【インプレ】強度と感度、矛盾した2つの両立!シマノ 17サステイン4000XG
今回インプレッションするリールは、シマノの17サステイン4000XGです。このリールは、強度と感度の両立を目指して開発されてリールですが、実際の使用感について気になっている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、17サステイン4000XGの使用感を踏まえつつ、「強度」と「感度」が本当に両立されているのかについて解説していきます。また、価格帯の近い19ストラディックとの違いについても紹介していきます。
サステインシリーズとは
サステインシリーズは、強度と感度の両立をコンセプトに開発されたシマノのミドルクラスに位置するリールです。強度と感度は反比例の関係にあるため、ほとんどのリールは基本的にどちらか一方を重視して開発されています。2つを満たしたものはハイエンドばかりで購入できないという方でも、手が届きやすいのが魅力です。ラインナップはC3000HGからC5000XGまでの4つで展開されており、エギングやシーバス・ライトショアジギングまで様々な釣りに対応できるものが揃っています。※2017年モデルのラインナップ
17サステインの特徴
強度と感度の両立がテーマの17サステインですが、具体的にどんな技術からこの2つを生み出しているのでしょうか?この項目では、17サステインに搭載されている技術について解説しながら、その特徴に迫っていきます。
HAGANEギア
「HAGANEギア」は、切削加工を行うことなく高い精度で作られたギアで、滑らかさと力強さが特徴です。その製造方法は「精密冷間鍛造」と呼ばれ、常温の金属を約200トンもの力で圧縮することでミクロン単位での精度を実現しています。17サステインの滑らかな巻き心地は、このギアによって支えられています。
HAGANEボディ
17サステインのボディには「HAGNEボディ」が採用されています。HAGANEボディは、軽さと剛性の高さを持つアルミニウムやマグネシウムを素材に使用し、大きい負荷がかかった際のボディの歪みやネジレを防ぎます。17サステインの強さは、この「HAGANEボディ」によって生み出されています。
マグナムライトローター
HANAGEボディが採用されたシマノ製リールのほとんどが通常のローターを採用する中、17サステインは「マグナムライトローター」を採用しています。「マグナムライトローター」は、ローターの形状を左右非対称にすることで軽い巻き心地を可能にし、操作性と感度を向上させます。同じくHAGANEボディとマグナムライトローター両方を採用しているのは、上位機種のヴァンキッシュやツインパワーXD、エクスセンスのみです。
リジットサポートドラグ
「リジットサポートドラグ」は、スプールの中とメインシャフトにベアリングを追加して支えることで、スプールのフラつきを抑えてドラグの安定性と滑らかさをもたらします。17サステインは様々な釣種に対応するリールであり、どんな魚でも安心してやり取りできるこのドラグの採用は大きいメリットです。
19ストラディックとの違い
ここまで17サステインの特徴について解説してきましたが、近い価格帯で販売される19ストラディックとは一体どんな違いがあるのでしょうか?この項目で、詳しく解説していきます。
19ストラディックのみに搭載されている技術
19ストラディックは、ギアの歯面を再設計することで滑らかなギアフィーリングを可能にした「マイクロモジュールギアⅡ」やボディや駆動系部品の見直しで僅かなガタや隙間を取り除く「サイレントドライブ」など、上位機種のみに採用されている技術が搭載されています。これらは基本的に、リールを巻いた時のノイズ感や滑らかさに関係するもので、性能や特性の違いが大きく変化するわけではありません。しかし巻き心地にこだわりたいという方は必ず確認しておくようにしましょう。
マグナムライトローターの有無
17サステインと違い、19ストラディックにはマグナムライトローターが採用されていません。19ストラディックは、自走するような滑らかな巻き心地と高い剛性をテーマにした「コアソリッドシリーズ」に分類されるリールで、慣性を活かして回転するローターが搭載されています。そのため巻き心地はもちろんのこと、操作性や感度に差が生まれます。
※参考記事:シマノの「コアソリッド」と「クイックレスポンス」の違いを解説
リジットサポートドラグの有無
また、19ストラディックはリジットサポートドラグも非搭載です。大型の魚や引きの強い魚種を相手にする場合、ドラグの安定感は非常に重要であり、リジットサポートドラグの有無は実際の釣果に関わります。実売価格2,000円前後の19ストラディックはかなりコストパフォーマンスの高いシリーズではありますが、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。17サステインは19ストラディックより5,000円ほど高価ですが、その分の価値はあるのではないでしょうか。
17サステイン4000XGの良い点
巻き出しが軽い
17サステインにはマグナムライトローターが採用されているためか、エクストラハイギアでも十分に巻き出しの軽いリールとなっています。そのため細かいアクションやラインの調整も楽に行うことができます。17サステインの上位機種であるツインパワーXDと比較しても、全く引けを取らないその操作性は、コストパフォーマンスの高さを感じさせます。
ボディ強度とドラグの滑らかさで、安定したやり取りが可能
17サステイン4000XGは、ハマチ(イナダ)やサワラ相手でも安定したやり取りが可能でした。HAGANEボディによる大きな負荷でも歪みの少ない剛性の高さや、リジットサポートドラグによるフラつきの少ない滑らかなドラグ性能が十分に発揮されている証拠ではないでしょうか。
17サステイン4000XGの悪い点
大型の魚相手には不安が残る
強度と感度の高さは十分に感じることのできる17サステイン4000XGですが、より大きな魚とのやり取りではパワー不足に感じられる場面があります。あくまで汎用性のあるリールで、本格的な大物狙いには適していないと思った方が良いでしょう。
ラインナップが少ない
これは17サステイン全体に言えることですが、かなりラインナップが絞り込まれています。しかも4つあるモデル全てがハイギア以上で、ノーマルギアのリールを探している方の選択肢からは必然的に外れてしまいます。どんな釣りにも使える高いポテンシャルを持つにも関わらず、このラインナップは非常にもったいないように思えます。
17サステイン4000XGが向いている人
17サステイン4000XGは、シーバスをメインにサーフゲームやライトショアジギングを楽しみたいという方にピッタリのリールです。軽快な操作性はシーバスゲームでの細かなアクションも楽に行うことが可能で、サーフやライトショアジギングではその強度の高さで重量のあるジグも安心して使用できます。いざ魚がヒットすれば、その剛性と滑らかなドラグで安定したやり取りで着実に魚をキャッチすることができます。
17サステイン4000XGが向いていない人
逆により大物を意識した本格的なショアジギングでの使用は、あまりおすすめできません。十分に高性能な17サステイン4000XGですが、ツインパワーのような剛性に特化したモデルと比べるとやはりパワー不足を感じます。中型の青物やシーバスなどであれば問題ありませんが、それ以上の魚となると難しいでしょう。
非常に完成度が高いリールだが、ラインナップの少なさに注意
今回は強度と感度の両立をテーマに開発されたシマノのミドルクラス、17サステイン4000XGについて解説しました。全体的に非常に完成度が高く、そのテーマを確かに感じることのできる高性能なリールです。シーバスやサーフゲーム、ライトショアジギングにおすすめできます。しかしラインナップが計4つしかなく、ノーマルギアが用意されていないため、人によっては選びにくいでしょう。また、本格的な大物狙いに使用する場合はパワー不足を感じやすいので注意が必要です。