サヨリパターンでトップウォーターのランカーシーバスを釣る!狙うは干潟 水深50cm

作成:2019.10.02更新:2021.08.20

高確率でランカーシーバスが狙える!秋がシーズンのサヨリパターン

海の中がいよいよ本格的な秋に向かっていく9月頃。この時期になると様々なターゲットがシーズンを迎えます。中でもシーバスは12〜1月頃の産卵期を前にして荒食いをする時期で、サイズ、コンディション、数ともに年間を通して最も狙いやすい、いわゆる”ハイシーズン”にあたります。中でも秋の風物詩とも言えるサヨリパターンは、コンディションのいいシーバスを狙いやすいパターンとして有名です。

しかし、他のパターンに比べて少し難しいイメージを持っているアングラーが多く、特に初心者は避けている方が多く感じます。確かに秋は他にもいろんなベイトパターンが成立するので、サヨリパターンを避けて、より簡単なイワシパターンやイナッコパターンを狙うのも1つの手です。とはいえ、攻略することができればコンディションのいい個体を数釣りすることが可能ですし、何より80cmを超えるランカーシーバスが釣れる確率の高いのがサヨリパターンの特徴の1つです。他のパターンに比べると少し難しく感じますが、実は狙いを絞りやすく、しっかりと理解すれば少ないルアーで簡単に釣ることが可能なパターンでもあります。

そもそもサヨリとはどんな習性の魚?

全体的に細長い体と、長い下顎が特徴的なサヨリ。サヨリを食べるシーバスを攻略する上で、まずはサヨリがどんな習性と性質をもっているのかの知識が必要です。なんとなく攻略が難しい回遊系のベイトフィッシュというイメージを持っている方が多いかと思いますが、一体どんな性質の魚なのでしょうか?

移動が速い

サヨリの大きな特徴として、とにかく移動が速いという点が挙げられます。その速さは他の回遊系ベイトと比べても圧倒的です。例えば「昨日はあの河川の干潟にたくさんいたのに、今日来たら全然居なかった。。」というのはサヨリパターンでよく聞く話です。日単位で動いてくれる程度ならまだいいのですが、釣りをしている途中でも、ついさっきまで目の前にサヨリの群れがいてボイル祭りだったのに、いつの間にかフルキャストしても届かないほど遠くまで移動しているというようなことも多く、サヨリパターンが難しいとされる最も大きな要因の1つがこの移動の速さです。

横に広く縦に薄い群れ

もう1つサヨリの大きな特徴として、群れの形が横に広く縦に薄いという点が挙げられます。具体的には、群れは数10メートル範囲で非常に広範囲に広がっているのに、実際にサヨリがいるのは水面下30cm前後までです。

例えば、イワシなどは横にも縦にも同じぐらいの幅で群れることが多く、青物などのフィッシュイーターの群れに追い回された際、ラグビーボール状のいわゆる”イワシボール”になることでも有名です。それがサヨリの場合、縦の幅はほとんどないと認識しておいて問題ありません。群れがフィッシュイーターに襲撃されても、イワシのようにまとまることはなく、蜘蛛の子を散らすように逃げていくだけです。群れの縦の幅が薄い特徴は、ルアー選択が難しくなる要因の1つですが、反対に言えば、用意しなければいけないルアーが少なくて済むとも言えます。

例えば筆者はイナッコパターンの時などはルアーがパンパンに入ったボックスをポイントに持ち込みますが、サヨリパターンの時は7〜8本程度です。ルアーが少ないと選択が楽ですし、ベストも軽く、肩こりの軽減にもつながり、良いことばかりです。

秋の名物サヨリパターンは干潟エリアが熱い

港湾部や漁港、河川や磯やサーフなど、いろんなエリアに出没するサヨリですが、最も簡単に攻略でき、釣果が安定しているのが干潟でのサヨリパターンです。反対に漁港や港湾部でのサヨリパターンは非常に攻略が難しく、多くのベテランアングラーも避ける釣りです。同じサヨリパターンなのに、どうしてここまでの違いが生まれるのでしょうか?

