サビキ釣りは確実に釣果を得る最も手軽な方法!その種類と釣り方を紹介します。
作成:2022.09.28更新:2022.09.28
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内湾の漁港や波の穏やかな小堤防などで、サビキ釣りを楽しんでいるファミリーをよく見かけるでしょう、初心者でも子供でも、簡単にイワシや小アジ、小サバなどがたくさん釣れる・・・そんなイメージはありませんか?
そんなサビキ釣りも、ターゲットの魚に応じて実はたくさんの種類があり、体長10cm程度の小イワシから、1m近くの大型青物まで、あらゆる魚が狙えるのです。サビキ釣りでは完全な草食性の魚以外はほとんどの魚がターゲットとなります。
今回は、誰でも手軽に数釣りが楽しめる、波止小物狙いから、回遊してくる大型青物を狙う豪快な釣りまで、サビキ釣りの魅力について解説します。
なぜサビキ仕掛けは釣れるのか?
サビキ仕掛けには、仕掛けの上部もしくは下部にコマセカゴやビシカゴが付きます。そこにアミエビやイワシのミンチなどのコマセを詰めて海中で拡散させます。これにパニック状態で集まってくる魚が、極薄のラテックスゴムであるピンクスキンや、サバなどの魚皮を乾燥させたハゲ皮、毛糸のように毛羽立てた長繊維糸を4本程度束ねたウーリーなどをつけた針をエサと認識してしまい食いつくのです。本物のエサが大量に漂っている中に捕食モードでパニックになっている魚が大挙して押し寄せるわけですから、針にも反射的に食いついてしまうというわけです。エサもスキンも何にもついていない、水中でキラキラ光っているカラ針にさえ食いついてしまうこともあります。
サビキ釣りで釣れない魚はほとんどいない!
サビキ釣りでは様々な魚が釣れます。完全な草食性魚と完全底棲魚を除くほとんどすべての魚が釣れる可能性があると言っても過言ではないでしょう。実はサビキ釣りは、ショアでもオフショアでも、どこでもできる釣法です。もちろん、仕掛けのタイプはターゲットの魚種や魚のサイズ、狙う水深や距離に応じて様々なタイプを使い分けるのですが。ここから、ターゲット、シーンに応じて使い分ける、さまざまなサビキ仕掛けについて紹介して行きます。
波止での小物サビキ釣り
釣りが可能な漁港や堤防など、足場が良く、比較的安全が確保できる場所であれば、初心者でも子連れでも楽しくサビキ釣りができます。ターゲットは小型のイワシ、アジ、サバ、サッパ、ヒイラギ、コノシロなどがメインとなりますが、ベイトフィッシュが多く入り、それを追って青物の回遊が入るときはサビキ釣りはお祭り騒ぎになることもあります。
小物サビキ釣り仕掛け
最も簡単で基本のサビキ仕掛けです。ロッドもリールも特に専用タックルを用意する必要はありません。振出式の万能竿、サビキロッド、ちょい投げロッドに、1000番~2000番の汎用スピニングリールを合わせます。ロッドは仕掛けの重量を考慮し、錘負荷が10号程度のものを使用すべきですが、調子は先調子の柔らかいロッドが使い勝手が良く、アワセた際の口切れなどのトラブルが少なくおすすめです。
上の仕掛けの図をご覧ください。サビキ仕掛けには、コマセカゴの位置を仕掛けの上に取り付ける上カゴ式サビキ仕掛けと、仕掛けの末端にコマセカゴを取り付ける下カゴ式サビキ仕掛けがあります。それぞれメリットとデメリットがあるのですが、堤防や漁港などの水深が浅い場所で行う場合は下カゴ式サビキ仕掛けが向いています。理由は、コマセカゴの下におもりが内蔵されているため、おもりを別に取りつける必要がなく、仕掛けをシンプルにできるためです。特に初心者や子供にはよりトラブルが少なく釣りができます。
針は、ピンクスキンがついているタイプを基本に、マヅメ時や曇りの日など、光量の少ない時は黄緑色のスキンがついているものが有効です。また、魚皮が巻かれているタイプは、スキン針が思わしくないときの秘密兵器として持っていると良いでしょう。サバ皮がついているもの、カワハギの皮がついているもの(ハゲ皮といいます)、ナマズの皮がついているものなどいくつかタイプがありますので、いろいろ試してみてください。
コマセカゴの中には解凍したアミコマセを詰めます。ギシギシに詰めてしまうと、仕掛けを投入した際にアミコマセが上手くカゴから出ませんので、軽〜く、カゴの8分目まで詰めます。
