穴釣りの合わせ方からポイント選びまで紹介!穴釣りを真面目にやってみよう!
作成:2023.01.30更新:2023.01.30
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穴釣りと言えば、他の釣りをやっていて、いろいろと手を尽くして頑張ったけれど、万策尽き果てた際に、「ボウズ回避」のために適当な穴をチョンチョンとやって、小型の根魚を釣って留飲を下げ、自分に折り合いをつける・・・。そんなイメージを持っていませんか?もしそうだとしたら非常にもったいないですよ! 最近は安全性確保のため、穴釣りができるテトラ帯などが減ってきてしまっているのが現実ではありますが、普段何気なく釣りを行っている堤防や漁港、地磯などを良く観察すると、穴釣りができる場所は無限に存在します。そういうポイントを足で探し、真面目に穴釣りをやってみませんか? ちゃんと攻略すれば美味しい魚がいっぱい釣れますよ!
穴釣りができる場所
穴釣りは、天敵から安全に身を隠すことができる、狭く暗い穴を好む根魚の習性を利用する釣りですので、魚が身を苦すことができる場所さえあればどこでもできると言って良いでしょう。テトラポッド帯は言わずもがな、捨て石が積み上げられているところ、堤防に一定間隔で設けられている、波の緩衝のための狭い切れ目、地磯に至っては、シモリ根周辺やゴロタ場、岩の割れ目、藻場など、ほぼ全域で穴釣りが可能であると言っても過言ではありません。キモは、隠れている魚の鼻先にいかにエサをちらつかせることができるかということです。それさえできれば、仕掛けを投入した場所に魚がいれば、ほぼ確実に釣り上げることができます。そのため、自分が根魚になったつもりで、隠れたくなる穴や隙間、カムフラージュできる場所を探すことが勝利への第一歩となります。
穴釣りのタックル選び
穴釣りのタックルには高価なものは必要ありません。最低限の基本性能が担保されているタックルの中から、出来るだけ安価なものを穴釣り専用機として1~2式仕立てておきましょう。穴釣りは、狭い場所、暗い場所などを果敢に攻略する釣りですので、ロッドの破損やリールの傷つきといったリスクが常に付きまといます。どんなに気を付けていたとしても、3回も穴釣りをすれば、ロッドのティップもリールのボディもあちこちに傷がついています。いちいち気にしながらの釣りは精神衛生上よろしくありません。傷つきなど気にならない安価なタックルで、傷は勲章と割り切り、気にせずどんどん攻略しましょう。サイズアップを求めて、より深い穴、より狭い穴、より暗い穴を求めて仕掛けを送り込みましょう。
ロッド
穴釣り用のロッドは、穴釣り専用のグラスロッドで充分です。長さは穴釣りを行うポイントによって決定します。足元から真下に仕掛けを落とせるようなポイントであれば、最も短い90cm程度のもので良いでしょう。テトラポッド上を縦横無尽に動き回る場合は、150cmを基準に、体格などによって120cm~180cmの範囲で、地磯で穴釣りをする場合は240cmを基準に、210cm~270cmくらいの長さの探りロッドでランガンすると良いでしょう。
リール
穴釣り用のリールはベイトリールをおすすめします。安価なもので充分です。穴釣りの場合はキャストをすることがありません。手の届く範囲で、仕掛けをバーチカルに入れて行きますので、ラインが垂直に降りていくベイトリールの方が仕掛けを狙ったポイントに正確に落としやすいです。安価な穴釣り専用の超小型リールとして、ダイワ・コロネット、シマノ・クラブデミなどもありますので、それらを求めるのもおすすめです。ラインキャパは気にする必要はありません。穴釣り専用機とするなら30mも巻ければ十分です。
ラインはフロロカーボン一択で!
