北海道はロックフィッシュのパラダイス!人気ターゲットの釣り方と基礎知識
作成:2019.11.27更新:2021.09.28
目次
北海道のロックフィッシュの魅力
ロックフィッシュは海中に沈む根と呼ばれる岩礁帯周辺で生活する魚の総称です。ロックフィッシュの別名は根魚とも呼ばれ、パワフルな引きが魅力的で食べても美味しいことから多くの釣り人を楽しませてくれています。
誰でも始められる手軽さ
北海道は海、川、湖とフィールドを問わず様々なジャンルの釣りを楽しむことができます。ロックフィッシングと呼ばれる根魚を狙った釣りは北海道沿岸の各地で人気があり、老若男女に親しまれています。ロックフィッシュのタックルは安価で簡単に購入できるので、手軽に始められるのも魅力です。
豊かな海が育む抜群のコンディション
北海道の海は雪溶けの影響で、地中の栄養分を含んだ水が川を伝って海へ溶け出すことで海藻やプランクトンが豊富になります。豊富なプランクトンは小魚やエビ、カニなどの甲殻類の活動が活発になるだけではなく、多毛類や貝類などの成長も促します。ロックフィッシュはそれらをベイトとして積極的に捕食し、成長、繁殖することで、他の地域よりも大型でコンディションの良い魚が育つのです。
ゲーム性の高いルアーフィッシング
北海道のロックフィッシュを狙う釣りではルアーを使った釣り方が人気です。特にソフトルアーを使ったロックフィッシュゲームは年齢層を問わず人気があり、捕食対象や季節に合わせて様々なルアーを使って狙うことができます。
やっぱり食べて美味しい
北海道のロックフィッシュのもう一つの魅力が美味しさです。ロックフィッシュはその捕食対象の広さから身に含まれる旨味成分が多く、刺身、焼き物、煮付け、揚げ物、汁物等、様々な料理で楽しむことができます。ロックフィッシュの種類によって味に違いがあり、その違いを楽しむことができるのも大きな魅力になります。
北海道に生息するロックフィッシュの種類
ロックフィッシュは北海道の海でも比較的水深が浅く陸地に近い海を生活圏とする魚が多いです。ロックフィッシュの中ではアイナメ、ソイ、エゾメバル、カジカが釣りのターゲットとして人気を集めています。
アイナメ
北海道ではアブラコ、東北の一部ではアブラメと呼ばれロックフィッシュの中でも1、2を争う人気のターゲットです。アイナメは日本各地の沿岸に生息し成魚で30~40cmになります。北海道や東北では生息数が多く、50~60cmまで成長する大型の個体も少なくありません。産卵期のアイナメはオスの体色が婚姻色によって鮮やかな黄色になります。北海道の太平洋側東部やオホーツク海沿岸には「ウサギアイナメ」という種類も存在し、最大で80cmにもなります。アイナメとその仲間は昼行性とされているため日中に狙うのがおすすめです。
クロソイ
ロックフィッシュの中でアイナメと人気を二分するターゲットがソイ類。クロソイは最もポピュラーなターゲットであり、全国的にも認知度があります。北海道のクロソイは20~30cm前後がアベレージサイズになり、繁殖期にみられる50cmを超えるメスの大型個体は「ビッグママ」と呼ばれ春の人気ターゲットになります。クロソイは夜行性のためナイトゲームで狙うのが定番です。ソイの種類は他に、体色が青みかかったマゾイ、近年北海道でも個体数が増え生息域拡大しているシマゾイ、日本海側と太平洋西部の一部に生息しているオウゴンムラソイがいます。
ガヤ
東北以北に生息しているとされるメバル科のロックフィッシュ。北海道では「がやがやとたくさんいることから」ガヤとも呼ばれ、ルアーが海底まで落ちる前に掛かってしまうほど群れている時があります。北海道のロックフィッシュでは外道扱いされることが多いですが、最大40cm前後まで成長し食材としても大変美味です。ソイ類と同じく夜行性のためナイトゲームで狙うことが多いです。
カジカ
ロックフィッシュのターゲットとしては隠れた人気魚種。カジカはいかつい見た目からは想像もできない美味しさが魅力で、鍋が壊れるほどつついてしまうことから「鍋壊し」の異名を持ちます。大食漢で大きな口で食べられそうなものはなんでも丸飲みしてしまいます。亜種が多く、釣りのターゲットとして代表的なものはギスカジカ、トゲカジカ、シモフリカジカ、ニジカジカ、ツマグロカジカ、ケムシカジカがいます。
北海道のロックフィッシュにおすすめの時期
