清流の天然うなぎを釣ろう!住み着いているポイントの傾向と対策
作成:2019.08.17更新:2021.08.20
目次
清流で美味しい天然うなぎを釣って食べたい!
以前、荒川に生息するうなぎ釣りをご紹介しました。都市郊外の荒川にてうなぎが釣れるのは衝撃な事実で、より身近な存在であることが確認できました。しかし、荒川のうなぎは少し泥臭いために、どうしても食べる気が起きない…。ならば清流に行ってキレイな水で育った天然うなぎを釣りたい!と思い、栃木の清流域へうなぎを釣りに行くこととなりました。難易度は高いとされましたが、捉えるべきコツはちゃんとあります。今回は、荒川とは逆の「清流」にいる天然うなぎに着目し、難易度の高いとされているうなぎ釣りを釣行レポートを通して解説いたします。
清流の天然うなぎ釣りとは?
「清流」という言葉には読んで字のごとく、「清らかな水の流れ」という意味があります。清流は河川工事や人工物が少なく、なるべく自然の原型を留めている川を指しており、魚や野鳥、獣などの生態系も豊かであるという特徴があります。そんな清流の代名詞として、高知県を流れる「四万十川」は日本最後の清流とも呼ばれています。
日本の地方や山の多い地域では清流と呼べる綺麗な河川が流れており、数は多くないものの天然のうなぎも生息していると言われています。ただし清流といえばアユやハヤ、オイカワなどを見かけることはあってもうなぎを見かける機会は少ないのではないでしょうか。ですので筆者にとっても、清流域のうなぎを釣るのは最高峰に難易度の高い釣りだと感じていました。
清流で天然うなぎが釣れた!実釣で得られたノウハウ
清流のこんなポイントに天然うなぎはついている
難しいのではと思いながらも、実際にとある清流が流れる一級河川にてうなぎ釣りにチャレンジしました。まずは下調べでgoogle mapにて、うなぎがついていそうなポイント探しから開始。うなぎは夜行性の魚で日が落ちる時間帯から夜間にかけて活発に餌を捕食します。この捕食のタイミングで深場から浅場への移動をしたり、岩陰から出てきて餌を食べたりするようになります。
したがって、うなぎが好みそうな深場と浅場、大きな岸壁、岩、泥が混じるポイントなどを頭の中でイメージしながら釣り場を選定しました。現場に到着すると実際に川の状態としては、深場で緩やかな流れを形成しているポイント。かつ、少し下流に目を向けると流れが早く浅瀬になっているポイントでした。特に深場となるエリアでは川のベンドになっているポイントと被り、ベンド付近には強い流れが当たるので釣れそうな雰囲気がムンムンとする岩礁帯がありました。
清流の天然うなぎ釣りは難しい?釣り方のコツとは
釣行は筆者と同行者の方を含め、計3人。釣り竿も5本以上出して、深場、浅場、岩礁帯周り、水底が泥状になっているポイントを中心に、多様な条件下にあるポイントに仕掛けをキャストしました。川幅は50m近くあるので、まずは魚の生命反応が感じられるポイント探しをしました。
釣りを開始したのは午後4時頃からでしたが、魚の反応が得られるようになったのは夕暮れの午後6時を過ぎたあたりです。各竿に頻繁に小さなアタリを感じるようになります。けれども、何度か合わせを入れてみても魚が針に掛かっていることはありませんでした。うなぎ針を使用していましたが、アタリは非常に小さいので小魚が餌取りをしていた可能性が考えられます。キャストをする度に小さなアタリはあるものの、なかなかヒットには至らずに苦戦していました。
そのようなムズムズとする状況を打破したのが、同行者の方でした!岩礁帯と泥の中間地帯にミミズをキャストして数分後、小さなアタリとともに竿に重みが乗ります。ゆっくりとリールを巻きながら寄せてくると細長い物体が見えました。確かに魚のいる気配はありました。それでも「うなぎは釣れないかもしれない」と諦めかけていた矢先だったので、一同は驚きと喜びを隠せませんでした。サイズは40センチ前後と小ぶりですが立派な天然うなぎをキャッチできました。
夜は活発にうなぎが餌を求めて動いていることを信じ、日中の時間帯に隠れていそうな障害物から出てくるタイミングで、上手く仕掛が投入できたのではと考察します。逆に、流れの速い浅場や特徴のない深場からは全然反応がないままで終わってしまいました。
下記のように運の要素に頼る釣りでもあり、1匹の価値が大きかったです。
- うなぎがいるピンポイント
- うなぎが餌を求めて動いているタイミング
今回の体験から清流域の天然うなぎ釣りは決して釣れる個体数は多くないと実感しました。とはいうものの、水質が非常に綺麗な河川で釣れる天然うなぎは達成感に溢れた釣行でした。
天然うなぎを釣った本人から、ポイントに関するコメント
この日のポイントは川の中心部の流れがとても強く、20号のオモリでも簡単に流されるような場所でした。35号でも少々流されるくらいだったので、「うなぎはこんな流れの強いところには定着できないのではないか」という仮説が思い浮かびました。もちろん、流れが強いところでも、通ることはあると思います。が、定着するのは難しい。でも、流れがあることはいいこと(餌となる虫や小魚が流れてくるから)なので、その脇を流れる以下のようなポイントならうなぎが定着すると予測しました。
- 水底が泥状
- 浅瀬と深場が交じり、うなぎが身を隠せられる岩の隙間が近くにある
- 木の枝・幹が川に被さっていて、上からミミズが落ちてきそうなところ
- オモリ6〜8号でも流されない
