シマノ・ストラディック 1000Sは、驚愕の高機能リール。自由気ままにライトな釣りを本気で楽しめる、超贅沢な相棒だ!
スピニングリールに必要な基本機能をすべて網羅し、さらに上位機種のみにしか採用されていない機構も贅沢に取り入れている、非常にコスパの良いリールがあります。実勢価格2万円前後で手に入る、シマノ・19ストラディックシリーズは、まさにそうしたコスパ最強のスピニングリールとなります。そのラインアップの中で最も小さいモデル、ストラディック1000Sは、非の打ち所のない絶妙な小型リールに仕上がっています。コンパクトロッドに装着し、車に常備しておけば、いつでもどこでも、思い立ったらすぐに釣りができる、良いパートナーとして末永く使えるリールです。
1000番のスピニングリールに求める機能とは?
1000番という、手のひらに乗るような小さなスピニングリールは、皆さんどんなときに使っていますか? 穴釣りですか?ハゼ釣りですか?短いロッドに装着して、静かに仕掛けを落とす釣りが多いでしょうか? 1000番クラスの小型スピニングリールに求められる機能は、軽さよりも剛性でしょう。軽さはもともとサイズが小さいため有利ですが、小さくて軽いからといって、華奢であってはいけません。ストラディック1000Sは、軽さはもちろん剛性の部分もしっかり作り込まれており、淡水本流トラウト釣り、エリアトラウト釣り、磯ウキフカセ釣り、アジング、メバリングなどのライトゲームなど、繊細な釣りもパワフルな釣りも、ある程度万能にこなすことができます。小物釣りだけでは勿体ないのです。
ストラディック 1000Sの基本スペック
ストラディック 1000Sの基本スペックを見て行きましょう。ギア比は5.2、ハンドル1回転あたりの最大巻き長さは64cmのローギアタイプです。1000番サイズにハイギアは必要ありません。ハンドル長が40mmと短いので、ハイギアにすると巻きが重くなるだけで大してスピードも速くなりません。それよりも軽い巻き性能を優先すべきです。ドラグの実用釣力は2kg、最大釣力は3kgです。スプール径はシマノ最小のφ40の小口径スプールながら、13.5mmのロングストロークスプールで、フロロカーボン2号(8lb)で170m、PE0.6号(9.6lb)で140mのラインキャパがあります。スプール径が小さいので、できるだけ細くて強いラインを巻いて、何でもこなせるバーサタイルなリールに仕立て上げたいですね。
ハイエンド級モデルだけに搭載されている機構が採用されている、ストラディックは選ばれしリール?
ストラディックには、このクラスにはありえない驚きの機構が採用されています。それは「マイクロモジュールギアⅡ」と、「サイレントドライブ」です。「マイクロモジュールギアⅡ」は、ギアの歯面設計を徹底的に見直し、歯形状をマイクロ化して歯数を可能な限り増やし、スムーズな噛み合わせによるシルキーな巻き心地を実現した、ギア機構の全体最適化技術です。そして「サイレントドライブ」は、それに加え、ボディとギアユニットの配置までを最適化し、パーツマウントの際のわずかな隙間、ガタ、揺れを徹底的に排除し、究極の滑らかさと静粛性を手に入れた駆動部のことで、この二つの機構は、ストラディックの上位機種である、コンプレックス、ソアレ、サステイン、バイオマスター、エクセンスには採用されておらず、ヴァンフォード、ツインパワー、ヴァンキッシュ、ステラのみ採用されています。なぜこれらの機構がストラディックに採用されているのでしょうか?ともすれば埋もれがちな、ミドルレンジのスピニングリールにインパクトを与える目的があったのではないかと思います。また、シマノの新機構を手ごろなモデルに採用し、周知を促す目的もあろうかと思われます。
ストラディック 1000Sでどこまで行けるか?
ストラディック 1000Sは、剛性の高いアルミボディに、マイクロモジュールギアⅡとサイレントドライブによる高精度のパーツレイアウトで組み込まれた駆動部品と、19ストラディックで新しく採用された高精度アルミねじ込み式ハンドルの効果で、リールにかかる魚のパワーを受け止め、リールの撓み、歪みのないファイトが可能な高性能な小型リールです。ギアの材質も、超々ジュラルミンの冷間鍛造によるドライブギアと超高強度亜鉛製ピニオンギアの組み合わせですので、リール本体の剛性としては、40cm程度青物とのファイトも問題はありませんが、スプールが小さく、パワーのあるラインを長く巻くことができないので、100m先のボイルをめがけてフルキャストするようなジギングは出来ません。それでも、接近戦であれば十分勝負になります。数十m以内のストラクチャー狙いのバス(40cm程度まで)、シーバス(フッコ程度まで)、河口部のメッキ狙いなどであれば対応は可能でしょう。ただし、スプール径が40mmと小さいため、スーパーライトジギングで使うなら、糸クセの付きやすいフロロカーボンよりもPE0.6~0.8号程度を聞いた方が良いでしょう。
ライバルはダイワ・18カルディア LT1000S-Pだ!
サイズ感、価格帯が似ている機種に、ダイワ 18カルディア LT1000S-Pがあります。この2機種は、どちらも軽さと強さを謳い、実質2万円前後の高コスパモデルとして人気です。大きな違いとしてはボディ材質になります。ストラディックはアルミボディに対し、カルディアはより軽量なZAION(高密度カーボン長繊維強化樹脂)製です。どちらが剛性が強いかは正直わかりません。ただし、ダイワの公式サイトでは、ZAIONはマグネシウムを越える剛性を持つ素材として紹介されています。これにより、カルディアの自重は170g、ストラディックの自重は185gとなっています。最大ドラグ釣力もカルディアは5kgに対し、ストラディックは最大ドラグ釣力は3Kkgとなっています。これらより、より軽さを求めたいのであれば18カルディア LT1000S-Pを、ハイエンド機種並みの巻き心地を手ごろな価格で体感したいのであればストラディック 1000Sを選べば良いと思います。
正直、ビックリマークだらけの19ストラディックは、次世代小型スピニングリールへの布石か?
大げさではなく、19ストラディックは驚きの高機能リールです。マイクロモジュールギアⅡとサイレントドライブの巻き心地は、このクラスのリールとしては異次元のハイレベルで、ステラ、ヴァンキッシュを彷彿とさせるシルキーな巻き心地です。回転慣性を敢えて残したコアソリッドシリーズのリールとして、巻き重視の釣りに非常に向いています。当然、ステラやヴァンキッシュの半額以下の製品ですので、当然材質の部分でコストダウンが図られてはいますが、防水性能はXプロテクトによる非接触防水処理が行われ、ベアリングもシールド付き防錆ベアリングが採用され、基本的な機能の部分はハイエンドクラスのリールに全く引けを取りません。どう考えてもお得でしかないストラディック 1000Sは、正直「なぜ?」と驚くほどの高機能が織り込まれていますが、これが次世代のミドルクラスのスピニングリールのスタンダードを暗示しているのではないかと、勝手に期待していたりします。