穴釣りにはスピニングタックルが良い?ベイトタックルが良い?
作成:2022.03.22更新:2022.03.22
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穴釣りは、そこに魚がいれば、ほぼ確実に釣れると言っても過言ではない、最強の釣りメソッドです。穴さえあれば子供でも簡単に釣れ、またタックルをひと通り揃えるのに最も安価に揃うという、いいことずくめのメソッドです。根掛かりとの闘いを余儀なくされるというリスクがあることと、足場が悪く安全性に問題がある場所が多いため、細心の注意が必要であるということを除けば、非常に楽しい釣りです。
穴釣りは、狭い隙間に仕掛けを正確に落とし、可能な限り深いところまで仕掛けを入れる必要があります。そのため、どうしても根掛かりしやすく、仕掛けのロストが不可避です。予備をたくさん持ち込まないとゲームオーバーとなってしまいます。ロッドやリールも、常にキズがつきやすく、場合によっては破損のリスクが高い釣りです。そんな、簡単ではあるけどタフなコンディションで行うことの多い、穴釣り用タックルの選び方について説明します。
穴釣り用タックルの選び方
穴釣りに使うタックルは、他の釣りとは大きく異なります。前述の通り、常にタックルが傷ついたり、破損したりするリスクがあります。これはほぼ不可避の現実です。そのため、あまり高級なものを選ぶ必要はありません。かと言って、激安タックルでも良いかというと、そんな単純な話ではありません。
穴釣りタックルは、専用タックルを仕立てるべし
エギングロッドでシーバス釣りやスーパーライトジギングを行う、或いは、遠投対応の磯竿でカゴ投げ釣りを行ったり、一式のタックルで様々な釣りを行うというアングラーがほとんどでしょう。しかし、穴釣りは絶対に専用タックルを仕立てるべきです。非常にタックルにストレスがかかる釣りであり、1回の釣行での損耗が大きな釣りです。他の釣りのために揃えたタックルを穴釣りに使用するのは非常に勿体ないです。安価なタックルで構いませんので、穴釣り専用で一式揃えておきましょう。
穴釣り用ロッドの選び方
穴釣り用ロッドについては、他の釣りで使用するロッドと比較すると圧倒的に長さが短いものを使います。穴釣り専用ロッドとして売られているものは、長さが0.9m〜1.8m前後までありますが、1.1m〜1.5mの間で選ぶのが良いでしょう。穴釣りにおいては、仕掛けが届くか届かないかの場所にある遠くの穴を攻略することはナンセンスで、何ひとつ得はありません。仕掛けを真上からコントロール出来なければたちまち根掛かりの憂き目に遭うだけです。そして何より危険です。
仕掛けを正確にコントロールするためには、真上から仕掛けを落とせる範囲内の穴で勝負しなければなりませんので、長いロッドを使うくらいなら、0.9mなどの超ショートレングスのロッドの方が余計なトラブルが少なく、手返し良く穴釣りができるはずです。
ロッドの材質はグラスファイバーをおすすめします。根掛かり対応や、テトラ帯のあちこちにぶつけたりして、1回の釣行だけでもかなり傷がつきますが、グラスロッドはカーボンロッドと比較すると傷に強く、折損のリスクがやや少ないメリットがあります。また、グラスロッドはカーボンロッドと比較して重いと言われますが、非常に短い穴釣りロッドにはあまり関係ありません。
穴釣り用リールの選び方
続いてリールです。穴釣りは基本、キャストはせず、気になる穴に向かって上から仕掛けを落とす釣りになりますので、基本はベイトリール、あるいは穴釣り専用の片軸受リールなど、スプールの回転方向がラインの出入り方向と同じものが理想的です。理由は、ラインの巻きグセがつきにくい構造であることが第一にあげられます。
とにかく小さく、狭い穴を果敢に攻略する必要がある穴釣りでは、仕掛けのコントロール性を最重要視しなければなりません。スピニングリールはスプール自体は回転しませんが、ラインの出入り方向に対して巻き取りの向きが90度の位置にあるため、どうしても螺旋状の巻きグセがつきやすくなります。
穴に対し、垂直にラインを送り込むためには、シンカーを少し重めにしてやる必要があります。シンカーを重くすると、穴の奥まで仕掛けを送り込むことがしやすくなり、また、波や風の影響が小さくなるため、仕掛けの操作はやりやすくなりますが、根掛かりのリスクが高くなります。また、根掛かりが起きた際に、ロッドをあおって外す行為を繰り返すと、構造が複雑で繊細なスピニングリールは歪みや、最悪はラインローラーやベイルアーム、ローター周辺の破損につながります。
