北海道でバス釣りは物足りない?バス好きならクロソイに100%ハマる。道具も攻め方も同じ
作成:2019.09.21更新:2021.08.20
目次
北海道は全国でも珍しいブラックバスが生息しない地域として知られています。淡水の釣りでは在来種の貴重なトラウトなどを釣ることができますが、本州から引っ越してきた方や、ブラックバス釣りに憧れを持つアングラーの方には少々物足りなく感じます。
そんな方におすすめなのがロックフィッシュです。ソルトルアーゲームの中では北海道での人気も高く、近年は専用ワームやロッドなどの数も非常に多くなっています。アングラーの中にはバス用として販売されているタックルやルアーなどを流用する人も多く、ブラックバス釣りに近いゲーム性の高い釣りも楽しめます。
特に、クロソイはロックフィッシュのターゲットとして人気の高い魚種です。クロソイの釣り方は定番のジグヘッドを使ったアプローチだけでなく、バス釣り用として販売されている、様々なルアーで応用することもできます。クロソイのどう猛な食性と大きな口はブラックバスのいない北海道でバス釣りを再現できる数少ないターゲットの1つとして多くのルアーマンに愛されています。
私もロックフィッシュをはじめた当初はロックフィッシュ専用ワームとジグヘッドを組み合わせた定番の釣りを楽しんでいましたが、よりゲーム性の高い釣りを求めてバス系のルアーを使ったところ、自分が想像している以上の釣果とエキサイティングなクロソイゲームを楽しめました。
ここでは日本海を中心にバス釣り用のタックルでロックフィッシュを楽しむエキスパート2人に取材を行い、ブラックバス釣り用のルアーを使ったクロソイゲームについて紹介していきます。
釣りの聖地北海道のロックフィッシュアングラーに取材協力依頼
取材に協力してもらったロックフィッシュアングラーを紹介します。クロソイはもちろん北海道で釣れる様々なロックフィッシュを1年中追いかけています。2人はバスメーカーやバスプロに憧れはあるものの、北海道で狙うことができるランカーサイズのロックフィッシュゲームにバス釣りに似た魅力を感じています。
北海道最大ロックフィッシュトーナメント優勝者「甲斐さん」
人気釣具メーカージャッカルのルアーやタックルを中心にロックフィッシュを楽しむアングラー。北海道最大のロックフィッシュトーナメントである長万部カップで優勝経験もあり、釣りの腕もルアーの知識も非常に高いです。北海道でジャッカルのワームが人気になる以前から愛用しているジャッカルフリークです。
長万部カップをはじめ入賞経験多数の「嶋田さん」
多くのトーナメントプロが愛用するエバーグリーンのルアーやタックルを中心にロックフィッシュを楽しむアングラー。長万部カップはもちろん、北海道のローカルトーナメントでは入賞経験も多数。初心者でもわかりやすい釣りをモットーに釣り場で知り合った釣り人と交流しながら釣りを楽しんでいます。北海道では非常に珍しいエバーグリーンのバスロッドを複数所有しています。
バス釣りに近い自由度が魅力のクロソイゲーム
クロソイはジグヘッドリグを使ったただ巻きを中心に様々な釣り方を楽しむことができます。近年は取材した2人のようにバス釣り用として販売されているワームやルアーをクロソイ釣りに流用するアングラーも増えており、バス釣りに近い自由な釣りを楽しみたい方にはぴったりのルアーフィッシングです。
ジグヘッドリグを使ったスイミングアクション
クロソイを釣るためのもっとも定番の釣り方。クロソイは小魚などのベイトフィッシュを積極的に追いかけて捕食する習性があるため、基本的にはジグヘッドリグを使ったスイミングの釣り方から釣りを組み立てていくことがおすすめです。それぞれの水深に合わせたジグヘッドにクロソイが好んで捕食するベイトフィッシュをイミテートしたワームをセッティングしましょう。
ジグヘッドリグを使ったクロソイの釣り方については過去に掲載した記事を参考にしてください。
活性に合わせてレンジやスピードをコントロール
