ウキフカセ釣りは撒き餌なしでもできるのか? こういうケースなら可能性はなくはない!?

作成:2022.11.28更新:2022.11.28

ウキフカセ釣りは、撒き餌(コマセ)を撒いて、自分の釣り座にポイントを作って行う釣りです。「コマセの切れ目が縁の切れ目」とも言われるほど、撒き餌はウキフカセ釣りにおいては重要で、象徴的なアイテムです。今回は、そんなコマセを使うことなく、ウキフカセ釣りは出来るのか? という、ウキフカセ師にとってはこれまで一度たりとも考えたことすらなかったであろう非常に難しいテーマについて、真面目に考えてみたいと思います。

そのためにまずは、「コマセの役割」、「コマセの打ち方」などをよく知る必要があります

ウキフカセ釣りにおけるコマセの役割

ウキフカセ釣りにおけるコマセとは、「自分の釣り座にターゲットをおびき寄せるために欠かせない誘引剤」です。青物狙いのカゴ投げサビキ釣りや、オフショアでビシカゴにオキアミやイワシのミンチなどを詰めて仕掛けを投入するビシサビキ釣りのコマセとは少し意味合いが異なります。

サビキ釣り用のコマセは、あっという間に行き過ぎてしまう回遊魚をポイントに足止めにするためのものであるため、大前提として、ターゲットが回遊してきてくれないと話にならないのですが、ウキフカセ釣りにおけるコマセは、魚がいないところに撒き続け、ターゲットの魚を遠くから呼び寄せて自分がいる場所にターゲットの溜まり場を作るという意味合いが強いものとなります。そして、ウキフカセ釣りにおけるコマセは、ただ量をたくさん打てばよいというわけではなく、そのレシピや打ち方には長年の研究の賜物である、非常に多くの知恵が詰まっています。

ウキフカセ釣りのコマセの効き方

ウキフカセ釣りにおけるコマセの効能は、もちろん型の良い本命のターゲットを集めることではありますが、釣り場について最初から良型の本命魚が寄せられるケースは滅多にありません。まずはイワシやボラの稚魚などのベイトフィッシュとなるような小魚が集まってきます。その後、ベイトが騒いでいる状況を見たひとまわり大きなフグや小サバなどが、ベイトが突いているコマセを横取りしにやってきます。これがいわゆる「餌盗り」です。この餌盗りは一度集まってしまうと非常にしつこく餌を横取りしながら居座ります。この時、餌盗りを分断するため、足元に餌盗り用のコマセを撒きます。

そうしているうちに、コマセのにおいと餌盗りがお祭り騒ぎをしている雰囲気を察した本命魚が徐々にやってきます。こうなってくると、餌盗りに混じって本命魚がポツポツ釣れるようになってきますが、まだサイズが小さいです。ここを耐え、餌盗り分断用のコマセを打ち続け、沖目に本命用のコマセを打ち続けていると、あるタイミングで突然、餌盗りが蜘蛛の子を散らしたようにいなくなるタイミングがあります。この時が勝負の分かれ目となります。

この時に何が起こっているかというと、大型魚が近寄って来ているのです。この大型魚が何なのかによって、その後の展開が変わります。大型の本命魚が寄ってきたため餌盗りが大慌てで逃げたという場合はチャンスタイム到来ですが、現れたのがサメや大型青物などの場合は、ウキフカセ釣りのタックルでは太刀打ちできないことが多く、ほぼノーチャンスとなります。その場合は、大型魚が過ぎ去るのを待つかポイントを移動するか、対応を迫られます。

このように、ウキフカセ釣りの場合は、コマセを打ち始めると、わらしべ長者のように集まってくる魚が徐々に大きくなって行き、打ち始めから数時間経過して大型の本命が釣れるというケースが多いです。

ウキフカセ用コマセはノウハウの塊

ウキフカセ用のコマセほど、理論に基づいて様々な工夫が凝らされているものはないでしょう。詳細は割愛いたしますが、ウキフカセ用コマセは、ターゲットの嗜好を考え、ターゲットの泳層を考え、沈降スピードや拡散性をコントロールするために、様々な配合コマセ(ベース材)があり、さらにコマセの性状をチューニングする調整材として、配合コマセに混ぜる添加材があります。

また、エサ取りと呼ばれる、本命魚ではない魚の猛攻を回避するために、本命魚以外が寄ってこないようにするためのレシピも研究がつくされ、現在では、ピンポイントとまでは言えないものの、エサ取りの猛攻を回避しつつ、本命魚を確実に寄せるようなこともできるようになってきています。

ウキフカセ釣りにとってコマセとは、ターゲットの嗜好やエサ取りの状況、水温や潮流などを読み、コマセの配合や比重、含水量などを、フカセ師の長年の経験とインスピレーションに基づいて独自に微調整し、確実に本命を釣り上げるポイントを作るためのノウハウの塊なのです。

人気の磯では飽和状態?

