ダイワ・20クレストと同様、実質6,000円前後で手に入るモデルながら、切削することなく、200t以上の圧力で、素材を熱することなくプレスする「冷間鍛造」で、ミクロン単位の精度に仕上げられたドライブギア「HAGANEギア」や、「AR-C(オールラウンドキャスト)スプール」を備え、基本性能はひと通り押さえているモデルです。さらに、持ち重りを低減するため、リールの重心をリールフット部の手元付近に持ってくるための部品レイアウト「G-フリーボディ」も採用されているため、カタログ重量245gよりも軽く感じることができるでしょう。
2021年にフルモデルチェンジを行い、もともとコスパの高かった、カーディナル2が、更に進化し、カーディナル3として生まれ変わりました。STXシリーズはカーディナル3の最上位モデルで、アルミ替えスプールが付属しながら5,000円前後で手に入るモデルです。しかし、2021年のモデルチェンジで、アルミマシンカット製ねじ込み式ハンドルが採用されガタツキのないハンドルになったことで、巻きの精度が格段に向上しました。この価格帯でねじ込み式ハンドルが採用されている機種は他にはありません。また、アブガルシア独自スプール形状、オシレーションスピード、ベール角の制御により、ライン放出をよりスムーズに行う、ロケットラインマネジメントシステムが、ビギナーのファジーな操作にも文句言わずに耐えてくれます。
次に、堤防やサーフからのフルキャスト釣りにおすすめのスピニングリールを紹介します。このカテゴリーは、スプール径が大型であること、スプールストロークが長いこと、ラインキャパが大きいこと、ハンドル長が長いことなど、汎用スピニングリールとは全く異なった設計となっています。その代わり、汎用スピニングリールでは到底飛ばせない場所まで軽々と仕掛けを飛ばす力があります。
シマノのエントリークラスのサーフキャストリールの中で最もおすすめのハイコスパモデルです。実勢価格14,000円前後で本格的なサーフキャスト釣りができます。大口径ドライブギアから入力されるパワーをロスすることなくローターの回転に伝達する、最適化されたギアレイアウトの「X-SHIP(eXtra Smooth with HIgh Power)」が搭載され、スムーズでパワフルな巻きを体感できます。また、キャスト時にラインがガイドなどに不用意に当たってパワーロスしないよう、スプールの中心線とロッドを平行に配置する構造「パラレルボディ」も搭載、ギアのパワーロス、ライン放出時のパワーロスを極力低減する機構が織り込まれています。ラインキャパもPE0.8号で250m巻けますので、サーフでのシーズン終盤の大型シロギス狙いなど大遠投の釣りに頼もしい一台です。自重450gと、このクラスのリールとしては比較的軽量で、「G-フリーボディ」がさらに持ち重りを解消してくれるのも魅力です(ドラグレスモデルですのでご注意ください)。
シマノ・14スーパーエアロ スピンジョイ 30と並びコスパが高くおすすめのサーフキャストリールがダイワ・17ウインドサーフ 35 細糸仕様です。ボディとローターの隙間を磁性流体でふさいだ「マグシールド」による非接触シールドを施し、パワー損失ゼロで水やほこりなどを完全にシャットアウトすることができます。また、ダイワが「ローター革命」と自ら名乗る、特殊な形状の「エアローター」が、回転時の遠心力やラインからラインローラーを伝わりローターにかかる負荷を分散させ、剛性を保ちつつ劇的な軽量化を果たし、ローターの始動の軽さ、回転の安定に寄与します。他にも、巻き上げ時の糸ヨレを解消する「ツイストバスターⅡ」や、特にPEの細糸を使用した際に発生する、スプールに巻かれる際に、既に巻かれているラインの中に食い込んでしまうトラブルを解消する「クロスラップ」など、毎投フルキャストのパワーフィッシングを続けてもトラブルを起こさない工夫が満載です。12,000円前後で入手できます(ドラグレスモデルですのでご注意ください)。
シマノ・14スーパーエアロ スピンジョイ 30 のドラグ付きモデルです。ドラグが付いたことで、ドラグレスモデルでは難しかった、大型魚とのファイトも充分楽しめます。PE2号が200m巻けるため、ヒラメ、マゴチ、スズキ、カレイなどはもちろん、青物狙いのカゴ投げ釣りにも対応できます。X-SHIP、パラレルボディ、G-フリーボディ採用で、さらに太糸用の替えスプールまでついて、実勢価格17,000円前後と、コスパ文句なしのモデルです。
ショアジギングは、疑似餌にライブ感を与え、フィッシュイーターに食わせる釣りです。そのため、ライン、ロッド、リールを駆使して先端のルアーに魚としての生命を吹き込まなければなりません。また、大物がかかる可能性が高く、強靭なギア機構、高性能のドラグが求められます。そのため、感度と剛性をバランスよく両立したものを選びましょう。
2021年にダイワが新たに開発したカーボン繊維強化プラスチック「ZAION V(バーサタイル)」をボディおよびローターに採用し、樹脂素材最高強度を持つZAIONに近い剛性を保ちつつ、さらなる軽量化とコストダウンを実現したモデルです。マグシールド防水、タフデジギア、LC-ABSスプールと言った、上位機種に採用されている機能を一通り網羅していて、実質15,000円を切る価格で入手できます。ハンドル1回転当たりの巻き長さが99cmと、ハイスピードアクションを得意とし、ブリ、ヒラマサといった、大型青物以外のライトショアジギングは全てこれでこなせるでしょう。オフショアでのタイラバやタチウオジギングなどでも活躍すること請け合いです。
