アイナメの側線(そくせん)を知ってロックフィッシングの幅を広げよう!

作成:2021.08.31更新:2021.08.31

側線アップ

側線(そくせん)とは?

側線(そくせん)という言葉を初めて聞くアングラーも多いと思います。今回はこの側線とアイナメについて徹底解説します。この知識があるとロックフィッシュの釣果とサイズアップができるかもしれません。特にポイント探しや攻め方に有効です。実はアイナメの側線は他の魚とちょっと違うんです。アイナメを釣るためには側線を知っておきましょう。また他の魚釣りをする場合でも側線を知っておいて損はありません。

そもそも魚って五感全部あるの?

魚のにも人間で言う五感の視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚が司る場所は違いますがきちんと備わっています。視覚=目、触覚=口や体、嗅覚=鼻、味覚=口、聴覚=内耳です。あれ?側線は何を感じる部分なのか?ほとんどの魚の側線は内耳(聴覚)と呼ばれるエラの近くから尾っぽにかけて鱗の一部が線にて連なっている部分が側線です。耳(聴覚)の役割も担っているとされています。役割も…ということは他にも役割があるのでしょうか?詳しくご説明します。

そもそも魚の耳って見たことありますか?

魚の鼻は口の上にあるのは見たことがあると思います。では耳は?ほとんどの魚は内耳という器官です。エラ上部側の体の中にあり外見からは見ることが出来ません。体の中に耳があるという内耳。でも聴覚ですので音の振動を受けなければなりません。耳が体の中にあってはその振動が届かないので側線という鱗の一部を伝達器官として内耳まで振動を届けているということになります。

側線は魚のどこにあるの?

ではその側線は魚のどこにあるのか?アングラーの皆さんも魚の写真をお持ちだと思いますので釣った魚を見てください。同じように側線が映っているはずです。ロックフィッシュの場合は鱗が厚いので見えずらいと思います。今回は分かりやすく淡水魚アメマスの写真でご説明します。

魚の五感(側線)

魚の五感をつかさどる場所

視覚=目

目は魚に取って顔の面積の大部分を占めてますね。人と比べてあまり視力は良くないとも言われており特に色覚(色の認識)は少なく光の濃淡(濃いか薄いか)を感じていると言われています。

触覚=口や体

触覚は口以外にも体全体で感じています。魚は手がありませんので口が重要な触覚になっています。魚を観察している方はお解りと思いますが気になって物を口に入れて吐き出したり威嚇する時に口を使う仕草が人でいう手で触れてみるという行為と同じです。ヒレやナマズの様なヒゲ(触覚器)がある魚もいます。

嗅覚=鼻

私の様に魚のアップの写真を撮る方は良くお解りと思います。上顎の上にきちんと2つ穴が開いていて鼻があります。人の空気の臭いと同じく水の臭いを感じています。

味覚=口

魚は人の約一万倍味を認識できるとされており美食家だそうです。口全体で食べた獲物の味などを認識しています。

聴覚=内耳

耳です。人は主に音を感じる器官ですが魚も音を敏感に感じています。内耳には耳石がありそれが震えて感覚毛が感じて脳へ伝えるという仕組みです。その内耳の耳石へは体の鱗にある側線という特殊な穴の開いた鱗の線が内耳から尾っぽまで連なっておりそこで受けた音を伝えています。写真のオレンジ点線の中にある線です。

第六感がある?その側線の役割は?

魚には第六感があると言われています。その感覚を司っているのが側線です。どんな感覚なのでしょうか?水流、水圧、超音波(低音・高音)、音圧などいくつかは人間が感じることはできますがこれらを感じて何かを判断することや何かを認識することはできませんね。魚は側線を使ってこれらを感じ分けています。

側線を理解すると釣り方が変わる

側線で感じる感覚が水流、水圧、超音波(低音・高音)、音圧などであることはご説明しました。アングラー目線から考えると人間でも感じられない感覚を認識できるわけですから感覚では勝てるわけがありません。そうなんです。魚は先に人やルアー、ラインなどを認識していると思った方が自然なのです。普段の水流、水圧、超音波、音圧と違うもの(人)を感じた時点で魚は『んっ!?』ってなっているんです。どんなに忍び足でも超音波なんて防ぎようがありません。では魚にこちらの存在がバレているという認識で釣りをするとどうなのでしょう。だからと言ってバシャバシャしたら全く意味がありません。この側線の感覚の特徴を踏まえて各釣り場でのアングラーの行動を考えます。

海(ロック)の場合

足場は岩場や堤防です。波があると波しぶきがありかなりの音が水の中に響いているはずです。人間でいう風が強い状態と同じでしょうか。音や水圧は感じづらいはずです。逆に波がない場合は岩場の砂利を踏む音、堤防での足音は結構響きますので水に伝わって魚が感じている可能性が高いです。

湖やサーフの場合

サーフの場合波がありますね。波の音はかなり大きい音なので音や水圧などは感じづらいはずです。但し波打ち際は魚がほとんどいませんので離れた波がない沖の方はある程度一定の波の音以外に人が歩く音は感じているかもしれません。特に砂浜ではなく玉砂利の様なサーフは音が大きいですね。

河川の場合

河川の場合は他とはちょっと変わります。河川では当たり前ですが水が常に流れています。そのため水から魚への音の情報の流されてしまいますので伝わりづらい。では水圧は?水圧も水が流れていますので同じく魚に届きづらいです。川を攻める時は下流から上流へは鉄則なのはこれが理由なんですね。しかも魚は水に逆らって泳いでいますので上流を向いています。真横は側線があり上流側は目と鼻、口がありますので情報が伝わってきますが下流側からの情報はほとんど入ってこないので河川でのアプローチは下流からということになります。

アイナメの側線を理解して釣る!