軽いオモリでも流されないということは、うなぎが定着しやすい程度の流れということもありますが、うなぎからのアタリもキャッチしやすいという利点があります。このような場所にポイントを絞った直後の1投目に弱いアタリ、2投目には大きなアタリがあり、見事釣ることができました。
天然うなぎ以外の魚も、豊富な日本の天然在来種だった
うなぎ釣りの仕掛けはブッコミ仕掛けと呼ばれる汎用性の高いものです。コイ釣りやナマズ釣りなどでも活用される仕掛けで、ミミズやエビなどをつけてキャストします。そのため、この仕掛けでうなぎ釣りをしていると他の魚もヒットしました。我々が釣った魚はいずれも日本在来の川魚で、ニゴイやウグイ、カワムツ、ギバチ(絶滅危惧種である)などの魚が釣れました。このような、うなぎとは直接関係のない釣果は良い傾向で、他の在来種が数多く生息しているのであれば天然うなぎも同様に生息しやすい環境であると判断できます。
今回の釣行もうなぎが釣れるまでは色々な種類の川魚がヒットしており、思うようにターゲットは釣れませんでした。にもかかわらず、最後まで信じてそのポイントで釣りができたのは生態系が豊富ゆえにうなぎも入っているだろうと推測できたからです。結果としてうなぎが釣れたので良かったですが、清流域でうなぎが釣れない時は魚影の濃いポイントで粘ってみるのも戦略の一つでしょう。
清流の河川でうなぎ釣りをする際は漁業権が必要?
天然うなぎ釣りをする場合は清流域だけに限らず、各県の定める漁業権に該当しているか確認しておきましょう。うなぎが漁業権の対象となる河川もあり、捕獲サイズにも制限が設けられている場合もあります。その上、天然うなぎがいそうなポイントであっても魚の保護のために採捕が禁止とされている場合もあるので注意が必要です。
清流の天然うなぎを釣るためのタックル/仕掛け/餌について
実はうなぎ釣りのタックルに関してはこちらの荒川うなぎ釣行の記事で既に紹介していますが、清流域の天然うなぎ釣りになるとタックルも少し変える必要性があると実感しました。清流域の河川の特徴として長い年月をかけて川の流れが形成されています。ゆえに水中の形状は非常に複雑で、小石が多い浅場や岸壁が沈んでいる深場、小石と泥が混ざっているカケアガリなどがあります。このような釣り場は流れの変化も著しく、流れが速いポイントにラインがクロスすると仕掛けも流されやすくなります。
オモリでいえば20-30号クラスであっても多少は流されてしまうので、軽い仕掛けだと足元に仕掛けが流されてしまい非効率な釣り方になります。このため狙いたいポイントでじっくり誘うためには、流されにくい重さのオモリを使用する必要があります。
この章では通常のうなぎ釣りより余裕のあるタックルと仕掛け、および清流域ならではの自然にマッチした餌についても解説します。
清流の天然うなぎ釣りでは投げ竿が良い
うなぎの生息する清流域の特徴は川幅が広く、力強い流れが生まれます。また浅瀬になる付近では急流となるので仕掛けが流され過ぎないように注意が必要です。そのため仕掛けに使用するオモリは20号以上が最適で、多少の流れでも流されにくくなります。それゆえに、釣り竿のパワーバランスも重要で20号クラスのオモリでもしっかりと背負える投げ竿が良いです。
投げ竿の長さは2-3mのもので良いですが、選ぶ際に気をつけたいのは投げ竿の品番です。釣り具メーカーの品番には(例:20-360)のような表記がされており、表記には以下のような意味があります。
20 | 20号までのオモリが背負える |
---|---|
360 | 長さが3.6mの投げ竿 |
上記のような数字を目安に20号以上を背負える投げ竿を選びたいです。
スピニングリールは4,000番が扱いやすい
次にスピニングリールの使用ですが、サイズは4,000番クラスで糸巻き量が多めのモデルを使用しましょう。理由としては重めのオモリをつけた仕掛けを回収する際に、リトリーブ速度が遅いとボトムの障害物などにスタックしてしまいがちです。また川幅のある川で遠投をすると、仕掛けを回収する際に大口径のリールであれば巻きの疲れを低減してくれます。効率性を求めて、テンポよく仕掛けを打ち込むのには3,000番では心細いので4,000番で挑みましょう。
道糸は太めで
道糸は太めのサイズを使用したいところですが、種類にもこだわりたいです。PEラインは直結強度があり、ライン口径は細いので飛距離は飛ばしやすいです。しかし遠投をする際に重い仕掛けだと瞬間的に大きな力がPEラインに加わることで、仕掛けとの結び目が切れやすいリスクがあります。加えて、岩場や小石の隙間に挟まったりすると耐摩耗性の低いPEラインは簡単に切れてしまいます。
一方でナイロンラインはPEラインと比較すると口径が太めなので、飛距離は落ちるもののクッション性が高く瞬間的な糸切れがしにくいです。河川の幅が広くても、海釣りで大遠投をする訳でもないので、ナイロンライン4号以上で100m以内の射程距離であれば十分です。
万が一、PEラインを使用する場合は力糸などのリーダーラインをつけてクッション性を高めてあげましょう。
ハリスは大きめサイズでOK
清流域の天然うなぎは数は少ないですが、大きめのサイズが狙いやすいので大きめのハリスを使用したいです。うなぎの数が少ない理由として考えられるのは、上流域に生息するうなぎの餌となる絶対量が少ないためです。うなぎを含め、あらゆる川魚の主食は川虫や川エビ、小魚になります。メインとなるのは捕食しやすい川虫とエビで、小魚はある程度の大きさに達した魚しか捕食しません。
今回の釣行では40cm前後と小さめの個体が釣れましたが、大きめのサイズがヒットする確率が高いことを踏まえるとハリスは8号-12号を選択したいです。
天然うなぎには自然環境にマッチした餌が効く?