北海道のロックフィッシュはそれぞれのターゲットによっておすすめの時期やハイシーズンが異なります。釣りたい魚種が決まっている方はそれぞれのロックフィッシュのハイシーズンをチェックしておきましょう。
アイナメのハイシーズンは5月から7月
アイナメは初夏のハイシーズンとなる5月下旬から7月上旬にかけては積極的に餌を捕食するため、北海道全域で狙うことができます。夏のアイナメは水温上昇と共に釣果が落ちていき夏枯れと呼ばれる厳しい季節に突入します。秋から初冬にかけてのハイシーズンは9月下旬~12月下旬まででスポーニングに絡んだ大型のアイナメを狙うことができます。スポーニングのタイミングは水温、干満など様々な要因によって左右されるため地域によって差があります。1月~4月頃までの冬シーズンは消波ブロックや石積みの隙間でじっとしていることが多く、簡単に釣果があがりにくいため初心者にはやや不向きなシーズンです。
ソイのハイシーズンは3月から6月
北海道では年間を通して狙うことのできるのがクロソイです。クロソイは3月下旬から6月上旬にかけて繁殖期となり40~60cmのランカーサイズを狙うことができます。アベレージサイズの15~25cmであれば1年を通して狙え、釣り物が少なくなる真冬でも釣れるのでオールシーズン釣りを楽しみたい方にオススメです。マゾイ、シマゾイも若干のズレはあるものの、クロソイに近いシーズナルパターンで行動するので、釣り分けにチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。
ガヤのハイシーズンは5月から10月
クロソイと同じく年間を通して狙うことができるのがガヤです。ガヤは5月中旬から10月にかけてベストシーズンとなりますが、25cmを超える大型なら繁殖期と水温上昇が重なる3月・4月が狙い目となります。ガヤは小型から中型が群れていることが多いので、群れを見つけることができれば入れ食いモードに突入することも珍しくありません。繁殖期の終盤はナーバスになるので大きなワームや速い動きには反応が悪くなります。
カジカのハイシーズンは10月から1月
地域や種類によってベストシーズンが大きく異なるのがカジカです。食べて美味しいトゲカジカやケムシカジカの一般的なハイシーズンは10月から1月にかけてです。カジカ類は50~300mのやや深い海に生息していますが、産卵期には沿岸の浅瀬に移動してきます。ベストタイミングにあたれば1m以下の水深に岸寄りする姿や、岸壁の際に背びれを出して産卵の準備をしている姿を見ることができます。
北海道のロックフィッシュにおすすめのポイント
日本海、太平洋、オホーツク海と3つの海に囲まれた北海道はそれぞれの海がもたらす影響により同じロックフィッシュでも変化に富んだ釣りを楽しむことができます。ここでは北海道のロックフィッシュのおすすめポイントと簡単な攻略法を解説します。
全国の釣り場ではゴミ、駐車などマナーの問題で釣り場が閉鎖、釣り禁止になるフィールドが増えています。ロックフィッシングだけに限らず釣りに行く際はマナーを守って楽しみましょう。
函館港
北海道でも最も南に位置する函館市の函館港。ワームを使ったロックフィッシュゲームが始まった頃から長年人気のエリアで現在でも多くのロックフィッシュアングラーが腕を磨いています。函館港は立ち入り禁止エリアも数多く存在し、夜間の車の立ち入りがゲートで制限されている区域もあるので注意が必要です。
釣りができるポイントは限られていますが、海岸町船だまりはアクセスがしやすくトイレも設置されているのでおすすめ。函館港には沖防波堤も存在し、渡船でエントリーすることも可能で、ロックフィッシュを狙うなら赤提と北提が人気です。
室蘭港
噴火湾の最も東部に位置しアイナメにおいては全国でもトップレベルのストック量とコンディションを誇る室蘭港。大型のロックフィッシュは50cmを超え、一部では“聖地”と呼ばれロックフィッシュアングラー憧れのフィールドでもあります。陸から釣りが可能なエリアは港奥側から「入江エリア」「埠頭エリア」「祝津・絵鞆エリア」「崎守エリア」となります。
5月中旬から12月末までのシーズン中は岸壁の際、足元のボトム、ミドルディスタンス、ロングディスタンスどんなスタイルでも釣りが成立し、ワーム、ハードルアーなど様々なメソッドでアイナメを狙うことができます。室蘭港には沖防波堤も存在し、事前に渡堤予約をしてロックフィッシングを楽しむことができます。ロックフィッシングをメインにした遊漁船も営業しているので手付かずのポイントで大型のロックフィッシュを狙うボートロックも盛んです。