フカセ釣りの好ポイントとして人気の高い地磯では、ハイシーズンの休日ともなると数十人のフカセ師が竿を出します。各人が5kg~10kg程度のコマセを海に撒きます。多いところでは一日で数百kgもの大量のコマセが撒かれます。

とくに内湾の漁港やその周辺の穏やかな磯などでは、大量に撒かれたものの海中で消費しきれなかったコマセが海底に堆積し腐敗したりして、海藻の成長に影響を及ぼしたり、生態系の変化をもたらしたりします。こういう場所では環境汚染防止の観点から、コマセの使用が禁止されている場所もあります。また、こういう場所に居ついている魚は、フカセ師が撒くコマセが主食となってしまっていて、脂質過多のでっぷりとした個体が増えるなど、魚体にも影響を及ぼします。しかし、コマセを常食している個体は、いわゆる「磯臭さ」がなくなるものが多いため、磯臭くてまずいと言われている魚でもおいしくいただけるという利点もあります。

ウキフカセ釣りでのコマセの使い方

ウキフカセ釣りにおけるコマセの使い方については、理論の発展と実践による答え合わせが日々繰り返されており、その使い方は日々変化しています。一例をあげると、コマセはかつて、釣り場に着いたらまずは足元を中心にコマセを撒き続け、水面に魚が黒々と集まってきてから釣りを開始するとされていましたが、現在では潮の流れを確認して、コマセの沈降のスピードや拡散の方向を見極め、コマセがターゲットのいるポイントをに到達するところに刺し餌が同調するよう、絶え間なく、少しずつ撒くことを推奨しています。

また、ボトム付近にピンポイントにターゲットを寄せるため、コマセを固く握りしめ、野球のボール大にしたものを近距離に投げ入れ、そこに、刺し餌がついた針を中に入れたダンゴを一緒に落とすダンゴ釣り(紀州釣り)などもあります。

さらに、コマセは「本命魚と餌盗りの分断」という重要な役割もあります。餌盗りがうるさくてどうにもならないとき、足元に餌盗り用のコマセを撒き、餌盗りを足元に留め置き、ある程度距離を取った沖のポイントめがけて本命魚用のコマセを撒き、本命魚だけをポイントに集めるようにします。

こうしたコマセの配合から水分調整(粘度調整)、撒き方に至るまで、ウキフカセ釣りにおけるコマセに関する事柄全体を「コマセワーク」といいます。

撒き餌を使わないウキフカセ釣りは可能か?

そんな、ウキフカセ釣りの帰趨を左右する重要なアイテムであるコマセですが、これを使わないウキフカセ釣りというのは果たして成立するのか? ということについて考えてみましょう。

撒き餌は必ず誰かが撒いている

こういうことを書くのは、道義的にやや憚られるのですが、ウキフカセ師がたくさん釣りをしているポイントでは、撒き餌なしのウキフカセ釣りは不可能ではありません。その代わり、釣果は大幅に落ち、基本は「偶然の一発」狙いになるでしょう。こういうポイントでは、ほぼ全員が大量のコマセを撒いています。撒かれたコマセは着水したポイントで垂直落下することはなく、潮の流れに乗って、ゆっくり沈みながら、拡散しながら海中を漂います。もし、あなたが撒き餌なしでウキフカセ釣りをやろうと思ったら、コマセを撒いているウキフカセ師の潮下に陣取りましょう。

もちろん、露骨にコマセのおこぼれを狙うような振る舞いはNGです。コマセを撒いている人の潮下近くに入るときは必ずひとこと声を掛け、入れてもらいましょう。潮の流れが速い場合は、コマセを撒いている人から潮下にかなり距離をとっても(20m程度)コマセが効いていることもあります。

まず第一は、必ず潮下に入ります。潮上に入ってしまっては、いくら頑張っても釣果を上げることは難しいでしょう。そして第二は、コマセを撒いているウキフカセ師のコマセワークをよく観察しましょう。

他人のコマセワークを見ていると、稀に「むやみやたらに」コマセを撒きまくっている人がいます。潮の流れを無視して撒いている人、一回の撒く量が異常に多い人、コマセを広範囲に撒いている人などです。こういう人の周辺にはコマセが過剰に、広く拡散しており、あちこちにポイントが分散して出来上がっている可能性があります。

よく、そのポイントの「ヌシ」とも言うべき、いつも同じポイントで釣りをしていて、短時間でびっくりするような釣果を上げて早々に引き上げて行く、百戦錬磨の老釣り師を見かけますが、そういう人をよく観察していると、コマセもシンプルで、場合によっては配合コマセ(ベース材)を使わず、解凍したアミやオキアミのみを、小さなスプーンで1杯程度という非常に少量を撒くだけでやっているなんてことがあります。

