アイナメをハードルアーで釣る!その魅力と釣り方をエキスパートに学ぶ
作成:2020.01.24更新:2021.08.20
目次
ハードルアーでのアイナメ釣りの取材に協力していただいたアングラー
記事の執筆にあたって取材に協力していただいたアングラーを紹介します。ハードルアーでのアイナメ釣りがロックフィッシュシーンの活性化に繋がればと、連日にわたり時間を割いて取材に協力し貴重な釣り方を伝授してくださいました。
室蘭のロックフィッシュ名人・玉川さん
ロックフィッシュの聖地、室蘭を中心に釣りを楽しむエキスパートアングラー。ハードルアーを使ったアイナメの釣り方をブームの以前から実釣に取り入れており、北海道のロックフィッシュトーナメントの多くで優勝するなど、数々の実績を残しています。おかっぱりはもちろん、室蘭沖堤でのハードルアーゲームを日夜研究していることから“沖堤の住民“の愛称でも有名です。
アイナメをハードルアーで釣る魅力とは?
まずは、玉川さんにアイナメをハードルアーで釣る魅力についてお聞きしました。ワームでも狙うことができるアイナメをあえてハードルアーで釣る魅力を紹介していきます。
釣れるアイナメのコンディションが良い
ハードルアーで釣れるアイナメは魚食性が高く、コンディションの良い個体が非常に多い特徴があります。特に室蘭沖堤などの一級の釣り場では、40cmを超えるクオリティフィッシュがコンスタントに釣れることも珍しくありません。決められた時間内に大型の魚を揃えなければいけないトーナメントシーンなどでも、コンディションが良い魚が狙えることは大きな武器となります。
アイナメ狙いでも歩いてテンポよく釣りができる
ロックフィッシュでは1箇所のポイントで粘りながらアイナメを狙うシチュエーションが多いです。ハードルアーを使った釣りでは、アイナメが付きやすいポイントを歩きながら探ることができるため、テンポの良い釣り方ができるメリットがあります。バス釣りはもちろん、渓流でのトラウトフィッシングの延長戦でアイナメ釣りを楽しみたい方にもハマる釣り方なのです。
パワフルなアイナメとのファイトが楽しめる
ハードルアーに反応するアイナメはとにかく、パワフルな魚が多いです。今回の取材では、バイブレーションを捕食するアイナメを目の前で見ることができましたが、壁際から強引に食いあげてくる様子はワームを使った釣りではなかなか見ることのできない貴重な経験でした。また、タックルもベイトタックルを使うことがほとんどであるため、一瞬の駆け引きが命取りになるスリリングな釣りが楽しめます。
アイナメが釣れるか釣れないかわかりやすい
ハードルアーでの釣りは魚を目視できるため、アイナメの反応がワームに比べるとわかりやすい特徴があります。そのため、その日のアイナメの状況をすぐにチェックしたいシチュエーションにも強いです。ルアーの通すレンジ、スピード、アクションの質ですぐにアイナメの反応が返ってくるため、素早くその日の状況に釣り方をアジャストするためにはハードルアーが大きな武器になります。
他の釣り方にも応用できる
玉川さんはハードルアーを使っていく中で学んだ釣りを、他の釣り方にも活かしています。近年のロックフィッシュの定番の釣り方である遠投釣法では、ハードルアーでのアイナメの反応を遠投に落とし込み、トーナメントでも好成績を残しています。
ハードルアーはワームとは何が違う?
