穴釣りのタックルは「Simple is BEST」。根掛かりを低減するための工夫が必要!

作成:2021.10.25更新:2021.10.25

穴釣りの絶好ポイント 捨て石堤

穴釣りは楽しそうだけど、根掛かりがひどく、仕掛けがいくらあっても足りないからなぁ、と、敬遠している方はいらっしゃいませんか? 確かに穴釣りは、そういう、入り口が狭くて、中が複雑な形状をした、タフなポイントの奥底に仕掛けを送り込んでやらなければなりません。当然、仕掛けは限りなくシンプルにしないと、あちこちに仕掛けが引っかかってしまい、釣りになりません。穴釣り用として、集魚効果を上げるためのギミックが様々売られていますが、それらに効果がないとは言いませんが、あれこれつけても根掛かりのリスクを高めるだけです。シンプルに、根掛かりを最小限に抑えながら、快適に高級な根魚をキャッチするためにはどうしたらよいのか、解説して行きたいと思います。

穴釣りの魅力

穴釣りで釣ったキジハタ

穴釣りの魅力は何と言っても「釣れる確率の高さ」にあります。魚の隠れ家に直接仕掛けを送り込むわけですから、当然と言えば当然ですね。仕掛けを穴に投入した際、その穴に魚が潜んでいれば、ほぼ100%釣れますからね、「ボウズ逃れの最終手段」的に穴釣りをするアングラーも少なくないでしょう。しかし穴釣りの魅力はそんな「ボウズ消し」など、ちっぽけなことではありません。「こんな場所にこんな高級魚がいるんだなぁ!!」という意外性が最大の魅力ですね。メバル、カサゴ、ムラソイ、アイナメなどの他、キジハタ、オオモンハタ、アカハタなど、本格ロックフィッシュの高級魚も釣れてしまいます。「こんなところにいるヤツはどうせ小さいのばっかりだよ!」と言って、歯牙にもかけないライバルの鼻を明かし、30cmを超えるようなキジハタなどをドヤ顔で見せつける、こういった意外性こそが穴釣りの面白さです。

穴釣りは根掛りとの闘い

穴釣りには根がかりがつきもの

穴釣りは、高級魚が足元で釣れるという代わりに、根掛りとの闘いであるという、トレードオフの関係となっています。根掛かりは針が引っかかるだけではなく、シンカーが引っかかったり、サルカンが引っかかったり、テトラポッドに着生した貝類にラインが引っかかったり、様々な理由により起こります。穴の中の構造を見ることはほぼ不可能ですので、仕掛けをできるだけシンプルにして、根掛りを回避しつつ仕掛けを穴の最奥部まで運び入れなければなりません。これが穴釣りの唯一の難しいところですが、この問題さえ回避ができれば、穴釣りほど簡単で確実な釣りは他にはないと言えるでしょう。

根掛かりを低減させるためのタックルの工夫

穴釣りができる場所 傾斜堤

では、穴釣りのタックルで根掛かりを低減させるために、具体的に工夫しなければならないことを説明します。

ハリスを極力短くする

市販のブラクリ仕掛けをご存知の方はおわかりでしょうか? 赤いブラクリ錘の真下に、3cm程度のごく短い凧糸のような赤い太いハリスがついている仕掛けです。ブラクリ仕掛けのハリスが短いのは、オモリとハリス、針の距離を極力短くすることで、アングラーに針の位置をわかりやすくするためです。穴釣りでは、オモリが岩壁やテトラポッドにぶつかることで、仕掛けの現在地や、穴の周囲のだいたいの地形を感知します。このオモリから針の位置が遠くなればなるほど、根掛かりのリスクが高くなります。オモリが地形を感知し、仕掛けの現在地がどんな地形であるかを判断します。そして、オモリが引っかからない場所のすぐ近くにエサをつけた針があるということは、根掛かりのリスクが低いということになります。ハリスが長いと、せっかくオモリが安全な場所にあっても針が全く別の場所に引っかかってしまいます。

錘は小型の中通し式丸型もしくはナツメ型を使う

穴釣りには専用のブラクリ錘がたくさん売られていますが、私は市販のブラクリ仕掛けは使いません。一番の理由はブラクリ仕掛けのハリスは綿糸を撚ったものであり、強度が強すぎ、不幸にして根掛かりしてしまったときに外すのが困難を極めるからです。道糸から切断しなければならず、無理に外そうとすればロッドを折ってしまいます。そのため、ハリスの強度は、ターゲットの魚を釣り上げることができる最低限の強度にします。

そして不幸にも根掛かりしてしまった時は、ハリスを切るようにして、被害を最小限にするのが賢明です。オモリは中通し式の丸型、もしくはナツメ型を使用し、道糸に通しておき、道糸とハリスは超小型のサルカンでつなぎます。道糸よりもハリスの号数を小さくしておき、極力ハリスが切れるように設定しておきます。こうすることで、針が根がかりした際は、ハリスが切れ、サルカンより上、すなわち、サルカン、オモリ、道糸の被害を出さないように工夫します

