管理釣り場でどうして禁止ルアーになってしまうの?禁止になるにはちゃんとした理由があります。

作成:2022.06.30更新:2023.04.17

東山湖から見る富士山

管理釣り場で禁止とされているルアー達

冬の開成フォレストスプリングス

ニジマスの管理釣り場にはそれぞれ独自のレギュレーションが決められていて、それを守らなければ最悪の場合退場しなければならない場合もあります。レギュレーションは釣り場の受付やHPなどに記載されているので、初めて行く釣り場の場合には事前にチェックをしておきましょう。そのレギュレーションの中には釣り場で使用してはいけない「禁止ルアー」というものが設定されている釣り場も少なくはありません。ではどんなルアーがよく禁止ルアーに挙げられているか、代表的なルアーを見ていきたいと思います。(※すべての釣り場で下記のルアーの使用が禁止されているわけではありません。)

ワームなどのソフトルアー

多くの釣り場で禁止ルアーに挙げられているのがワームなどのソフトルアーです。バスフィッシングなどでは定番ルアーであるワームですが、管理釣り場では使用が禁止されていることが多いです。ワームは魚種問わずよく釣れるルアーであり、当然トラウトもよく釣れます。ではなぜ禁止になってしまうのか?詳しい理由は後述しますが、環境面と魚への影響が大きな理由だと思います。

ソフトルアーでも環境に配慮されたものは発売されていますが、全てがそうというわけではありません。これには釣り人側の配慮やモラルの問題にも発展し、「よく釣れるから禁止にされるんだ!」と思われる方もいるかもしれません。しかし実際にはそうではなく、釣り場の水質汚染や魚への悪影響が発生してしまうという理由から禁止にしている釣り場が多いのだと思います。

ワームは釣りをしている過程でちぎれて釣り場の底に沈んでしまうことがよくあります。そしてワームの素材は土などに分解されないポリ塩化ビニール(PVC)という軟質プラスチックでできています。PVCは分解されることなく底に溜まり、水質の悪化の原因となります。ブラックバスでも山梨県の河口湖や神奈川県の芦ノ湖などでは、様々な理由からワームの使用が禁止されています。最近は生分解素材のワームも多く発売されていますが、こちらはまた違う理由で禁止される原因があります。

もう一つの理由として魚体への影響が挙げられます。ワームは柔らかい素材でできている為、魚が誤って飲み込んでしまうことがあります。飲み込まれたワームは消化されることなく魚の胃袋に残ってしまう為、それが原因で魚が死んでしまうことがあります。トラウトは非常に繊細な魚なので、このようなことがあるとすぐに死んでしまうのです。管理釣り場には沢山の魚がいるので、底に沈んだワームを飲み込んでしまう魚の数も少なくはないでしょう。これらの理由からワームなどのソフトルアーは管理釣り場では使用が禁止されています。

フェザージグ

オモリのついたフックにフェザー(羽)が巻き付けられているフェザージグも禁止されている釣り場の多いルアーです。水中でフェザーが揺らめいて非常によく釣れるルアーですが、その構造上の理由から魚体を傷つけやすいという理由で禁止にしている釣り場が多いように思います。これには釣り人の技量的な問題も絡んできます。

フェザージグはパッと見はそれなりにボリュームがあるように見えますが、その素材のほとんどは羽です。羽は濡れると柔らかくなる為、水中で魚がルアーにバイトする時にはほぼフックのみという状態になっています。つまり魚がバイトした瞬間にタイミングよくフッキングしなければ、魚は違和感を感じずにルアーを飲み込んでしまう可能性が高くなります。

魚がルアーを飲み込んでしまった場合、奥まで飲み込んでいたらルアーを取ることができずに魚の体の中にルアーを残すことになってしまいます。また飲み込んでいてもルアーが見えていればフォーセップなどを使って回収できますが、ルアーを外す際に丁寧にやらないとエラなどを傷つけてしまい結果魚が弱って死んでしまいます。

これを防ぐには魚がバイトした瞬間、フッキングのタイミングを遅らせないという方法がありますが、これにはそれなりの技術が必要となります。魚のバイトのスピードは非常に速い為、人間の反射神経では反応できないことがままあります。前アタリを感知して本アタリのタイミングを見極めるのはとても難しいです。

18㎜以下のルアー

ボディー長が18㎜以下のルアーを禁止にしている管理釣り場もあります。この「18㎜以下のルアー」というのは大まかにいうと所謂「ペレットを模した釣り用のルアー」のことを指す場合が多いです。ペレットを模した釣りとはルアーをキャストしてフォールで釣るスタイルが多く、管理釣り場の魚達が食べて育ったペレットを模した釣りなのでとてもよく釣れます。

ペレットを模した釣りは今や管理釣り場の釣りで1つのジャンルとして確立された釣りです。専用のルアーは勿論ラインシステムも考案されロッドなども発売されていて、非常によく釣れる釣りとして人気もあります。ペレットを模した釣りではフォール中のラインの変化でアワセを入れることが多く、魚が口でアタックしてきているのか体に触れているのかの判断をするのに慣れが必要になります。それ故に初心者の方がこの釣りに挑戦すると避けて通れないのがスレ掛かりです。

初めてこの釣りをする時には、ラインに変化(アタリ)が出たらとにかくアワセを入れます。勿論口でバイトしてきているアタリもあるのでよく釣れますが、スプーンやクランクベイトの釣りよりもどうしてもスレ掛かりの確率は高くなってしまいます。釣り方の原理上どうしてもそうなってしまいますが、慣れてくると口でのアタリなのか魚の体に触れただけなのかがわかるようになります。

