18カルディアはLTコンセプトを身にまとい、軽さと強さを徹底的に磨き上げた最強コスパ機だ!
2002年に初代モデルを発売開始した、ダイワのミドルクラススピニングリール、カルディアは、18モデルで6代目になる、ダイワを長らく支えてきた古参リールです。初代モデル発売当初からキーコンセプトとして来た「軽さ(カルディアの名前の由来でもあります)」を追求し続けて来ましたが、18カルディアからはついにダイワの新設計思想である「LTコンセプト」を全身にまとい、前モデル(14カルディア)から目覚ましい進化を遂げました。ミドルクラスのスピニングリールとして、業界を代表するブランドになっています。その中で、どんなシーンにも使える万能タイプのカルディア LT3000-CXHを紹介して行きます。
ダイワ 18カルディア LT3000-CXHの基本スペック
カルディアの設計思想は、2002年の初代カルディアから一貫して「軽さ」を追求してきました。6代目となった18カルディアでは、ダイワの「LTコンセプト」を導入、LT3000-CXHでは195gを叩き出しています。ギア比は6.2のエキストラハイギア、ハンドル1回転あたりの巻長さは93cm、最大ドラグ釣力10kg、ラインキャパはPE1号で200m、ナイロン/フロロカーボン8lbで150mとなっています。このスペックはライトジギング対応のパワフルリールの設定ですが、200gを切る自重は、メーカー希望小売価格24,000円、実勢価格2万円を切るスピニングリールとしては最軽量クラスです。しかし、ただ軽いだけではなく、ダイワの最新テクノロジーがふんだんに盛り込まれています。
LTコンセプト「Light & Tough」の「Light」のために
「LTコンセプト」は2018年に発表され、以降発売されるスピニングリールの基本設計思想となりました。LightとToughの両立を実現するため、素材や機構を見直し、全く新しい設計に生まれ変わっています。まずは「Light」の部分から見てみましょう。LTコンセプトの「軽さ」に寄与する機能として、高密度カーボン繊維強化樹脂「ZAION」による一体成型ボディがあります。この新しい材料「ZAION」は、DS5(ダイワがローター材料などのために開発したカーボン繊維強化樹脂)よりもさらにカーボン繊維量を増やした材料です。これまで高密度カーボン繊維強化樹脂では不可能と言われてきた、複雑な形状に加工することに成功し、マグネシウム合金を凌ぐ材料として、ダイワのスピニングリールに採用が広がっています。さらに、「DS5」を新開発の非対称形状に成形することにより、ローターにかかる負荷を徹底的に分散し、剛性を確保したまま軽量化に成功した「エアローター」があります。さらに、カルディアの軽さに寄与するものとして、薄肉アルミを精度良くマシンカット加工して作られたスプールがあります。14モデルよりも肉薄の材料で作られたスプールは、極限まで削り取られ、軽量化に寄与しています。
LTコンセプト「Light & Tough」の「Tough」のために
LTコンセプトの「Tough」の部分を見てみましょう。やはり特筆すべきは「タフデジギア」でしょう。ドライブギアとピニオンギアについて、コンピュータ解析によるギア歯面形状解析シミュレーションに基づいたパーツ設計を、冷間鍛造+マシンカットによる超高精度の加工技術により、滑らかな回転を長期にわたり維持する機構です。しかし、18カルディアのタフデジギアの材質は、セオリー以上の上位機種に採用されている超々ジュラルミンではなく、亜鉛鋳造品を使用しています。ここに超々ジュラルミンが使われていたらもう数グラム軽くなって、巻き上げのフィーリングも軽くなり、剛性も上がっていたと思います。ここが、上位機種セオリーとの最大の差です。タフデジギア以外では、軽さの項でも言及しましたが、高密度カーボン繊維強化樹脂「ZAION」製のボディが、Toughの部分でも寄与しています。カーボンコンポジットは、航空機や自動車のボディ部品にも使われる素材ですが、成形性が難とされています。この成形性の悪さを解消し、ステム部からボディコアまで一体成形することを可能にし、マグネシウム以上の軽さと剛性を確保しています。
※参考記事:タフデジギアとは - 具体的な説明と搭載されているダイワのリール機種一覧その他の機能
18カルディアに採用されているその他の機能としては、ピニオンギア部にMAG SEALED(磁性流体をシール材に用いた非接触液体シールド)があります。この、MAG SEALEDは、磁石の力で隙間にマグオイル(磁性流体)を留め置くことでシールドするものであり、必要以上の分解や、外部からの強い磁力の付与などがあると流出の危険があります。また、注油する際の油脂にも少し神経を尖らせる必要がありますが、取り扱いを誤らなければ、非接触の完全防水効果が半永久的に持続します。ぜひともラインローラーにも採用して欲しい技術です。
18カルディア LT3000-CXHの立ち位置

18カルディア LT3000-CXHは、2500番相当のボディに3000番相当のスプールを装着したリールで、ピュアウォーターではビッグバスや大型トラウトゲームに、ソルトウォーターシーバスゲームからロックフィッシュ、ライトショアジギングまで、幅広く対応できるリールですが、より距離を求めるライトショアジギングが最も向いているでしょう。対象魚としてはランカーバス、ランカーシーバス、中型の青物、サーフでのフラットフィッシュ(ヒラメ、マゴチなど)がターゲットになるでしょう。ライバルとなる製品はズバリ、シマノ・19ストラディックになるでしょう。
シマノ・19ストラディックとの違い
価格帯、スペックともに非常によく似たところを攻めている製品に、シマノ 19ストラディック C3000HGがあります。どちらもミドルクラスのスピニングリールのあり方を問う、2万円台前半で手に入るリールとしては渾身の完成度を誇る製品であると言えます。カルディアは明確に軽さを、ストラディックは明確に巻き上げ機構の精緻化を極めた製品であると言えます。釣り人がこのクラスのスピニングリールにどんな特性を求めるのかで選択が変わってくると思います。ギアの材質や加工方法、ギアユニットのレイアウトなどを見ると、青物やシイラ狙いのライトショアジギング主体でルアーをひたすら投げまくり、突然バイトがあってガツンと瞬間的に高い負荷がかかるような場合はストラディックを、フレッシュウォーターでのトラウトやバスゲーム、ソルトウォーターでのロックフィッシュやシーバスゲームなど、接近戦でラインの細かい制御が必要な場面が多い場合は、ローターの慣性モーメントの小さいカルディアが良いと思います。
軽さと強さを体感することは初心者を抜け出す近道!
ダイワ 18カルディア LT3000-CXHは、軽さと強さを両立させた理想的なスピニングリールだと思います。もちろん、ハイエンド帯のリールと比べるとさすがに差を感じますが、安価なリールを使い続けてきた初心者の方には、何もかもが上質でパワフルで軽くてびっくりすると思います。軽いリールは細かい制御ができますし、剛性の高いリールはパワー不足によるトラブルを恐れずに、果敢に大物に挑むことができます。そして、ドラグの性能もエントリークラスのリールのそれとは比較にならない高性能のため、激しいやり取りをしても、ラインブレイクの危険も減少し、攻めの釣りができるようになります。初心者から一皮剥けるために、是非とも使ってもらいたいリールです。そして、2万円台のリールの、エントリークラスのリールとの格の違いを体感し、ハイエンドのリールとは一体どんなものなのだろうか? と、思いを馳せて下さい!
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