンフォードには、シマノ製スピニングリールに投入されているテクノロジーが惜しげもなく使われています。中でも、軽く、なめらかな回転を生み出す機構には抜かりありません。まずは「マイクロモジュールギアⅡ」。各ギアの歯面設計の最適化、そしてギアをモジュール化する際に、シミュレーション通りになめらかでノイズのない回転を実現させるための組付精度の追い込みで、シルキーなギアフィールを達成した、ステラ、ヴァンキッシュ、ツインパワー、ストラディックに採用されている機構、さらに、ボディ全体の基本設計の見直し、駆動系部品の見直しで、パーツ間のガタ、揺れ、隙間を徹底的に排除し、ノイズレスでスムースな巻き心地を実現する、ステラ、ヴァンキッシュ、ツインパワー、ストラディックSWに採用されている「サイレントドライブ」が卓越です。その他にも、軽さとクイックなレスポンスを追求するための、CI4+(高用量カーボン強化樹脂)を使ったマグナムライトローターとボディ、シマノの撥水加工とトラップを組み合わせて水の侵入を完全に防ぐ、非接触防水機能である「Xプロテクト」など、上位機種譲りの機構が存分に採用されています。
ヴァンフォードC3000XGに死角はあるか?
ヴァンフォードC3000XGは、フィールドや魚種を選ばず、あらゆる釣りに対応できるハイパフォーマンスリールであることは間違いありません。自重180gと、シマノのフラッグシップ機、ステラC3000XGの自重210gと比較して30gも軽く、最軽量のヴァンキッシュC3000XGの170gにあと10gまで肉薄しています。それでいて、ヴァンキッシュの半額近い価格で手に入るのは非常に魅力的です。3万円台のリールはそもそも高いリールで簡単には手が出ないのですが、ヴァンフォードには3万円を「安いっ!」と錯覚させてしまう魔力があります。ヴァンキッシュは気を使うけど、ヴァンフォードならラフに使い倒せるよなどという錯覚も起こしかねません。ヴァンフォードにもし死角があるとすれば、それは樹脂パーツの多さかも知れません。マグネシウム合金やアルミ合金をふんだんに使ったモデルと比べたら、プラスチッキーな面はあるかも知れませんが、もちろんCI4+が金属と比べ強度が弱いと言うことはありません。
ヴァンフォードは今後のスピニングリール界の行方を占う試金石となるか?
シマノテクノロジーてんこ盛りで、ハイエンドラインに一歩も引けを取らないハイスペック機。フィールドも選ばず、あらゆる釣りに高次元のパフォーマンスを発揮する、真の意味での万能スピニングリールが、これまでの感覚では考えられないような価格で市場に殴り込み。シマノにとって、毒にも薬にもなり得る、業界の今後を占う試金石として、ヴァンフォードが市場でどんな評価を受け、どんな地位に収まってゆくのか、非常にその行方が気になるところです。