堤防でちょい投げ釣りをのんびり楽しむ、最高の休日を!
作成:2021.08.10更新:2021.08.20
目次
釣りはやってみたいけど、釣りを新たにはじめるには、色々と道具を揃えなければならず、知識もないし、ハードルが高いなと思っていませんか? もちろん、釣りの種類によっては、高価なタックルを揃えなければならないものもあるのは確かですが、初めての釣りで鮎の友釣りをする人はいないでしょう。また、渓流プラッギングや磯上物狙いのフカセ釣りで釣りデビューする人もいないでしょう。まずは釣具屋で手ごろなタックルを揃え、ターゲットも決めずに近くの堤防に行ってみましょう。
スピニングリールの取り扱いに慣れるのに30分程度かかりますが、ちょい投げ仕掛けであればすぐに取り回しができるようになり、その日のうちに魚がそこそこ釣れるに違いありません。そんなユル目の小さな成功体験から、どっぷりと釣りの世界にハマっていただければ最高です。釣りは自分のペースで一生続けられる趣味なんですから!
堤防ちょい投げ釣りの魅力
これから釣りを始めようとしている人、或いは、自分は以前より釣りをやっているが、子供が釣りをやってみたいというので、初めて子連れで釣りをしようかなと思っている人には、以下の理由から、すべからく堤防でのちょい投げ釣りをおすすめします。
足場が良い場所が多い
堤防は足場が良い場所が多く、釣りをはじめてやるという人でも、子供でも比較的安全に釣りをすることができます(滑りづらいシューズと、フローティングベストの着用は必須です)。ただし、少しでも濡れている場所は非常に滑りやすくなっていますので注意が必要です。また、特に子供は堤防のキワから水面を覗き込む行動をとりがちですので、決して目を離さないようにしましょう。
遠投が必要ない
季節や狙う魚種によっては、遠投が必要な場面もありますが、堤防はそれ自体が漁礁の役割も果たします。すなわち、堤防には甲殻類や貝類、海藻類など、たくさんの動植物が着き、それらをエサにする魚がたくさん住み着いています。基本、足元に仕掛けを落とすだけでも釣りは成立します。それに加え、10m〜30m程度仕掛けを投げることができれば、堤防周辺に棲息する様々な魚もターゲットに出来ます。
潮通しが良い場所が多い
堤防は、防災上の観点から、基本的に潮通しの良い場所に築かれることが多いため、様々な魚種が棲息しています。港湾施設など、その堤防が船舶の航行ルートに沿って建造されたものであれば、船道の真下は深くえぐれ、駆け上がりが形成されています。駆け上がりには様々な魚が着きます。また、外洋に面した堤防であれば、青物の回遊も期待できます。このように、堤防には様々な魚が住み着きやすい環境が整っており、あらゆる釣りが出来る一級ポイントであることは間違いありません。ビギナーが安全に、高確率で魚を釣り上げることが出来る場所であると断言できます。
堤防からのちょい投げ釣りで釣れる魚
季節により、また、海底の状態(砂地か岩礁か藻場かなど)により、堤防周辺に棲息する魚は異なりますが、足元から30m以内のエリアを探るちょい投げ釣りで釣れる魚は思いの外たくさんあります。
砂地
海底が砂地の場所、あるいは、近くにサーフ(砂浜)がある場所であれば、代表的なターゲットは何と言ってもシロギスです。冬〜春先は距離が遠く、ちょい投げ釣りで釣るのは難しいですが、夏から秋にかけてはちょい投げ釣りの好ターゲットとなります。他には盛夏ならマゴチ、イシモチ、アナゴ、秋の終わりから翌春にかけては、場所によってはカレイもちょい投げ釣りの射程範囲にまで接岸して来ます。
砂泥地
砂地よりも泥質が多い場所で、濁りが入りやすい場所は、ハゼ釣りのメッカになっている場合が多いです。また、カレイは、完全にきれいな砂地よりも、泥質の多い砂泥底を好みます。濁った水を好むイシモチも砂泥底を好みます。
河口部
