釣り初中級者が持つべきリール!シマノ ストラディック2500SHGのインプレ
ストラディックシリーズの特徴
ストラディックは、2015年に初めて発売されたミドルクラスのリールです。価格は2万円前後に抑えられつつも、ハイエンド機種に迫る様々な機能を搭載したコストパフォーマンスに優れたモデルとなっています。2019年にモデルチェンジが行われ、さらに進化しました。
ステラの要素を受け継いだコアソリッドシリーズ
ストラディックは、ステラを頂点とするコアソリッドシリーズに該当します。コアソリッドシリーズは、しっとりとした質感の巻き心地と剛性の高さをコンセプトに設計され、巻き続ける釣りや剛性が必要な釣りに向いたリールです。Gフリーボディや低摩擦ロータークラッチはもちろん、番手ごとに最適なものが選択されたワッシャー素材など、ステラに肉薄する使用になっています。2万円前後のリールにこれほどの技術が詰め込まれているのは驚きです。
※参考記事:シマノの「コアソリッド」と「クイックレスポンス」の違いを解説幅広いラインナップとコスパ
ラインナップは、1000SからC5000XGまでの全13機種あり、アジング・メバリングなどのライトゲームやシーバス、ショアジギングまで何でも対応できるモデル展開になっています。また最も大きいC5000XGでも、実売価格は2万以下とコストパフォーマンスの高さが伺えます。この価格帯には各メーカー様々な機種をリリースしていますが、19ストラディックは、その中でもかなりのコスパを実現しています。
前作との変更点
19ストラディックには、前回の15ストラディックからいくつかの変更点があります。これまでハイエンド機種にのみ搭載されていた技術が惜しみなく追加され、さらに使い心地の良いリールになっています。新たに追加された技術について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
マイクロモジュールギアとサイレントドライブ
巻きに関する技術として新たに2つの機構が追加されています。まずは「マイクロモジュールギアⅡ」です。歯車の歯面を1から設計し直し、ギアノイズを低減とさらに滑らかなギアフィーリング※1を可能にしています。そしてサイレントドライブ。ドライブギアやウォームシャフトなど、駆動系のパーツが全て見直され、ガタや揺れが極限まで抑えられることによって回転性能が向上しています。これらの機構は、ステラやヴァンキッシュなど一部のハイエンドモデルにのみ搭載されていたもので、2万円前後のリールで搭載されているのはこの19ストラディックだけです。
※1 ハンドルに伝わる歯車の噛み合いによる振動
Xプロテクト
15ストラディックには、コアプロテクトと呼ばれる防水処理が施されていました。コアプロテクトも充分な防水効果がありましたが、19ストラディックには最新のXプロテクトが搭載されています。ラビリンス構造と呼ばれる水の侵入を抑える機構を取り入れ、非接触式構造でありながらコアプロテクト以上の防水性能を実現しています。この機能があれば、海水によるリールの消耗を抑えることができるので、ソルトウォーターゲームでの使用を検討している人も安心です。
HAGANEギア
HAGANEギアは、前回の15ストラディックにも搭載されていました。しかし今回のモデルチェンジによって、新設計された上位機種と同等の新しいHAGANEギアに生まれ変わりました。シマノ独自の鍛造方法によって、硬さと粘り強さを持ったHAGANEギアは、滑らかな巻き心地と耐久性に貢献しています。
ストラディックの良い点
巻きの安定感
マイクロモジュールギアⅡやサイレントドライブが搭載されていることもあり、その巻き心地はハイエンドモデルに匹敵するほどです。ブレや歪みも非常に少なく、コアソリッドシリーズらしいシルキーな巻き心地と剛性感のある仕上がりになっています。また、15ストラディックでも採用されていたねじ込み式ハンドルの折りたたみ機能が廃止されています。収納には少し不便ですが、これがさらなる巻きの安定感につながっています。
コスパ
