堤防や磯にいるカニの種類を紹介!捕まえて餌にしたら思わぬ大物が釣れるかも!?
作成:2022.05.31更新:2022.05.31
目次
堤防やテトラ帯、磯など、海釣りをしていると、意外とたくさん見かけるのがカニですね。磯遊びでは子供たちの格好のターゲットですが、釣り餌としてもかなり有能です。
クロダイの落とし込み釣りをはじめとして、ロックフィッシュ釣り、ぶっ込み釣りなど、様々な釣りに使える万能餌といえます。釣りエサ専門店ではカニの入手ができますが、どこにでも専門店があるわけではありませんし、運良く釣りエサ専門店が近所にあったとしても、いつでも手に入るとは限りません。
カニは、現地で捕まえるのが手っ取り早いです。堤防や磯には、釣りエサとなり得る様々なカニがいます。まとまった量を捕獲するには罠や網などが必要ですが、ちょっと腰を据えてカニ取りをやれば、数匹捕まえるのはそんなに難しいことではありません。
今回は、釣りの餌として使えるカニの種類と、釣れる魚について説明していきたいと思います。
カニの生態
カニと分類されるものは、世界に約7,000種以上存在し、生息域も海底数千mから陸上まで、ほぼすべての場所にわたります。日本にはそのうち1000種類ほど生息しているそうです。そのうち、ショアで簡単に捕まえることができて、釣りのエサとして使えるカニは、7〜8種類くらいでしょうか?
カニは、成体で体長数mmのものから、世界最大のカニであるタカアシガニまで、様々なタイプのカニがいます。カニの多くの種では、水中で卵を放出し、孵化した幼生はプランクトンとして水中を漂い、ゾエア→メガロパという幼生期を経て、自身が生息するのに相応しい場所に漂着し、稚カニの形状になります。一生を淡水域で過ごすサワガニと、陸上種のヤマガニは、幼生期を卵の中で過ごすため、海に入ることはありません。
カニは、海藻やフナムシ、ゴカイ類、死んだ魚など、何でも食べる雑食性で、脱皮を繰り返しながら成長し、10年〜20年と、比較的長い期間を生きますが、水鳥やタコ、カニを好む魚など、小型の時期は天敵が多く存在します。特に脱皮直後は殻が柔らかいため、食物連鎖上位者たちの格好の餌食になりやすいです。
釣り餌になり得るカニの種類
ここでは、釣りの餌として使えるカニについて、代表的なものを紹介します。主に磯や堤防、河口部やサーフなど、ショア域で捕まえることができるものを中心に紹介していきます。
イソガニ
目に見えるいきもの図鑑
磯や堤防などで最も普遍的に生息し、捕まえるのも比較的容易なカニです。磯の石をひっくり返したり、堤防の壁面と水面の間くらいの場所や、堤防など切れ目などをよく見ると簡単に見つけることができます。手でも簡単に捕まえられます。
足の部分を含まない甲長2cm〜5cm程度のものが餌として使いやすいでしょう。クロダイの落とし込み釣りやロックフィッシュ狙いの場合は2cm〜3cmのものを、大型魚狙いのぶっ込み釣りには5cm程度のものを使うか、小型のものを2〜3個針につけて投げ込みます。
イワガニ
カニlab
イソガニと外観はそっくりで、素人には見分けのつかないカニです。イソガニもイワガニも、いずれもイワガニ科に分類するカニですが、その生態はイソガニとはかなり異なります。
イソガニは水中でほとんどの時間を生活して乾燥するとすぐに弱ってしまいますが、イワガニは半陸上性のカニで、水がない状態でも適度に湿り気があれば長い時間生きていられます。また、イソガニは動きがゆっくりで、大胆不敵に歩き回って餌を探しているのに対し、イワガニは臆病で逃げ足が速く、捕まえるのがやや難しいカニです。
ベンケイガニ
神奈川県 淡水魚図鑑
南方系のカニで、日本では房総半島以南に生息しています。ベンケイガニは海で発生しますが、成長に伴い、汽水域から淡水域へ移りますが、明るい環境は好まず、日中は暗く湿った巣穴でじっとしていることが多いです。夜行性の雑食性で、動物の死骸、海藻類、魚類など、何でも食べます。
産卵期は7月頃〜9月頃までで、大潮の夜、河口付近で集団で産卵しているシーンに出会うことがありますが、冬季は巣穴の中でじっとしていることが多いので、ほとんど姿を見ることないかもしれません。
クモガニ
ルアマガ+「ちぬ倶楽部」
