耐久性を保ちつつ、軽さが魅力の17ツインパワーXD C5000XG
シマノの番手以上の強度が魅力の、17ツインパワーXD C5000XGについてインプレッションしていきます。長年愛されているツインパワーシリーズの名を持つリールですが、その強度は本当に信頼に足るものなのでしょうか。この記事では、通常のツインパワーやSWモデルとの違いを比較しつつ、17ツインパワーXD C5000XGの実際の使用感や向いている人等についても解説していきます。
ツインパワーシリーズとは
ツインパワーシリーズは、シマノのリールの中でも特に長年愛されているシリーズの1つで、剛性と耐久性の高さを売りにしています。なんとツインパワーの名がついたモデル※は80年代後半から販売されており、その歴史の長さは30年以上にもなります。現在ツインパワーシリーズは全3機種で展開されており、通常の20ツインパワー、よりソルトウォーターでの大型を意識した15ツインパワーSW、そして今回インプレッションする17ツインパワーXDです。
17ツインパワーXDの特徴
17ツインパワーXDは「XD(extreme durability)」、つまり「究極の耐久性」というテーマをもとに、通常モデルをチューンナップしたリールです。従来のモデルよりもワンサイズ大きい番手と同等の強度を誇ります。この項目では、通常モデルとの違いを中心に、17ツインパワーXDの特徴について詳しく解説していきます。
マグナムライトローター
「マグナムライトローター」は、左右対称が当たり前だったローターの構造を再設計し、操作性や感度の向上を追求した左右非対称のローターです。シマノでは巻き出しの軽さや高感度が特徴の「クイックレスポンスシリーズ」に属するリールの多くに、このローターを採用しています。一方、無印のツインパワーは滑らかな巻き心地と耐久性を重視した「コアソリッドシリーズ」に該当し、本来マグナムライトローターは搭載されていません。17ツインパワーXDは、耐久性はもちろん扱いやすさにも力を入れるため、このローターを採用したと思われます。
Xプロテクト
このリールの耐久性を裏付ける技術の1つとして、「Xプロテクト」と呼ばれる防水構造があります。これはラビリンス構造という非接触式の構造と撥水処理を組み合わせることで、水の侵入を極限まで抑える技術です。非接触式であるため、マグナムライトローターで得られる回転性能を無駄にすることもありません。この技術のお陰で、17ツインパワーXDはどんな環境でも安心して使用することができます。
カーボンクロスワッシャ
17ツインパワーXDのドラグには、カーボンクロスワッシャが採用されています。カーボンクロスは負荷の大きさに関わらず滑らかな滑り出しを維持し、摩擦熱によるドラグ性能の変化も抑えられるという特徴があります。こうした点からも、17ツインパワーXDの耐久性の高さが伺えます。
20ツインパワー、15ツインパワーSWとの違い
ここまで17ツインパワーXDの特徴について解説してきましたが、同シリーズの20ツインパワーや15ツインパワーSWとの違いについて知りたい方も多いのではないでしょうか?そこでこの項目では、それぞれの違いや最適な釣りについて紹介していきます。
20ツインパワーとの違い
20ツインパワーは17ツインパワーXDには無い「マイクロモジュールギアⅡ」や「サイレントドライブ」といった駆動系の最新技術で、より滑らかな巻き心地を実現しています。マグナムライトローターは採用されていませんが、20ツインパワーの金属製ローターは非常に高い剛性と耐久性を持ちます。気になる重さは同じC5000XGで比較すると17ツインパワーXDは300g、20ツインパワー260gと40gの差があります。一見、軽い20ツインパワーの方が使いやすいように思えますが、ショアジギングやサーフロッドとのタックルバランスを考えるとかなりシビアです。そのため強いロッドが求められるような釣りでは17ツインパワーXDの方が適しているでしょう。20ツインパワーの場合は、シーバスをメインにショアジギングやサーフゲームを楽しむような方におすすめです。
15ツインパワーSWとの違い
次は15ツインパワーSWとの違いを見ていきましょう。こちらは主にオフショアでの釣りを想定した非常に高い巻き上げ力と耐久性を持ち、重さは4000XGが355g、5000XGが420gと通常のツインパワーやXDとは一線を画すモデルになっています。随所にシーリングを施す「Xシールド」や金属とカーボンのワッシャのみで構成された高耐久の「Xドラグ」など、そのパワーは折り紙付きです。そのため軽さ以上に耐久性を求める方や、さらなる大物を狙いたいという方に適したリールです。
17ツインパワーXD C5000XGの良い点
軽くて疲れにくい
数値上重さは20ツインパワーには劣るものの、17ツインパワーXD C5000XGは非常に疲れにくいと感じられます。タックルバランスが先重りになることもなく、軽快にジグをアクションさせることが可能です。またマグナムライトローターの恩恵もあり、エクストラハイギアながら巻き出しもかなり軽くなっています。SWモデルでジギングする場合はすぐに疲れてしまいますが、17ツインパワーXDなら長時間勝負できるので時合いを逃しません。
高性能なドラグと剛性
17ツインパワーXDのドラグは非常に滑らかで、不安定になることがありません。サーフゲームではエイがヒットする場合もありますが、その滑らかなドラグとボディの剛性で十分に寄せられるパワーを発揮します。流石にSWモデルほどの強さはありませんが、これだけのパワーがあれば存分に使っていけるでしょう。
17ツインパワーXD C5000XGの悪い点
不意な大物には不安が残る
高い強度を持つ17ツインパワーXDですが、10kgクラスの青物相手には苦戦を強いられることがあります。特にゴリ巻きが必要になるような場面ではパワー不足です。あくまで機動性を重視したリールとして考えた方が良いでしょう。
ハンドルノブが小さめ
17ツインパワーXDに採用されているハンドルノブは少し小さめで、ファイト中は力を入れづらいように感じます。そのためSWモデルに採用されるようなパワーノブに交換することをおすすめします。
17ツインパワーXD C5000XGが向いている人
17ツインパワーXD C5000XGは、ショアジギングやサーフゲームに使用したい方や操作性・機動性を重視したい方におすすめのリールです。300gという程よい重さは長時間使用しても疲れにくく、マグナムライトローターによる操作性の向上で非常に扱いやすくなっています。1日の中で様々なポイントに移動したり、回遊を待って投げ続けるような釣りに最適と言えるでしょう。
17ツインパワーXD C5000XGが向いていない人
逆にオフショアでの釣りをメインとされている方や大物が多いエリアでの釣りを検討されている方にはおすすめできないリールです。やはり10kgを超える大物がヒットする可能性が高いような場面では、15ツインパワーSWに軍配が挙がります。重さこそネックではありますが、そちらの方が安心してやり取りできるでしょう。また、17ツインパワーXDにはC5000より大きい番手がラインナップされていないことも、その理由の1つです。
目立つ欠点も無く安心して使えるリールだが、大物相手には注意が必要。
今回は、シマノの17ツインパワーXD C5000XGについてインプレッションしました。このリールは高い耐久性を持ちながらも軽量で扱いやすく、シーバス、ショアジギング、サーフゲームなどの釣りに最適と言えます。その機動力を活かして手返し良くポイントを探ることが可能です。ただし10kg以上が珍しくない大型狙いの釣りであれば、SWモデルのようなより高耐久のリールが必要になるので注意しましょう。