オフショアでは敵なし! ライトジギングなら何が来ても主導権は渡さない!
ソルトウォーター専用リールは、ソルトウォーター対応のノーマルモデルよりも、より過酷な使用環境を想定して開発されたリールであるため、防水性能が高くなっていたり、想定されるターゲットのサイズが大きいので、ギア剛性がより高くなっていたり、パワーの入力がしやすいようにハンドルバーが長くなっていたり、ハンドルノブが握りやすくなっていたりと、様々な部分でスペシャルチューンが施されています。
中でも、2021年にフルモデルチェンジされた、21ツインパワーSWは、そもそもベースモデルのツインパワーがスペックが大変高く強靭なモデルであるにもかかわらず、さらに補強を施したモデルがツインパワーSWとなります。その過剰とも思える鉄壁の武装を軽量コンパクトにまとめたモデルが、21ツインパワーSW 4000XGです。
21ツインパワーSW 4000XGの基本スペック
それでは、21ツインパワーSW 4000XGの基本スペックを見て行きます。ギア比は6.2:1、ハンドル1回転あたりの最大巻き上げ長さは101cmのエキストラハイギアモデルです。ドラグは、最大釣力11kg、実用ドラグ釣力7kgの「Xタフドラグ」が内蔵されています。Xタフドラグとは、スプールの固定をメインシャフトのスプール受け部と、スプール裏に設けた2つのボールベアリングで行う「リジッドサポートドラグ」に加え、ドラグワッシャーをすべて金属ワッシャーとカーボンワッシャーのみで構成し、より熱に強くスムーズでタフなライン出しを長時間維持する高性能ドラグとなっています。ステラSWとツインパワーSWのみに搭載されている機構です。
ラインキャパは、ナイロン4号で150m、5号で125m、PE1号で490m、2号で240mありますので、水深100m前後までの近海であれば、中型青物まで問題なく立ち回ることができます。自重は、ソルトウォーター専用リールとしては軽量の350gで、ビッグベイトなどのキャストにも充分対応できます。
オフショアで大型魚と勝負するために
21ツインパワーSWは、オフショアという過酷な環境でタフな釣りをするためのチューンアップが随所に施されています。オフショアフィッシングは、出港してから帰港するまで、常に海の上にいます。また、釣り船は航行中は常に波が当たり、飛沫が容赦なく甲板上に襲いかかります。タックルは自席のロッドホルダーにむき出して立てていることが殆どで、常に海水を被っています。そのため、ショアフィッシング用の汎用リール以上の防水性能が必要です。
21ツインパワーSWは、シマノの最高の防水機能であるXプロテクトをストッパーベアリングのみならずラインローラーにも搭載し、鉄壁の防水を実現しています。さらに、カバーや蓋、回転体軸受周辺部などのあらゆる隙間には、物理的なシーリング(防水グリースなど)を施した「Xシールド」も施されています。防水性能以外では、オフショアフィッシングは、ショアフィッシングよりも魚のサイズが大きいため、リールにかかる負荷も大きくなります。そのため、アルミ合金製Xリジッドローターが採用され、ローターアームが歪まず、パワーロスの少ない巻き上げが可能となります。
インフィニティドライブ機構追加でさらに巻きが軽く
前モデルの15ツインパワーSWと比較すると、巻きの質は圧倒的に向上しています。21ツインパワーSWには、新たにサイレントドライブとインフィニティドライブが追加されています。これまでのツインパワーSWは、防水性とギア剛性を上げることを重視して、巻き心地には正直目を瞑るしかないのかなといったフィーリングでしたが、21ツインパワーSWにはそんな妥協は微塵もありません。
サイレントドライブは、各ギア部品のレイアウトの最適化により、より緻密な駆動ユニットを生み出すもので、ギアの嵌合の最適化、ギアからギアへのパワー伝達の効率化によるパワーロスの低減と駆動時の異音の撲滅を図った機構です。インフィニティドライブは、メインシャフトの支持機構を、従来型のピニオンギア内壁で支持する機構から、ピニオンギア両端に噛ませた小さな摺動ブッシュ2個で支える機構です。それにより、スプールが前後するオシレーション時の抵抗や、ピニオンギアの回転時の抵抗が軽減され、より滑らかで軽やかなリーリングが可能になります。ただひたすら武骨と言うわけではなく、繊細な一面もあるんです。
ヒートシンクドラグは4000番は非搭載...
オフショアでの大型魚とのファイトは、例えばマグロなどが相手だと数時間に及ぶこともあります。ドラグはその間、常に摩擦熱を受け続け、「熱ダレ」という状態に陥ることがあります。熱ダレが起こるとドラグは制御不能になります。最悪の場合は「焼き付き」が起こり、ドラグが回らなくなります。そうならないように、熱伝導率の高いアルミ製ヒートシンクにより、熱を吸い上げ、スプール外へ放熱する、電子基板のヒートシンクと同じ機構が搭載されています。これにより、熱ダレを回避しつつ、ロングファイトにもドラグ性能を維持するというもので、ステラSWとツインパワーSWのみに搭載された機構です。
しかし、21ツインパワーSWの場合は、10000番と14000番のみに搭載された機構で、4000番には搭載されていません。4000番の小型SWリールには、熱ダレが起こるほどのロングファイトはないということだと思いますが。
21ツインパワー 4000XGはどんな釣りにマッチするか?
21ツインパワー 4000XGは、シリーズ最小のモデルではありますが、XリジッドローターやHAGANEボディ、HAGANEギアなど、剛性に関してはシマノ最高クラスの強さを持っていますので、汎用リールの4000番相当の使い方よりもワンランク上のターゲットにも対応できるでしょう。例えば、ショアジギングであれば、60cm級のイナダ、80cm級のシーバスと言ったところを、21ツインパワー 4000XGならば、80cm級のワラサ、メーター級のシーバスが狙えるといったイメージです(当然、使用するラインはより強靭なものにしなければなりません)。
また、自重350gですので、キャストフィッシングにも対応します。ジギング、泳がせ釣り、水深100m前後を狙うアマダイ釣りやオニカサゴ釣り、イカツノによるイカ釣りなど、さまざまな釣りに対応できる、万能リールであると言えるでしょう。ワンランク上の剛性と巻きパワー、鉄壁の防水性能で、同番手の汎用リールを使用するよりもストレスのない釣りができるはずです。