またルアーが小さいが故にアワセが遅いと飲み込まれるという事態も発生してしまいます。上手な人はしっかりと上顎にフッキングできますが、慣れないうちは飲まれてしまいがちです。ペレットを模した釣りなので魚もエサだと思って本気でバイトしてきます。アワセは速すぎるくらいでもよいかもしれません。

この釣りは完全に養殖ニジマスの食性を利用した釣りなので、基本的には季節に関係なく1年中釣れる釣法です。それ故に釣れる方法に依存してしまいがちなのですが、スレ掛かりしてしかったり飲み込まれたりしてしまうと魚が死んでしまうということも事実です。なので1日の釣りの中で、スプーンやクランクベイトの釣りに組み込んでローテーションの一環として組み込むとよいでしょう。

スティックルアー、トルネードルアー

初心者救済用の爆釣ルアーとして知られているスティックルアーやトルネードルアーが禁止とされている釣り場もあるそうです。管理釣り場の大会などでは釣れすぎる為に禁止にされていることがあり、そのルールに則った釣り場では禁止となっているのかもしれません。これらのルアーが禁止ルアーにされている釣り場はそれほど多くはないと思います。

管理釣り場には管理人やオーナーの方の趣向がそのまま反映されている釣り場も珍しくはありません。管理釣り場は様々なコンセプトのもとに経営されていて、管理人やオーナーの趣味趣向が色濃く出ている釣り場もあります。そういった釣り場では禁止にされているのかもしれません。

禁止ルアーができる背景

年明けのFF中津川

では釣り場でどうして禁止されるルアーがでてくるのでしょうか?釣り場のレギュレーションは管理人やオーナーの趣向たけでなく、他の釣り人からのクレームや意見が反映されて作られることもあります。そのような外的要因も釣り場を作っていく元となり、経営を上手く回す為にやむを得ず禁止にしなければならない場合もあります。ここではそのような背景を見ていきましょう。

釣り場の環境、魚への影響

管理側として禁止にする一番の要因は釣り場の環境悪化に繋がることと魚への影響だと思います。例えばソフトルアーのように残留して分解されないものは水質悪化に直結します。結果的に魚が死んでしまう可能性がある場合には魚が減ってしまうというだけでなく、死んだ魚が池の中に沈みこちらも水質悪化に繋がります。

水質の問題というのは釣り場にとっては深刻な問題になります。水源にもよりますが、少ない湧き水で賄っている釣り場であれば一度悪化してしまった水質を回復させるためには相当な時間を費やさなければなりません。豊富な水源がある釣り場でも、池の水が入れ替わるのにはかなりの時間を要します。水質の悪化は釣果にも結び付くので、「水質悪化→釣れなくなる→お客さんが減ってしまう→売上が減少する→魚を放流できる量が減る→釣れない釣り場になる→お客さんがさらに減少する」という負のループに巻き込まれてしまいます。

また魚が減ってしまうことは管理釣り場の「資産」が減ってしまうこととイコールであり、釣り場にとっては減った分多く放流しして魚の量をキープしなければなりません。魚影の濃さが売りの釣り場などでは特にそうでしょう。魚が減ることは釣り場のイメージに直結するケースもあるのです。釣り場側からすれば「ここの釣り場は魚影が濃いね」というのはプラスに働くのは当然のことですし、逆の場合にはマイナスの働きかねないというのもご理解いただけるかと思います。

釣り人側の配慮も必要

釣り人側からの釣り場への配慮も必要となってくると思います。「釣れるから」という理由で魚が傷ついてしまってもそのままリリースしてしまったりするのは、生き物を相手にした釣りという趣味を持った人間として悲しいと思ってしまいます。せめて釣っている段階で傷ついてしまった魚は持ち帰るなどの処置をする、という釣り人としてのマナーをみんなが持っていればこのような問題も少しずつ減っていくのではないかと思います。

様々な影響で魚のエサ代の高騰が高騰している現在、例えば自分の通っている釣り場でこのような問題が起きてしまったらどうでしょうか?釣り場としては値上げをしなければならなくなったり、最悪の場合には閉鎖してしまう釣り場もでてくるかもしれません。将来的には自分で自分の首を絞めている行為になりかねないと思います。釣り人みんながそのような意識を持つことで、大きく変わっていくものもあるのではないでしょうか。

ルールを守って楽しく釣りをしよう

スプーンで釣れたニジマス

今回は管理釣り場での禁止ルアーについてお話ししました。ここで書かせていただいたことはあくまでも筆者が今まで実際に聞いたことや、おそらくそうであろうという考察に過ぎません。禁止ルアーができる背景には様々な要因がありますが、釣り人が原因となっている場合があるのも事実です。しかし自分が釣りをしているところを客観視できる人はなかなかいないと思います。筆者が他人から見て模範的釣り人であるとは思わないですが、最低限釣り場のレギュレーションは守って周りの人たちも含めて気持ちよく釣りをしているつもりです。管理釣り場というのは経営側は勿論ですが、通っている釣り人みんなで作っていくものだと思います。現在進行形で変わっていくものだと思うので、釣り人側からもいい影響が与えられるとよいなと思います。

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ダイワマニア
YSNO

 トラウト(エリア、湖)、青物全般、ロックフィッシュ、シーバス、アオリイカ、ショアジギング、オフショアジギング、エリアトラウト、ウェーディング、ボートロック、エギング、東京湾、東伊豆(静岡県)、房総半島(千葉県)、上越地方(新潟県)、芦ノ湖(神奈川県)、本栖湖(山梨県)


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