あのシマノ・キススペシャルが45mmストロークになり、名実共に最高峰モデルになった!

作成:2022.08.16更新:2022.08.16

シマノ初の45mmロングストロークモデル、キススペシャル45 シマノ公式

シロギス釣りは全国各地でトーナメントが開催されるほど、ゲーム性が非常に高い釣りです。シロギスを釣ること自体はさほど難しくはないのですが、限られた時間の中で数を追求する、或いはサイズを追求する競技会においては、アングラーの技術の差がはっきりと釣果に表れます。トーナメントで上位に勝ち残ってくる人は、これまでの知識と経験で、シロギスが溜まっていそうなポイントを見つける能力が高いことはもちろんですが、何よりも「広範囲を」、「手返しよく」探っています。

「手返しの良い釣り」とは、限られた時間の中で、「釣りをしていない時間」、例えば、餌つけ、釣れた魚を針から外す、仕掛け交換、トラブル対応などの時間を最小限に抑え、「実釣時間」を1分でも長くとるために、徹底して効率化された釣りのことをいいます。そのためには、ロッドやリールなど、道具にも徹底的にこだわり、トラブルレスで飛距離を1mでも2mでも伸ばすための工夫を惜しみません。

シロギス釣りは、飛距離が絶対的な正義となりやすい釣りです。そのために、ロッドやリールにはじまり、シンカーや天秤などにいたるまで、シロギス釣りの競技用として開発されたタックルも数多く販売されています。そんな中で、2022年、シマノが初めて45mmロングストロークスプールを搭載した、シロギス専用機、キススペシャル 45を満を持して発売しました。どんなリールなのか、従来モデルのキススペシャルから何が進化したのかなどについて解説いたします。

シマノ初の45mmロングストロークモデル!

2022年春のフィッシングタックル業界は、ダイワ・22イグジスト、シマノ・22ステラという、業界を牽引する二大巨頭の汎用スピニングリールのフラッグシップ機のフルモデルチェンジで大いに盛り上がりました。その陰に隠れてしまった感がありますが、シマノのサーフキャストリールにもセンセーショナルな出来事がありました。シロギス釣り専用サーフキャストリール・キススペシャルのフルモデルチェンジです

シマノの大型サーフキャストリールのフラッグシップモデルは、これまでも「キススペシャル」の名を冠してきました。1982年に発売された、チタノス・スーパーエアロ キススペシャルから始まる同社のフラッグシップサーフキャストリールの歴史の30年目の節目に、現在持てるシマノテクノロジーをほぼ網羅し、その上同社初の45mmロングストロークスプールを備えた大遠投モデルとして、ダイワ・トーナメントサーフ45と並ぶ、名実ともにサーフキャストリールの最高峰モデルへと進化しました。

なお、キススペシャル45は、ノーマルモデルの他、競技会で勝つためにチューンアップされたCE(コンペエディション)モデルがあります。

35mmストロークと45mmストロークの違い

35mmストロークスプールと45mmストロークスプール篭定釣具店

ここで言う「ストローク」とは、スピニングリールのオシレーションの長さのことを言います。ハンドルを巻くと、スプールが前後に動き、スプールの先端から根元まで、均等にラインが巻かれてゆく機構がありますが、この機構がオシレーションです。

そして、このスプールが前後に動く長さをストロークといいます。そのストロークは、汎用スピニングリールでは17mm前後〜25mm前後までのものが殆ですが、大型のサーフキャストリールでは、大口径で、ストロークは30mm〜35mmのものが多いです。

ストロークが長いということは、スプールにラインをたくさん巻けるメリットと、飛距離を出しやすいメリットがあります。サーフキャストリールのスプールには「テーパー」と言って、スプールの根元から先端にかけて直径が小さくなるよう、わずかに角度がついています。

2°〜5°くらいのテーパーがついているものが多いです。テーパーが大きければラインの放出抵抗は小さくなり、飛びに関してのみ言えば有利ですが、テーパーが大きすぎるとラインがスプールから滑りやすくなり、前方にまとめて放出されやすくなり、ライントラブルのもとになります。慣れないうちはテーパーは2°程度までをおすすめします。