クモガニは和名をコメツキガニという、甲長1cm程度の小型のスナガニ科に分類されるカニで、足が非常に細く、蜘蛛の足に似ていることからクモガ二と呼ばれることの多いカニです。砂浜でよくみられるカニで、砂を口から取り入れ、餌となるプランクトンをこしとって食べた後、砂を排出し、砂ダンゴをあちこちに作ります。まとまって大量に棲息するため、生息場所さえ分かっていれば、捕獲自体は難しくありませんが、砂から有機物を濾しとって食べる食性から、捕獲後の飼育や保管は非常に難しい種です。小型で身体が柔らかいため、クロダイ釣りの特効餌として知られています。
タンクガニ
ルアマガ+「ちぬ倶楽部」
タンクガニは、和名をスベスベオウギガニといい、硬い甲羅を持ち、右側のハサミが著しく大きいカニです。堤防や磯でイガイが群生している場所で、イガイに隠れて棲息していることが多く、クロダイの落とし込みつりに多用されるカニです。猛毒を持つスベスベマンジュウガニとは全くの別種で、毒はありません。釣具店には不定期に入荷することがありますが、安定して大量に捕獲されることがないためストック量は少ないです。塩漬けにして長期保管する落とし込み師もたくさんいます。
ヤマトオサガニ
日淡こぼれ話
日本各地の河口部周辺の砂泥地に巣穴をほって生活しているスナガニの仲間で、甲長4cm程度になる横長のカニです。非常に警戒心の高いカニで、敵が近づくと素早く巣穴に隠れてしまいます。釣りの世界では、本種をタンクガニと呼ぶ地方もあるようです。スベスベオウギガニ同様、クロダイ釣りの特効餌として、落とし込み釣り用のカニとして釣具店で売られています。こちらの「タンクガニ」の方が、スベスベオウギガニの「タンクガニ」よりも入荷は安定しています。
カニの捕獲法
カニの採捕が禁止されていない場所で、安全にカニを捕る方法について簡単に説明します。磯や堤防にいるカニを素手で捕まえるのは非常に危険です。簡単な道具を用いて、安全に捕獲することを心掛けましょう。
磯/堤防/テトラ帯ではトラップを作って捕獲しよう
PETボトルに千枚通しなどで穴をたくさんあけ、任意の場所で切り、飲み口の部分を逆さにしてボトル本体に押し込むだけでカニ捕りのトラップができます。現地の地形に合わせ、適当な長さの紐を取り付けておきましょう。餌は魚の切り身やサキイカなど、においの強いものを入れてヘチ際や岩と岩の隙間などに沈めておきます。ものの数分で小型のカニが入るでしょう。水汲みバケツなどに新鮮な海水を少し入れ、カニをその中に入れます。海水が温まってしまうとカニはすぐに死んでしまうので、こまめに水を交換し、水温の上昇を防ぎましょう。
砂に巣穴を作るカニを捕獲する場合
クモガ二やヤマトオサガニなど、スナガニ科のカニを捕獲する場合は、スコップとメッシュの巾着袋があれば良いでしょう。メッシュの目のサイズは5mm~10mm程度のものが良いでしょう。サーフや河口付近の砂泥地を歩いていると、小さな穴が無数に開いていて、穴の周囲の砂が盛り上がっている場所があります。こういった場所はスナガニ類の巣穴であることが多いので、スコップで周囲の砂ごと掘り、メッシュ巾着袋に入れます。そして、巾着袋を水で洗い流せば、砂は袋からすべて落ち、砂の中のカニだけが袋に残ります。それを取り出して、新鮮な海水と少量の砂張ったクーラーボックスなどの容器入れます。スナガニの類は身体が柔らかく、イソガニの類よりもさらに弱いので、取り扱いには細心の注意が必要です。
カニ餌、サイズの選び方と針の刺し方
カニを針に刺す方法はいくつかありますが、それぞれ、メリット、デメリットがあります。状況に応じて使い分けをする必要があります。また、蟹のサイズも大・中・小を揃え、状況に応じて使い分けができるとベストです。フグなどのエサ盗りが多くてカニが突かれてばかりの場合はカニを大き目なものに変えたり、足をすべて落として体の部分だけ針に刺して使ったり、逆にハサミだけを針に刺してみたり、本命の食いが渋い時は小さくて柔らかい個体チョン掛けにして自由に動かしてみたり、あれこれ工夫してみましょう。
尻掛け
尻掛けは、カニを裏返した際にお腹にある三角形の蓋(ふんどしといいます)の一番下の部分に浅く針を刺し、表面の甲羅の下端に針先を出す刺し方です。この刺し方は、カニへのダメージが少なく、カニも着底したあと比較的自由に歩き回れるため、ロックフィッシュやタコをはじめとして、様々な釣りに使える刺し方です。
