穴釣りの餌は何が良い? 最強の餌は何だ?

作成:2022.05.12更新:2022.06.23

困った時の「穴釣り」、最終手段の「穴釣り」、ボウズ逃れの「穴釣り」などと言われ、メインの釣りとはなかなかならない穴釣りですが、真面目に穴釣りに取り組むと、大変面白い釣りです。水深数10センチ程度の足元の真下に、びっくりするような30cmを超えるムラソイやキジハタ、アイナメなどが潜んでいることもあります。こんな一発大逆転の可能性があるのが穴釣りです。

穴釣りは、安全性に難があるということと、根掛かりとの闘いが不可避という、致命的な欠点があるメソッドではありますが、安全装備(特に靴!)を確実に整えて、穴釣りの「こんなところにこんなのがいるのか!」という意外性をどっぷり堪能してみてください。

穴釣りを目的として海に出る場合は当然、しかるべき餌を用意して行くでしょうが、別の釣り、特に餌を使用しないルアーフィッシングをやっていて釣果が芳しくなく、穴釣りにチェンジするというような場合は、餌がないと思いますが、穴釣り用の餌を特に用意していなくても構いません。現地採集できるもので充分穴釣りは可能ですし、何なら自分が食べる用で持っている食材などでも、モノによっては穴釣りの餌として使えます。今回は、そんな穴釣りの餌にフォースカスし、穴釣り最強の餌は何だ? ということについて考えてみたいと思います。

穴釣りの基本情報

穴釣りができるポイントは、テトラポッド(消波ブロック)が組み入れられている場所、磯やゴロタ場の岩と岩の隙間や割れ目、防波堤の捨て石周りや切れ目など、自然の地形、人工物を問わず、海底部にできた狭い隙間、暗くて複雑な構造をした穴など、魚が隠れることができるスペースがあるところであればそこは穴釣りのポイントとなります。しかし、大前提として「立ち入りが禁止されていないこと」があります。これだけは絶対に守りましょう。

穴釣りの仕掛けは専用タックルを一式そろえよう

穴釣りのタックルに、別の釣りで普段使っているタックルを充てるのは勿体ないと思います。穴釣りはタックルを傷つけやすい環境の中で行います。ロッドは常に岩やコンクリートブロックに当たって傷がついている状態です。ロッドが短いため、根掛かりを強引に外そうとする際にティップが折れてしまうことも、他の釣りよりも数多くあります。ラインも一度穴釣りをやると10m程度は傷だらけになって使えなくなってしまうため切り捨てなければなりません。穴釣りのタックルはロッドもリールもラインも、安価なもので構いませんので穴釣り専用で一式そろえておくことをおすすめします。

穴釣りのタックル

穴釣りのタックルは、気兼ねなく使い倒せるものを選びましょう。ロッドは3,000円程度の穴釣り専用ロッドで十分です。長さは90cm〜210cm程度までありますが、使いやすいのは120cm〜150cmくらいでしょう。安価なものは100%グラスファイバーのものが殆どで、カーボンロッドより自重があるのですが、長さが短いので持ち重りが気になることはありません。

リールは小型のベイトリールを穴釣り専用でひとつ仕立てましょう。ラインキャパはフロロカーボンの10lb〜12lbが50mもあれば十分です。ラインは根ズレに強いフロロカーボンラインを巻きます。ハリスもフロロカーボンを使い、針は、ターゲットの魚に応じて使い分けましょう。ただし、穴釣りで釣れる魚は、ベラやギンポを除くと、大口の魚がほとんどですので、カサゴ針、メバル針、丸せいごなどの10号〜13号程度を使えば良いでしょう。

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穴釣りの餌を考える

穴釣りで釣れる魚は、所謂ロックフィッシュが中心となります。ロックフィッシュは、あまりキビキビと動き回って餌を捕食するというよりは、自分の近くに来た餌に素早く食いつくというタイプが多いです。基本、肉食性が強く、においが強く、ヒラヒラとした動きをするものを好みます。

従って、何か別の餌釣りをやっていて、穴釣りにチェンジする場合は、それまで使っていた餌をそのまま使えばよいでしょう。例えば、シロギス狙いでジャリメをつけて投げていたのであれば、そのままジャリメで良いですし、アオイソメでもイワイソメでも良いです。オキアミを餌にフカセ釣りをしていたなら、オキアミをそのまま使えます(針持ちは良くないですが食いは大変良いです)。

もし貴方が疑似餌釣りをしていて、穴釣りをやろうにも餌を持っていないとしても、心配はありません。穴釣りの餌はそこら中に存在しています

人間がさまざまなものを食べて生活しているように、犬や猫、亀やカエル、昆虫に至るまで、メインで食べるものはあったとしても、それ以外のものは一切食べないなんてことはないのです(コアラなどごく一部の動物を除く)。

先程、ロックフィッシュは肉食性が強いと書きましたが、では、穴釣りの実際、餌は何が良いのでしょうか?