キススペシャル45 CEモデルのオンリーワン機構「45mmストローク対応 スーパースロー10」

キススペシャル 45 CEモデル限定の機構ですが、スプールへのラインの巻きを徹底的に密にさせる、スーパースロー10という、独特のオシレーション機構があります。文字通り、オシレーションがメチャクチャ遅い機構です。どれくらい遅いかというと、スプールが1往復する間に、ラインが100回巻かれるという、超密巻きです。ラインに角度を付けず、ギシギシに密巻きにすることで、ライン放出時の抵抗損失を最小化しています。

スローオシレーションによる超密巻きは、例えば0.4号などの細いPEラインの場合、上のラインが下のラインに食い込んで放出時に引っかかってしまったり、ラインがダンゴ状に絡んでしまったり、トラブルが多くなるのですが、シマノはスプールのテーパーを先端部のみノーテーパーにするなど、独自の技術で対策しています。

この、スーパースロー10は、前モデルである16スーパーエアロ キススベシャル 35CEにも搭載されていましたが、ストロークは35mmストロークでした。また、スローオシレーション自体は、汎用スピニングリールのステラシリーズにも搭載されていますが、スーパースロー10とはスローのレベルが違い、巻きの密度も桁違いであり、飛距離を稼ぐという目的は同じですが、機構としては別物と言っても差し支えはないでしょう。

ダイワが「クロスラップ」と呼び、スプールへのラインの巻きを斜めに綾巻きにすることでライントラブルを出さないよう工夫しているのとは対照的ですね。

リジッドキャスト機構によりフルキャスト時のたわみが大幅に軽減

キススペシャル45のパーツ構成は、ローター材質以外はほぼ22ステラと同じです。ボディ材質はマグネシウム合金、ドライブギアは超々ジュラルミン製HAGANEギア、ピニオンギアは超高強度真鍮、チタン製ワンピースベールと、剛性に関わるこれらのパーツ材質は同じです。ローターのみ、キススペシャル45にはCI4+製ローターが採用されています(22ステラは番手によりアルミスプールとマグネシウムスプールが使い分けられています)。そのため、基本的な剛性は十分です。それに加え、大型サーフキャストリールであるキススペシャル45には、さらに剛性を高める「リジッドキャスト」機構が追加されています。

リジッドキャスト機構は、キススペシャル45にのみ採用されている機構です。キャスト時にリールの各所にかかる負荷を徹底的にスキャニングし、各パーツの素材や肉厚の設計を見直し、負荷に対する剛性をピンポイントで確保するとともに、全体の剛性と軽さのバランスを最適化し組み上げられたボティ構造です。これにより、30号(約113g)~35号(131g)程度のシンカーをつけた仕掛けをフルキャストした際でも、キャスターにリールのたわみ感を一切感じさせることなく、パワーをロスを抑え、仕掛けを遠くのポイントまで運ぶことができます。

腕自慢が集まるトーナメントのシーンでは、ライバルより1mでも遠いポイントに仕掛けを飛ばすことが大きなアドバンテージとなります。そういった意味では、入力されたパワーは100%仕掛けに伝達しなければなりません。キススペシャル45は、投げた瞬間から仕掛けの飛行中、着水するに至るまで、剛性感をしっかりと感じられるモデルとなっています。しかし、リールの自重はノーマルモデルで400g、CEモデルで405gと、大型サーフキャストリールの中でも最軽量クラスを誇っています。

ダイワ・トーナメントサーフ45の真のライバル機となった

ダイワ・19トーナメントサーフ 45ダイワ公式

シロギストーナメントでライバルに勝つためのタックルとしては、これまでは正直、ダイワ・トーナメントサーフ45一強であったと言っても過言ではありませんでした。キススペシャル45発売まで、シマノに45mmストロークモデルが存在していなかったことや、ダイワがラインにかかるヨレと逆方向にラインを転がしながらスプールにラインを巻いて寄りを軽減するツイストパスターⅡや、クロスラップ式のライン巻き方式を採用することで、総合的にライントラブルを解消することを最重要視して来たトーナメントサーフ45の方が手返しが良い釣りが可能であった点は否めませんでした。クロスラップ方式のライン巻きは、ラインの放出抵抗の点で不利なのですが、45mmストロークのアドバンテージのおかげで飛距離は16キススペシャル35CEと比較しても数メートルのアドバンテージがありました。釣りファンの間でも、トーナメントサーフ 45はある意味神格化されていたプレミアムモデルでした。