そういう人は、長年同じ場所に通い詰め、海中の地形や魚が溜まるポイントなどを知り尽くしているため、最小限の投資で高い効果を上げる術を知っているということはもちろんですが、コマセに関しては、周りのウキフカセ師が過剰に撒いているコマセを上手く利用しているようにも見えます。常連の老ウキフカセ師の立ち回りは、じっくりと観察すると参考になることが多くあるはずです。

強い刺し餌を使ってみる

「強い刺し餌」と言われてもよくわからないと思いますが、いわゆる「特功餌」と呼ばれるものです。具体的には、クロダイ狙いであれば、ボケ(スナモグリと呼ばれる甲殻類)、ユムシ(コウジと呼ばれる無脊椎動物)、ロックフィッシュ狙いであればサバやサンマなど青魚の切身や岩イソメ、小型のカニ、カワハギ狙いなら鮮度の高いアサリのむき身、メジナ狙いなら専用の練り餌などです。

これらはおしなべてにおいが強く、誘引効果が高い餌となります。比較的、撒き餌を使わなくても、魚の活性が高い日であれば勝負になるでしょう。

ガルプ液を使う

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「ガルプ液」をご存知でしょうか? ルアーマンならご存知でしょうか?米バークレー社が発売している、魚の嗜好性抜群のクサい液体で、ガルプ!ワームの保存液として、ワームの袋の中に入っているアレです。

このガルプ液、部屋の中で扱おうものならもの凄い悪臭を放ち、服やカーペットに垂らしてしまったらにおいを取るのに大変苦労します。そうした絶望的な悪臭が抜群の集魚効果をもたらします。

ガルプ液に青イソメや岩イソメをくぐらせて針につける、或いは針につけた餌にガルプ液をスプレーするなどして、集魚効果を高めましょう。「ガルプ! アライブ アトラクタント スプレー」は使い勝手の良いトリガーボトル入りです。

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トリガーボトル入りではない、詰め替え用ボトル「ガルプ! アライブ! リチャージジュース」もありますので、激臭に耐えられる方は是非一度使ってみてください。集魚効果が高まっていることを明らかに実感できるはずです。

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現地調達物を撒き餌として使う

磯で行うウキフカセ釣りに限るかもしれませんが、現場には撒き餌として使える生き物がたくさん生息しています。一番簡単に採取できるものとしてはカニ類があります。タイドプールなどに採取用の網を入れれば、短時間でそれなりの数のカニ類が採れます。それを潰して少しずつ撒いたり、写真のような、ペットボトルをカットして作ったトラップを用意し、中に魚の切り身などを入れてフナムシを採取し潰して撒いたりするのも効果的です。しかし、集魚効果の持続性はコマセに比べたらはるかに短いでしょう。何も撒かないよりはマシといった感じです。

他人が狙わない足元をネチネチ攻める

撒き餌を使わないでウキフカセ釣りをしようと思ったら、コマセを使っているウキフカセ師と同じ釣り方をしていたら圧倒的に不利な状況であることは明白です。そのため、他人が狙わない場所、すなわち、足元ギリギリを狙うことをやってみましょう。ウキフカセ師のコマセワークとして、足元には餌盗りを釘づけにして沖目の本命魚と分断するための、餌盗り用のコマセが撒かれているはずです。ここにはサイズを求めることは難しいですが、さまざまな魚が溜まっています。あきらめずにネチネチと攻略しましょう。

足元を攻略する場合は根ズレ、根掛かりに気を付けなければなりません。仕掛けが軽いと波に仕掛けを流され、足元の岩に打ち付けられてしまいます。足元を攻略する場合は、仕掛けはやや重めにして、浮力の高いウキを使い、ラインは張り気味にして、根掛かりしないよう常に注視しておかなければなりません。足元はとにかく根掛かりとの闘いとなりますが、根のキワに居着いている魚は非常に多いため、魚種・サイズを問わなければいろんな魚が釣れて、それなりに楽しめるはずです。餌をつける際は、針先を完全に隠すようにすると、少しでも根掛かりのリスクを小さくすることができます。

ウキフカセ釣りをするなら、撒き餌はやはりあった方がいい

さて、これまで、「撒き餌なしでウキフカセ釣りができるのか?」ということについて考えてきましたが、結論は、「釣れないことはないが、撒き餌はやはりあった方がいい」です。理由は、「コマセワークを含めてウキフカセ釣りだから」です。ウキフカセ釣りは、ランガンしながら足で稼ぐ釣りではありません。自分でポイントを作って行く釣りです。現場のポイントをくまなく観察し、どこにどうコマセを打って、打ったコマセがどう流れて行き、どこでまとまるかを考え、その見極めたポイントに刺し餌が同期するように仕掛けの重量をコントロールする。この一連の脳トレが楽しいのではありませんか!

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この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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