ダイワ・21フリームス同様、2021年にフルモデルチェンジをしたアルテグラですが、これまでのモデルチェンジとは大きく変わり、これまでシマノのハイエンドクラスのモデルにしかさいようされていなかった、マイクロモジュールギアⅡや、サイレントドライブ、シマノの最高クラスの防水構造である「X-プロテクト」が採用されています。ここまで新たな機構が搭載されたにも関わらず、実勢価格15,000円前後で手に入るという、まさに業界騒然となった大幅なフルモデルチェンジでした。
この21アルテグラの大幅なモデルチェンジが以後のエントリークラスのモデルのスタンダードとなって行くようで、21アルテグラ以降モデルチェンジした下位モデル、ナスキーやサハラにも次々と上位モデルの機構が新たに採用されました。
アブガルシアのフラッグシップ「REVO」シリーズの設計をそのまま踏襲し、REVOの機構を随所に取り入れながら、実質11,000円前後で販売されている、超ハイコスパモデルです。アブガルシア独自の高強度アルミ鋳造合金「DURAMETAL」一体ボディでドライブギアを支持する構造のため、モノコックボディに近い構造で、軸心がブレないギアマウントが可能です。また、アブガルシア独自機構の「2way DRAGシステム」は、ドラグワッシャーの並び順を組み換えるだけで、ToughモードとLightモードの切り替えができる機構です。ショアジギングの場合はToughモード(デフォルト)のままで良いですが。デュラカーボンハンドルなど、マニアックなギミックが人気の高性能モデルです。
最後に、磯フカセ釣りにおすすめのスピニングリールを紹介します。フカセ釣りは、柔らかい磯竿を使い、ロッドのしなりを利用してレ魚を浮かせてキャッチするのですが、クロダイやメジナはパワーが強いので、竿を伸されてしまうことが多いです。そんな時、レバーブレーキ式リールであれば、ブレーキレバーの操作で素早くラインを出し、伸された状態を解消することができます。
レバーブレーキ式スピニングリールは、レバーを引いているときはローターが逆転しない状態でありますが、レバーを離すと瞬時にローターが逆転してラインが出て、ロッドを立てて体勢を立て直すことができます。非常に便利でラインブレイクの危険を大幅に軽減できるのですが、非常に高価であることが欠点です。そんな中でも、比較的安価で入手できるおすすめモデルを紹介します。
これまで、レバーブレーキ式スピニングリールの価格としては考えられなかった、メーカー希望小売価格25,000円という破格のモデルです。実質20,000円前後で入手できるでしょう。最廉価なレバーブレーキ式スピニングリールであるにも関わらず、ハイエンド機種と同じ、「BITURBO(バイターボ)ブレーキシステム」を装備しています。これは、チタン製ブレーキディスクを採用し、従来モデルの2倍のブレーキ効率(=レバーを引く力を従来の半分程度で確実にローターを止められる)を実現したもので、ほとんどの場面でレバーを引き続けている、レバーブレーキ式スピニングリールを使った釣りでの疲労軽減に大変役立ちます。
上位機種との差異は、ボディ材質、ローター材質、ブレーキレバー材質と、それによる剛性感と自重の違いがメインで、機能はハイエンド機とほぼ遜色がない、大変コスパの高いモデルです。
シマノのレバーブレーキ式スピニングリールの最廉価グレードながら、HAGANEボディ、HAGANEギア、X-SHIPなど、基本的なシマノテクノロジーは押さえてあるモデルで、メーカー希望小売価格は28,900円というモデルです。2016年発売と、モデルとしては古いものになるため、実勢価格は20,000円を切るケースが多くなっています。手軽にレバーブレーキ式リールデビューをしたいと考えているアングラーにはおすすめです。
釣具の性能は、価格に正しく比例します。しかし、ハイエンド機を買ったからと言って、釣果が劇的にあがることはありません。高級なタックルは、機能が洗練されていて、スムーズかつクリティカルな動作ができること、それによりストレスの少ない釣りができることはまぎれもないじじつです。また、耐久性が高いこともハイエンド機の特徴です。謂わば「質の良い状態が長く続く」のが安価な機種との一番の違いです。しかしその差は、釣行のたびに行う正しいお手入れとメンテナンス、定期的なオーバーホールである程度埋めることができると思います。
メーカーもわからない激安タックルは別として、1万円クラスのリールの性能はめざましく向上しており、巨魚狙いや超軽量仕掛けを扱うフィネスゲームなど、一部の特殊な釣りを除けば、ほとんどの釣りは問題なくできます。2万円出せれば、さらに巻がなめらかに出来るでしょう、3万円出せればさらに巻きをなめらかに、自重も軽くできるでしょう。5万円、10万円出せればさらに軽く、強いリールが買えるでしょう。
しかし、だからといって、「より大物が釣れる」、「よりたくさん釣れる」保証も根拠もないのが現実です。トーナメンターはハイエンドモデルで固め、手返しの良さを追求する、感度の良さを追求するということも必要でしょうが、私のような小遣い制のサンデーアングラーは、如何に安くて使えるタックルを手にすることができるかということに腐心していたりします。「安物買いの銭失い」とならないよう、情報収集だけでなく、実物を釣具店や展示会などでたくさん触って審美眼を養い、楽しく釣具集めをしたいものです。
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