スイミングアクションでクロソイを釣る際は、クロソイのついているレンジとワームのスピードが釣果アップのポイントです。クロソイは水温などの海の状況に合わせて、ついているレンジや活性が大きく異なります。活性が高いシチュエーションでは表層付近まで積極的にルアーを追いかけますが、活性が低い状況ではボトムから動かないこともあります。そのため、ワームを通すレンジをしっかり見極めることはもちろん、巻いてくるスピードも活性が高ければ早く、低ければ遅くを心がけましょう。クロソイはレンジに非常にシビアな魚種であるため、身近な漁港を攻略するためにはバス釣りさながらの考察力も大切です。
早巻きで釣り上げた1本。約30cmの良型も
今回の取材で甲斐さんが釣り上げた1本。釣り場にエントリーして10分ほどのまだクロソイの活性が高い状況で早巻きを軸に釣りを組み立てました。バス釣り用のベイトタックルを北海道の釣りにアジャストさせ、釣り上げた価値ある魚です。バス釣り用のタックルはスピニング、ベイト問わずロックフィッシュに流用できるため、北海道ではクロソイはもちろんアイナメなどの魚を狙う際にもおすすめです。
甲斐さんはこの後もワームのカラーやシンカーのウエイト、タックルなどを交換しながら次々にクロソイをキャッチ。漁港の中では比較的浅場のエリアで良いバイトがでていることから、アプローチするポイントを絞り込み30cmに迫る良型もキャッチしました。車から手軽にエントリーできるフィールドでもゲーム性の高い釣りが楽しめる点はオカッパリを車でランガンするバス釣りにも近い魅力があります。
タックル情報①
タックル情報②
フリーリグを組み合わせたボトムのズル引き
北海道のロックフィッシュでは定番のリグとして人気の高いテキサスリグやフリーリグ。魚食性が高くジグヘッドを使ったアプローチが中心となるクロソイ釣りでは馴染みの薄い釣り方ですが、活性が低いクロソイに口を使わせるためには効果的な釣り方の1つです。他にもフィールドや活性に合わせてダウンショットリグやキャロライナリグなどのバス釣りで使われるリグをクロソイに応用して楽しむことができます。
ジグヘッドに比べてスローなアプローチが可能
フリーリグはワームがシンカーからフリーになる時間を長くとれるメリットがあります。そのため、ワームのナチュラルな動きを出しやすく、フリーリグはクロソイが食いを渋っているシチュエーションなどに非常に効果的です。合わせるワームには定番のシャッド系ワームではなくナチュラルでスローなアプローチと相性の良いピンテールワームやパーツの多い甲殻系ワームがおすすめです。バス釣り用のワームでは特に甲殻系ワームがロックフィッシュゲームでは有効とされており、甲斐さんはシザーコーム、嶋田さんはアントライオンなどをロックフィッシュトーナメントでも愛用しています。
根掛かりを抑えることが可能
ボトムは宙層に比べると地形の変化や障害物などのストラクチャーに富んでいるため、ジグヘッドを使ったセッティングでは根掛かりのリスクが高いです。フリーリグはワームに針先を隠したオフセットフックを使ったセッティングでアプローチができるため、ズル引きなどのボトムにワームをべったりつけたアクションでも根掛かりを最小限に抑えることができます。これはボトムの釣り以外でも根掛かりの多い昆布帯などでも有効です。
バス系ワームで釣果爆発
取材に同行した2人からクロソイがボトム中心についている傾向があるという話を聞いた私は、やや重めの5g前後のフリーリグやテキサスリグでボトムへの釣りを展開しました。海底には甲殻類が多く生息しており、クロソイが捕食していることも多いことからドライブクローなどのクロー系ワーム。スティーズハイドロスティックなどのピンテールワームでアプローチしました。バス釣り用のワームはクロソイ釣りに流用しやすい、シャッド系やグラブ系だけでなく様々な形状のモデルでクロソイを狙うことができます。時には意外なワームで釣果があがることもあるため、手元にバス釣り用のワームがある人は1度漁港で試してみるのもおすすめです。
タックル情報
ジグヘッドと甲殻系ワームを組み合わせたフォールアクション
クロソイ釣りで定番となるジグヘッドはシャッド系などの小魚を模したワームだけでなく、甲殻系ワームとの組み合わせでも釣果をあげることができます。クロソイはスローなアクションに反応しやすい魚です。パーツの多い甲殻系ワームは、よりスローにワームをフォールさせられることはもちろん、甲殻類やイカなどを偏食しているクロソイにも効果的です。