シマノとしては、45mmストロークを無視できなくなったのでしょう、2022年、満を持して45mmストロークモデルをデビューさせました。スーパースロー10も新しく45mmストローク対応にしました。そして、スローオシレーションの密巻きで起こりやすいラインの食い込みなどのトラブルを解消するためのスプール形状の見直しや、シルキーな巻き心地をもたらす、インフィニティドライブやサイレントドライブといった、シマノの汎用リールで鍛え上げたテクノロジーをはじめて大型サーフキャストリールで採用しブラッシュアップされ、名実ともにダイワ・トーナメントサーフのライバル機となりました。今後続々と比較レビューがネット上を中心に上がってくることでしょう。

現時点で最高峰のシロギス専用タックル

シマノ・キススペシャル45には、スーパースロー10を搭載しないノーマルモデル、「GOKUHOSO」と、スーパースロー10を搭載した「CE GOKUHOSO」の2モデルがあります。違いはスーパースロー10の有無だけです。自重もほぼ変わりません(ノーマルモデル400g、CEモデル405g)。メーカー希望小売価格99,700円と非常に高価なリールです。対応するロッド、キススペシャル(並継)は20万円以上するものもあります。これを合わせれば、ロッドとリールで30万円近くかかることもあります。果たしてここまでのタックルを求める必要があるのでしょうか?

結論を言えば、トーナメントで表彰台を狙うなら是非とも求めましょう! 何度も言ってますが、飛距離は正義です。1mの差が釣果の差に表れる厳しい世界です。経験も実力も豊富な猛者たちが頂点を目指すトーナメントの世界ですから、最高のタックルで武装したいです。トーナメントに勝つためには、リールに10万円の投資、ロッドと合わせて20~30万円の投資は許容範囲でしょう(私には到底無理ですが・・・)。

ロッドあってのリールです!

逗子市・森戸海岸の小堤防は隠れたシロギスポイント

リールだけフラッグシップモデルを購入したからと言って、ロッドのスペックが見合わなければ、せっかくのキススペシャル45の実力を半分も引き出してやることはできないでしょう。仕掛けの発射スピード、発射の方向、発射角はすべて、アングラーがスローした際のロッドの反発力から発生します。そのパワーが、ガイドに触れる際の摩擦によりロスとなってしまっては意味がありません。また、ロッドのねじれ剛性が足りず、アングラーの意図した方向からズレてしまってもいけません。予算が許せば、キススペシャル45には、ロッドもキススペシャルを合わせてあげるのが一番良い選択です。

推奨ロッド キススペシャル 並継

シマノ・キススペシャル 並継シマノ公式

キススペシャル 並継は、シロギス釣りに必要な素養、「飛距離」、「コントロール性」、「感度」の三要素すべてを高い次元で融合させた、究極のキスロッドであり、現時点で存在するキスロッドの中で最も高スペックのロッドと言えるでしょう。

長さのラインアップは4.05mの3本継ぎのみですが、ブランクスの硬さ、ティップの太さの組み合わせ、リールシートの位置、錘負荷などの違いで、「405AXタイプ」から「405FX+タイプ」まで、8種類のラインアップがあります。また、ガイドを自分で選べるよう、ガイドのついていないストリップ仕様もあります。その場合はグレードごとのガイド対応表を必ず確認しましょう。

どのタイプをチョイスするかは、必ず実ショップで現物を見て、振るってから決めることをおすすめします。その際は必ずリールを取り付けた状態で確認しましょう。

シマノ キススペシャル 並継 各種

各モールで詳細確認

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最高のキスタックルの組み合わせで、最高の釣果を狙おう!

某サーフでのシロギスの釣果

キススペシャル45とキススペシャル並継の組み合わせは、現時点でダイワ・トーナメントサーフ45とトーナメントマスタライズキスの組み合わせと並ぶ、最高のタックルであると断言できます。最高のタックルで武装し、最高の釣果を狙い、猛者たちが集まるトーナメントにチャレンジしましょう。最高のタックルで臨めば、結果に対して言い訳は出来ませんね!

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初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)


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