穴釣りのラインはフロロカーボンを使いましょう。穴釣りのラインは常に岩やテトラポッドなどに接触します。難しいポイントを果敢に攻めれば攻めるほど、ラインやハリスはあちこちに触れてダメージを受け続けます。そんな過酷な状況に最も耐えるのがフロロカーボンラインです。ナイロンラインでも出来ないことはありませんが、劣化スピードがフロロカーボンラインより早いため、交換頻度を高くする必要があります。また、根ズレに大変弱いPEラインは穴釣りには使えません。フロロカーボンと言えども万能ではなく、ナイロンラインやPEラインと比べれば根ズレに強いといった程度です。数投に一度、ハリスや道糸を指で触れ、ささくれなどがないかチェックすることが必要です。
穴釣りのターゲット
穴釣りのターゲットは多岐にわたりますが、多いのはカサゴ、メバル、ムラソイ、アイナメ、ベラ、ギンポなど、定番の根魚です。しかし、場所によってはキジハタ、メジナ、クロダイ、ウミタナゴ、カワハギ、ウツボ、タコなど、様々な魚が釣れます。要は、回遊魚ではない、居付きの魚であればすべてがターゲットになりうるのが穴釣りの魅力です。サイズも10cm程度の小型のものから、30cm級のなかなかのサイズまで、さまざまなものが隠れています。足元でこんな良型が隠れているのかという、意外な一発が上がるのも穴釣りの醍醐味です。
ポイントの探し方
ポイント探しの極意はズバリ「事前の偵察」です。天気が良く、波が穏やかな日に現場を歩き、自らの足と目で、雰囲気の良さそうなポイントを何か所か目星をつけておくことが出来れば最高です。とはいえ、なかなかそういう時間が取れない方のために、穴釣りのポイント探しのコツについて説明します。
テトラ帯
テトラポッドが複雑に組まれた場所は全体がポイントであると言って良いのですが、いわゆる「魚が溜まる良い穴」はだいたい決まっています。「光が入らない」、「穴の入り口が狭い」、「穴の中の空間が複雑に入り組んでいる」、「潮の出入りが良く、常に新鮮な水が入っている」、「水深が深い(ムラソイを除く)」など、総じて「天敵が侵入しにくい(=仕掛けの投入が難しい)穴」が魚にとって安全で居心地の良い穴となります。気になる穴があったらとりあえず仕掛けを落としてみましょう。仕掛けがすぐに止まってしまった場合は、その場でロッドを左右にゆすってみると、おもりが転がって、別の穴からさらに下へ落ちて行くことがあります。こういう穴はチャンスです。根掛かりのリスクは高まりますが、大物を求めて奥へ奥へ仕掛けを送り込みましょう。
防波堤周り
防波堤の壁際は、一見すると穴釣りに向いていないように見えますが、穴釣りができるポイントは意外とたくさんあります。キーワードは「潮の流れに変化をもたらす場所」です。防波堤は、波の力で堤防が破損しないよう、一定の間隔で、波力を吸収するために堤防が数cm程度切れていることがあります。この切れ目周辺は、外洋側、内湾側を潮が自由に行き来するため、潮の払い出しや吸い込みが常に発生しており、プランクトンが多く流れている場所です。また、防波堤が折れ曲がっている角の部分は、潮の流れが緩くなっており、やはりプランクトンが溜まりやすい場所です。また、壁にはカニや貝などが多数着生しており、それらを捕食しにくるクロダイやカサゴなどの魚も多数存在します。日陰になっている場所を中心に、丹念に探りましょう。
地磯
地磯は穴釣りができるポイントだらけです。足元一帯がすべて穴釣りスポットと言っても過言ではありません。常に波が叩きつけられているため、岩が侵食されて足元からある程度水深があり、波の力で割られた岩の割れ目など、根魚が身を隠せる場所がそこら中にあります。上の写真のような、岩と岩の間が奥まで切れ込んでいて常に波が打ち付けてサラシ場のようになっているポイントには大型のハタ類やスズキ、メジナ、ウツボなどが潜んでいることが多いです。こういう場所は水の出入りが激しく、流れが速いため、仕掛けは重めにして、餌も大き目につけて目立たせると良いでしょう。
また、満潮時には水没し、干潮時には海から取り残された潮だまり、いわゆるタイドプールには、大物は少ないものの、様々な魚が取り残されています。上から覗いて取り残された魚を見ながら仕掛けを落として釣る、サイトフィッシングができるのはタイドプールならではの楽しみ方と言えるでしょう。
ゴロタ場
地磯の地形のひとつであるゴロタ場は、水深が浅く、角が丸く削られた中型の岩石(ゴロタ石)がたくさんある場所のことを言います。ゴロタ場は水深が浅く、満潮時でも1mに満たないことがほとんどのため、あまり釣りで狙うポイントではないかもしれませんが、ゴロタ場にも魚はたくさんいます。特にムラソイは水深15cm程度の場所でも生息できます。小さなカニやフナムシなどがたくさんいる場所であればチャンス大です。ゴロタ石が積み重なってできた空間などに仕掛けを入れてみましょう。
穴釣りの実際
それでは、実際に穴釣りを行う際の仕掛けや餌、釣り方について説明して行きます。穴釣りは、何度も説明した通り、根掛かりのリスクを押して厳しいポイントを攻める必要があるため、仕掛けの構成は「シンプルであること」が理想です。穴釣り用の仕掛けなどもたくさん売ってはいますが、余計なものは付けないほうが良いでしょう。
穴釣りは魚の鼻先に餌を送り込むことが最も重要であり、ティンセルや集寄パーツなどのギミックを付け過ぎて仕掛けが奥まで送り込むことができないようでは本末転倒です。
標準的な仕掛け