大きな河川の河口部には、導流堤と呼ばれる、川の流れを調節したり、川が運んでくる砂などの堆積をコントロールするための堤防が建設されている場合があります。こういう場所も、ちょい投げ釣りの好ポイントです。ハゼがメインとなりますが、シマイサキやコトヒキ、セイゴ(スズキの幼魚)やメッキ(ギンガメアジの幼魚)、カイズ(クロダイの幼魚)など、汽水域を好む魚が釣れることもあります。また、ぶっこみ仕掛けを投げておけばウナギがかかることもあります。
岩礁帯、捨て石堤防など
海底に岩礁があったり、砂地でも捨て石が多く設置されていたりする場合は、根魚も狙うことができます。ちょい投げ釣りで最も釣れる確率が高いものはカサゴ、アイナメ、ウミタナゴ、メジナ、カワハギなど、磯釣りでおなじみのターゲットになるでしょう。こういう場所は、根がかりが多く発生しますので、仕掛けは余分に持ち込む必要があります。また、同じ堤防に乗っていても、位置によって根根掛りが頻発する場所、全く発生しない場所がありますので、地元の常連と思しき釣り師に訊いたりして、根掛りするかしないかギリギリのところを狙いましょう。
堤防のちょい投げ釣り、揃えるべきタックル
これまで紹介してきた通り、堤防には様々な魚がいて、足元から、30m程度の軽いキャストでも充分に釣りができます、そして、想像する以上の大物が釣れる機会が多いのも、堤防ちょい投げ釣りの魅力です。ここからは、最低限揃えるべきタックルについて説明します。
ロッド
ちょい投げ用ロッドというものが釣具屋に行けばたくさん売っています。具体的に言えば、長さは2.4m〜3.6m前後の振り出し式ロッドが扱いやすいでしょう。ロッドに直接印字してあるか、ロッドのパッケージに記載されている「錘負荷」を必ず見ましょう。ちょい投げ釣りでは、通常は8号〜10号程度のシンカー(錘)を使いますが、最大15号くらいまでのシンカーを投げる可能性があります。従って、「錘負荷15号(56.25g :1号=3.75g)」
程度のロッドを使用します。本気で投げることはしないので、20号くらいのシンカーまで投げられます。釣りデビュー戦であれば、あまり高価なロッドは不要ですが、最低でも、伸ばしてみてガタガタしないもの、ガイドがきちんと固定できるものを選びましょう。メーカーも分からない、ロッド、リール、仕掛けの激安セットのようなものは買わないほうが賢明です。
リール
リールは汎用スピニングリールの2000番を準備しましょう。リールの価格はそれこそピンキリで、2000番のスピニングリールだと、店頭価格980円くらいから、7万円くらいまであります。ちょい投げ釣りで使うだけなら5,000円くらいのリールで十分でしょうが、少なくとも、メーカー名もモデル名もどこにも表記されていないような激安リールは避けましょう。リールもロッドも、軽くなればなるほど高価になりますが、まずはエントリーモデルをもとめ、基本操作を覚えましょう。
ライン
ラインはナイロン3号をスプールいっぱいに巻きます。テーパーライン(力糸)は、ちょい投げ釣りには必要ありません。ナイロンラインは、吸水劣化する性質があり、吸水して膨潤すると著しく強度が下がります。そのため長期耐久性の点では不利なラインではありますが、しなやかで適度な伸びがあり、初心者にも扱いやすいラインです。最近はコーティング技術の進歩で、吸水劣化しにくいナイロンラインもたくさん販売されていますが、そうした高性能ナイロンラインは非常に高価です。
そのため、初心者がちょい投げ釣りで使うラインであれば、釣具量販店のオリジナルブランドの安いナイロンラインを2号、3号、4号と常備しておき、釣行3回程度で惜しみなく巻き替えるなどして、常に新しいナイロンラインを使い、傷つきによる強度低下や、癖付きによるライントラブルを回避しましょう。
釣具量販店のオリジナルブランド品は、量販店を運営する会社が、信頼のおけるメーカーと判断した外注先に製造を委託しているケースが殆どで、品質は必要最低限確保されています。ラインのボビンやボビンケースなどに、「製造元」の企業名や住所が記載されているものは信頼できる商品と判断できるでしょう。連絡先が「販売元」のみでも、きちんと企業名と連絡先が記載されている製品は、最低限の品質は保証されていると判断してもOKです。