アミコマセを詰めたら、竿先からゆっくり仕掛けを真下に降ろします。狙ったタナまで仕掛けを降ろしたらリールのベイルを戻し、仕掛けを止めたら軽く上下に仕掛けを揺すると、コマセカゴからアミコマセが出て拡散し、ターゲットにアピールします。魚が居ればすぐに食いついて来ます。1匹かかってもすぐに仕掛けを上げず、追い食いさせ、すべての針に魚をかけるつもりで待ちましょう。
五目狙いのチョイ投げサビキ仕掛け
小物狙いのサビキ釣りをマスターしたら、もう少し幅広いフィールドでのちょい投げサビキ釣りにステップアップしましょう。この釣法は、波止でも磯でもサーフでも出来ます(サーフは条件が整わないと厳しいかも知れませんが)。波止の足元のサビキ釣りよりもターゲットの種類もサイズも格段にアップします。一番向いているのは、大規模漁港の外洋に面した先端部や、長い堤防で水深がある程度(15m程度)ある場所です。
水深や潮流を読み、狙うべきターゲットとそれがいるタナを設定して攻略しよう
このちょい投げサビキ釣りのメインターゲットは、20cm級のアジ、サバなどに始まり、外洋に面した場所であればワカシ(ブリの若魚)、ショゴ(カンパチの若魚)、サゴシ(サワラま若魚)などの中型青物が、岩礁地帯であればメジナやカイズ(クロダイの若魚)、チャリコ(マダイの若魚)やシマダイ(イシダイの若魚)、カワハギなどがターゲットになります。
アジサバ狙いや磯五目釣りなどの場合は、蓋つきの小型金属コマセカゴをつけて軽くキャストし、ボトム付近に仕掛けを届けてから仕掛けをゆすってコマセを放出しアタリを待ちますが、青物が期待できる場所であれば、小型の飛ばしウキをつけ、表層を流すこともあります。
小物狙いのサビキ仕掛けでは針の数は5~6本で行うことが多いですが、この中型青物狙いのちょい投げサビキ釣りの場合は多くても3本針で行います。それでも、ワカシやショゴなどが複数匹掛かったらランディングさせるのは大変です。あくまでもターゲットに見せるための複数針と捉え、追い食いなどは狙わないようにしましょう。
回遊ルートを直撃するダイナミックな遠投カゴ釣り
ちょい投げサビキ仕掛けよりもさらに大きく、強い仕掛けが、遠投カゴ釣り仕掛けです。この釣りは、厳密な意味でのサビキ釣りとは異なる釣法かも知れませんが、オモリが内蔵された遠投用のコマセカゴを使用すること、一本針ながらサビキ針を使うこと(通常の針に餌をつけて投げることもあります)から、サビキ釣りの派生系と言っても良いでしょう。
釣法自体は、まぐろ漁などでおなじみの「延縄(はえなわ)漁法」とほぼ同じです。ターゲットの回遊ルートに、大きなブイ(ウキ)を複数つけた延縄(幹糸)を水面に水平に這わせ、幹糸にイカなどの餌をつけたハリスを何本も取り付けて海面を流し、マグロに食わせるアレです。
ショアから青物の回遊ルートが直撃出来る釣り場は意外にも多く、外洋に面し潮通しがよく、ベイトの流入がたくさんあるポイントであれば、1mクラスのブリやヒラマサ、シイラやキハダマグロなども狙えます。外道も、50cm程度になる大型のウスバハギや、70cmを超えるボラ、1m近いシーバスなど多彩です。真夏の回遊シーズンは、立錐の余地もないほどたくさんのカゴ投げ師が、時合を狙って遠投カゴ釣りを行う様子は「お立ち台」と形容されることもあります。
私の地元神奈川県では、江ノ島裏磯や福浦岸壁(2019の台風15号被害で壊滅。2023年度に復旧工事完了した一部エリアが金沢海釣り施設として開放される予定)、よこすかうみかぜ公園、川崎東扇島西公園などが有名で、遠投カゴ釣りのシーズンは他の釣りができなくなるほどカゴ投げ青物ハンター達で賑わいます。
遠投カゴ釣りのタックル
仕掛け自体に重量があり、ターゲットの魚のサイズも大きいため、遠投カゴ釣りをするには、専用の強いタックルが必要です。ロッドもリールも、遠投カゴ釣り対応のものがありますので、それらを求めましょう。道糸もナイロン5号以上、PEなら2号程度を使います。
道糸には、飛行姿勢を安定させるための尾翼がついた大型の飛ばしウキをつけて、回遊ルートにダイレクトに仕掛けを投入します。着水後、仕掛けが馴染んだらコマセを放出し、アタリを待ちます。遠投カゴ仕掛けのコマセカゴは、ロケットカゴと呼ばれる、道糸に直接おもりが内蔵されたものを使いますが、おもりは15号以上のタイプを使います。
