リールはエギング用リールを用意出来ればそれに越したことはありませんが、まずは通常の汎用スピニングリールでも問題ないでしょう。番手は2500番もしくは3000番を使います。エギング用リールとは、エギング用として設計したものはほとんどなく、汎用スピニングリールをベースモデルとして、エギングに向いたチューニングを施して、エギング専用モデルとして販売しているものがほとんどです。チューニングの内容は主に3つです。
エギングには細めのPEラインを使いますので、ライントラブルのリスクが低いシャロースプールに、また、巻きスピードの速いハイギアタイプはイカの身切れを誘発しやすいため、ノーマルギアが向いています。ダブルハンドルは、リトリーブの回転半径がシングルハンドルよりも小さくなるため、一定のスピードで回転を続ける精度が高くなるほか、ハンドルノブが2つあるため、とっさの時にハンドルを瞬時に掴むことができるといったメリットがありますが、シングルハンドルでも特に不都合はありません。私はシングルハンドルを使っています。
結論から言えば、シャロースプールのノーマルギアモデルであれば、汎用リールでもエギングは十分できるということです。ただし、ドラグ性能だけは良いものを選ぶべきです。エギングはイカの身切れを防止するため、他の釣りよりもはるかにドラグを緩めた状態で常用します。そのため、ドラグを緩めた状態でも正しく機能するものが必要です。
エギングのメインラインにはPEラインが必須です。キャスト時の飛距離を稼ぐことはもちろんですが、それよりも、エギを水中でイカに興味を持たせ、辛抱たまらなくなって抱きつくアクションをしてやらなければなりません(実際はフォールの時に抱いてくることがほとんどですが)。ラインはアングラーが入力するアクションを正確にエギに伝え、エギに命を吹き込むため、出来るだけ細く、柔らかく、かつ強いPEラインが必要になります。号数でいえば0.6号(9.6lb)~1号(16lb)を使います。
エギングのメインラインであるPEラインは、引張強度は大変強いラインなのですが、耐摩擦性がほとんどありません。根ズレなどでラインの表面に傷がつくと、あっという間に引張強度も下がってしまいます。そのため、メインラインの先端にはショックリーダーを結ぶ必要があります。PEラインとショックリーダーの締結方法については割愛しますが、FGノット、SCノット、10秒ノットなど、さまざまなものがありますので、動画などを見ながら練習し、どの結び方でも良いので、完璧に結べるノットをひとつマスターしてください。ちなみに私はエギングの場合はノーネームノットでPEラインとショックリーダーを結んでいます。
エギは釣具店に行くとどれを買ったらよいか迷ってしまうほどだと思いますが、比較的初心者が釣りやすい秋アオリを狙う場合は2.5号、3号を中心に3.5号まで、産卵期のあるアオリ狙いの時は3.5号、4号を中心にラインアップしましょう。エギには、沈下速度の速いディープタイプ、沈下速度の遅いシャロータイプ、中間のノーマルタイプがあります。まずはノーマルタイプを色違い、サイズ違いで複数集め、使い方をマスターしましょう。
エギ選びにはカラーチョイスが重要です。アオリイカはカラーを見分けることはできないようですが、濃淡を見分けます。天気や時間による太陽光の入り具合などで、その日の「当たりカラー」は変わりますが、大雑把に言えば、オレンジ系、ピンク系、赤系、黄系、金系の暖色系、青系、緑系、紫系などの寒色系、白系、銀系、リアルカラー系などのナチュラルカラーがありますので、それらをローテーションさせながら、「当たりカラー」を探しましょう。
エギングにおける最大のミスは、取り込みミスです。それも、水中からイカを抜き上げる時が最もバラシの危険性が高いです。自分の足元までイカが上がって来たのに、最後の最後でバラシてしまっては泣くに泣けません。玉網やイカギャフなどのランディングツールは持っていた方が良いでしょう。携帯性はイカギャフの方が優れていますが、イカギャフはイカを掛ける際に少しノウハウがいることと、他の釣りでの汎用性に欠けますので、最初は玉網を準備した方が良いでしょう。
釣れたイカを持ち帰る場合は速やかに締めましょう。以下の目と目の間の僅か上部に神経が通っていますので、イカ締めピックで突き刺します。神経が切断されると一瞬でイカが白くなります。突く場所がズレていると右半分だけ白くなるとか、左半分だけ白くなるとか、全体が白くなりませんので、その場合は場所をずらして再度突きます。足も含め、全体が白く変色すれば完了です。速やかにビニール袋に入れ、水や氷にイカが直接触れないようにしてクーラーボックスへ収納します。