穴釣りの定番餌

それでは、穴釣りに使える餌について紹介します。まずは定番の万能餌から。

イソメ類

穴釣りに限らず、あらゆる釣りに高い集魚効果を発揮するイソメ類は穴釣りの定番中の定番です。穴釣り用のイソメとしとは、アオイソメが最も向いています。針には一匹まるまるチョン掛けにします。水中でヒラヒラとよく動き、隙間に隠れているロックフィッシュをおびき出します。餌の量が潤沢にあるなら、2〜3匹房掛けにするとアピール度が上がります。

オキアミ

フカセ釣りにはなくてはならないオキアミは、ロックフィッシュも非常に好んで捕食する餌です。オキアミは「南極オキアミ」といい、日本近海には存在しないオキアミですが、ほぼすべての魚が好んで食べます。オキアミ類は海の生態系の最も幅広い階層で最も多く食べられている動物プランクトンであり、南極周辺に偏在しているにもかかわらず、生態系に大きな影響を与えている「キーストーン種」とされています。

オキアミは針持ち性には若干難があるものの、自宅でみりんや砂糖、蜂蜜などを使って締め加工を施して針持ち性を上げて経済的にオキアミを使っている人もたくさんいます。

アサリの剥き身

カワハギ釣りの特効餌であるアサリの剥き身は穴釣りにも効果的です。針への付け方を正しくマスターしないと針持ちよく出来ないのですが、ちょっと練習してコツを掴めば、嗜好性が高く針持ちの良い生餌となります。

カサゴやムラソイなど、口の大きな魚を狙う場合は、大きめの針に2〜3粒刺しても良いでしょう。

イカ短

まるなか 大衆鮮魚

生のイカを短冊状に切ったものは非常に針持ちの良い餌になります。魚の嗜好性を上げるために、食紅で真っ赤に染めることもあります。イカは釣り餌だけでなく、延縄漁法で大型魚を狙う場合もよく使われる餌で、穴釣りからマグロなどの巨大魚まで、幅広いジャンルで使われます。

魚の切り身

魚の切り身も穴釣りに限らず、殆どの魚が好んで食べます。釣具店でもサバやサンマ、イワシなどの切り身は売っていますが、非常に高価なため、自宅で仕込んでおきましょう。

おすすめはサバです。歩留まりがよく、一匹から多くの身が取れます。においも強いため、集魚効果も高い身餌です。穴釣りに使う場合は、1cm×3cm程度のサイズに切り、塩締めしておけば、針持ちの良い餌になります。ロックフィッシュには最も効く餌と言えるでしょう。

現地で採集できる餌

釣り餌が予め用意できなくても、釣り餌は現地で採取できます。採捕はなかなか大変なものが多いですが、写真のように潮が引いている時は、釣り餌になり得る様々な生き物を採取できます。水際の石をひっくり返してみたり、砂を掘ってみたりして、生き物を探してみてください。

カニ

イソガニ、イワガニ、アカテガニ、クモガニ、タンクガニなど、堤防や磯、テトラ帯などにはいろんなカニが生息しています。小型のカニを捕まえて、死なないように足の付け根を針に刺して餌にすれば、アイナメやキジハタなどが好んで食ってきます。

クロダイの落とし込み釣り、メジナのフカセ釣りにはカニ餌は欠かせません。餌盗りが多いときの対策にもなります。脱皮したての殻が柔らかいカニは魚の嗜好性が爆あがりです。

フナムシ


フナムシは「海のゴキブリ」とも言われる甲殻動物で、テトラ帯や堤防などに大量に生息しています。大量にいるのに動きが素早いため、なかなか捕まえることができないフナムシですが、タモ網を使い蓋の出来るケースに収納しておきます。