遠投カゴ釣りを行う際の注意点
遠投カゴ投げ釣りは、ロケットコマセカゴにコマセを詰めてフルキャストするだけで、青物の回遊ルート上に仕掛けを落とすことさえ出来れば、あとは勝手に魚の方から勝手に食いついてくれる、誘いも何も要らない釣りです。しかし、だからといって、キャストした仕掛けを見守ることもなく、投げっぱなしにしているのはご法度です。
潮の流れに任せてアチコチ仕掛けが流れ、ラインスラックも出放題というカゴ投げ師が多いのはいただけません。遠投カゴ仕掛けは海面に浮いた状態で100m以上ラインが出ています。ラインスラックを常に回収しながら、沖を行き交う船舶や他人の仕掛けとの交錯を防ぐための最大限の努力をする義務があります。ただでさえ大掛かりな仕掛けが船舶のスクリューに絡まったりしたら事故に直結します。
最近は、知識のないアングラーが、自分の仕掛けを船舶に絡めてしまい、「タックルを持っていかれた、どうしてくれるのか?」と、船舶に詰め寄るするケースもあると聞きますが、言語道断です。釣り師が他の海上労働者に優先されることはひとつもありません。肝に銘じて欲しいです。
また、隣で青物を掛けたアングラーがいたら、自分の仕掛けは素早く回収し、掛けたアングラーの補助を行うべきです。掛かった魚が大型青物であれば、右に左に走りまくります。左右のアングラーに気を付けながらファイト→ランディングなど出来るはずもありません。
青物を掛けたアングラーが、他人の仕掛けに絡めてしまった場合は、仕掛けを回収しなかった隣のアングラーに責任があります。遠投カゴ釣りに限った話ではありませんが、釣りはお互い助け合いながら、掛けた人が無事にランディング出来るよう、サポートし合いながら、自分の仕掛けは一時回収し、タモを当ててあげるなど、サポートに徹し、気持ち良く行うべきですね。
ショアジギングの派生系、ジグサビキも面白い!
ショアジギングの派生系なのか、サビキ釣りの派生系なのかは定かではありませんが、スーパーライトジギングのタックルで軽快に小型・中型青物を狙うジグサビキという、比較的新しい釣法が流行っています。
簡単に説明すると、スーパーライトジギングのショックリーダーとルアーの間に、コマセカゴのないサビキ仕掛けを接続しただけのシンプルな仕掛けです。コマセを使わないため、集魚効果はありませんが、7ft〜10ft程度のショアジギングロッドに、3000番程度の汎用スピニングリール、ジグサビキ仕掛けの末端に30g〜60g程度のメタルジグを取り付けるだけという、非常にライトなタックルでメッキやカマス、ワカシやサゴシなどが狙え、通常のショアジギングよりも魚が釣れるチャンスが多いのが魅力です。
ジグサビキ釣りのやり方はショアジギングと全く同じです。目標とするポイントに向かってフルキャストしたら、基本はただ巻きでOKです。たまに変化をつけるためにストップアンドゴーやジャークを入れたりすればよいでしょう。サビキ針に食いついてくるケースもあれば、メタルジグに食いついてくることもあります。仕掛けがシンプルで、機動力を活かしてランガンが可能なジグサビキ釣り、ぜひ一度試してみてください。
守備範囲の広いサビキ釣り、サイズを使い分けて爆釣しよう!
以上、小物狙いから大型青物狙いまで、サビキ釣りのメソッドについて紹介してきましたが、サビキ釣りは魚が接岸さえしていれば、ジグサビキを除き、仕掛けがコマセを勝手に撒いて魚を一網打尽にしてくれる、非常に効率の良い釣りと言えます。
波止小物狙いのサビキ釣りは、親子連れにもおすすめできます。「ほぼボウズはない」と言っても過言ではないでしょう。小物釣りでサビキ釣りの基本をマスターしたら、ちょい投げサビキ、遠投カゴサビキ、ジグサビキへとステップアップして行けば良いと思います。
アミコマセを使う釣りなので、どうしても釣り座がこぼれたコマセで汚れてしまいますが、納竿したら必ずバケツで汲んだ海水で洗い流して下さい。コマセが釣り場に残ったままですと、虫や鳥獣が集まるようになってしまいます。キレイな釣り場を維持し、これ以上釣りが禁止されてしまうようなことがないことを切に願うばかりです。