やはりストラディック最大のポイントは、そのコストパフォーマンスの高さでしょう。上位機種と同等の機構が数多く搭載されているにも関わらず、実売2万円以下のリールとして販売されています。また、幅広く汎用性のあるラインナップは、様々なジャンルの釣りをされる方や、複数のタックルを用意したい方に最適です。前作でもそのコストパフォーマンスが注目を集めていましたが、4年ぶりのモデルチェンジでさらに磨きがかかっています。
ストラディックの悪い点
巻き出しが遅い
コアソリッドシリーズであるストラディックは、慣性を利用して巻きの安定感を生み出しているため、ローターが少し重く設計されています。初速が必要な釣りには、あまり適していません。この点に関しては何を重視したいかで良し悪しが変わってくるので、軽さと操作性が必要な釣りの場合は、シマノのもう一つのシリーズ「クイックレスポンスシリーズ」を使用しましょう。私が購入したモデルはハイギアということもあり巻き出しの遅さが気になりました。しかしノーマルギアであればここまで気にならないでしょう。
上位機種に比べると粗さが残る
ハイエンドモデルに匹敵するほどの技術が搭載されているとはいえ、コストを抑えるために各所の素材が変更されています。例えばHAGANEギアは、基本的な設計は同じですが表面処理や成形精度に差があります。上位機種との差別化のため、同じ名前でもこうした違いがあることに注意しましょう。また、ストラディックはリジッドサポートドラグ※2が非搭載です。スプールにベアリングが入っておらず、ドラグの滑らかさに少し不安が残ります。
※2 スプールとメインシャフトにベアリングを搭載し、スプールのフラつきを抑えてドラグの性能を向上させる技術。
ストラディックがおすすめな釣り
シーバス
巻きの安定感と剛性の高さが特徴のストラディックは、やはり巻きの多い釣りに向いています。ミドルクラスの機種とはいえ、大型のシーバス相手でも不安無くやり取りすることができます。私は2500SHGでシーバスを狙ってみましたが、その巻きの安定感が最大限に活かされていました。やはりプラグを巻き続けるのに適したリールです。しかし2500番ということもあり、魚の大きさによってはやり取りしずらい部分もありました。シーバスに使用する場合は、3000~4000番がおすすめです。特に3000MHGは、シーバス向けのモデルとして開発されており、力強い巻き上げと軽快さを持ち合わせています。スプールは2500やC3000とも互換性があるため、シーバス以外にも幅広く使用可能です。
ロックフィッシュ
ノイズが少なく、ギア部品やボディ本体の耐久性が高い19ストラディックは、ロックフィッシュにも最適です。重量のあるリグを使用する場合でも、そのノイズレスな巻き心地によって、ボトムの状況を鮮明に感じ取ることができます。実際に30cmほどのキジハタを釣り上げましたが、PE0.6号を巻いた2500番のモデルでも安心して楽しむことが出来ました。巻き上げる力はこの番手でも充分に感じられます。オフショアで大型のロックフィッシュをターゲットにする場合は、4000~5000番のモデルを使用しましょう。
ストラディックがおすすめできない釣り
アジングやメバリングなど、細かいアクションが必要とされる釣りにはおすすめできません。クイックレスポンスシリーズと比べると、どうしても感度や操作性が気になってしまいます。また、重量は2500SHGで220gと比較的重い機種になっています。エギングのように激しいシャクリを繰り返す釣りには適していません。ロッドとの兼ね合いもありますが、快適なアジングやエギングを楽しみたい場合はクイックレスポンスシリーズを選びましょう。
上位機種と比べると不満が残るが、釣りを快適に楽しめる完成度
今回はコストパフォーマンスと安定した巻き心地が特徴のリール、19ストラディックについて解説しました。前作の15ストラディックから更に進化した性能は、ステラやヴァンキッシュに迫る勢いです。2万円前後のリールとしては、かなりの完成度では無いでしょうか?もちろん素材の違いや、リジッドサポートドラグの非搭載など、気になる点はありますが、釣りを快適に楽しむために必要な性能は充分に備わっています。コスパの良いリールを探している方は、是非一度試してみることをおすすめします。