その巻き感度はフラッグシップにも迫る、19バリスティックFW LT1000S-Pの実力とは
19バリスティックFWとは
ルビアスと同等の中級クラスのリールとして2019年春に19バリスティックFW、秋に後発でマグシールドありの19バリスティックが発売されました。19バリスティックFWはダイワ汎用スピニングリールとしては珍しいマグシールド非搭載機で、なおかつ18イグジストで使用されているZAIONローターにZAIONボディー、MCタフデジギア搭載と中級機種とは思えない豪華なスペックが盛り沢山のスペシャルモデルです。
徹底的に軽さに拘ったスペック
19バリスティックFWを持った第一印象は「マグシールドレスのLT版15イグジスト」でした。ボディーはモノコックではない蓋形状のZAIONボディーに18イグジストと同じZAIONローターで、19バリスティックFW LT1000S-Pの自重はなんと160g。汎用スピニングリールの1000番クラスのリールとしては18イグジストと21ルビアスエアリティの150gに次ぐ軽量モデルとなっています。また19バリスティックFWが軽いのは自重だけではありません。
マシンカットタフデジギア搭載により巻き心地も非常に軽い
19バリスティックFWの心臓部であるドライブギアには、18イグジストや19セルテート、21ルビアスエアリティなどの上位機種に搭載されているマシンカットタフデジギアが採用されています。冷間鍛造されたジュラルミンのギアの歯面を切削機械で更に滑らかに加工した非常に精度の高いドライブギアとなっています。これによりハンドル巻き上げ時のパワーロスの削減、巻き感度の向上など1ランク上の巻き心地をもたらしてくれるでしょう。
マグシールドレスにより巻きの軽さの向上だけでなく、自己メンテナンスも可能に
近年のダイワスピニングリールではもはやスタンダードになったマグシールドですが、19バリスティックFWではあえてマグシールドレスの仕様となっています。マグシールド搭載機にはメインシャフト部分にパッキンがあり、それが少なからずシャフトの抵抗になってしまいます。19バリスティックFWはマグシールドレスにすることで非常に巻きが軽く、感度も良くなっています。マグシールドレスなので自己メンテ派の方には朗報ですね。
その他にもロングキャストABSなど最新技術も搭載
上記の機能以外にも、ロングキャストABSや超薄肉スプール、ワンピースエアベールなどなど、上位機種とほぼ同等の機能が惜しみなく搭載されています。にもかかわらずルビアスと同価格帯で購入できるというのが、19バリスティックFW LT1000S-Pの最大の魅力であることは間違いないでしょう。
19バリスティックFW LT1000S-Pの特徴
感度抜群、4.9のパワーギア
現行のノーマルギアはギア比5.1~5.2ものもがメインになっている為、4.9の19バリスティックFW LT1000S-Pはパワーギアとなっています。パワーギアは巻き感度が非常に良く、慣れてくると巻いているルアーの波動やルアーの受けている水流の強さなども感じることができます。巻き取り長はデッドスローリトリーブに適した60センチとなっています。
ライトゲームにぴったりなラインキャパシティー
19バリスティックFW LT1000S-Pはナイロン2.5lb100m、PE0.3号200mと非常にシャロースプールになっています。おそらくルアーフィッシングで使用するラインとしては最も細い部類に入るでしょう。最近ではナイロンラインでは1.5lb、フロロカーボンラインでは1lb、PEラインでは0.15号、エステルラインは0.2号と各メーカーから極細ラインが発売されています。どれも細さの割に強度は昔に比べるとかなり強くなっています。極細ラインはラインの線形が細く、その分水切りが良く感度も段違いに上がっています。そのようなラインを使う釣りには19バリスティックFW LT1000S-Pはうってつけのモデルと言えるでしょう。
ハンドル長は18イグジスト FC LT1000S-Pと同じ35㎜
ハンドル長が長ければ巻き上げが楽になりますが、その分感度が犠牲になってしまいます。その為エクストラハイギアでは長いハンドルが標準装備される傾向にあります。パワーギアである19バリスティックFW LT1000S-Pには35㎜というショートハンドルが採用されており、こちらも巻き感度の向上に一役買っています。この長さのハンドルは以前はRCS(現在のSLP WORKS)がカスタムパーツで販売しているもの以外は、08プレッソ 1003、14プレッソ 1025などエリアトラウト専用機にのみ採用されていました。現在は18イグジストや21ルビアスエアリティなどの1000番クラスのリールでは35㎜が採用されるのがスタンダードになりつつあります。
20ルビアス FC LT2000Sと徹底比較
19バリスティックFW LT1000S-Pと同価格帯の対抗馬として、ダイワ汎用スピニングリールの中で真っ先に思いつくのが20ルビアス FC LT2000Sでしょう。それぞれに得手不得手のある両モデルですが、具体的にどのような違いがありそれぞれどのようなシチュエーションに向いているのかを見てみましょう。
マシンカットタフデジギアvsタフデジギア