カーブフォールアクションが効果的
フォールアクションにはラインをフリーにした状態でフォールさせるフリーフォールとラインにテンションをかけた状態でフォールさせるカーブフォールの2種類が存在します。カーブフォールはワームが水中を切るように斜めに落とし込めるため、クロソイ釣りでは特に釣果実績がある釣り方です。今回の取材では嶋田さんがカーブフォールと甲殻系ワームを組み合わせたアクションで多くのクロソイを釣り上げました。
フォール時間をクロソイの活性に合わせて爆釣
釣りも終盤を迎えクロソイの活性がより低下してきた状況にアジャストするために、嶋田さんはジグヘッドリグとフラップクローを使ったカーブフォールでの釣り方でアプローチ。フォールさせるレンジはボトムのやや上の20cmほどという絶妙なレンジですが、ライトリグの扱いに長けたエバーグリーンのロッドであれば問題なく対応可能です。バスロッドはロックフィッシュの専用ロッドに比べると軽いルアーの扱いに長けており感度も良いため、小規模漁港では様々なシチュエーションで活躍します。
タックル情報
スモラバで引き出したビッグフィッシュ
スモラバはスモールラバージグとも呼ばれ、比較的軽めのウエイトのジグヘッドにラバーがついたバス釣り用のジグヘッドです。通常のジグヘッドと同様の使い方はもちろん、ラバーの効果でフォールスピードを落とすことができるため魚の活性が低く、ジグヘッドの釣り方よりスローでナチュラルなアクションが求められる状況に効果的です。
スモラバでのリフト&フォール
ボトムにいる大型のクロソイを狙った嶋田さんは、私たちが誰も使っていなかった5gのスモラバとキッカーバグを使ってボトムに対してアプローチ。フォールさせるレンジはジグヘッドでのアプローチと同じ20cmを意識し、キャストしたルアーが着底するファーストフォールの後の、リフト&セカンドフォールアクションで尺超えとなる大型のクロソイをキャッチしました。
ラバーのスローでナチュラルなアクションを意識する
スモラバを使ったアプローチではラバーのふわふわとしたアクションを意識し、時よりボトムにステイさせるなどスローなアクションを心がけることで大型のクロソイに口を使わせることができました。バス釣りのルアーをクロソイ釣りに流用することは大味な釣りのイメージを持ってしまう方もいるかもしれません。でも、クロソイの活性が低い状況やプレッシャーの高いフィールドでビッグワンを釣り上げるためにも非常に効果的です。
タックル情報①
状況に合わせて釣り方を変えることが釣果アップのポイント
2人には今回の取材と別の日程でもクロソイの釣行に足を運んでもらいました。取材とは別日の釣行では水深が浅く潮通しの強いエリアでの釣りになりましたが、クロソイの反応自体はフォールアクションに対してのバイトが多く、スモラバを使ったセッティングでも釣果があがりました。
パーツの少ないワームに変えてテンポよく
潮通しの強いエリアでは、パーツが多く水の抵抗を受けやすい甲殻系ワームはボトムが取りにくくテンポよく釣りを進めることが難しいです。嶋田さんはエバーグリーンから販売されているピンテールワーム。バスエネミースティックとスモラバでゲームを組み立て釣り上げました。クロソイの活性はもちろん、フィールドの状況などに合わせて釣り方を変えていくことがクロソイ釣りを楽しむ上で大切なポイントの1つです。
タックル情報
クロソイの反応に合わせてリグをチェンジ
水深の浅いエリアではカーブフォールでクロソイの活性をチェックし、反応がなかった場合はボトムを中心にアプローチする釣り方もおすすめです。甲斐さんはボトム周辺のクロソイをリーリングで釣るために1.8gの軽めのジグヘッドとジャッカルから販売されているシャッド系ワームリズムウェーブを使ったデッドスローのリーリングでアプローチしました。軽めのジグヘッドからラバージグまで様々なリグを同時に扱える点もバス釣り用タックルの魅力の1つです。
タックル情報
バス釣り用のルアーでは思わぬ外道も!?