横掛け
横掛けは、堤防のヘチ際ぎりぎりの場所にカニを這わせてクロダイを狙う落とし込み釣りに有効な刺し方で、蟹の裏面の一番下の脚の付け根付近に針を刺し、表面の甲羅の下端に針先を抜く刺し方で、垂直面をカニが自由に歩きやすい刺し方になります。ヘチカニがしがみついてしまって仕掛けの操作がやりづらい時は、カニの脚の先端のツメをハサミで切り落とすとしがみつけなくなり、操作性が向上します。
パチンコ
パチンコとは、フグなどのエサ盗りがカニの脚などを頻繁に突いてくるような場合、脚やハサミをすべて落として、カニの甲羅の身を針に釣す方法です。クロダイ、イシダイなどを狙う場合、脚があってもなくても経験上食いはあまり変わらないと思いますが、エサ取りには劇的な効果があります。
カニ餌で釣れる魚
カニは、釣り餌としては本当に万能です。甲殻類を食べる魚種はそのほぼすべてが釣れます。魚に限らず、タコや鳥も好んでカニを食べます。海及び周辺の湿地帯、干潟などの食物連鎖を支える重要な生き物のひとつがカニです。カニをエサにして釣れる魚の代表的なものを紹介します。
クロダイ
カニ餌で釣れる魚と言えばまずはクロダイが挙げられるでしょう。クロダイは雑食性の極みのような魚で、動物、植物、海中のゴミやプラスチック片などまで、ありとあらゆるものを食べてしまいます。堤防のヘチにつくカニやイガイなどを食べにやって来る大型のクロダイを狙う落とし込み釣りの定番餌です。
イシダイ
磯の王者、イシダイも、カニが大好物です。ぶっこみ釣りでは、サザエやヤドカリ、ウニなど、大きな高級餌を使わないと釣れないというイメージがあるかも知れませんが、そんなことは全くありません。イソガニでもイワガニでもイシダイは釣れます。ただし、石モノ(イシダイやイシガキダイ)をピンポイントで狙いたいというのであれば、サザエやウニなどを使った方が、エサ盗りの攻撃を受けることが少ないでしょう。
アイナメ
ロックフィッシュの中でも、釣りものが少なくなる冬季にアツい攻防が可能な人気のターゲットがアイナメです。東北の三陸地方ではでっぷりと太った80cm級のアイナメも狙える、ウインターロックゲームが大人気です。カニ型のワームなどでも釣れる通り、アイナメもカニが大好きです。特に脱皮直後の柔らかい個体には大変反応が良いです。
キジハタ
西日本ではアコウと呼ばれる高級魚キジハタは、ロックフィッシュの中でも特に人気のターゲットです。ショアから狙う場合は30cm程度のものがほとんどではありますが、キジハタは、小魚及びエビやカニなどの甲殻類をメインで捕食しているため、カニ餌は非常に効果的です。カニをエサとして使う場合は、カニが良く動くことが重要になってきますので、イキの良い個体を使いましょう。
カサゴ
穴釣りやロックフィッシュゲームなどでもおなじみのカサゴは、小さな個体の場合はイソメや魚の切り身などが有効ですが、。30cmを超える大型個体を狙うにはカニ餌は有効です。大きな口で丸のみにしますので、カニのサイズは甲長3cm程度の個体を使いましょう。
ブダイ
ブダイは季節によって食性が変わる魚として知られています。夏場は甲殻類をメインに捕食していますが、冬季はホンダワラやハバノリなどの藻類をメインに捕食するようになります。夏場はカニ餌でブダイが釣れます。特にショウジンガニが大好物と言われています。
カニ餌で釣れない魚の方が少ない、餌に困ったら捕まえてみるべし!
何度も言いますが、カニは海の食物連鎖を支える重要な存在です。カニを一切食べない魚の方が少ないかも知れません。現場にいるカニは普段から様々な魚の餌になっています。カニの種類によって嗜好は魚種によってあるかも知れませんが、いろいろやったけどなにも釣れないので、堤防にいたカニをつけて仕掛けを放置して寝ていたら大物がかかって仕掛けを海に持って行かれた!! という、ウソのような話をまことしやかに聞きます(私は経験ないですが・・・)し、クロダイの落とし込み釣りが、クロダイ釣り特有のメソッドとして確立して行ったのは、こうしたエピソードがきっかけと言われています。カニ餌にはそうした一発逆転、起死回生の救世主となるポテンシャルをはらんでいます。ぜひお試しあれ!!