さて側線のなぞが解けたところでいよいよアイナメの側線対策です。このアイナメという魚の側線は他の魚と違うんです。通常は先程の淡水魚アメマスの写真の様に側線が体の片側に1本なのですがアイナメは何と5本あります。ロックフィッシュは鱗が厚く見えずらいのですがよく見ると2本は見えます。

アイナメ側線の場所

アイナメの5本の側線の位置はこちらです。(参考:北海道大学研究成果)

アイナメ側線位置

背ビレの下①②

片側に2本(左右側合わせると4本)あります。この側線は上部側の音や水流、水圧を感知する側線ですね。潜水艦でいうと上部側のソナーです。アイナメは水面や水面直下のルアー(ワーム)に反応しやすいわけです。何度もワームが着水後にバイトしたことがあるのはこの側線のお陰なんですね。

体中央③

この部分の側線は他の魚同様の場所にあります。同じく横方向の音や水流、水圧を感知する側線ですね。

胸ビレ下④

この部分の側線は他の側線と違い短いのが特徴で同じく左右側両方にあります。場所的にこの側線の役割は謎が多いですね。ロックフィッシュの胸ビレは大きいのが特徴です。その陰になる部分であること特にメスの場合は抱卵時に膨れる場所でもあります。目から離れていて死角になり守りたい部分だからということがあるのかもしれません。いずれにしても体の下部側の音や水流、水圧を感知する側線です。

腹ビレ上⑤

アイナメは腹ビレと大きな尻ビレが特徴的ですがその間に長い側線があります。アイナメの一番の特徴的な側線かもしれません。根魚なので下は岩が多いので側線は必要なさそうですがアイナメには先程の胸ビレ下の側線を含めて左右両側で4本もあります。これは下方向の音や水流、水圧を感知することに長けている。ということです。

左右10本も側線を持つアイナメをその特徴を活かして釣る!

さてアイナメの各側線がどんな役割がわかったところでアイナメを狙うためにこの特徴を利用しましょう。根魚の大半は明るい昼間は海底の岩礁に隠れて生息し夜間になると水面直下まで浮いてきて捕食活動します。一方、アイナメはご存じの通り日中帯の明るい時にも捕食行動します。何を意味しているのか?通常の根魚は側線が体中央にしかなく危険を察知するセンサーが少ないため=通常の根魚は日が落ちて暗くなり安全な時に捕食活動している。アイナメは側線が上部と下部方向にも側線ありほぼ全方位の危険や獲物の動きを察知できるセンサーが多いため危険な日中の明るい時にも捕食活動できる。ということですね。この特徴を生かして私がアイナメを狙う時の釣法のひとつをご紹介します。

アイナメをトップで釣る

最初はまぐれでたまたまだろうと思っていたのですが側線を理解してあえてその釣りをすると意外に釣れます。しかもアイナメが水面に出て釣れるので面白くドハマりします。

アイナメをトップで釣る

このような磯の海藻が海面から出ている場所や堤防の曲がり角などの海藻が茂っている場所にアイナメは海藻の中の紛れています。軽いジグヘッドに3インチぐらいのワームをフックが隠れるようにセットし海藻の上にキャストします。そのままバス釣りやナマジングのトップ釣りの様にチョンチョン這わせるように動かしていきます。アイナメはのワームの動きが背中にある側線でキャッチし水面に飛び出してきます。特に天気のいい日に効果的です。アイナメのトップの釣り面白いですよ!

側線を理解するとルアーチョイスが変わる

さてここまで側線についていろいろご説明してきました。ではこの側線を理解した上でどんな攻め方をすれば良いのでしょうか?アイナメはぼぼ全方位に側線があるのでルアーの動きを感じるはずです。でも意外に釣れませんよね。1つアドバイスをします。ロックフィッシュをするときのターゲットはアイナメやメバルなどが生息するため同じワームを同じ誘い方で行ってしまうと思います。でもアイナメを狙う場合は側線の感度が良すぎるので他のロックフィッシュよりも繊細な誘い方が釣れます。ワームの形状によりますがワームがゆっくり動くぐらいにスローなリーリングが効きます。アイナメが気が付く程度で誘うわけです。是非お試しください!

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釣りは一生できる趣味!
Z@KU

 ネイティブトラウト全般(ソルト・ナチュラル)、アイナメ、ソイ、メバル、ルアー全般(ショア・ナチュラル)、ロックフィッシュ、エギング、北海道全域:湖(支笏湖、屈斜路湖など)・河川(尻別川、千歳川など)・ダム湖・サーフ・磯


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