ダイワ・LTコンセプトの現時点での完成形、20ルビアスは欲しい機能をほぼ網羅!
2018年にダイワが発表した、リールの新設計基準である「LTコンセプト」は、18イグジスト、18カルディア、18フリームスから採用され、以後続々とLT化され、生まれ変わったモデルが登場しています。2021年現在、汎用スピニングリールでは20クレスト以上のモデルは全てLT化か完了しています。そんなLTコンセプトですが、もちろんその内容については、ハイエンドクラスのリールのブレイクスルーとエントリークラスのそれとでは内容が大きく異なります。20ルビアスは、ダイワが当初思い描いていた「Light」で、かつ「Tough」な、LTコンセプトの思想を、現時点で最も理想に近い状態で具現化したモデルと言えます。
前モデル、15ルビアスからの変更点
LTコンセプト導入前のモデル、15ルビアスと、LT化された20ルビアスは、全く違ったモデルへと変貌を遂げています。一番の違いは、ボディがZAIONモノコックボディに変更されているところです。通常のリールは、ボディとボディカバーでドライブギアを支持し、その固定にはビスを使っていますが、モノコックボディはボディカバーを廃し、ドライブギアをボディの中に収納したらビスによる固定を行わず、代わりにボディカバーに相当する大きなエンジンプレート自体にネジ加工がおこなわれ、エンジンプレートだけでギア機構を強固に固定しています。これにより、たわみやねじれの外的応力に負けない構造を獲得すると同時に、ビスを使用しない分、ボディ内のスペースを広く取ることができ、ドライブギアの大口径化も可能となり、巻き上げパワーも大幅に向上しています。
ドライブギアは15ルビアスはマシンカットデジギアが採用されているのに対し、20ルビアスではタフデジギアになっています、冷間鍛造のみでギアを作るタフデジギアは、巻き心地よりも耐久性重視のセッティングになっています。次にローター材質。15ルビアスはカーボン短繊維強化プラスチックDS5を使用しているのに対し、20ルビアスではZAION(カーボン長繊維強化樹脂)製ローターに変更となり、軽さと剛性が強化されています。さらに、スプール材質も15ルビアスのアルミエアスプールから、薄肉アルミスプールへと変更され、より軽くなっています。ラインローラーも15ルビアスの1BBから20ルビアスは2BB化されています。重量は、20ルビアス LT3000-Cと同サイズの旧モデル、15ルビアス 2506の200gに対し、20ルビアス LT3000-Cは180gと、20gの軽量化を果たしています。
20ルビアス LT3000-CKの基本スペック
それでは、20ルビアス LT3000-Cの基本スペックを見て行きます。ギア比は5.2、ハンドル1回転あたりの最大巻き上げ量は77cmのノーマルギア機です。ドラグは最大釣力10kgのATD(オートマチックドラグシステム)を搭載しています。ラインキャパはナイロン8lbで150m、10lbで120m、PE1号で200m、1.2号で190m、1.5.号で150mあります。ラインキャパがそこそこあり、LC-ABSスプール(ロングキャスト-アンチバックラッシュスプール)採用のため、遠投が必要なライトショアジギングでい青物やシーバス、フラットフィッシュ狙いなどができるほか、オフショアでのタイラバ、タチウオテンヤなどのバーチカルな釣り、フレッシュウォーターでもエリアトラウトでの大物狙いや本流ネイティブトラウト、下流部でのシース釣りやサーモンフィッシングなど、パワーを要する釣りにも充分対応が可能です。
軽さと強さとコストのバランスが現行のラインアップではベストか?
20ルビアスは、実勢価格で3万円を切るか切らないかといった価格帯で入手できる汎用スピニングリールとしては、軽さと強さとコストのバランスが非常によく、ダイワが考える「LTコンセプト」の現時点でのひとつの解であるともいえるモデルではないかと思います。ダイワのLTコンセプトは、安価なモデルの場合は、消費者が手に取ってわかりやすいように、どうしても「軽量化」に重点が置かれます。その分、剛性や防水性が犠牲になっているものも存在します。ベアリングを抜く、金属パーツを樹脂化するなどでの軽量化というものです。もちろん、必要最低限の剛性は担保されているでしょうが、安価なモデルはLT化されているとはいえ、長期耐久剛性や防水性などについては担保されているとは言い難いものが多少なりともあります。
20ルビアスでは剛性についてはZAIONモノコックボディとZAIONエアローターの採用で剛性を飛躍的に向上させつつ、ローターの逆転ストッパーON/OFF機構を思い切って切り捨て、軽量化も実現、それにより防水性能まで向上させています。樹脂パーツを多用はしていますが、スプールは薄肉アルミ製であり、マシンカットアルミハンドルのメタル感も相俟って、プラスチッキーでチープな印象は微塵も感じることはありません。また、太いラインでも細いラインでも簡単に一発で止められる、パーフェクトラインストッパーの便利さは、個人的に非常にうれしい機構です。
エギングでも磯フカセでもライトゲームでも高いパフォーマンスを見せる!
自重180gは、アクションを伴うほとんどの釣りを快適に行えます。また20ルビアス LT3000-Cはノーマルギアなので、パワーを要求される釣りにも対応します。PE0.8号~1号を巻いて春のモンスター狙いのエギングはもちろん、ナイロン10lb~12lbを巻いてグレやチヌなどの磯上物フカセ釣り、カーボンモノコックボディの剛性を最大限生かすのであればトップウォーターを引くシイラやワラサ釣り、強引に岩から引きはがすタコ釣りにも使えるでしょう。ロックフィッシュの大物狙いも楽しいでしょうし、大型狙いの夜メバリングもおすすめです。このように、20ルビアスは汎用性の高いリールではありますが、このリールの汎用性が最も発揮できる番手が、LT3000-Cではないかと思います。
ライバルはズバリ、シマノ・20ヴァンフォード C3000!
サイズ感も自重も価格帯も似ているライバル機としては、シマノ・20ヴァンフォード C3000が挙げられます。サイズ感、ギア比もほぼ同じ、自重はともに180gと軽量です。ラインキャパはヴァンフォード C3000の方がありますが、フィールドとしてはほぼ似たり寄ったりの商品です。剛性は20ルビアス、巻きの滑らかさは20ヴァンフォードといったところでしょうが、性能差はほぼないと言っても良いでしょう。好みで選んで何の問題もありません。強いて言えば、モノコックボディによるドライブギアの大口径化、大型エンジンプレートによる強固なパーツマウントがもたらす堅牢性が求められれば20ルビアスが、マイクロモジュールギアⅡとマグナムライトローターによる巻きとローター動き出しの軽さを求めるのであれば20ヴァンフォードが良いでしょう。
ダイワのLTコンセプトの今後の進化にさらに期待!
軽さと強さの両立は、リールに限らず、すべての工業製品の開発における永遠のテーマと言えます。軽くする、強くするという、相反する要素をどちらも強化するということは大変なイノベーションが必要ですが、20ルビアスが出した、ZAIONモノコックボディとZAIONエアローターという、現時点でのひとつの最適解は、1年後には陳腐化します。非常に競争の激しい分野ですが、開発競争が激化すればするほど、我々アングラーにとってはワクワクが止まらないということですね!