今回の釣行ではクロソイの釣り方で他の魚種の釣果もあがりました。バス釣り用のリグやタックルは他のロックフィッシュをターゲットとした釣りでも有効であるため、アイナメやメバルなどの活性に合わせて様々な釣りに応用することでよりロックフィッシュを楽しむこともできます。
甲斐さんが釣ったエゾメバル
北海道で釣れるメバルの一種であるエゾメバル。北海道のアングラーにはガヤという名前で親しまれており、小規模漁港ではもっとも手軽釣れる魚です。軽めのジグヘッドなどのセッティングでは釣果があがりやすく、クロソイ釣りの外道として釣れることも珍しくありません。甲斐さんはジャッカルのワーム、ウォブリングのリーリングで釣りました。ガヤやソイなどのロックフィッシュは自分の体長と同じサイズのワームにも口を使ってくるため小さなバイトもしっかりとフッキングしましょう。
嶋田さんが釣ったアイナメ
別日の釣行で釣ったアイナメ。クロソイを釣ったときと同じスモラバを使ったセッティングはソイ類だけでなくアイナメにも効果的です。アイナメは基本的にデイゲームで狙うことができる魚ですが、シーズンによっては夜釣りで釣果があがることもあるため、バスタックルで釣りを楽しむ方はランディングネットなども用意しましょう。外道でもコンディションの良い魚が釣れる点も北海道のロックフィッシュの魅力です。
ナイトゲームではヒラメも釣れる?
クロソイの活性に合わせて5g〜7gまでのシンカーを使うことを嶋田さんにおすすめされた私は、5gのビフテキリグとレイドジャパンのウィップクローラーを組み合わせてボトムに対してアプローチ。細かいリフト&フォールとズル引きでアプローチするとワームをしっかりと捕食するバイトがありました。上がってきたのはソゲと呼ばれるヒラメの幼魚。北海道では30cmに満たないヒラメをソゲと呼び、資源保護のためのリリースが推奨されています。ヒラメはクロソイ釣りの外道として釣果があがることが稀にありますが、大型の個体はバス用タックルによってはランディングまで導けないこともあります。
バス釣りの醍醐味を北海道で味わえるクロソイゲーム
今回の取材で嶋田さんは「フィールドや魚に合わせて自由な釣り方ができる点はバス釣りにも負けないロックフィッシングの最大の魅力」という話をしていました。実際に私たち3人はそれぞれ北海道の別のスポットで異なるタックルとルアーを使ったアプローチでクロソイを釣り上げることができ、改めてそのゲーム性の高さを感じました。クロソイ釣りに始めて挑戦する方はロックフィッシュの定番の釣り方はもちろん、バス釣り用のルアーなどを用いた様々な釣り方を楽しみましょう。クロソイは食用としても非常に美味しい魚であるため、はじめて釣った方は一度その味を堪能してみるのもおすすめです。
マナーを守った大人のルアーフィッシング
漁港などでルアーフィッシングを楽しむ方は必ず安全のためにライフジャケットを着用しましょう。立ち入り禁止区域や漁業の邪魔になるエリアでの釣りは避け、マナーを守った釣りを徹底しましょう。ロックフィッシュが楽しめる貴重なフィールドを減らさないためにも釣り人の小さな心がけは大切です。