特に、パパに知っておいて欲しいことになりますが、海釣りでは、非常にたくさんの危険な魚、危険な生物に遭遇します。これを家族誰も知らないという状態は避けなければなりません。
身に毒があり食べられない魚はモチロン、粘液に毒を持つものや、ヒレに毒針を持つもの、毒はなくとも、鋭い棘を全身に持つものや、鋭い歯で噛みついてくるものなど、自然界で捕食者から自分の身を守るために様々な手段で武装している生き物がたくさんいます。
写真上のハオコゼなどは、子供の仕掛けによく掛かります。小さくて可愛い見た目ではありますが、毒針を持っていて、子供が刺されると激しい痛みと腫れ、発熱などの症状が続くこともある危険な魚です。他にも、写真下のキタマクラをはじめとするフグの類、ゴンズイ、アイゴ、エイなど、毒針を持つ魚、ウツボなど、噛まれると怪我をする魚などの他、クラゲ類やウミケムシなどの毒を持つ生き物についてはひと目で見分けられる知識をつけておきましょう。
家族連れ、特に子連れの釣行となると、安全のため、主役を子供に設定しなければなりません。子供を常に監視し、ヘチ際にカニなどの生き物を見つけ、身を乗り出して海面を覗き込むなどの危険な行動を取っていないか、仕掛けが絡まったり根掛かりしたりしていないか、子供が飽きてそぞろになっていないかなど注視しなければなりません。大人が自分の釣りに夢中になる暇はないと思った方がいいでしょう。
ファミリーフィッシングは、夕飯のおかずを釣ることを目標にしてしまうとノルマっぽくなり、精神衛生上よろしくないので、楽しい思い出づくりに専念しましょう。釣れても釣れなくても、家族でのんびり釣りを楽しむことに主眼を置き、おかずになる魚が釣れればラッキー、くらいのつもりで、ゆる〜く楽しむのがちょうどいいと思います。
そんなライトなファミリーフィッシングに最適なタックル選びについて考えてみましょう。
ファミリーフィッシングのタックル選びの一番最初はフローティングベスト(ライフジャケット)です。家族全員分必要です。大人はフリーサイズが多いですが、子供のフローティングベストはサイズのバリエーションが多いので、必ず体格にあったものを釣具店で試着してから、ジャストフィットするものを購入しましょう。
この写真は私の娘と息子です(現在は二人とも成人しています)が、当時娘は小学4年生、息子は幼稚園年長でした。釣具店に連れて行き、実際に着せてみてジャストフィットするものを購入しました。子供はすぐに背が伸びるので、フローティングベストは随時買い替える必要があります。
フローティングベストに関しては、「どうせすぐに小さくなって着れなくなるから大き目のを買っておこう」という考えは絶対にNGです。身体のサイズに対して大きいものは、万が一落水してしまったときに脱げてしまう危険性があります。必ず身体のサイズに合ったものを購入し、必ず脱落防止の股ベルトに足を通してしっかりと固定しましょう。
子供用のロッドは、どんな釣りをやるかに関わらず、ちょい投げロッドが使いやすく、穂先の破損も少ないでしょう。ちょい投げ釣りには、海釣りの基本的な技術が網羅されており、あらゆる釣りに応用が利く釣りと言えます。釣具店で、ロッドにリールがついている安価なセットでまずは構いません。
重要なのはロッドの長さです。子供は身長が低く非力なので、長いロッドは取り回しができません。かと言って、1mを切るような極端に短いものも子供には扱いづらいでしょう。経験のない子供が取り回しがやりやすい長さは、身長の2倍くらいまでだと思います。身長120cmなら2.4m、130cmなら2.7mくらいまでが扱いやすいでしょう。
子供が最初に扱うロッドは、どんな釣りをやるかに関わらず、ちょい投げロッドがおすすめです。ちょい投げロッドは、ちょい投げ釣りの他に、サビキ釣りも出来ますし、ウキ釣りやちょっとしたルアーフィッシングも対応可能、汎用性があって使いやすいでしょう。
まずはこれくらいのタックルで、20m〜30mくらいまでのちょい投げが上手に出来るようになるまで練習しましょう。ちょい投げの基礎が習得できたら、距離を伸ばすために、ロッドの長さを3m、3.3m、3.6m、3.9mと伸ばして行き、錘の号数も10号、12号、15号、18号、20号と、重くして行けばよいでしょう。
ファミリーフィッシングは、どうしても子供のアメニティを考慮する必要がありますので、荷物が多くなってしまいますが、車で出かけることが出来るのであれば、持って行った方が良いというものをあげておきます。