アイナメ釣りにおいて様々なメリットがあるハードルアーゲームですが、そもそも何がワームと違うのかがはっきりわからない方も多いと思います。私も取材をする前はハードルアーの釣りがエキスパートアングラー向けの印象を持っていましたが、どうやらそのイメージは大きく違うようです。
ワームではできないハードルアーならではのアクション
ハードルアーとワームとの最大の違いであるアクション。ハードルアーはアイナメを引き寄せる力が強いです。特にアクションのメリハリがはっきりとするため、ハードルアーはワームでは反応しないアイナメを釣れる可能性を秘めたルアーなのです。
ルアーをチェンジするだけでレンジを変えられる
アイナメのついているレンジに合わせてルアーを引くことは、ワームを使った釣りでは一筋縄ではいきません。ワームのサイズやシンカーのウエイト、潮の流れなどの様々な要素が複合するからです。ハードルアーは一定のレンジを引く能力に非常に長けているため、自分の引きたいレンジをルアーチェンジだけで引くことができます。そのため、レンジコントロールが苦手な初心者の方にも狙ったレンジを引きやすいメリットがあります。
アイナメのハードルアーでの釣り方の実際
ハードルアーでのアイナメ釣りはワームを使った釣りとは釣り方が違います。ここではアイナメをハードルアーで釣るための基本的な釣り方を紹介します。アイナメをはじめてハードルアーで狙う方は要チェックです。
ハードルアーでのアイナメの基本的な釣り方
玉川さんが実践するハードルアーの釣りでは、防波堤の壁際を狙ってアプローチする釣り方を基本としています。防波堤の壁際は皆さんが思っている以上に大型のアイナメが付いているため、障害物に当たらないギリギリのラインをできるだけタイトに引いてくることで、アイナメの捕食圏内をしっかりとトレースできます。
ハードルアーでアプローチするポイント
一見変化がわかりにくい壁際ですが、観察するとアイナメが好むポイントがいくつが存在します。ハードルアーをキャストする時はこれらのポイントをテンポよく打ち歩くことで、効率よく釣りを進めることができます。
アイナメは壁際と障害物と水面が作り出す角に
壁際と障害物と水面が作り出す角は、アイナメが小魚などを捕食する定番のポイントです。アイナメは障害物の角や水面に小魚を追い詰めて捕食するため、小魚を追い込むのに適したポイントには必ずアプローチしたいです。また、水面までハードルアーを追いかけることも珍しくないため、アプローチする時はルアーを回収するまで気を抜かないことも大切です。
フジツボもアイナメの一級ポイント
北海道の港や防波堤では頻繁に見かけるフジツボ。防波堤にはフジツボがたくさんついている場所がいくつか存在します。これらはアイナメがついていることが多いためフジツボの上や直下は、必ずハードルアーを通したい一級ポイントです。
ハードルアーのキャスト精度を高める
ハードルアーを用いたアイナメの釣り方ではキャスト精度の高さが釣果に大きく影響します。ハードルアーはアイナメを反応を引き出す力が強い反面、ミスキャストをすると簡単にアイナメに見切られてしまうデメリットもあります。防波堤のキャストではオーバーハンドキャストではなく、サイドキャストでアプローチすることが多いため、風などの影響を受けないサイドキャストをしっかりとマスターしておくことが大切です。
サイドキャストが難しいときはルアーを落とし込む
サイドキャストが難しいときは無理にキャストをせずに、その場にルアーを落とし込んで、歩きながら引いてくる釣り方もおすすめです。実釣でルアーを巻きながらキャスト精度をアップさせたい方にはおすすめのテクニックです。
ハードルアーの巻き方
ハードルアーを巻くスピードは一定ではありません。個々のルアーがしっかりとアクションするスピードを理解し、それぞれのルアーに合わせたスピードで巻くことが大切です。アイナメの活性に合わせて巻くスピードを変えるのではなく、自分の巻きたいスピードに合わせてルアーを交換し、スピードを調整するイメージです。それぞれのルアーに合わせた巻き方やスピードを自分なりに研究してみることもハードルアーの醍醐味です。
アイナメのフックアップのコツ
アイナメがバイトしてきた後はフックアップです。ハードルアーはオフセットフックを使っているわけではないので、基本的にはフッキングする必要はありません。アイナメのバイトを感じたらそのままリーリングを続け、向こう合わせのようなイメージでのフッキングを心がけましょう。過度なフッキングや早合わせはフックミスやバラしにつながることもあるので注意しましょう。
大物アイナメのランディングのコツ
ハードルアーで釣るアイナメは50cm前後の大型の個体が多いため、ランディングにはタモを使うことが多いです。ハードルアーに使われているトレブルフックはタモのネットに絡みやすいため、早めに魚の口から針を外すことを心がけましょう。
アイナメ用のハードルアーにはバーブレスフックがおすすめ
フックをバーブレスフックに交換しておくと、タモにフックが絡むことを最小限に抑えることができます。ハードルアーでの釣りはアイナメに与えてしまうダメージが大きくなりがちなので、フックをバーブレスに変えるなどの魚への心使いも非常に大切です。交換が手間に感じる方はトレブルフックの返しを自分で潰すこともできます。
