紅葉の湖でヒメマスをルアーで釣って楽しもう!
作成:2021.06.29更新:2023.04.17
目次
意外と知っている?ヒメマス(姫鱒)とは?
今回はヒメマス(姫鱒)のルアーフィッシングをご紹介します。まずヒメマスをご存じではない方も多いと思います。でも、もしかしたら食べたことはあるかもしれません。ではどんな鱒なのか?通常ヒメマスと呼称されますが北海道ではチップと呼ばれています。アイヌ語で【魚】の意味です。そのぐらい昔から生息しているイワナやヤマメなどと同じく日本のネイティブトラウトの一種です。元々の生息場所は阿寒湖とチミケップ湖です。ヒメマスは陸封された淡水湖での名前です。
このヒメマスが降海して成魚になるとベニザケ【紅鮭】と呼ばれます。紅鮭の表示はスーパーとかで見たことありませんか?多分一番多いのはコンビニのおにぎりですね。そう考えると一番食されている鮭なのかもしれませんね。そんな美味しい鱒が陸封された淡水の湖で育ったのがヒメマス(姫鱒)です。淡水育ちなので鱒なのですが刺身で食べられます。北海道の支笏湖では6月~8月がチップ解禁となり道内のお寿司屋さんなどで食べられます。個人的には日本で食べられる鱒の中で一番美味しいと思います。
ヒメマスの生息域とその生態とは?
先程ご説明した通り、元々生息していた場所は阿寒湖とチミケップ湖で生息していた鱒です。そこから道内の支笏湖や倶多楽湖、洞爺湖そして本州の十和田湖や中禅寺湖、南は芦ノ湖まで移植されています。芦ノ湖でのボートでのヒメマストローリングは【ヒメトロ】と呼ばれており有名ですね。
そんな意外とポピュラーなヒメマスですがその生態は他のマス類と少し違います。水温は低く10℃前後を好みます。ところがヒメマスは他のマス類と違い冬の間はほとんど成長しないんです。成魚といっても大体30cm前後になるのに4年かかります。成魚になるとオスは真っ赤な婚姻色と背中が盛り上がる独特な形状(セッパリ)になります。メスも真っ赤な婚姻色になり産卵場の川は赤く染まります。紅鮭の由来です。そして産卵後はオスメスともに死にます。淡水のマス類の中でも最も短い人生(魚生?)と言われています。
日本の湖でヒメマスを釣ることが出来るフィールド
- 支笏湖(北海道)
- 阿寒湖(北海道)
- 屈斜路湖(北海道)※写真
- 十和田湖(青森県・秋田県)
- 沼沢湖(福島県)
- 中禅寺湖(栃木県)
- 湯ノ湖(栃木県)
- 野尻湖(長野県)
- 青木湖(長野県)
- 西湖(山梨県)
- 本栖湖(山梨県)
- 芦ノ湖(神奈川県)
湖で釣りをする場合は各漁協のHPを確認してから釣行してください。禁漁期間や禁漁区域が設定されておりますのでご注意ください。
ヒメマスの習性
ヒメマスは他の鱒と比べ、速く泳げません。底の方で意外とじっとしていたり沖を群れで回遊します。ベイトは幼魚の時はプランクトン、成魚になると水生昆虫やワカサギやトンギョなどを捕食します。そして成魚になりますが産卵時期になるまではほとんど岸寄りしません。ですのでヒメマスを釣るにはトローリングが一番釣れるわけです。ヒメマスが岸寄りするのは産卵期の秋口から晩秋にかけて産卵場所となる河口へ集まってきます。
ヒメマスをルアーで釣るためには?