ここからは、エギングの実際のやり方について説明します。
秋アオリ狙いの場合は、漁港内など穏やかな場所で、水中に海藻が生えている場所や、ちょっとしたイケス周りなどをよく見ると、イカが泳いでいるのが見えることがあります。見えるイカの周辺にエギを投げます。
また、エギングが盛んに行われているポイントでは、写真のように、ランディングされたイカが吐いた墨の跡がたくさん残っています。こういう場所は実績ポイントですので、積極的に狙ってみましょう。
春アオリ狙いの場合は、外洋に面した潮通しの良い藻場やシモリ根周辺を狙ってエギをキャストします。
エギが着水したら、必ず一旦着底させます。理由は、ボトムの状態を把握する必要があるからです。イカは藻場や岩礁が入り組んだ場所など、変化のある場所を好みます。そのため、そういう場所にエギを送り込む必要があります。
着底したかどうかを見極めるのはコツがいりますが、ラインの出が止まり、ラインが動かなくなるポイントを注意深くウォッチしましょう。スプールの下側を手のひらで包むよう軽く押さえて、ラインに伝わる着底の衝撃を感じ取るのも有効です。
着底を確認したら、ハンドルを軽く回してラインスラックを回収し、シャクリの動作に入ります。シャクリの動作は腕を上げてロッドを大きく煽るのではなく、手首を支点にしてロッドを上下に動かすイメージで、エギをピンッ、ピンッ、と跳ね上げます。跳ね上げる動作でイカにエギの存在を知らせ、跳ね上げたあとはロッドを止め、エギが自然に落ちて行く間を与えます(フォール)。
この際、ラインを張った状態でエギを落とすことをテンションフォール(カーブフォール)、ラインを緩めた状態で自然にエギを落とすことをフリーフォールといいます。
テンションフォールはラインが張られているため、落ちる際に手前にカーブするように沈んで行きます。フリーフォールはラインにテンションがかかっていないため、垂直に沈んで行きます。フリーフォールはラインの動きの違和感を見極める必要があるため、慣れが必要ですが、テンションフォールは手元にアタリを感じることができます。いずれにしても、イカがエギを抱いてくるのはフォールの時がほとんどですから、如何にシャクリでイカにエギの存在を知らせ、如何にフォールを長く見せ、イカにエギを抱かせる間を作ってやれるかが勝負です。
アタリを見極めたら、ロッドを大きく煽ってフッキングするわけですが、ここで身切れの危険性が最大になります。せっかくイカにエギを抱かせたのに、フッキングで身が切れて、足一本だけが釣れたなどという、笑えないエピソードに何度も遭遇します。
これを回避するために、ドラグは通常のジギング時と比較して大幅に緩めておきましょう。目安としては、アワセるために大きくロッドを煽った際にドラグが作動しわずかにラインが出る程度がベストです。アワセの衝撃をドラグが緩和してくれれば身切れすることはありません。
そして、無事フッキングできたら、ランディングまで絶対にラインのテンションを緩めてはいけません。エギのカンナにはカエシがありませんので、ラインを緩めたら即バレます。ここは細心の注意を払いましょう。
以上、簡単にエギングに必要なタックルて基本的な釣り方について説明しましたが、まずはサイズ不問で一杯釣ってみましょう。エギにもいろんなタイプがあり、重量による沈降スピードの違いの他、ダートアクション(横方向の動き)が得意なタイプ、ボディ内部に鉄球が内蔵されており、アクションの際にカラカラ音を発するラトルタイプ、UVランプを当てると発光するケイムラタイプ、エビの脚のようなフィンが水中でパタパタ揺れてアピールするタイプなど、釣具店には数十種類は陳列されているはずです。
何度も釣行を繰り返すうちに、自分なりのパターン(エギのカラーローテーションやアクションの付け方など)が出来上がってくるはずです。
エギングの世界は非常に奥が深く、水棲生物の中で1、2を争う高知能生物であるイカとの知恵比べです。人間として、イカに負けるわけには行きません。頑張りましょう。繰り返しますが、まずは最初の一杯を釣ることがミッションです!
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