アイナメにハードルアーを使う時の注意点
ハードルアーでのアプローチはワームでの釣り方とは異なる要素があるため、扱う時にいくつか注意点があります。グッドコンディションのアイナメをキャッチするためにも事前に対策を考えておきましょう。
ハードルアーを阻害するゴミなどの障害物に注意
防波堤の壁際にはゴミなどが浮いていることも多いです。ラインにゴミが干渉すると引いてくるアクションが阻害されたり、ルアーのレンジが変わりアイナメのレンジを外してしまったりすることもあるため、キャストする前にしっかりと確認しましょう。
強いアイナメに切られぬようラインを欠かさずチェック
壁際を探ることになるハードルアーの釣りではラインが傷んでしまうことも多いです。ファイトや壁際に擦れた後はマメにラインをチェックしましょう。ハードルアーに反応するアイナメは非常にパワフルであるため、ラインの傷みはラインブレイクにもつながる要注意ポイントです。
ルアー回収機を用意してハードルアーを満喫
ハードルアーの価格はワームに比べて高めです。壁際の釣りでは障害物などにルアーが引っかかってしまうことも多いため、ルアー回収機を用意しましょう。玉川さんはルアー回収機を利用して根掛かりしたハードルアーの多くを回収してきました。根掛かりを気にせずにタイトにルアーを通すためにもルアー回収機は必ず用意したいです。
アイナメをハードルアーで釣るのにおすすめのシーズン
ハードルアーでの釣りは、アイナメの活性が高くなる春からオフシーズンになる初冬まで長く楽しめる点も魅力です。特に沖堤などではこれらの時期に毎日のようにハードルアーでの釣果があげられており、ワームと遜色のない釣果を楽しむことができます。初心者がはじめてハードルアーに挑戦する時はアイナメの活性が特に高くなる、春か秋のハイシーズンがおすすめです。
シーズンに合わせたルアーの使い分けが大切
アイナメはすべての季節を同じハードルアーで攻略するのは非常に難しいです。レンジやスピードと同じく、それぞれの季節に合わせたルアーセレクトをすることも釣果を伸ばすポイントの一つです。
アイナメにオススメのハードルアーを6つピックアップ
玉川さんが実釣の中でおすすめするハードルアーを、初心者にも扱いやすいアイテムと一緒に解説していきます。どのシーズンにどんなハードルアーを使いどんな釣り方をすれば良いか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
チャターベイト
春先と晩秋の荒食いの時期に効果的なチャターベイト。ボトムから表層まで幅広いレンジをスローにアプローチすることができます。ハードルアーの中では、スローなスピードでもしっかりとアピールできる貴重なルアーであるため、スローな動きにアイナメが反応するシチュエーションはチャターベイトの出番です。
おすすめチャターベイト:エバーグリーン ジャックハンマー
エバーグリーンから販売されているチャターベイト。任意のタイミングで千鳥アクションさせることができるため、スローアクションはもちろん、早い動きへの反応が良い夏にも効果的な万能チャターです。おすすめのウエイトは1/2〜3/4oz。トレーラーにはデプスから販売されているデスアダーの4inchがおすすめです。
スピナーベイト
壁際にベイトフィッシュが多く、アイナメの活性が上ずっているときに効果的なスピナーベイト。チャターに比べるとフラッシングの力が強く、広範囲の魚にアピールしやすいメリットがあります。チャターに比べると音が小さいため、チャターの音をアイナメが嫌うシチュエーションにも有効です。
おすすめスピナーベイト:ノリーズ クリスタルSxa0パワーロール
ノリーズから販売されているスピナーベイト。スローロールで巻き感を感じやすいため、引いてくるスピードをしっかりと手元まで感じやすいアイテムです。ラインナップが多いため、エキスパートアングラー向けの細かい使い分けができる点も魅力です。トレーラーワームはバイトマーカーとしてピンテールワームを用意すると初心者には扱いやすいです。使い勝手の良いウエイトは3/4〜1oz。バイトマーカーは同じくデスアダー4inchなどがおすすめです。
クランクベイト
横の動きで早く引きたいシチュエーションに効果的なクランクベイト。表層までアイナメがチェイスしてくる、活性が最も上ずっている状況に大きな力を発揮します。シーズン的には夏から秋が効果的。ミノーに比べると深いレンジを攻められるため、レンジに合わせた使い分けが簡単にできる点も魅力です。
おすすめクランクベイト:ノリーズxa0ショットオーバー
ノリーズから販売されているクランクベイト。潜行深度が数字で表示されているため、引きたいレンジに合わせたアイテムを選びやすい特徴があります。何種類か用意し、その日の効果的なレンジに合わせた使い分けがおすすめです。
ミノー
クランクベイトと同じくアイナメの活性が上ずっている状況におすすめのミノー。深いレンジを探れるクランクベイトとは正反対で表層付近での釣りに強いため、クランクベイトでは探りきれない表層のレンジを探りたい時はミノーを選びましょう。
おすすめミノー:デプス バリソンミノー ロングビルxa0130SF