岩内港
積丹半島の南側に位置する岩内港。日本海側の港としては大型の部類に入り、様々なターゲットを狙うことができます。アイナメ、ソイ共に安定したストック量があることから、1年を通しても長い期間ロックフィッシングを楽しむことができます。おすすめポイントの東外防波堤や東防波堤は足元に根固めブロックが入っているため、足元を丁寧に探ることがロックフィッシュをキャッチする近道になります。
中央埠頭、漁港区、西防波堤は砂地に沈み根や海藻が点在しているので、遠投を中心に広範囲を誘うアプローチが効果的です。西防波堤の先端は水深もあり消波ブロックが入っているので良型のクロソイやマゾイが潜んでいます。初夏から夏にかけてアイナメやソイを狙っているとヒラメが釣れることもあるのでランディングネットも準備をしておきましょう。
小樽港
北海道の中心地、札幌市から車で1時間圏内とアクセスに優れている小樽港。小樽港は釣り人が多くフィッシングプレッシャーは高くなりますが、年間を通してロックフィッシュの釣果を期待できます。立ち入り禁止区域が多く、マメイカ、ニシン等の回遊魚が港に入った際には釣り人で混雑するので注意が必要になります。
メジャーポイントの南防波堤内向きは根掛かりが多いですが、ソイやガヤがよく釣れ、タイミングが合えば40cmを超えるアイナメが釣れることもあります。意外に見落としがちなのが、各埠頭に存在する釣り可能なエリアの足元。基礎やショルダーに絡むハードボトムを丁寧に狙うと思わぬ大物に出会える可能性があります。
釧路港
太平洋東部に位置し日本でも有数の水揚げ量を誇る釧路港。東西に大きく分かれた2つの港は大型のロックフィッシュの釣果実績も豊富です。ロックフィッシュのハイシーズンは室蘭や小樽に比べて1か月ほど遅く。7月、8月に釣果があがりやすいです。釧路港といえば、ウサギアイナメと魚影の濃いクロソイ、そして年中釣れるカジカが印象的です。
西港は全体的に水深があり釣りができるポイントが多く、トイレも点在しているので安心ですが、大型船が着岸すると立ち入り禁止になる区域もあり注意が必要です。
北海道のロックフィッシュの釣り方
北海道のロックフィッシュはそれぞれの魚種で釣り方やタックルが異なります。北海道の人気魚種の釣り方を参考に、ロックフィッシュにチャレンジしてみましょう。
アイナメは汎用性の高いタックルでその日のパターンを探していく
北海道のロックフィッシュの中では40cmを超える大型の釣果も多いアイナメ。タックルは扱えるルアーウエイトが幅広いロングレングスのアイテムを用意すると、ボトムやストラクチャーへのアプローチやファイトも安心です。
アイナメにおすすめのタックルセッティング
おすすめタックルは中距離を主軸としたセレクトで、シンカーウエイト次第では近距離も遠距離もこなせる汎用性の高いセッティング。若干太めのラインとリーダーは不意な大物とのやりとりも安心してファイトできます。
アイナメにおすすめのワーム
多毛類を意識したシルエットとカーリーテールは撃って良し巻いて良しの対ロックフィッシュへのスーパーマルチワーム。カラーは水に馴染む透過系、派手目のアピール系、地味目のナチュラル系の3種を持っておくとアイナメ狙いにおける様々なシチュエーションに対応できます。
アイナメの釣り方
キャスト後ボトムを取ったら、リフト&フォール、ずる引き、スイミングなどのアクションでアイナメにアピールします。状況によっては食わせの間としてストップやステイを入れるのも効果的です。アクションのスピードを変えて、その日に反応が良いパターンを探していくと釣果につながりやすくなります。
ソイはスイミングアクションでレンジを合わせることが大切
北海道のロックフィッシュでは手軽に狙えるターゲットの一つであるソイ。サイズによってタックルセッティングが異なりますが、スイミングアクションを快適に扱える7ftクラスのタックルが人気を集めています。
ソイにおすすめのタックルセッティング
ソイを効率よく釣るにはジグヘッドを使った横方向へのスイミングアクションがメインになります。5~18gのルアーを扱える操作性の高いタックルセッティングを意識しながらも、不意の大型にも対応できるパワーのあるロッドを選びましょう。
ソイにおすすめのワーム
