青物の種類はどれくらいいるの?釣りで狙うターゲットを順番に紹介していきます!
作成:2021.06.04更新:2022.03.29
目次
青物の定義
「青物(あおもの)」は「青魚(あおざかな)」と同義です。そして、水産庁によると、青魚には明確な定義はなく、
- 背中から見て青い魚
- 群れで回遊して泳ぐことが多い
- 比較的大量に漁獲される大衆魚
といった特徴に当てはまるものを一般的に「青魚」と呼んでいるようです。また、高級魚は青魚とは呼ばないようですので、釣りで狙う青物の定番「ブリ」や「ヒラマサ」は、正確には青物ではないということになります。
とはいえ、釣りで狙う青物の種類を紹介する記事で、それらの魚を数に含めないのは不自然ですので、この記事では「背中が青い回遊魚」=「青物」という定義で紹介をしていきます。
青物の種類
イワシ(鰯)
イワシは日本に留まらず、世界各国で獲れる青物の代表魚でしょう。「サビキ釣り」などの釣法で人気のターゲットです。料理のレパートリーも豊富で、フライ、煮付け、塩焼き、お刺身などの一般的なものから、海外ではピザ、ピラフ、デザートなどにも使われるようです。イワシは一年中釣る事ができますが、旬である6月〜9月のイワシは脂が沢山のっていて絶品ですね。
▼イワシのお刺身
また、イワシの群れが海面に発生する現状(ナブラ)は、「ブリ」や「ヒラマサ」を狙う上での重要なシグナルにもなります。イワシは釣って楽しく、食べても美味しく、栄養価も高く、さらに海の状況を釣り人に知らせてくれる重要な信号機として、大変ありがたい存在を担ってくれています。
- マイワシ
- ウルメイワシ
- カタクチイワシ
アジ(鯵)
こちらも「サビキ釣り」で人気のターゲットですね。群れに当たるとものすごい勢いで釣ることができます。また、ライトタックルを用い、ルアーやワームでアジを狙う「アジング」も大変人気です。
▼アジのたたきとなめろう
アジの種類は意外に多く、日本で一般的に食べられる「マアジ」を始め、お刺身で食べると絶品な高級魚「シマアジ」などがあります。また、沖縄などの南海で釣れる巨大魚GTも「ロウニンアジ」と呼ばれるアジの仲間です。アジの旬はイワシと同じく6月〜9月くらいで、脂が乗っていて非常に美味です。アジのなめろうはご飯が進みますよね。
- マアジ
- シマアジ
- ムロアジ
- ロウニンアジ(GT)
- ギンガメアジ(メッキ)
サバ(鯖)
サバも「サビキ釣り」で狙うこともできますが、30cmを超える良型となってくるとメタルジグを使ったライトジギングも人気です。個人的には別の魚種を狙っていたらサバが釣れたという事の方が多い印象ですが、とてもありがたい外道です。また、サバの切り身は釣りの餌としても重宝されます。サバを餌にしてサバが釣れることもあるくらいです。
▼〆さばの炙り刺し
調理法はやはり「〆さば」「サバの味噌煮」は外せません。旬は10月~12月で、秋から冬にかけて脂が乗って美味しくなります。この時期に福岡に行く機会があれば、生サバをゴマダレで和えた「ゴマサバ」は絶対に食べたいところです。また豊予海峡で上がる「関サバ」、宮城県石巻市の「金華サバ」、神奈川県三浦市の「松輪サバ」などは高級ブランドとして高価で取引されています。
- マサバ
- ゴマサバ
サンマ(秋刀魚)
サンマと聞くと、東北や北海道で水揚げをされている印象がありますが、実は関東や、それこそ九州でも釣ることできます。もちろん回遊をしてこなければ釣れないのですが、もし近くの釣り場で釣果情報を聞きつけたら狙ってみるもの良さそうです。
漁獲量に応じて毎年値段が大きく変動しますが、定番のサンマの塩焼きは一年に一回は食べたくなりますよね。旬とされる9〜11月のサンマは脂もノリノリですので、お刺身でも大変美味しくいただけます。
ニシン(鰊)
東北地方や北海道などで釣る事ができるニシンも青物に分類されます。「サビキ釣り」などがメジャーな狙い方です。調理法は「ニシンそば」や「ニシン漬け」などが有名ですが、煮付けや塩焼きも絶品です。またニシンの卵である「数の子」はお正月のおせちには欠かせませんね。ちなみに、釣り餌でも有名な「キビナゴ」もニシン科に分類されているため、立派な青魚です。
サワラ(鰆)
春から初夏にかけて釣る事ができる、魚に春と書いて「鰆(サワラ)」はショアジギングの人気ターゲットです。冬に釣れるサワラは脂が乗っていて美味であるため「寒鰆」という名称で高額で取引されるようです。