デプスから販売されているミノー。引いてくるスピードが非常に早く、2〜3mのレンジを引きやすいです。引き抵抗が強いため初心者の人でもルアーを引いている感覚がわかりやすい点も魅力。ジャークベイトの要素もあるので、左右にダートさせて使うこともでき、浮き上がりが遅さを利用して上下のバリエーションを増やすテクニックもおすすめです。
バイブレーション
1つのルアーで様々なレンジを攻略できるバイブレーション。紹介するハードルアーの中では上下の動きに強く、横の動きでアイナメが反応しないシチュエーションでも投入したいアイテムです。産卵から回復した晩秋のアイナメに効果的なルアーです。
おすすめバイブレーション:デュオ タイドバイブスコア78
デュオから販売されているバイブレーション。引いた時の抵抗があり、しっかり振動している感覚が伝わりやすいため、初心者でも扱いやすいアイテムです。ボディが壊れにくいためコストパフォーマンスも高く、入手がしやすい点も魅力。ソルト用のアイテムであるため、フォールスピードが早く上下の動きや強弱もつけやすいアイテムです。
メタルジグ
キャスティングの釣りにも応用できるメタルジグ。自重が重くハードルアーの中でも最も早い、上下のアクションでアプローチできます。バイブレーションに比べるとアクションが乱れやすいため、不規則なアクションに反応するアイナメに効果的。こちらも産卵を終えた晩秋のアイナメにおすすめです。また、ロングロッドにメタルジグを結ぶことで、遠投釣法にメタルジグを応用することもできます。
おすすめメタルジグ:ダミキジャパン 闘魂ジグ バックドロップ30g
ダミキジャパンから販売されているメタルジグ。アクションが不規則でフォールスピードが遅い特徴があります。アイナメに対してゆっくりとフォールさせてアプローチできるため、はじめてメタルジグを使う方にも扱いやすいアイテムです。
玉川さん流のアイナメ釣りでのハードルアー選び早見表
玉川さんが室蘭沖堤でハードルアーを使いアイナメを釣る時に、頭の中に描く傾向を簡単にまとめてみていただきました。この早見表は玉川さんがこれまでの釣果の中で構築したものですが、アイナメをハードルアーで狙う中で、自分の中の釣り方の傾向を早見表でまとめてみると、使いたいシーズンやタイミングで適切なルアーが選びができるかもしれません。
ルアー | シーズン | レンジ | シチュエーション |
---|---|---|---|
チャターベイト | 春と晩秋 | オールレンジ | スローに好反応 |
スピナーベイト | 春〜秋 | オールレンジ | 上ずっている |
クランクベイト | 夏〜秋 | 深め | 最も上ずっている |
ミノー | 夏〜秋 | 浅め | 最も上ずっている |
バイブレーション | 晩秋 | オールレンジ | 縦の動きに反応する |
メタルジグ | 晩秋 | オールレンジ | 不規則なアクション |
アイナメをハードルアーで釣るのにおすすめのタックル
アイナメのハードルアーにおすすめのタックルを紹介します。アイナメをハードルアーで釣るためのタックルに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ロッドのスペック
7ft前後のベイトロッドがおすすめ。パワーはM〜MHクラスの巻物専用ロッドが扱いやすいですが、打ち物から巻物まで楽しめるバーサタイルロッドでもハードルアーも充分扱うことができます。また、高価なバーサタイルロッドを買うよりも、エントリークラスの価格帯のそれぞれのルアーに特化したロッドを何本か用意するのもおすすめです。
リールのギア比は要チェック
ベイトリールを買うときに迷いがちのギア比。 基本的にベイトリールはギア比が高くなればなるほど感度が良くなりますが、そのぶん巻くパワーが弱くなりがちです。リールを選ぶ時は自分が使いたいルアーの引き抵抗に合わせて、リールのギア比を決めましょう。今回は参考までにルアーに合わせたおすすめのギア比をまとめてみました。購入する時にぜひ参考にしてください。スプール径は12〜14lbのフロロカーボンラインを100m前後巻けるモデルが扱いやすいです。
ルアー | 引き抵抗 | おすすめのギア比 |
---|---|---|
クランクベイト | 強い | ノーマルギア |
ロングビルミノー | 強い | ノーマルギアかハイギア |
チャター | 弱い | XG |
スピナーベイト | 弱い | ハイギアかXG |
バイブレーション | 弱い | ハイギアかXG |
メタルジグ | 弱い | XG(例外、ラインスラックがとれる) |
ハードルアーでグッドコンディションのアイナメを釣ってみよう!
北海道や東北のロックフィッシュシーンでは定番のターゲットであるアイナメ。ワームを使った定番の釣りだけでなく、ハードルアーを使った釣りはアイナメを狙ったロックフィッシュの可能性をより高めることができます。今回の取材では、玉川さんにハードルアーの入門編として様々なお話を聞くことができましたが、これまでのやり方にとらわれ過ぎず、それぞれのやり方で色々な釣り方を試してみることが、アイナメをハードルアーで狙う最大の魅力だと語っていたことが印象的でした。今回の記事を参考に様々なハードルアーを使い、自分でしか釣れないアイナメを狙ってみましょう!
記事中の紹介グッズ一覧