モデルチェンジで別物に?17アルテグラ1000について徹底インプレッション
2017年に5年ぶりのモデルチェンジが行われた17アルテグラ1000についてインプレッションしていきます。前作の12アルテグラから大幅な仕様変更が行われ、使用感の違いが気になる人も多いのではないでしょうか?そこでこの記事では、17アルテグラの変更点や特性について詳しく解説するとともに、比較対象として名前が挙がりやすい15ストラディックや18フリームスとの違いについても紹介します。
アルテグラシリーズとは
長い歴史を持つアルテグラシリーズは、現在でも多くのファンを持つシマノのスタンダードモデルで、初代は1991年に発表されました。基本性能が高く、初心者からのステップアップはもちろん、中・上級者のメインタックルとしても活躍し、20年以上強い支持を受け続けてきました。またカスタムの幅が非常に広く、自分好みのリールに仕上げることができるのも特徴です。なお、現行の17アルテグラは実売価格10,000円前後となっています。
17アルテグラに搭載されている技術
2012年から5年ぶりに大幅なモデルチェンジが行われた17アルテグラですが、どんな技術が搭載されているのでしょうか?新たに追加されたものを中心に、詳しく紹介していきます。
HAGANEギア
HAGANEギアは、金属を約200トンの力で成型することで、切削加工を行わずに作られたギアです。この加工方法は精密冷間鍛造と呼ばれ、剛性と粘り強さを持つ歯車を生み出します。HAGANEギアが搭載されたことで、17アルテグラは滑らかな巻き心地と、よりハードな環境でも使用できる耐久力を手に入れました。
コアプロテクト
こちらは、わずかな隙間にも水を浸入させないための撥水加工技術です。撥水加工が原因で回転抵抗が増えてしまう場合もありますが、コアプロテクトは抵抗を増やすことなく、防水効果の持続性も向上させています。この技術が搭載されたことで、17アルテグラはよりソルトウォーターでも使いやすいリールになりました。
X-SHIP
X-SHIPは、ドライブギアの大型化や様々なギアの最適配置を行い、ピニオンギアを2つのベアリングで支えることで、ギア同士を強く噛み合わせる技術です。ギアが強く噛み合うことで、高負荷にも耐える軽やかな巻き心地を可能にします。こちらは前作の12アルテグラにも搭載されていた技術で、シマノの持つ技術の中でも代表的なものです。
12アルテグラからの変更点
ここではモデルチェンジによって大きく変更された点について詳しく解説していきます。目的によっては12アルテグラが適している場合もあるので、チェックすることをおすすめします。
クイックレスポンスシリーズからコアソリッドシリーズに
12アルテグラは、ヴァンキッシュを頂点とした「クイックレスポンスシリーズ」に該当します。巻きの軽さと感度の高さをテーマに開発されたこのシリーズは、マグナムライトローターと呼ばれる非常に軽量かつ小型のローターを搭載し、細かなアクションが可能なリールが揃っています。しかし5年ぶりのモデルチェンジを経て、17アルテグラは高剛性となめらかな巻き心地をテーマにした「コアソリッドシリーズ」に変更されました。これにより従来の軽量なローターは廃止され、真逆の特性を持つリールとなっています。
※参考記事:シマノの「コアソリッド」と「クイックレスポンス」の違いを解説
重さの変化
先ほど解説したように、17アルテグラは方向性が大きく変更されています。その影響からか、重さににもかなりの変化が起きています。例えば17アルテグラ1000は200gですが、12アルテグラ1000は180gとかなり軽量です。
15ストラディック1000S・18フリームスLT1000Sとの比較
17アルテグラ1000の比較対象として、似た特性をもつ15ストラディック1000Sや、価格の近い18フリームスLT1000Sが挙げられます。ここではそれぞれの違いについて解説していきます。
15ストラディック1000Sとの違い