根掛かり対応時にリールにかかる大きな負荷に対しては、ベイトタックルの方が圧倒的に強いです。因みに、穴釣り専用の超小型ベイトリールには、基本レベルワインダーが付いていません。限りなく構造を単純化し、剛性を確保するためです。
それともうひとつ、穴釣りにベイトタックルが優れている点を挙げると、クラッチを切る、ラインを出す、ラインの放出を止める、クラッチをつなぎ、巻取りできる状態にするという一連の動作が片手でできるということがあります。スピニングリールでは、どうしてもベイトを起こす動作が片手ではできません。
穴釣りでスピニングタックルを使用するケース
穴釣りに向いているリールはベイトリールであることは間違いないのですが、スピニングタックルでは使えないというわけでは決してありません。非常に小型のスピニングリールで、構造がしっかりしているモデルであれば、スピニングタックルでも問題はありません。ただし、ラインのヨレによる巻きグセは覚悟しなければなりません。巻きパワーの点と、仕掛けのコントロール性において、ベイトタックルに軍配が上がりますが、穴釣りからちょい投げ釣りやメバリング、フカセ釣りに切り替えるなど、臨機応変に釣りスタイルをチェンジする場合などは、スピニングタックルの方が対応の幅が広いというメリットがあります。
穴釣りにおすすめのタックル紹介【ロッド】
それでは、穴釣りにおすすめの、安価で入手でき、戦闘能力の高いタックルを紹介して行きます。まずはロッドから紹介します。
OGK テレきわ TEK110/TEK140
大阪漁具がプロデュースした、堤防のキワ狙いやテトラ帯での穴釣りに特化したグラスロッドです。1,500円前後で手に入る、非常に安価なロッドですが、マット仕上げののアズキカラーが目を引きます。110cmと140cmのラインアップがあります。両方揃えておき、ポイントまでの距離に応じて使い分けると良いでしょう。仕舞寸法も40cmと大変コンパクトですので、リュックのサイドポケットに刺しておけばいつでも思い立った時に穴釣りができます。
ダイワ 穴釣り専科 M110/M130/M150
2020年に発売された、感度と食い込み性を重視した高感度グラスソリッドトップを持った穴釣り専用並継(3ピース)ロッドです。長さは111cm、131cm、151cmの3サイズあり、いずれも3,500円前後で手に入ります。仕舞寸法はやや長め(63cm~83cm)ですが、ティップを元竿に収納することができる構造で、持ち運び時のトラブルはほとんどありません。運悪く穂先を破損してしまっても、ソリッド部のみ交換できるようになっています。
プロマリン 極光テトラDX 90M/110M/130M
大阪市の浜田商会が手掛ける総合釣具ブランド「プロマリン」の堤防キワ釣り/穴釣り専用グラスロッドです。極光テトラDXシリーズには、錘負荷1~10号のMシリーズと、錘負荷5~20号のHシリーズがラインアップされていますが、穴釣り専用で仕立てるのであれば、Mシリーズで充分です。長さは90cm、110cm、130cmがあります。短い2ピースロッドでありながら、極小ガイドが10か所もついており、狭い場所を攻める穴釣りに抜群のラインコントロール性能を発揮します。1,500円前後で入手できる、非常にコストパフォーマンスの高いロッドです。
タカミヤ H.B concept さぐりカサゴV 90/120/150/180/210
北九州市に本社を置き、西日本を中心に、釣具量販店「釣具のポイント」を展開している、株式会社タカミヤのオリジナル商品で、カーボン繊維を28%使用した、軽量コンパクトな振出式探り釣り専用ロッドです。長さ90(4本継)、120cm(5本継)、150cm(5本継)、180cm(5本継)、210cm(6本継)の豊富なラインアップを持っています。穴釣りには、テトラ帯での穴釣りには90cm~150cmを、180cm、210cmは堤防や地磯での探り釣りに向いています。
穴釣りにおすすめのタックル紹介【リール】
続いて、穴釣りにおすすめの、安価で使い勝手の良いリールを紹介して行きます。
シマノ クラブデミ 10RL/15RL/20RL
シマノの超コンパクト両軸受けリールで、ワカサギ釣りから、穴釣り、クロダイのかかり釣りまで、3サイズ展開で幅広く対応できるクラブデミシリーズは、大変シンプルな構造ながら、左右ハンドル交換が可能で、スプールとフレームの間へのライン噛み込み防止機構やワンタッチスプール着脱機構など充実の機能を持っています。10RLは自重わずか90グラムで、一日中ロッドを振るっても疲れません。3,000円を切る価格で入手できる、穴釣り専用として最もおすすめしたいリールのひとつです。