その見た目とは裏腹に、とてもか弱い魚であるため、釣り上げるとすぐに絶命をしてしまいます。青魚全般に言える事ですが、足が早い(傷みやすい)魚種ですので、サワラを釣ったら生きているうちに血抜きをしましょう。
▼旬のサワラの塩焼きは絶品
サワラには鱗がないので捌くのが楽です。サワラの塩焼きは絶品でお酒が止まりませんし、お刺身の場合は皮目を少し炙って食べると最高です。また、サワラは出世魚であるため、小型のサイズはサゴシやサゴチと呼ばれています。小型になるほど脂ノリが少なくなるので、ムニエルなどにすると美味しいです。
カンパチ(間八)
青物狙いのショアジギングといえば、必ず名乗りを上げるのがこのカンパチですね。外見は茶色みがかかっていて、ブリとはまた異なったフォルムです。基本は船に乗って沖にいる大物を狙うのが一般的ですが、カンパチの小型のサイズであるショゴは陸に近い浅場などにも回遊をしてきますので、おかっぱりからも狙えるチャンスがあります。
▼カンパチのお寿司
旬は6月~9月とされていますが、通年を通して美味しいです。定番のお寿司も人気ですが、カルパッチョなどでさっぱりといただくのも人気のようです。
ブリ(鰤)
ブリは青物の王様と呼んでも良いのではないでしょうか。船からも陸からも常に釣り人に狙われ続ける人気者です。ブリは出世魚で大きさに応じて名称が変わる事で有名です。さらに地方によって呼び方が変わるのでさらにややこしくなります。
- 東北:アオコ→イナダ→ワラサ→ブリ
- 関東:ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
- 関西:ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
- 中部:ツバイソ→フクラギ→ガンド→ブリ
- 九州:ツバス→ヤズ→ワラサ→ブリ
※関東でもワカシ、イナダサイズの養殖物は「ハマチ」と呼んでいます。
▼イナダの刺し盛り
料理としては、定番の寿司ネタ、お刺身を始め、ブリしゃぶ、照り焼き、塩カマ焼きなど、どう調理しても美味しいです。また、小型のサイズ(関東でいうワカシ)は、漬けにして食べるとサッパリしていて大変美味でした。
ヒラマサ(平政)
海のスプリンターことヒラマサを釣り上げる事は、アンブラーの夢と言っても過言ではないでしょう。ブリ以上に優れた泳力があるため、腕がへし折れそうになるほどの強烈な引きを体験させてくれるようです。また、頭脳も優れているので、ラインを岩などで引きちぎろうとしてきますし、そもそもヒラマサにルアーを喰わせる事自体のハードルが高いです。そんな超高難易度のヒラマサを上げる事ができたら、青物釣りの終着点に辿り着けるのかも知れません。
▼スーパーで買ったヒラマサのお刺身
釣りたてのヒラマサは硬くて旨味が薄いらしいのですが、数日寝かせてしっかりと熟成すると、驚愕的な美味しさになるようです。もちろん私は釣った事がないのですが、食べた事は沢山あります。関東ではスーパーの鮮魚コーナーなどでヒラマサを目にする機会は非常に少ないので、見つけたら必ず買います。スーパーで売っているヒラマサのお刺身はしっかり熟成されているので最高です。ブリよりもしっかりと身が締まったようなサクサクした食感も特徴的です。
釣法によっても「青物」の定義が異なる
以上が、釣りでよく狙われる青物の種類です。冒頭でも説明しましたように、青物と呼ばれる魚種には明確な定義がないため、釣法によっても意味合いが変わることがあります。例えば、釣り初心者がサビキをする時に狙う青物は「イワシ」「アジ」「サバ」を指す事が多く、ジギングなどでテクニカルに狙う青物といえば「カンパチ」「ブリ」「ヒラマサ」の事を指すのが一般的でしょう。
釣って楽しく、食べて美味しい青物は最高のターゲットです
釣り上げたばかりの青物は本当に美しいです。青物特有の澄み切ったブルーカラーは、写真には上手く残せない、生き物の美しさを実感できます。そんな青物の新鮮なお刺身を食べれるのも釣り人の特権です。
ただ青物は傷みやすく、回遊魚特有の寄生虫「アニサキス」で食中毒を起こしてしまうリスクがあります。釣り上げたら絶命させてしまう前に、しっかりと血を抜き内臓処理もする事を忘れないようにしましょう。
もし、青物を釣った事がない方は是非狙ってみて下さい。ブルブルッとした青物特有の引きと、美しいフォルムの魚を味わえば、病みつきになる事間違いないです。