さて、今回はトローリングではなくルアーフィッシングでヒメマスを狙うわけですが、ヒメマスの習性を考えると秋の河口周辺ということになります。ところが産卵期になるとエサはほとんど捕食しないんです。ではどうやってルアーで釣るのか?産卵期に入るとベイトを追い回すという行動はとらないのですが、逆に産卵行動をとるため攻撃的になるんです。その習性を利用して釣ります。
フィールドごとのポイント攻略
河口周辺
一番ヒメマスが集まっているポイントになります。ルアーをキャストすると一撃で釣れるということも稀ではありません。魚が見えちゃっていますのでサイトフィッシングになります。この釣りが楽しいというアングラーの方にはオススメですが釣りというより漁に近くなりますのでヒメマスのルアーフィッシングを楽しみたいというアングラーにはあまりオススメしません。産卵中のヒメマスもいますので個人的には気が咎めますね。
湖岸(ワンド)
湖の岸にはワンド(湾処)があります。特に川が流れ込んでいない場所はヒメマスを狙うアングラーはあまりいません。実はこれが盲点でヒメマスはこのようなワンドに結構いるんです。ヒメマスは泳ぎが速くないので他の大型の鱒に狙われやすいのです。特にメスは卵を抱えているため特に狙われやすく風や波の少ないワンドの岩陰で身を潜めています。当然メスがいるのでオスも寄ってきます。人が居ないポイントをよく観察しましょう。狙うのはカケアガリから岸側の浅瀬部分。ロッドは7fぐらいで静かに探りましょう。
岬
湖にはいくつか岬があります。岬近くには大小さまざまな川がある場合も多く人気のスポットになります。私がオススメするのは河川が無い不人気なポイントです。ここもアングラーが少ないです。当然みなさん川がある方に集まります(ヒメマスが見えちゃってますからね)でも何の変哲もなく人気のない岬が好ポイントです。特にオスを狙いたいアングラーにオススメです。産卵行動をとっているヒメマスは河口に集まります。ヒメマスが集まってくるということはまだ回遊しているんです。
特にオスは産卵前に荒食いしている場合も多くそんなオスのヒメマスはまだ沖の方にいるんです。沖から河口やワンドに向かうための回遊ルートを狙うには岬が一番近いということになります。岬周辺に入渓する際は8f以上のロッドで出来るだけ沖にキャストすると釣果が上がります。遠めで掛かったオスのヒメマスはジャンプして良い引きなのでヒメマスのファイトが楽しめますよ!
ヒメマスが釣れるルアーの種類とは?
ルアーには豊富な種類がありそれぞれいろんな使い方がありますがヒメマスに効果的なルアーチョイスをご紹介します。これは夏のヒメマストローリングはヒメペラというブレードを何枚も付けて流しワカサギなどのベイトの群れを演出する釣法です。それに対して秋のヒメマスにはヒメマスの攻撃性を利用して釣ります。若干アユの友釣りっぽいです。もしかしたらヒメマスの友釣りもできるかも(笑)。ではその攻撃性を生かした釣れるルアーの順番でご紹介します。
ミノー
メスに一番反応がいいのがミノーです。大きさは5~9cmほどのナチュラルカラー。DUO(デュオ) ルアー スピアヘッドリュウキ50SPなどです。個人的にはお腹の部分が赤いルアーの釣果が多いと感じます。ワンドのメスを狙う時におすすめです。
ジグスプーン
オスに効果的です。GOD HANDS(ゴッドハンズ) RAiGA センターウェイト 14g アライブシリーズ GRYがおすすめです。14gで細身なので飛距離が出ます。センターウエイトなのでリーリング時のルアー姿勢が良くヒメマスをやる気にしてくれます。岬でのロングキャストでオスのヒメマスを狙いましょう!