15ストラディック1000Sは、実売価格15,000円前後と17アルテグラ1000より少し上位のモデルになります。15ストラディックもコアソリッドシリーズに分類され、基本的なスペックは変わりませんが、より剛性の高いHAGANEボディや継ぎ目のないワンピースベールが搭載されています。重量は変わらず200gです。なお現在は新型の19ストラディックが販売されているので、予算に余裕がある場合はこちらを選択すると良いでしょう。さらに技術が追加され、重量も185gと軽量です。
18フリームスLT1000Sとの違い
18フリームスLT1000Sは17アルテグラとほぼ同価格で販売されているダイワのリールです。「LIGHT TOUGH」と呼ばれるコンセプトをもとに開発された18フリームスは、重量185gと軽量です。基本性能も十分に高く、軽量さや感度を求める場合はこちらを選ぶと良いでしょう。
17アルテグラ1000の良いところ
巻き心地が良い
コアソリッドシリーズであることやHAGANEギアの採用もあり、非常になめらかな巻き心地です。軽量なスプーンやメタルジグを巻き続けるような釣りでは全くストレスを感じません。人によっては巻き出し重たいと感じるかもしれませんが、回転するにつれて慣性がつきスムーズに巻くことができます。また、ねじ込み式のハンドルがガタつきを抑え、安定感も十分です。
コスパが良い
実売価格10,000円前後のミドルクラスのモデルではありますが、基本性能が非常に高く、全体的に値段以上の完成度です。耐久性があるため、しっかりメンテナンスを行っていれば長い間使用することができます。アジングやメバリングなどのライトゲームであれば、このリール1つで全て対応可能です。トラウトのような管理釣り場での釣りに使用するのも良いでしょう。幅広い釣種で活躍する17アルテグラ1000は、コストパフォーマンスに優れているといえます。
17アルテグラ1000の悪いところ
重さが気になる
前作が185gと軽量だったこともあり、同じ感覚で使用するとストレスを感じます。ライトゲームでは、アタリや潮の流れの僅かな変化に反応するため、巻き感度の高さが必要になる場面があります。もちろん17アルテグラも十分に活躍してくれますが、他のリールと比べると一歩及ばない印象です。より軽量なリールを検討している場合は他のモデルを購入することをおすすめします。
釣りによっては適さない
コアソリッドシリーズのため、細かいアクションを必要とする釣りや高感度を重視する釣りには適していません。慣性を逃さずリールを回転させるため、巻きを止めたいタイミングで止めることが少し難しくなっています。前作の12アルテグラはクイックレスポンスシリーズに属していたため、こうした釣りではストレスなく使用可能でした。目的の釣りがハッキリ決まっている場合は17アルテグラを選んでも問題ないでしょう。
17アルテグラ1000は向いている人
17アルテグラ1000は、ライトゲームの中でも巻きをメインにした釣りをする方に適しています。コアソリッドシリーズのなめらかなまき心地を最大限に発揮することができ、ストレスフリーで釣りを楽しむことができるでしょう。価格も10,000円前後と購入しやすいため、初心者からのステップアップや中・上級者のサブ機としてもおすすめできます。もちろんそれ以外の釣りでも十分な性能を備えているので、汎用性は高いといえます。
17アルテグラ1000が向いていない人
逆にアクションのしやすさ、感度の高さが必要な釣りをメインにする方にはおすすめできません。そうした釣りに使用する場合は前作の12アルテグラやダイワの18フリームスLTなどを選ぶと良いでしょう。クイックレスポンスシリーズとLIGHT TOUGHコンセプトは似たテーマをもとに開発されているため、どちらを選択しても快適に釣りを楽しめます。
巻きをメインにした釣りには最適、しかし前作との違いに注意が必要。
今回は、17アルテグラ1000についてインプレッションしました。アルテグラシリーズはシマノの中でも長い歴史を持つリールで、基本性能の高さとコストパフォーマンスが特徴です。2017年のモデルチェンジで大幅な仕様変更が行われ、前作の12アルテグラとは異なる特性を持つリールとなっています。17アルテグラ1000は、ライトゲームの中でも巻きをメインとした釣りに最適なモデルで、初心者からのステップアップや中・上級者のサブ機としてもおすすめです。