まずはコンパクトな折りたたみ椅子です。釣りをしている時はもちろん、釣れなくて少し飽き気味の時も、椅子に座らせておけば、チョロチョロと歩き回ったりせず、大人が見守りやすくなります。釣りをする際は、椅子は水際から少し離した場所に置き、仕掛けを投入させたら椅子に座らせて、椅子から前に体が出ないように工夫しましょう。しかし、あまり後に下げすぎると子供は椅子ごと前に出ようとしますので、加減が大事です。
厚みのあるキャンプ用のマットは大変便利です。荷物置き場にするほか、子供が休憩したり飲食したりするベースに設定しておけば、無駄にチョロチョロしません。表面にアルミシートが貼ってあるものはクッション性や断熱性もあり、夏は熱くならず、冬は冷たくならないため、薄いレジャーシートよりはるかに快適です。眠くなったら昼寝させてしまっても良いでしょう。
非常嵩張る荷物ですが、薄手のタオルケットや毛布などがあれば、もし子供が寝てしまったときに掛けてあげられますので安心です。突然の雨などで身体が濡れてしまった時にも、これらがあると大変便利です。
夏の釣りの場合は言うまでもありませんが、冬の場合でも、飲み物は潤沢に持ち込みましょう。また、お菓子類なども適当に準備し、遠足気分で釣りを楽しむと良いでしょう。食事は、コンビニエンスストアのおにぎりなど、傷みにくいものを人数分持ち込みましょう。
準備万端整ったら、いよいよ釣りに出かけましょう! 子供たちは無邪気に「マグロを釣りたい」とか、「釣れたらお寿司にしたい」とか、いろいろ言うでしょう。しかし、初めての釣りですので、ここは魚種不問、サイズ不問で、まずは1匹を釣らせることに腐心しましょう。子供たちに小さな成功体験を、ひいては釣りの楽しさを味わわせることが、初めてのファミリーフィッシングの目標点です。
経験のない子供とのファミリーフィッシングでの釣り方は、ちょい投げ釣りがおすすめです。サビキ仕掛けで小物を数釣りするのも良いですが、仕掛けの取り回しの簡単さを考慮すると、ちょい投げ釣りに軍配が上がります。小型の天秤に8号~10号程度のオモリを付け、市販のちょい投げ用2本針仕掛け(幹糸2号、ハリス1号、針は流線形5~6号若しくは丸せいご7号程度)を接続したものに、青イソメを刺した仕掛けが扱いやすいでしょう。
虫エサが触れないという場合は、マルキュー「パワーイソメ」などの人工餌や、イカを5mm角くらいに切ったものの、サバやサンマを細い短冊状に切ったものなどを使いましょう。これらの餌で、ちょい投げ釣り対象魚のほとんどの魚種を釣ることができます。最初のうちはエサ付けは親がやってやる必要があると思いますが、要領をよく見せて、早期に自分で出来るようにしてあげましょう。我が家の場合は、娘があっという間に仕掛けの作り方、餌の付け方を習得し、弟の分も面倒みていたので、今思えば私はかなり楽をさせてもらいました。
子供は往々にして、釣りを始めたらすぐに魚が釣れると思っています。そのため、釣り開始から30分も1時間も何も釣れないと、すぐに飽きてしまい、帰りたいとか、お腹すいたとか眠いとかいろいろと面倒なことを言ってくるかもしれません。しかし、そこでガマンさせて釣り続けさせるのも得策ではありません、そんな時は子供に休憩させて、パパが一匹釣って見せましょう。ここは父親の矜持として、何が何でも一匹釣り上げ、子供に魚を見せてあげましょう!
すると現金なもので、子供は釣りを再開します。そして、場所を移動したり、釣れている人の場所の近くに竿を出させてもらったり、餌を大きくつけてみたり小さく付けてみたり、子供ながらも釣るための工夫をあれこれしはじめます。そうなったらもうファーストフィッシュは時間の問題です。
雑魚でも外道でも構いません。海で自力で一匹釣り上げたという事実が、子供の一生の記憶として強烈に焼き付けられるはずです。これこそが、ファミリーフィッシングの醍醐味です。
いかがでしたでしょうか? ファミリーフィッシングは釣れても釣れなくても楽しいものです。釣れたら家に持ち帰り、夕飯のおかずにして、釣り談義に花が咲き、釣れなければ帰路買い食いでもしながら、次は頑張ろうとリベンジを誓う。子供が家族と釣りに行く時期なんて短い間だと思います。その短い期間、親子のかけがえのない思い出をたくさん作りましょう!
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