まず両機の大きな違いの1つはドライブギアの種類です。19バリスティックFW LT1000S-Pには冷間鍛造のマシンカットタフデジギア、20ルビアス FC LT2000Sにはタフデジギアがそれぞれ搭載されています。MCタフデジギアは18イグジストや19セルテートなど上位機種に搭載されているもので、ギアの歯面が滑らかで巻き感度に優れています。その為巻きの感度や軽さでは、19バリスティックFW LT1000S-Pの方がより繊細な釣りに向いているといえるでしょう。
ボディー形状
両機ともにZAION製のボディーにZAIONエアローターが採用されていますが、19バリスティックFW LT1000S-Pは蓋形状のボディー、20ルビアス FC LT2000Sではモノコックボディーです。モノコックボディーの恩恵は大きく、ボディーの剛性感のアップやドライブギアを蓋形状のものよりも1サイズ大きくできる為、同サイズのボディーでもパワーが上がる、そして20ルビアス FC LT2000Sには逆転レバーがなく、防水性能が大幅にアップしています。その為、頑丈さや巻き上げパワーは20ルビアス FC LT2000Sに軍配が上がるでしょう。
その他、ギア比やハンドル長
上記以外の相違点は、ギア比が19バリスティックFW LT1000S-Pが4.8で20ルビアス FC LT2000Sが5.1(巻き取り長がそれぞれ60センチと67センチ)、ハンドルの長さは19バリスティックFW LT1000S-Pが35㎜、20ルビアス FC LT2000Sが45㎜と、もはや同じLT1000ボディー規格といえども全くの別物と考えてよいと思います。それぞれの特徴をよく理解し、それぞれにフィットするシチュエーションのリールを選べばよいと思います。
繊細な巻きの釣りには19バリスティックFW LT1000S-P、パワー重視の20ルビアス FC LT2000S
では具体的にどのようなシチュエーションが向いているかというと、19バリスティックFW LT1000S-Pはナイロンラインや極細フロロカーボンラインなどモノフィラメント系のラインを使用したスローな展開が主な釣り、20ルビアス FC LT2000Sはエステルラインや極細PEラインを使った気持ち早めの釣りやリールに水が頻繁にかかるフィールドでの釣りに向いているでしょう。それぞれ一長一短ですが、感度やパワーとフィールドの環境などを考慮した上で選ぶと良いと思います。
19バリスティックFW LT1000S-Pの得意な釣り
エリアトラウト
19バリスティックFW LT1000S-Pの本領がもっとも発揮できるのがエリアトラウトでしょう。基本的にステディーリトリーブがメインとなるこの釣りでは、リールの自重や巻き感度、巻きの軽さ、ドラグ性能などが最重要視されます。フルZAIONにマシンカットタフデジギア、そしてマグシールドレスでATDやLCABSの搭載など、ライトゲームの中でも特にフィネスな、1gアンダーのスプーンの巻きの釣りでその真価を発揮してくれるでしょう。価格帯も中級機としては少し安価な部類だと思いますので、入門機からのステップアップとしてはうってつけのリールでしょうか。
アジング
フレッシュウォーター仕様になっている19バリスティックFW LT1000S-Pですが、17プレッソLTDのようなオイルベアリング仕様ではないのでソルトでの使用も問題なくできます。中でもライトソルトで繊細なアジングにはとても向いています。繊細な潮流の変化やルアーの後ろに着いた魚の前アタリなども感じることができるので、水中の様子が手に取るようにわかるでしょう。19バリスティックFW LT1000S-Pを使って、同じエリアで釣りをしているアングラーの釣果に差を付けましょう。
漁港のでライトロック
19バリスティックFW LT1000S-Pはその巻き取り長の短さとパワーギアが使用されていることから、漁港でのカサゴやメバルなどのライトなロックフィッシュも得意な釣りと言えるでしょう。メバルであればスローなプラッギング、カサゴであれば穴釣りやテトラ帯でのネチネチしたワーミングに適したリールであると言えます。カサゴのようにヒットした瞬間に一気に根に潜ろうとする魚でも、パワーギアでその突っ込みを躱すことは難しいことではないです。
19バリスティックFW LT1000S-Pの向いていない釣り
渓流でのネイティブトラウト
渓流でのトラウトフィッシングには、19バリスティックFW LT1000S-Pは向いていないと言わざるを得ません。渓流での釣りは流れの変化を手返し良く探り、どんどん川を釣り上がっていくランガンの釣りです。そうなると巻き取り長60センチではテンポ良く釣りが展開できません。渓流で使うなら巻き取り長81センチのXHモデルで、感度重視なら19バリスティックFW LT2000SS-XH、軽さとパワー重視なら20ルビアス FC LT2000S-XHをおすすめします。
巻きの釣り向けスペシャルモデル、19バリスティックFW LT1000S-Pは究極のフィネス機
今回ご紹介させていただいた19バリスティックFW LT1000S-P、そのスペックの高さと手の届きやすい価格帯から隠れた名機と言っても過言ではないでしょう。その軽さへの拘りや巻き感度、操作性の高さは、同クラスの20ルビアスに負けないほどの魅力にあふれたモデルだと思います。中でも19バリスティックFW LT1000S-Pは超軽量ルアーを意のままに操る、まさにフィネススペシャルと言えるでしょう。巻きの釣りに拘るライトゲーマーにはおすすめしたいモデルです。