止水域でのサヨリパターンは難攻不落

最も大きな要因は、流れがあるかないかです。河川や干潟は流れの効いていることが多く、簡単に食わせやすい場合も多いです。反対に漁港や港湾部など、止水域でのサヨリパターンはとてつもなく難しいパターンです。磯ならまだ流れがあってマシですが、漁港内などは流れが一切無く、本当に釣り難くなります。漁港でのサヨリパターンは、筆者も友人と何度か攻略を試みたことがあるんですが、6時間ほど釣りをしてフッコサイズのシーバスが2人で2〜3本釣れればいい方という貧果ばかりでした。反対に、干潟だと同じく2人で6時間ほど釣りをして、いいタイミングに当たると2人で40本以上シーバスが釣れる事もあり、単純計算で漁港に比べて20倍近い釣果を上げることができました。

水深が深いエリアは食い気のない魚も多い

夜間、サヨリは水深の浅いエリアに入ってきます。同様に活性の高いシーバスもサヨリを捕食するために普段は立ち入らないほどの浅場に入ってくるので、基本的には水深のあるエリアよりも水深の浅いエリアの方が活性の高いシーバスが多いです。反対に水深のあるエリアだとそれほど食い気のないシーバスがサヨリについて泳いで回っている事も多く、そういったシーバスはどうアプローチしてもなかなか食わせることができません。

水深50cmのトップウォーターでボイルするランカーシーバス

干潟と一口に言っても膝下ほどの浅場から、大の大人が立っても足が底につかないほどの深いエリアまで様々です。一見全体的に浅場が広がっているだけで変化が無いように見えますが、実は起伏に富んだ地形をしているのが干潟の特徴でもあります。

そんな干潟の中で、日が暮れる少し前からサヨリはシーバスを避けようとできるだけ浅場へと避難してきます。しかし、完全に日が暮れ、シーバスの活性が上がり出すと、サヨリが避難している浅場にもシーバスが入ってきます。特にシーバスの活性が高いタイミングだと、水深50cm程度の水深に逃げ込んだサヨリをシーバスが追い回し、ピョンピョンと跳ねまわったサヨリが岸に上がってしまうほどです。浅場でボイルするシーバスの中にはランカーサイズのシーバスも混ざっており、釣り人としてはどう頑張っても興奮が隠しきれないようなシチュエーションです。

なるべく水深が浅いエリアを狙おう

もちろん水深のあるエリアの方が魚のストックがある場合が多いのですが、先ほども触れた通り、水深の浅いエリアに入ってきているシーバスは何と言っても高活性。水深の浅いエリアはシーバスにとってもリスクのある場所です。

わざわざリスクを冒してサヨリを捕食しにきているわけなので、活性の低いシーバスはほとんどいないと言っても過言ではありません。また、水深の浅いエリアだと、シーバスがいるかどうかはサヨリが教えてくれます。水深が浅いとどうしてもサヨリとシーバスの距離が近くなるので、シーバスが捕食モードであるかどうかに関わらず、シーバスがいればサヨリがザワザワと怯えて水面でざわつきます。

しかし、どの水深が浅いエリアでもシーバスが入ってくるとは限りません。ここではいくつかのシーバスが入ってきやすい条件を確認したいと思います。

流れがしっかりと効いている浅場

こちらも先ほど触れましたが、流れが効いているかどうかは非常に重要です。水深が浅くても流れが効きやすい干潟ですが、実際はよく流れているエリアとそうでないエリアがあります。流れがしっかり効いていると、膝下程度の水深でもシーバスが居座って捕食を続ける場合が多いです。一方で流れの効いていないエリアだとシーバスが入りにくく、また入っても居座り難い場合が多く、サヨリの群れも騒ぐことなく静かな場合がほとんどです。