ナイトゲームでソイを狙うにはシャッドテール系のワームが定番になります。暗闇や明暗部でも存在をアピールできるホワイト、夜光、チャートなどが有効です。意外かもしれませんが真っ黒なワームがハマる場面もあるので持っておくことをおすすめします。
ソイの釣り方
ソイを狙うポイントは常夜灯周り、防波堤の先端、潮目などの変化のある場所。キャストしたらカウントをとりボトムまでの秒数を計り、表層、中層、低層と狙うレンジを変えてスイミングで探っていきます。ルアーやカラーローテーションをしながら反応があるレンジをみつけることが釣果アップにつながります。
ガヤはメバリングロッドでゲーム性をパワーアップ
ロックフィッシュでは外道扱いをされることが多いガヤですが、メバリングタックルを流用すれば本格的なメバリングと同じゲーム性の高い釣りが楽しめます。
ガヤにおすすめのタックルセッティング
ロックフィッシュのターゲットとしてガヤを狙う場合、1~7gのジグヘッドリグの出番が多くなります。状況によってはテキサスリグ、スプリットショットリグ、ダウンショットリグ、ミノープラグ、メタルジグなど様々なメソッドで楽しむことができます。あらゆる状況に対応するため汎用性の高いメバルロッドを1本用意することをおすすめします。
ガヤにおすすめのワーム
ガヤを狙うには1.5~2inchのワームがおすすめです。活性が高い時には3~4inchのワームに反応することもあります。カラーはグロー系がメインになり、アミエビを意識したピンク系、シラウオ等の小魚に似せたクリア系があるとローテーションの幅が広がります。
ガヤの釣り方
ガヤが群れで浮いている場合は、群れの中心よりさらに奥にキャストし群れの中をスイミングで通してきます。活性が高ければそのままバイトしてきますが、低活性の場合スルーされることもあるので、トレースコース、レンジ、スピードを変えてアプローチします。群れが見当たらない時は、ボトムに沈んでいたり岸壁の際に隠れているので、地形や壁際の変化を丁寧に探ります。極端に活性が低い状況だとアクションせずにワームをステイさせるアプローチも有効になります。
カジカはヘビータックルとボリュームのあるワームが定番
カジカはガヤと同じくロックフィッシュでは外道扱いされることが多いですが、専用タックルを用意すれば北海道の海で育った雄大な魚体を手軽に狙うことができます。
カジカにおすすめのタックルセッティング
カジカはパワフルなファイトが期待できませんが、口を開け水の抵抗を受けた状態で上がってくるのでヘビーなベイトタックルが必要になります。大きな口でワームを丸飲みにしてしまうこともあるのでラインはフロロカーボンの14~20lbをお勧めします。
カジカにおすすめのワーム
大食漢なカジカにはボリュームのあるワームが定番。カニを捕食していることが多く、味や匂いが強いワームには好反応してきます。カラーは選り好みしないのかシビアにならなくても問題ありません。
カジカの釣り方
カジカは機敏な動きで捕食するよりも、その大きな口で餌を丸飲みしてしまうことが多いです。そのため、アクションはゆっくりと誘うことが大切になります。バイトがあってすぐにフックアップすると大きな口からワームやリグがすり抜けてしまうことがあるので、一呼吸おいて慎重にフッキングしましょう。
釣果があがらずに悩んでいる方は汁系ワームがおすすめ
北海道のロックフィッシュの釣果があがらず悩んでいる方は汁系ワームがおすすめです。北海道でロックフィッシュを楽しむアングラーの多くが、ガルプや熟成アクアといった汁系ワームをきっかけにロックフィッシュの楽しさに目覚めています。手に匂いがついてしまうなど、扱いにくいデメリットもありますが、すべての魚種に対して有効なワームなので初心者の方は積極的に使ってみてください。
北海道のロックフィッシングを楽しもう!
北海道はルアーで狙えるロックフィッシュがたくさん生息しています。ワームはもちろんハードルアーを使っても釣ることもできるので、ロックフィッシュをきっかけに他の釣りの引き出しの幅を広げることができます。ロックフィッシュは北海道のほぼ全域の沿岸で狙えるターゲットなので釣ったことのない魚種や知らないフィールドとの出会いも魅力のひとつです。豊かな海が広がる北海道でロックフィッシングを楽しみましょう!
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