天秤・シンカー
メインラインと仕掛けの間に取り付け、仕掛けを飛ばすのに必要なシンカー(錘)と仕掛けを取り付けるための道具を天秤といいます。様々なタイプの天秤が売っていますが、ビギナーアングラーが使いやすいのは「ジェット天秤」と呼ばれるものです。これは、連結された二本の金属シャフトの上側シャフトに弾丸状のシンカーが付いているものです。シンカーが付いている側のシャフト先端にメインラインを、何もついていない側のシャフトの先端に仕掛けを取り付けます。天秤サイズは8号~10号を、潮の流れがきつい時は15号以上を使用します。
仕掛け
仕掛けは市販のちょい投げ仕掛けを使用しましょう。2本針仕掛け、3本針仕掛けがありますが、おすすめは、よりトラブルが少ない2本針仕掛けです。サイズは、当日どんな種類の魚か、どの程度のサイズの魚が釣れるのかわからないので、幹糸2号、ハリス1号~1.5号、針は流線形、丸セイゴの2種類を数サイズ(1種類あたり3サイズ用意出来れば理想的)準備しましょう。根掛かりがなくても、フグやカワハギなどがかかると高確率でハリスを切られてしまいます。仕掛けは潤沢に用意しましょう。
水汲みバケツ
手を洗うため、納竿後に釣り場を掃除するためなど、海面から水をくむ場面は非常に多く、水汲みバケツは必須です。堤防から水面までの距離を考慮し、8m前後のロープおよび糸巻きが付いているものが必須です。糸巻きを決して手放さないようにしてバケツを海面に投げます。投げた後、バケツの開口部が下を向き、沈みやすくなるように、フチに錘が付いているものや、中に魚が入った状態で、スカリ(魚を入れたまま海中に投入し、魚を生かしておく道具)代わりにも使えるよう、開口部にメッシュのフタが付いているタイプなどもあります。
あまり容量の大きなものは、海中からバケツを引き上げるのが大変になりますので、大きくても8リットルくらいまでにしておきましょう。また、多くのビギナーの釣り人が用途を誤っているのですが、水汲みバケツに水を入れた状態で、地上で魚を入れたままにしておく人が多いのですが、水量が少ない水汲みバケツの中の水はすぐに温度が上がり、一気に魚が弱ってしまいます。水汲みバケツは魚を生かしておくものではありません。どうしても魚をいれて生かしておくなら、専用のクーラーボックスと酸素供給ポンプを用意するか、生かし用のスカリを用意するか、水汲みバケツごと海中に沈めておかなければなりません。
エサ
ちょい投げ釣りをする場合のエサはアオイソメで決まりです。アオイソメを食わない魚はほとんどいません。どこの釣具店でも手に入り、価格も安いため、究極の万能エサとして、陸っぱりでは最も多用されている釣りエサです。ロッド1本あたり50匹も用意しておけばほぼ半日使えるでしょう。アオイソメのサイズが選べるのであれば、太すぎず、細すぎない「中」サイズをおすすめします。もしターゲットが明確にある場合は、例えば、シロギス狙いならジャリメ(イシゴカイとも言われる)を、イシモチ狙いならイワイソメ(マムシ、ホンムシとも)を使うとより効果的ではありますが、まずはアオイソメが万能です。
ちょい投げ釣りの基本動作
ちょい投げ釣りの具体的なやり方について説明します。針にエサをつけたら、ロッドの先端から天秤まで50cm~1m程度のタラシをとり、リールのラインローラー部にかかっているラインを、リールフットを握っている手の人差し指ですくい取り、ベールを上げます。そして、ロッドを肩の後ろに担ぐように構え、後方に人や物がないか注意しながら、竿を軽く、まっすぐに振り下ろします。
ロッドを振り下ろす際、ロッドが頭の上を追加する瞬間にラインを押さえている指を離すと、仕掛けがまっすぐ飛んでいきます。ちょい投げ釣りですので、あまり強く振り下ろす必要はありません。30m程度飛ばせれば充分です。仕掛けが着水し、ラインの放出が終わったら、すぐにベールを下ろし、ラインスラック(ラインのたるみ)をとるためにリールのハンドルを数回転回し、ラインをピンと張ります。この状態で待っているだけでも、活性の高い時は魚は釣れますが、ハンドルをゆっくり回して仕掛けを巻きとりながら(この動作をサビくと言います)、エサを動かしていくと、様々な魚が食いついてきます。