深場、流れがあるエリアが隣接している浅場

例外的に、流れがなくてもある程度水深のあるエリアや、流れのよく効いたエリアがすぐ近くに隣接していると、流れが効いていない浅場でもシーバスが入ってくる場合があります。水深のあるエリアの見分け方としては、夜間にいきなりポイントに入っても確認できないので、前もってGoogleEarthなどを用いて航空写真をチェックするのがおすすめです。また、画像のように日中の干潮時に干潟を歩き回って一通り下見しておくと、ポイントへのエントリーが非常にスムーズになります。

干潟は大規模でなくてもOK

干潟といえばなんとなく大きなイメージを持ちがちですが、大きな河川の中流部などに一部だけある干潟や、全体が干潟化している小規模河川の河口部など大きな干潟以外でもサヨリがいれば、しっかりとサヨリパターンは成立します。むしろ狙うポイントが狭まって、的が絞りやすくなるので、好都合ともいえます。

ルアーはトップウォータープラグがおすすめ

ただでさえ水深の浅い干潟の中でも、特に水深の浅いエリアを狙う場合、トップウォータープラグ以外は使い物にならないと言っても過言ではありません。水面から10cm前後を引くことができるルアーなら問題ありませんが、基本的にリップがあって少しでも潜ってしまうルアーだと底を引っ張ってしまって使い物にならないと考えておきましょう。

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ただ巻きするだけでOKのおすすめルアーです。もちろんアクションにも対応している優秀なルアーですが、サヨリパターンにはいわゆる”棒引き”がおすすめ。またアクションしないで済むので、ここぞ!というポイントでサヨリが引っかかって台無し、という事態も防ぐことができます。

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言わずと知れた名作ルアーはもちろんサヨリパターンにも有効です。ドッグウォークさせて使うのが効果的なのですが、日中使うよりもズンズンとゆっくりアクションさせるのが効果的です。

干潟でのサヨリパターンを攻略する方法

タイミングが最重要!基本はナイトゲーム

サヨリは日が暮れる少し前から干潟に入ってきますが、シャローエリアに活性の高いシーバスが入ってくるのは日が暮れてからです。朝夕のマズメ時も狙えないことはないのですが、やはり少し深場寄りでの釣りになってしまいます。

満潮前後よりも干潮前後がおすすめ

潮位に関してはポイントによって違いますが、基本的には満潮前後よりも干潮前後の方が釣りやすいポイントも多いです。もちろん水深の浅い干潟では干潮前後だと多くのポイントが干上がってしまい、ポイント数が減ってしまいます。でも、その分シーバスの密度が増し、簡単に釣ることができます。また干潮前後は水のあるエリアが全て流心部に近づくため、浅場でも流れの効いている場合が多く、活性の高いシーバスが浅場に入りやすくなるメリットもあります。

ボイルを探して打っていく

基本的にはボイルや、ベイトがざわついているエリアを探して打っていけばOKです。先ほども述べたとおり、基本的にシャローエリアでは、サヨリの群れの動きと緊張感を通して間接的にシーバスの居場所が把握できます。基本的には流れに対してアップクロスにキャストして流してくれば良いのですが、意外なアクションに反応する事も多いので、これと決めずに色々なアクションやトレースコースを試してみましょう。

トップウォーターに出切らない場合、水面直下を引けるルアーが有効

サヨリが四方八方に逃げ惑い、シーバスのボイルも一面で起こっているのに、なかなかトップウォータープラグに食ってこないことがよくあります。活性が高いのは間違い無いのに、ルアーを引くスピードや角度を変えても、なかなかトップに出ない場合、水面直下を引けるルアーに換えてみましょう。同じコースを通しても、これだけであっさりバイトが出る場合がよくあります。水面直下を引けるルアーと言っても最近はいろんなルアーがありますが、定番のシンキングペンシルを数本ボックスに入れておけばOKです。

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基本性能が高い定番のシンキングペンシルです。

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バチ抜けで定番の細身のシンキングペンシルはサヨリパターンでも非常に有効です。活性が落ちた時など、こういったルアーにしか口を使わなくことがあるほどです。ただ、どうしても#10前後の小型のフックを使うことになるので、フック伸びに注意が必要です。ルアーを変更した時点で、少しドラグを緩めておきましょう。