また、オモリは、極力小さいものを使用します。釣り場の水深、波の強さによっても変わりますが、私はどこで穴釣りを行う場合でも、中通し丸型もしくはナツメ型の2号、大きくても3号までで使っています。オモリとしては重量は物足りないかも知れませんが、むやみに体積を大きくすると根掛かりのリスクが高まるからです。

ネムリ針を使う

ネムリ針とは、ロックフィッシュ釣りで良く使われる、非常に根掛かり回避性の高い針です。針先が大きく内側に湾曲している針で、ネムリ針、ムツ針、ムツネムリ針などの名称で売られています。フッキング性能はやや犠牲になりますが、根掛かりは大幅に軽減されます。残念ながら穴釣りで重宝するような小さ目のネムリ針はあまりありません。カサゴやメバルなど、口の大きな魚を狙う場合はかなり有効です。ネムリ針は、根がかりしにくいというメリットの他、魚に針を飲まれにくい、付けエサが外れにくいなどの効果もあります。通常の穴釣り用針(丸セイゴ、カサゴ針など)の他に、ネムリ針も持っていると、困った時の救世主となってくれること間違いありません。

ティンセル付き針の是非

ティンセル付きフック

ティンセルとは、「キラキラ光る飾りもの」で、本来はヘアアクセサリーだったり、洋服につけるアクセサリーのことをいいます。釣りにおいては、針の軸に取り付ける、キラキラと光る細いフィルム状のアクセサリーです。これが水中で動くことで様々なカラーに光り、魚の興味を惹き、食いつき性能を向上させるためのものです。ジギングなどには絶大な効果をもたらすものです。当然、穴釣りにももちろん効果はあります。しかし、根掛かりを回避するという観点から考えれば、ティンセルは不要です。

理由は、穴の中は狭く、そこにリアルのエサが落ちるのですから、ティンセルなどなくても視覚と嗅覚に充分に訴えることができるからです。もしどうしてもティンセルをつけたければ、ハサミで少し短く切った方が良いかも知れません。ティンセル自体が水中の障害物に絡まり根掛かりすることはほぼあり得ませんが、長いティンセルがついた針は水中で流されやすくなり、結果として根掛かりを誘発させる原因になることは考えられます。

根掛かりを軽減する、穴釣りのシンプルタックルについて

根掛かり回避のための穴釣り仕掛け

上記の根掛かり対策を考慮した上で、シンプルを極めた穴釣りタックルは、「細く」、「先に行くほど強度が弱く」、「根掛かりした時はハリスを切る」ようになっているはずです。具体的に紹介しましょう。

ロッド

穴釣り用の竿

穴釣り専用の短い探りロッドを使用します。場所にもよりますが、ロッド長は1.2m~1.5mが最も使いやすいでしょう。ヘチ際や、小さなテトラポッドが組み上げられていて比較的歩きやすいようなところでは0.9mの超ショートロッドでも十分に釣りになります。2mを超える長いロッドは、遠くまで仕掛けが届くメリットはありますが、正確な操作が難しくなりますので、不用意に手の届かない場所に仕掛けをひっかけてしまう、根掛かりとは別のトラブルに見舞われる可能性が高くなります。

リール

ベイトリール タカミヤ GIGASALT HG

リールはベイトリールもしくはレベルワインダーが付いていない超小型の両軸受けリールを使います。ラインが出入りする方向と巻き取り方向が同一のため、ラインのヨレが限りなく起こらないことと、仕掛けを垂直に落とすことができるため、ピンポイントを狙いやすく、根掛かりのリスクを低減できることが理由です。ラインキャパはあまり必要ありませんが、根掛かり、高切れなどでラインを切断し、仕掛けを作り直すリスクを考慮し、50mくらい巻いておければよいでしょう。

ライン

フロロカーボンライン シーガー フロロマイスター 12lb

穴釣りに使用するラインは根ズレに強いフロロカーボンラインを使います。太さはターゲットによっても若干変わってきますが、8lb(2号)~12lb(3号)程度がおすすめです。どんなに気を付けていても、根ズレに強いとは言っても、穴釣りでは数投でラインに傷がたくさん入ってしまいますので、エサを付け替えるタイミングなどでこまめにラインを指でなぞってみて、傷がたくさん入って指が引っかかる、ひどくなるとささくれができたりします。こうなってしまったらその部分は切り捨て、新たなラインを出して仕掛けを作り直すことをおすすめします。

シンカー

ナツメ錘3号

シンカーは道糸に通すことができる、中通し式錘を使いましょう。穴釣りは出来るだけ仕掛けを穴の奥へと送り込みたいため、転がりやすいものがおすすめです。丸型もしくはナツメ型の2号~3号を使います。体積が大きすぎるものは、テトラポッドや岩と岩のわずかな隙間に挟まってしまった際に抜けにくくなってしまいますので、極力シルエットの小さなものを使いましょう。