あらゆる魚に嗜好性が高く、非常におすすめです。捕まえづらいことと、ビジュアルの悪さで、餌として使いづらいと思う人が多いと思いますが、効果は折り紙つきです。

貝類

日本食品名産図鑑

磯や堤防、テトラ帯には、満潮時には水をかぶり、干潮時は干上がる場所に様々な貝類が着生しています。それらもすべからく穴釣りの好餌になります。ヨメガカサ、ベッコウガサ、アミガサガイ、マツバガイなどカサガイの仲間、エガイ、アオカリガネエガイ(ヨコクチガイ)などのフネガイの仲間、イガイやムラサキイガイなどのイガイの仲間、また、フジツボやカメノテなども殻を外せば立派な釣り餌になります。

イガイの仲間は採捕が禁じられている場所もありますので、注意が必要です。また、採捕は認められていても、イガイを根こそぎ剥がし取る道具の使用は禁じられているという場所もありますので、よく確認して、ルールを守って採捕してください。

幼虫

幼虫と書くとざっくりし過ぎですが、春を中心に大量発生するカナブンやコガネムシなどの幼虫は植え込みの木などの根を餌にしていますので、少し掘ると面白いように取れます。幼虫が生息している場所の土は周囲より柔らかくなっていることが多いため、土を触ってみるとだいたい見当がつきます。冬季は枯れたヨシの茎の中にいる、俗に「木虫」と呼ばれる黄色い幼虫も嗜好性の非常に高い餌です。これらを触ることに抵抗がない方であれば是非試していただきたい餌であります。

ミミズ

マイナビ農業

ミミズは淡水釣りの最強餌のひとつと言っても過言ではありませんが、もちろん海水魚にも使えます。針に刺すと激しく身体をクネクネと動かしますので、穴釣りに使うとロックフィッシュは堪らず穴から出てきます。

日本には100種ほどのミミズが存在するようですが、釣り餌として淡水釣りで使われるのは、ドバミミズ(フトミミズ科の総称)、シマミミズがほとんどです。枯れた落ち葉が腐って堆積している場所を軽く掘るとたくさん出てきますので、腐葉土ごと取って水に濡らした新聞紙を敷いたケースに入れておけば、ある程度活かしておけます。

穴釣りの典型的なアタリとは?

穴釣りの対象であるロックフィッシュは、食性が雑食に近い肉食性であるものが多いため、餌は非常に選択肢が広いという共通点があります。また、口が大きく、餌を丸呑みにするような摂餌行動を取るものが多いため、アタリも一発ガツン! という感じが多いです。コツコツコツッ!という、鋭いアタリの場合は、ギンポやベラなど、口の小さい魚であることがほとんどです。

ロックフィッシュのアタリは一瞬で下に引ったくるような強烈なアタリを堪能するには、狭い隙間に隠れているターゲットを引きずり出すために、活き餌の場合は、急所を避けて針に刺すなど、水中でできるだけ長く生きられるよう工夫します。イソメ類でもフナムシでも、頭部に針を刺すことは避け、イソメ類であれば頭部の下の部分をチョン掛け、フナムシであれば尻の部分をチョン掛けにし、水中で1分でも長く動いてアピールさせるようにします。カニ餌の場合は、お腹の部分の「ハカマ」や「ふんどし」と呼ばれる三角形の蓋の部分を避け、一番下にある脚の付け根に浅くチョン掛けにします。ハカマ部に針を刺してしまうとすぐに死んでしまいます。

魚の切り身やオキアミ、貝類など死に餌の場合は水中でロッドを上下に動かして、餌が生きているように見せることが大事です。ターゲットの魚が辛抱堪らず穴から出て餌に襲い掛かるように仕向けるのです。そして、アタリがあったら素早くアワせます。仮にフッキングに失敗しても、同じ穴に再び餌を投入すれば何度でも食いついてきます。釣れるまで粘っても問題ないのが穴釣りの特徴です。

穴釣り最強の餌は結局何か?

以上、穴釣りの餌について紹介してきましたが、結局、最強の餌とは何なのでしょうか? それは、あなたが仕掛けを投入したあとどのように魚にアプローチするかによって異なります。理想は強烈なにおいを放つ活き餌が水中でよく動き、勝手に魚の視覚と嗅覚にアピールするのが良いのですが、死に餌を使う場合でも、アングラーが巧みにロッドを操作し、餌に命を吹き込むことができれば、活き餌と同じくらいのインパクトを与えることが可能です。

そうなってくると、針持ちの良い餌に軍配が上がります。これらを総合的に考えると、魚の切り身が穴釣り最強の餌であると言えそうです。キチンとロッドで誘いを入れ、においと動きで攻略するのが良いでしょう。また、凪か時化か、水が澄んでいるか濁りが入っているか、水温によっても当たり餌は日々変化するはずですので、いろんな餌を試すことをおすすめいたします。

この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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