ダイワ コロネットⅡ
ダイワの超コンパクト両軸受けリールで、シマノ クラブデミ同様、左右ハンドル交換可能、スプールとフレームの間へのライン噛み込み防止機構を備えています。クラブデミとの違いはハンドルで、クラブデミはシングルハンドルであるのに対し、コロネットⅡはダブルハンドルが標準装備となっています。その分、自重は110グラムと、クラブデミより20グラム重くなっています。このコロネットⅡも3,000円前後で入手できる、穴連れ専用リールとして非常におすすめできるモデルです。
タカミヤ H.B concept サグリハンター
ギア比6.1:1のハイギアモデルで、最大釣力2.5kgのドラグを搭載したモデルです。シマノ クラブデミ、ダイワ コロネットⅡと比較すると一回り大きな両軸受けリールです。ラインキャパは、ナイロン2号150m、3号100mと、穴釣りには十二分のキャパがあります。巻きパワーも、シマノ クラブデミ、ダイワ コロネットⅡよりも大きいため、不意の大物にも余裕を持って対処することができます。3,000円を切る価格で入手できますが、ハンドルの左右交換はできませんので注意が必要です。
ダイワ MR750/MR1000
ダイワのスピニングリールのラインアップの中で、穴釣り用を謳った、非常にニッチなモデルです。ベイトタックルには抵抗のあるアングラー、或いは、穴釣り以外にもちょい投げ釣りやサビキ釣りにも使いたいというアングラーのニーズにバッチリハマる商品です。穴釣り専用リールに仕立てたければMR750を、ちょい投げ釣りやサビキ釣りなど、穴釣り以外の釣りにも使いたいのであればMR1000を選ぶと良いでしょう。どちらのモデルも5,000円を切る価格で入手ができますが、4+1ベアリングや、折りたたみ式アルミマシンカットハンドルなど、基本機能はきちんと網羅されていますので、スピニングタックルで穴釣りをしたいと考えるアングラーのニーズにバッチリハマる商品だと思います。
シマノ セドナ500
シマノのエントリークラスのスピニングリール、セドナは、500番の超小型モデルが存在します。ダイワ MR750とほぼ同じサイズ感のスピニングリールで、ラインキャパはナイロン2号で70m(MR750はナイロン2号で60m)です。こちらも、ちょい投げ釣り兼用にしたい場合は1000番を購入した方が良いでしょう。セドナも5,000円を切る価格で入手可能ですので、穴釣り専用スピニングリールとして仕立てるのがおすすめです。
プロックス ネロストミニ 500/800
大阪の低価格釣具メーカー、プロックスのネロストシリーズは、マットブラック基調のシックなデザインで、低価格であることを感じさせない仕上がりのスピニングリールです。そのネロストシリーズ最小サイズのラインがネロストミニ500/800です。ナイロン/フロロカーボンラインの1.5号以下の細糸を使用する穴釣り、ちょい投げ釣りに向いています。3,000円で手に入り、タフに使える穴場的モデルです。
ライン/ハリス
穴釣り専用タックルを仕立てることができるなら、メインラインはナイロンではなくフロロカーボンを使用することをおすすめします。理由は根ズレに比較的強いこと、吸水劣化をほとんど起こさないことです。それでも万能というわけではなく、ささくれ立つような大きなキズがはいってしまうと切れやすくなりますので、穴釣りの場合はハリスやラインを一投ごとに指でなぞり、表面のキズつきの状態をチェックし、キズでバサバサになってしまう前に仕掛けを交換しましょう。
穴釣り用タックルは質実剛健を求めよう!
穴釣り用のタックルに、感度や巻き心地、静粛性といった要素を求めるのはナンセンスでしょう。武骨に、ひたすら武骨に質実剛健を追求し、キズつきを恐れずに果敢に穴を攻めることに集中することが大切です。
スピニングタックルが良いか、ベイトタックルが良いかという問題については、これまで説明してきた通り、ベイトタックルに軍配が上がることは間違いありませんが、スピニングタックルの手軽さや、いざと言うときに他の釣りに容易に変更できる汎用性も侮れませんね。結局は好みで決めても良いのかなと思ったりもします(元も子もないですが!)。
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