穴釣りの標準的な仕掛けについて説明します。ロッドの長さについては、穴釣りを行う場所に応じて変わってきますので、ここでは割愛します。
メインラインはフロロカーボンの10lb(2.5号)〜12lb(3号)が使いやすい太さです。ブラクリおもりはロスト時フトコロが痛いので、無理に使用する必要はありません。丸型もしくはナツメ型の中通しおもりの2号〜3号を道糸に通して、小型のサルカンを結びます。ハリスはメインラインより号数を落とし、フロロカーボンの4lb(1号)〜6lb(1.5号)を5cm程度取り、先端に針を結びます。
針はカサゴ針もしくは丸セイゴなど、汎用性の高い針を使うと良いでしょう。根掛かり回避率を少しでも上げたければ、針の先端が内側に曲がったネムリ針を使うと良いでしょう。
餌
穴釣りの餌はさまざまなものが使えます。サイズを狙いたいならおすすめはサバもしくはサンマの切り身です。軽く塩締めしたものは針持ちもよく、魚の嗜好性も抜群です。
切り身が用意できない場合は虫エサでも良いです。イワイソメもしくはアオイソメがあれば問題ありません。現地で採取できるカニや貝類、フナムシなどでも釣れますので、色々試してみると良いでしょう。特に小型のカニはほとんどの根魚が好んで捕食しますので、捕まえたら是非針に刺してみてください。特にハタ類、クロダイ、メジナ、メバル、アイナメには効果覿面です。
仕掛けの投入
仕掛けの投入は慎重に行います。投入するポイントを良く見ながら、ラインが岩などに触れないようにゆっくりとリールのクラッチを切り、ゆっくりと仕掛けを降ろします。予めベイトリールのメカニカルブレーキを、クラッチを切ったフリーの状態でゆっくり降りて行く程度に調整しておきましょう。フリーにした際に一気に仕掛けが落ちるようだと、根掛かりや仕掛けが水中で絡むなどのトラブルが起きやすくなります。
一度仕掛けが底を打ったと思っても、中間でおもりが引っかかって止まっているだけの場合があるので、さらに奥に仕掛けを送れないか、重りを揺すって転がしてみましょう。さらに奥に仕掛けが入るかもしれません。ただし、無理をするとたちまち根掛かりするので、ある程度の深さまで仕掛けが入ったと判断できたらそこで誘いをかけても良いでしょう。
誘い方
穴釣りの根魚は、餌が落ちてくると認識して食いついてくるというより、落ちてくる物体に反射的に食いついてくるといった感じですので、仕掛けを投入した穴に魚がいて、落ちてくる餌を見つければすぐに食いついてくるはずです。そのため、仕掛けを投入した直後にアタリが出ることが多いのですが、すぐにアタリが出ないときは、仕掛けをゆっくり、10cmくらい引き上げ、ゆっくり降ろすアクションを繰り返して様子を見ましょう。竿尻を軽く叩いて餌を小刻みに動かすアクションも有効です。
1分経ってもアタリがなければその穴は「お留守」ですので、違う穴へすかさず仕掛けを投入しましょう。「お留守」だった穴は、しばらくすると家主が帰って来ますし、仮に家主が既に釣られてしまったとしても、数日後には新たな家主が入居しているはずですので、改めて攻略しましょう。大事なのは、「釣れた穴はもちろん、釣れなかった穴もキチンと覚えておく」事です。
アタリのパターンと合わせ方
穴釣りのアタリは魚種によって非常に特徴的ですので、覚えておくと良いでしょう。大きく分けて3つのパターンがあります。
鋭く細かいアタリ
プルプルプルッ、プルプルプルッ! という、小刻みなアタリの場合は、ベラやギンポなど、口が小さい魚である可能性が高いです。針にかけるのはやや難しく、何度もアタックしてきます。この手のアタリは早アワセで、手返しよく釣り上げて行きましょう。
ゴソッ、ゴソッという断続的なアタリ
穴釣りをしていて最も遭遇率の高いアタリはこの「ゴソッ! ゴソッ!」という断続的なアタリでしょうか? こうしたアタリはカサゴ、ムラソイに多いパターンです。彼らは無理にアワセに行く必要はありません。口が大きく、何度でもアタックしてくるため、こちらからアワセに行かなくてもそのうち針掛かりします。とはいえ、針のサイズが合わないときは向こう合わせとは行かないため、アワセる必要があります。その場合でも、大アワセは必要なく、軽く手首を起こし、聞きアワセ程度で針に掛けることができるでしょう。
下方に引ったくるアタリ
「ゴツン!!」と、下方に仕掛けが引ったくられる大きなアタリは、最も興奮するアタリです。大型のカサゴやメバル、アイナメ、キジハタなどに特徴的なアタリです。他のあたりとは明らかに異なり、ロッドの先が下方に一発絞られますのですぐに分かります。ロッドが曲がったらすかさず、比較的大きめにアワセを入れましょう。フッキングが成功すれば、首を上下に振りながら下へ下へと潜りながら竿をさらに曲げてくれます。「穴釣りでもこんなファイトがあるんだ!」と、その瞬間、穴釣りの虜になること請け合いです!
穴釣りのポテンシャルを侮るなかれ!
いかがでしたでしょうか? 穴釣りは比較的軽く扱われやすい釣りなのですが、ポテンシャルは非常に高い釣りなのです。魚の居場所を直撃する釣りなので、そこに魚が居れば釣れる、非常に効率の良い釣りです。身を隠しやすい地形、潮通しの良さ、餌となる生き物の量などの条件が整うと、想像していなかった魚種や、想像を絶するサイズの魚が釣れたりすることもあります。是非一度、真面目に穴釣りに取り組んでみてはいかがでしょうか?
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