先程も説明しましたが清流域で天然うなぎが捕食する餌は川虫や川エビが想定されます。川エビはうなぎの好物で食べやすいターゲットですが、川幅があり流れが速いポイントだと餌を見つけにくいためバイト数も少ないです。小場所ポイントやピンスポットで打ち込む場合はエビの活用も良いでしょう。
もちろん、小魚も食べる魚ではあるのでカワムツやオイカワなどを泳がせ釣りで狙う方法もあります。しかし手返しの点では小魚の準備から、慎重なキャストまで難易度は高めになります。
そこで筆者が一番おすすめしたい餌は安定したアピール力と餌持ちのあるミミズです。大きさは小さくても良いですが、シルエットを出すためには大きなサイズであるドバミミズが良いです。ミミズの発する匂いは強いので、うなぎを遠くから寄せやすいです。
天然うなぎの捌き方とは?
今回の釣行で釣れたうなぎはサイズが小さかったために食べるのは断念しましたが、清流域で取れた食べ応えのあるサイズであれば実食したいですよね。ここでは一般の魚とは違い、専門性の高いうなぎの捌き方について紹介します。
準備するもの
- うなぎ包丁(出刃包丁でも可)
- 60cm以上の長物なまな板
- 目打ち
うなぎを捌く手順
- まず始めにうなぎは調理時に暴れてしまうのでボウルに氷水を作り、うなぎを入れて仮死状態にさせます。動きが鈍化するまでしばらく置いておきます。
- 動きが鈍化したタイミングでまな板に乗せ、胸ビレの真下から包丁を入れて中骨付近まで刃を通します。頭はのちの工程で重要なパーツになるため、胸ビレから中骨を貫通しないようにしましょう。
- 続いてうなぎの背中となる部位を手前に向けて、目の下あたりに目打ちを刺します。うなぎはヌメヌメした体液を出すので、しっかりと目打ちで頭を固定しておきましょう。コツとしては手の力だけではバランスが取りにくいので、包丁の平らな部分を利用して打ちつけて刺しましょう。
- 目打ちが完了したら背開きを行います。胸ビレ付近の切れ目から包丁を入れ、中骨に沿って胴をスライドして切ります。
- うなぎを背開きにしたら内臓を取り出しましょう。
- 次に胸ビレの付け根付近から包丁を入れて、尾にかけてゆっくりと中骨を削ぎ落とします。
- うなぎの臭みは主に皮のに付いている粘液からきます。ですので、背開きが終わったら熱湯を皮にかけて滑りのある粘液を取り除きましょう。糊状になった粘液が皮の上に浮いてくるので、水道水で十分に洗い流しましょう。
- 蒲焼きや白焼きなど、お好みの調理方でうなぎを頂けます。
清流域で釣れたうなぎは背にかけて黒色、お腹にかけては白色と明瞭な色合いをしていました。反対に、水質が悪い中流域の河川などで釣れるうなぎは背は黒色ですが、お腹の色合いがやや黄色ががっていて泥臭さを感じます。臭いが気になる方は、体色をチェックして食べられるかを判断しましょう。
山容水態の景色に囲まれながら清流の天然うなぎ釣りを
今回は美しい清流での天然うなぎ釣りについて紹介しました。水中の様子が目で見えるほど綺麗な清流でのうなぎ釣りは心が清らかになるほど落ち着きます。なかなか、容易には天然のうなぎは釣れないものの、他の川魚なども狙えるので楽しみながら釣りができます。
釣れた天然うなぎは状態の良い個体が多いので、実食できるチャンスでもあります。数が釣れるとされる河口や中流域の河川とは違い、数は少ないですがサイズアップを求めて価値ある1匹を追い求めてみるのも清流における天然うなぎ釣りの醍醐味ですよ!
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