【インプレ】18イグジスト FC LT1000S-Pはタフコンディション下で最強のフィネスゲーム機
ダイワの汎用スピニングリールのフラッグシップモデル、イグジスト
イグジストはダイワの最高峰モデルとして2005年に初代モデルが誕生し、ボディーとローターの素材がマグネシウム合金(1003のみローターがZAION)、マシンカットデジギアⅡ、サイレントオシレーションⅡ、エアベールなど、当時の最新技術を搭載して発売されました。その後2012年のフルモデルチェンジではボディーとローターの素材がZAIONになり、UTDやNEWエアローター、マグシールドを搭載、それから2015年のマイナーチェンジではマグシールドベアリングが採用されてドラグシステムがATDになりました。常にダイワリールに技術革新をもたらしてきたイグジストが、2018年に実に6年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たしました。
18イグジストシリーズの特徴
18イグジストシリーズでは、ダイワリールの新たな基準となる「LTコンセプト」の基にフルモデルチェンジが行われました。ここでは今回のフルモデルチェンジでイグジストのどのような点が刷新されたのかをいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
LTコンセプトの要、マグネシウム合金モノコックボディー
まず一番の大きな変更点はモノコックボディーが採用されたことです。従来の蓋形状だったボディーとは違って、ボディーをモノコック成形でワンピースにすることでボディー室内の拡大により、ギアのサイズがワンクラス上のものを搭載できるようになりました。他にも剛性感の向上、軽量化、防水性の向上などの恩恵があります。また12、15イグジストではZAIONだったボディー素材が、05イグジスト以来のマグネシウム合金に回帰しました。この2つの相乗効果により、高感度と高剛性、そして軽量化とまさにLTコンセプトを象徴するリールとなりました。
18イグジストはマシンカットタフデジギアを搭載
リールの心臓部であるメインギアには、超々ジュラルミンのマシンカットタフデジギアが搭載されています。タフデジギアとは従来のデジギアよりもギアの厚みを持たせることにより、同じ径のギアよりも歯面の面積を広くすることができるようになったものです。そのタフデジギアの歯面を切削機械によって歯面をさらに滑らかにすることで、パワーロスがなくなり巻き上げトルクがアップし、シルキーな巻き心地を実現しました。
オリジナルシリーズとフィネスカスタムの違い
18イグジストではオリジナルシリーズとフィネスカスタムの2シリーズが展開されています。違いとしてはまずはサイズ展開で、オリジナルシリーズはLT2500~LT3000、フィネスカスタムではLT1000~LT2000サイズのボディー構成となっています。つまりフィネスカスタムの方がボディーがコンパクトな分、総じて軽いモデルに仕上がっています。そしてもう1つの違いはマグシールドボールベアリングの有無です。2010年の登場以来賛否両論のあったマグシールド、特に繊細な巻き心地や巻き感度を必要とするライトゲーマーには懐疑的なユーザーが多く、マグシールドを抜いてしまうチューンをされる方もいました。特にマグシールドボールベアリングが回転を阻害しているといった意見に対するダイワの答えが今回のフィネスカスタムシリーズといえます。ちなみに今回のフィネスカスタムで排除されたのはマグシールドボールベアリングのみであり、通常のマグシールド機能は搭載されていますので、ソルトルアーフィッシングでも安心して使用できます。
フィネスカスタムの最小番手、LT 1000S-Pのスペック
ギア比4.9、巻き取り長は61センチはスローな展開のタフコンディションに強い
シリーズ最小番手である18イグジスト FC LT1000S-Pの巻き取り長は、タフコンディションで真価を発揮する61センチとなっています。アジングでのジグ単やメバリングでのプラグのデッドスローリトリーブ、淡水ではエリアトラウトフィッシングでの巻きの釣りなどのスローな展開の釣りにぴったりです。またFC LT1000S-Pはローギアなので巻き上げトルクが強く、不意の大物にも余裕を持って対応できます。バチ抜けのメバリングでセイゴサイズのシーバスが掛かってしまった、といったシチュエーションでもリールのパワーでは負ける事はないでしょう。
ラインキャパシティーはナイロン2.5lb100m、PE0.3号200mとフィネスゲームにぴったり
18イグジスト FC LT1000S-Pのラインキャパシティーはライトゲームに照準を合わせた設定となっています。エリアトラウトやアジングで使用されるエステルラインやフロロ1lbといった極細ラインにも対応しており、ATDの性能を十二分に発揮できるスペックです。今回から採用されたロングキャストABSの性能を活かす為、細いラインを使用する場合には下巻きをされることをおすすめします。ラインの巻取り量の目安としてはスプールエッジより少し少な目に、1㎜程度の余裕を持たせるとライントラブルも減って快適に釣りができると思います。
超軽量ハンドルアームは35㎜のショートハンドル、その利点とは
フィネスカスタムではオリジナルシリーズよりもハンドルアームが肉薄になり、更なる軽量化を図りました。FC LT1000S-Pでは35㎜のショートハンドル仕様になっています。ショートハンドルの利点は巻き感度の向上です。ハンドルアームの長さは長ければより小さな力で巻き上げができますが、その分巻取り時の微細な水流の変化などが手元に伝わりづらくなります。ショートハンドルになると巻き上げの力は必要になりますが、その分水中の変化がわかりやすくなり、変化の際に食わせのタイミングを作るなどをして誘うことができます。