ランディング時に注意が必要

ウエーディングでシーバスを掛けた際、ランディング時にバラしてしまうことが多いので、少し気を使う必要があります。また筆者の友人はウエーディング時に手前でシーバスが暴れた際、自分の股下にシーバスが突っ込み、口元にぶら下がっていたルアーがウエーダーに引っかかって破れてしまったことがあります。直接足に引っ掛からなくてよかったですが、息が白くなるほど冷え込む晩秋の夜中にウエーダーが浸水してビショビショで、目も当てられないぐらいかわいそうでした。ウエーディング時にシーバスが急に自分側に走ってくることはよくあり、筆者の友人のように自分にフックがかかってしまうリスクはもちろん、すぐに対応できないとロッドがヘアピン状態になり、ロッド折れの原因にもなります。

陸がある場合はズリ上げ

もちろん陸がある前提ではありますが、最もシンプルかつ確実な方法がズリ上げです。筆者はランディングが下手くそなので、大型が掛かった際など絶対にバラしたく無いシュチュエーションでは、多少陸が遠くても後ずさりしながらシーバスを引っ張って陸へ行きます。また陸から釣りをしていて、シーバスが掛かったらそのままズリ上げできるのであれば、多少強引なファイトをして寄せてきても大丈夫です。

陸がない場合は沖で弱らせてから寄せよう

ある程度潮が満ちている状況だと、陸がないことがよくあります。その場合はどう頑張ってもズリ上げが使えないので、ボガグリップかランディングネットを使ってウエーディングしながらランディングすることになります。その場合はシーバスと距離がある状態でしっかりと弱らせないと、手前で思いっきり暴れられてバラす確率が上がります。特にウエーディング用のランディングネットを所持していない場合、ボガグリップを直接シーバスの口に突っ込んでランディングする形になりますので、特にしっかりと弱らせないとランディングが困難になります。

【番外編】サヨリは非常に美味な魚

ここまでシーバスのベイトフィッシュとしてのみ解説してきたサヨリですが、実は非常に上品な味をした高級魚でもあります。意外と知らない人が多いのですが、淡白な白身は刺身や寿司ネタとして重宝され、塩焼きにして食べるとサンマを淡白にしたような上品な味わいで、ご飯が何杯あっても足りません。なお塩焼きにする際はサンマと同様、内臓を取らずに焼いて食べることができます。オキアミで釣ってしまうとこれができないので、ルアーマンの特権とも言えますね。

サヨリはルアーの回収の際などによく引っかかってしまうのですが、生命力が低く、一度フックで傷を負うとほとんどの確率で死んでしまいます。とはいえ引っかかってくるのは避けられないので、死ぬのがわかっててリリースするのではなく、できれば持って帰って食べてあげましょう。

なお、この画像にあるサヨリは3時間ほど釣りをして引っかかってきた釣果です。筆者は3人家族なので、これだと1食分でした。塩焼きだと軽くウロコを取って塩をまぶし、魚焼き機に放り込むだけなので、調理の際もほとんど手間もかかりません。

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一般的に難しいイメージのあるサヨリパターン。しかし、ポイントやタイミング、マッチするルアーをしっかり抑えれば、意外と簡単に釣ることができるパターンです。最初は釣れなくても、何度か通っていれば、「なんだ、サヨリパターン、簡単じゃん」となるはずです。しかも数、サイズともに狙えるパターンなので、一度攻略できれば、毎年サヨリパターンが始まるのを心待ちするようになるでしょう。

 

また、最後にサヨリは食べても非常に美味しい魚と触れましたが、実はサヨリパターンで釣れるシーバスも非常に美味な場合が多いです。エリアによってはヒラスズキが混じる事も多く、ムニエルやカルパッチョなど、洋食にとても合う魚です。こちらもまた機会があれば別の記事で紹介したいと思います。

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