スプーン・スピナー・ジグ
これらのルアーも釣れますが釣行する時期や湖のベイトによって考えましょう。ワカサギなどのベイトが少ないフィールドではヌマエビやトゲウオ、水生昆虫を捕食している可能性があります。その場合はスピナーや小型のジグ、スプーンも効果的です。
ヒメマスの釣果を上げるルアーのカラー・重さ選択とは
ルアーカラー
秋の産卵前のヒメマスはオスメスともに身体が赤く染まります。周辺の木々も紅葉して赤い落ち葉も落ちている状況。夏や春であれば派手な色となりますが秋の赤というカラーは湖では珍しくない(さほど目立たない)カラーとなりナチュラルカラーになります。この赤を中心にゴールド系やシルバー系をチョイスするといいでしょう。逆に目立つカラーはチャートカラー(蛍光黄色+蛍光緑系)になります。赤系ばかりキャストしていると反応が悪くなりますのでルアーのローテで使用するには良いと思います。
ルアーの重さ、形状
重さは入渓するフィールドによります。秋の時期は数10mとった深場にはいません。浅瀬の底付近、沖目の表層付近を狙える重さが良いでしょう。ミノーだと5~7g程度のシンキングミノー、ジグスプーンだと重くても14gまででリーリングすれば浮いてくるセンターウエイトタイプ。がおすすめです。
ヒメマスの釣り方(実釣を交えて)
さて、ヒメマスの生態からポイントそしてルアーチョイスまでご説明しました。ここからは実際の釣り方です。私は屈斜路湖と支笏湖で狙いますがその時のルアーテクニックをご説明します。
ミノーでの釣り方
まずはミノーです。軽めのミノーなので通常は飛距離が出ませんがロッドやリールの組み合わせで飛距離がでるようにします。後ほどオススメタックルをご紹介します。ミノーを使うのはワンドが多いのですが湾になっているポイントのどこから狙うかです。アングラーの立ち位置ですができるだけ太陽に背を向けられる場所、日陰に立ってください。
産卵期のヒメマスは警戒心が強いので人の気配があると逃げるか逃げなくても絶対にバイトしなくなります。明るい場所にアングラーがいるとすぐバレますので気を付けましょう。ワンドの場合は水が動かない、波が立っていない静かなポイントに潜んでいます。
ポイントを見つけたらまず1投目はその奥にキャストし静かなポイントを通過するように少し早巻きします。2投目は同じく奥にキャストしデットスロー+止めるを繰り返し通過させます。この繰り返しです。ほとんどが2投目でバイトしてきます。4回ほど繰り返して反応が無ければそのポイントを覚えておき、別のポイントを攻めましょう。時間を空けてもう一度このポイントを攻める。
ジグスプーンでの釣り方
次にジグスプーン(ジグミノーでもOK)です。14g程度の10cm前後のルアーをチョイスしましょう。ロングキャストができるのでできるだけ沖にキャストしますが狙う場所があります。沖からワンドの一番奥に向かうライン、遠くにある河口に向かうラインです。届かなくてもその近くへキャストするイメージを心がけます。
着水後、糸フケを回収してゆっくりデットスローでリーリングします。ルアーの重量があるのでそのままだと沈んでいくので3巻きしたらシャクってルアーを浮かせます。そしてデットスローという繰り返しです。遠目を狙う時はこのパターンのみであとはルアーのカラーチェンジでローテーションしていきます。
ヒメマスをランディングする時のテクニック
ヒメマスをゲットするにはちょっとしたランディングテクニックが必要です。ヒメマスは他の鱒と比較にならないほど歯が鋭いのです。特にオスは写真の様にワニ顔になり魚の歯というより牙に近いです。そんな歯が絡まないようにランディングネットはラバーネットをおすすめします。渓流用のクレモナ糸のネットでは歯に引っかかります。ネットも傷みますしとにかくヒメマスが傷んでしまいます。
ランディングする際のテクニックですがヒメマスはこんな顔をしていますが口が柔らかいんです。寄せる際に強引にネットに入れようとするとバレる確率が上がります。ネットを水の中に入れて置き誘導するようにネットインするイメージを心がけましょう。
おすすめタックル紹介
ミノーの場合
6~7f程度のLで出来るだけ胴調子のロッド。軽いミノーがキャストしやすく取込時にロッドがいなしてくれます。リールは2000~2500番のノーマルギアがおすすめです。
ジグミノーの場合
8~9fのMLでこちらは先調子のロッド。15g程度までキャスト可能であればよいです。沖目でヒットするとヒメマスはニジマスと同じぐらいジャンプしたり走ります。ある程度パワーに負けないロッドが必要です。硬さがMだとヒメマスの口が柔らかいため口切れしやすいです。リールは2500番のハイギアか3000番のノーマルギアがおすすめです。
フィッシングトラウトとして楽しく美味しいヒメマス
いかがでしたか?紅葉と一緒に秋のヒメマスフィッシング。是非お近くのフィールドにドライブしながらお出かけになってみてはいかがでしょうか。小さなヒメマスでもパワフルな鱒です。しかも美味しいです。湖によっては釣る数の制限もありますのでルールとマナーをきちんと守り未来も釣りができるようリリースを心がけて、大切なヒメマスを乱獲しないようにお願いいたします。