自重150gは歴代ダイワリールで最軽量
FC LT1000S-Pの自重は驚愕の150g、歴代のダイワ汎用スピニングリールの中でも最軽量となりました。この軽さだと5~6ft台のロッドと最も相性が良いと思われます。ロングロッドでは扱いづらくなりますので注意が必要です。ロッドとリールは重量バランスがとても重要です。前重りし過ぎないようなタックルバランスにセッティングすることをおすすめします。
18イグジスト FC LT1000S-Pを買うメリット
フラッグシップモデルなので全てが最高峰
ダイワの汎用スピニングリールのハイエンドモデルである18イグジストには、最先端の技術と最高峰の素材が惜しげもなく使用されています。当然軽さ、剛性感、巻き感度などすべての面でダイワ汎用の中でもトップクラスです。特に繊細なフィネスゲームでは巻き感度やなどが釣果を大きく左右する為、ハイエンドモデルを使用する恩恵は大きいと思います。
LT機の中でも巻き感度とシルキーさは別格
LT機になって巻きが重くなったとよく言われますが、それはタフデジギアの採用が大きく関係しています。タフデジギアではギアの歯面の面積が増えることにより巻き上げトルクがアップしました。つまり今までよりもギアの歯面の接地面積が広くなっており、その分ハンドルにかかる負荷が多くなったと思われます。その抵抗を減らすことができるのがマシンカットという技術です。18イグジストではマシンカットタフデジギアを使用することにより、他のLT機よりもスムーズな巻き心地になっています。
フラッグシップモデルは所有感を満たしてくれる
ダイワの汎用スピニングリールの最高峰モデルである18イグジスト FC LT1000S-Pは、購入するには勇気が必要な価格帯です。しかし手に入れた時の所有感はやはり他のリールとは別次元です。シルバーを基調にしたシックで落ち着いたデザインや手にした時のメタルの質感など、高級感溢れるリールは持っているだけで所有欲を満たしてくれます。きっと釣り場に足を運ぶ回数が増えることになるはずです。
18イグジスト FC LT1000S-Pを買うデメリット
値引きなしの定価販売なので非常に高価
18イグジストシリーズは、釣り具量販店でもネットショップでも基本的に値引きなしの定価販売です。フラッグシップモデルなので高価なのは承知していますが、さすがに値引きなしは少し高価すぎる気がします。フラッグシップモデルは安売りをしないという、メーカー側の自信の表れなのかもしれません。ダイワリールの最先端技術が全て詰まっていると言っても過言ではないリールですので、買えば一生モノのリールとなるでしょう。
フィネスな釣りに特化したスペック故に汎用性があまりない
18イグジスト FC LT1000S-Pはシリーズの中で最小番手なので、スペック的にフィネスな釣りに特化しています。もはやフィネスフィッシングスペシャルモデルと言えるが故に、狙うターゲットが絞られてきます。フレッシュウォーターではエリアフィッシングでのトラウトやワカサギ、ソルトウォーターではアジ、メバル、小型ロックフィッシュなどの繊細な釣りに向けたモデルとなっています。手返しが求められる釣りや大型魚種を狙うにはマッチしにくいリールと言えるでしょう。
18イグジスト FC LT1000S-Pはこんな方に使ってほしい
リトリーブの釣りをメインにするので巻き心地の良いリールが欲しい
ハンドルの巻きの変化で食わせのタイミングやアクションを加えて釣る場合には、18イグジスト FC LT1000S-Pはぴったりのリールです。New ZAIONエアローターと35㎜ショートハンドルの組み合わせは僅かな水流の変化も感じとることができる超高感度仕様なので、他のアングラーとの釣果に差がつくこと間違いなしでしょう。
タフコンディションの繊細な釣りに使いたい
魚の活性が低いタフコンディションにおいて、デッドスローに誘うことができるのはとても大きなアドバンテージになります。その点においては18イグジスト FC LT1000S-Pはベストマッチと言えるでしょう。状況がタフになればなるほど、繊細なルアーコントロールが必要になります。そのような究極のフィネスゲームを楽しむ為には、18イグジスト FC LT1000S-Pは心強い相棒になってくれるでしょう。
アジングやエリアトラウトで使うショートロッドに合うリールを探している
150gという自重はショートロッドには相性抜群で、特にアジングやエリアトラウトで使用する6ft前後のロッドにはぴったりの重量です。手元が軽くなるということは、そのまま感度アップに直結する重要な要素となります。また軽いルアーを極細ラインで使用するライトゲームにおいて、感度は命とも言える必須条件です。また軽量リールは長時間の使用でも疲れにくく、積極的に合わせていく「掛けの釣り」においてはこれ以上ないメリットとなります。
繊細なライトゲームに特化したスペックの18イグジスト FC LT1000S-Pは究極のフィネススペシャル!
今回ご紹介させていただきました18イグジスト FC LT1000S-Pは、ライトゲームでのタフコンディション下での繊細なフィネスゲームで本領を発揮できる究極の1台です。フラッグシップモデルなりの価格帯になりますが、ハンドルを通して手元に伝わってくる水中の情報量の多さは他のリールとは比べ物になりません。自分で誘いの間を作って魚を釣りたい、他のアングラーよりも沢山釣りたい、といった方には是非おすすめしたい1台です。