活性の高い時は、人間が歩く程度の速さで、食いが渋い時は、サビくスピードを半分以下に落とします。仕掛けを引いて行くと、突然重く感じる場所があると思います。そういうところは砂地であれば「ヨブ」といい、波が作ったくぼみで、魚が好む場所です。こういうところで暫く仕掛けを止め、アタリを待つのも良いでしょう。砂地でない場所で巻きが突然重くなる場合は、根に錘が触っている可能性が高いため、ロッドをあおって錘を跳ね上げ、素早く巻き取って根掛かりを回避します。
堤防からのちょい投げ釣りの注意点
堤防からのちょい投げ釣りには、いくつか注意点がありますので説明します。
キャストは必ず自分のいる場所から真正面に行う
堤防は人気の釣りスポットとして、特に休日は多くの釣り人が訪れます。そんな中で、短い距離のキャストとはいえ、右に左にと仕掛けが飛んで行ってしまっては、他人の仕掛けと絡めてしまいます。ミスキャストしたときは素早くリールを巻いて仕掛けを回収し、真正面にキャストをしなおしましょう。譲り合いの精神が気持ちよく釣りを行うための鉄則です。
置き竿はOK、放置はNG
「置き竿」と「放置」は、意味が全然違います。「置き竿」は、仕掛けをキャストした後、三脚などにロッドを立てかけてアタリを待つことですが、アングラーは竿先に常に注視し、アタリを見逃さないように見張っている状態です。この状態は、ラインがたるんだら適宜リールを巻いて、ラインスラックをとるなどして、仕掛けを常にケアしている状態ですので問題ありません。
しかし、ロッドを立てかけたところまでは同じでも、そこで仕掛けから目を離してしまっている状態が「放置」です。錘をつけていても、仕掛けは潮流で簡単に流されます。知らぬ間に大きく右に左にと流され、気が付いたら隣の人の仕掛けに絡まっているなんていうトラブルが続発します。「放置」は絶対にNGです。トイレに行く、飲み物を買いに行く、他人の釣果を偵察するなどで、自分のタックルから目を離す場合は、必ず仕掛けを回収した状態にしておかなくてはなりません。仕掛けを投入したままの「放置」は、最大の迷惑行為と言っても過言ではありません。
足元をおろそかにしない、大物は足元にいる!?
堤防は、壁際に各種プランクトンや貝類や甲殻類といった、多くの魚のエサとなる生物がたくさん着きます。これらを狙う魚や、堤防の割れ目にできた隙間や、波の力で堤防が破壊されないように一定距離ごとに設けられた堤防の切れ目など、地形の変化点に魚が集まります。こういう足元には、一発大逆転的な大物が潜んでいることもあります。キャストして広範囲を探ることももちろん重要ですが、足元もおろそかにせず、丹念に探りましょう。私の経験では、カサゴ、アイナメなどの根魚や、クロダイ、メジナなどの磯上物は堤防の足元で大型が釣れることが多いです。
ちょい投げ釣りで気軽に釣りの面白さを体感しよう!
肩ひじ張らずに、お金もあまりかけず、気軽に近所の堤防で竿を出し、まずは釣りをはじめてみましょう。最初のタックルは必要最低限の品質が保証されているもので充分です。不思議なもので、初めての釣りには「ビギナーズラック」という不思議な力が働くことが多いようです。デビュー戦で釣った魚が最大の大物というアングラーもたくさんいます。2020年に引退したプロアングラーの児島玲子さんも、某アウトドア番組で、初めて渓流釣りに挑戦し、そこで釣った47cmのイワナが、その後もまったく更新できなかった最大サイズだったと言っています。堤防でのちょい投げ釣りも、そういうビギナーズラックが降臨する可能性の高い釣りだと思います。最初に成功体験が得られれば・・・あとはどっぷりと、釣りの底なし沼にハマってください!!
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