2004
アルミ製のスプールや巻き心地を追求したエアローターという技術は同じですし、自重も変わらず、ベアリング数も一緒なのが見て取れますね。ドラグシステムにおいてはEM MSの方が「ATD」という高性能なものを搭載しています。機能以外での大きな違いと言えば価格です。このように14カルディアと同等のスペックにも関わらず、EM MSの価格が約4,000円も安いという事が、当時話題となった大きな要因です。
まず特筆すべきは、防水機能です。今では当たり前となっている「マグシールド」を搭載する事で、ソルトゲームにもしっかり耐えられるモデルとなっています。さらに先ほども記載したように、このリールにはATD(オートマチックドラグシステム)が搭載されています。不意に大物が掛かった時は優しく糸を出すように自動で調整をしてくれるので、ラインブレイクといったトラブルを軽減する事ができます。この「ATD」という技術は現在では当たり前のように使用されていますが、ドラグの調整が釣果の要と言えるエギングにおいては、非常に重宝される技術です。
EM MSには、全部で10つのラインナップがあり、2000〜4000番代の比較的中サイズのリールに絞られています。下記が一覧になります。
番手によって対応魚種は異なりますが、EM MS 2500番代の3つのラインナップにおいては、エギングに向いているリールであるといえます。「軽さ」「ATDの搭載」という強みを考えると、当時のエギンガー達の注目を集めたという事もうなずけますね。ちなみに、2000番代はアジングやメバリング、タイラバや青物などの引きの強い魚と闘う場合は3000番・4000番がオススメです。
ここまで良い事を沢山書いていきましたが、実は2018年に「EM MSシリーズ」は商品価値は大きく落とし、人々の人気が離れてしまいました。要因は、同じダイワ内からTLコンセプトを掲げた「18フリームス」が誕生してしまったからです。まずはこの2つのリールスペック比較表をご覧下さい。
項目 | EM MS 2004 |
18フリームス LT2000S |
---|---|---|
ギア比 | 4.8 | 5.2 |
最大ドラグ力 | 2kg | 5kg |
自重 | 205g | 190g |
ベアリング | 6/1 | 5/1 |
ナイロン糸巻量 | 3lb-140 | 3lb-150 |
PE糸巻量 | 0.4号-120 | 0.4号-200 |
価格(当時) | 20,900円 | 15,800円 |
ご覧のように、ベアリングが一つ少ないという事くらいで、その他のスペックはEM MSの全てを上回り、さらに価格も5,000円くらい安いのです。18フリームスはこのLTコンセプトによってボディ、スプール、ハンドルといった細部までの徹底した軽量化が施され、従来のモデルでは太刀打ちできない最強のリールとなりました。この結果、EM MSシリーズは一気に製品価値を失ってしまったという訳です。正直、ダイワ全体がLTコンセプトになりつつある今、EM MSシリーズが再び日の目を浴びる事は無いでしょう。
2016年の発売から2年でその役目を終えたEM MSですが、当時はコスパ最強のとても良いリールであった事に間違いはありません。ただ、技術の進化が進んだ現在において、リールの機能や価格を重要視するのであれば、18フリームスを買う方が堅実だという意見が多いです。
もしこのEM MSを敢えて買うとするならば、エギングのサブ機を超低価格で用意したい時に中古品で購入するのは有りかもしれません。18フリームスは中古であってもまだ価格が高いです。さらに18フリームスと比較をすると確かに劣ってしまう部分は多いですが、このリール単体でみた場合、その性能は十分過ぎるほどのハイスペックであると言えます。
いかがでしたでしょうか?たまに今でも釣具屋のショーケースに入っていることがある「EM MS」。なんか他製品と比べても安いので、気になって調べらる方も多いのではないでしょうか?EM MSの購入を検討されている方にとって、この情報がリール選びの参考になって頂ければ幸いです。
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