サルカン

パワーステンスイベル赤

サルカンは道糸とハリスを接続する小さな金具ですが、目的は、ねじれの力が加わった時にねじれと反対方向に回転しヨリを戻すことです。穴釣りの場合、道糸とハリスの分断に意味があります。道糸よりも強度を落としたハリスを結んでおき、不幸にも根掛かりしてしまった際には、ハリス側が切れるようにするためのものという意味合いの方が大きいでしょう。これも無駄に大きなものをつけてしまうと仕掛け投入時の障害になってしまいますので、できるだけ小さなものを使用します。

ハリス

フロロカーボンハリス1.2号

ハリスはフロロカーボンの6lb(1.5号)以下を使います。長さは出来る限り短くします。5cm以下、できれば3cm以下にしたいところです。何度も言いますが、根掛かり回避のため、針が不用意にアチコチ流れないようにするためと、根掛かりしてしまった際はハリスが切れて、被害を最小限にするための措置です。ハリスは穴釣りにおいて最も傷がつきやすい部分となりますので、頻繁に交換の必要が出てきます。

針はネムリ針を使うと根掛かりのリスクが軽減します。針先が内側に曲がっているため、フッキング性能はわずかに低下しますが、針を飲まれるリスクなどは逆に低減する効果があります。先にも書きましたが、通常の穴釣り用針(丸セイゴやカサゴ針など)に加えて、ネムリ針をいくつか持ち合わせていれば安心です。

穴釣り実釣時の根掛かり回避の工夫

小坪マリーナ

これまで、穴釣りの仕掛けを作る際の工夫について説明させていただきましたが、せっかく根掛かりを低減する仕掛けを工夫しても、実釣の場面で漫然と釣りをしていたのでは、根掛かりは目減りしてこないと思います。ここからは、実際の穴釣りに際して、根掛かりを回避するための工夫について説明したいと思います。

ロッドを置く際の注意点

穴釣りでの大物の釣果

テトラポッドで穴釣りをする場合でも岩礁地で穴釣りする場合でもゴロタ場で穴釣りする場合でも、ロッドをやむを得ず置く場合がどうしてもあります。足場が悪い場所で釣りを行うことが多い穴釣りでは、両手がふさがった状態で移動することは非常に危険が伴うため、ロッドをテトラポッドに立てかけたりしてその場を離れることがあると思います。そんな時は、仕掛けは出来る限り巻いておきましょう。

ティップの先から出ている部分を極力短くします。仕掛けが長く出ている状態で置き竿にすると、風などの影響で仕掛けが動いて、手の届かない場所に針が引っかかり回収できなくなるということがあります。ロッドを置いてその場を離れる際は、ティップ゜の先からはオモリとハリスだけ出ている状態まで巻いてから置き竿にします。そうすることで、仮に針がどこかに引っかかってしまったとしても、手が十分届く場所にしか引っかかることはありませんので安心です。

腕を目いっぱい伸ばさなければならない遠い穴は無理に狙わない

穴釣りは足場が悪い場所で行わなければならないことがほとんどです。そのため、腕を目いっぱい伸ばした体勢でないと届かない穴を狙うのは危険極まりない行為です。仮に何とか仕掛けを投入できたとしても、その仕掛けのコントロールがうまくできず、結局根掛かりさせてしまうのが関の山です。また、万が一大物をヒットさせたとしても、無理な体勢では魚とのファイトも仕掛けのコントロールもままなりません。穴釣りは、きちんと仕掛けがコントロールできる体勢で、狙った穴に対して真上から垂直に仕掛けを下ろして行くのが鉄則です。

漂着物が流れ着いている近くの穴は要注意

特にテトラ帯で穴釣りを行う場合、船舶を係留していたと思しき太いロープや漁網、木材などが漂着し、テトラポッドの中に引っかかっていることが多々あります。この中で最も厄介なのが太いロープです。これに針をひっかけてしまった場合、まず外れません。また、ロープごと引き上げようとしても、水を吸った長いローブは重すぎて引き上げることができません。これら漂着物が障害になっている穴を無理に狙うのは危険です。また、穴の上から目視して障害物が確認できなくても、その付近に漂着物がある場合は、穴の奥深くに沈んでいる可能性が高いので注意が必要です。しかし、こうした穴にはお宝が潜んでいることが多いので、リスクを理解したうえで、安全な体勢で果敢に狙うというのならOKです。果敢に攻めましょう!

仕掛けと攻略を工夫し、心を挫く根掛かりとの闘いに終止符を打とう!

穴釣りでの大量釣果

穴釣りをする以上、根掛かりをゼロにすることは不可能です。しかし、ゼロに近づけることはできると思います。仕掛けの工夫と攻略法の工夫で、根掛かりの回数を従来の半分以下には確実にできます。あとは、何よりも大事なことは、釣りの集中力です。仕掛けの動きから目を離さず、ロッドを握る手元に伝わる、錘が海中を転がることで生じるわずかな振動を、神経を研ぎすまして感じ取り、今仕掛けがどこにあるのか、どういう状態になっているのかを「心の目」で見ることができるようになれば、穴釣りはもう百戦百勝と言っても良いでしょう!

この記事を書いた人

ショアおやじのプロフィール写真

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)


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