ハリスは通常のウキフカセ釣り同様、フロロカーボンの1.5号~2.25号程度を使います。完全フカセ釣りの場合は、道糸とハリスの接続にサルカンは使わず、直結をおすすめします。結び方はブラッドノットが簡単で強度もありおすすめです。針は、メジナ狙いの場合はグレ針5号~7号、クロダイ狙いの場合はチヌ針1号~3号を使用します。
ショアからの完全フカセ釣りのやり方もオフショアの場合と基本は変わりません。潮の流れを読み、撒き餌としてオキアミを撒きます。そして仕掛けを投入します。スピニングリールの場合は、自力ではラインが出て行かないケースが殆どだと思いますので、手で引き出しながら、仕掛けを潮に乗せて流します。ナイロンラインの比重は1.14程度ですので、比重1.78程度のフロロカーボンラインと比較すると沈み方はかなり遅くなります。風が強い日などは沈んで行かないこともあるでしょう。そんな時は針を太軸の重量タイプに変更したり、ハリスにジンタンを打ったりして浮力を調整します。
堤防のヘチ際ぎりぎりにエサを落とし、クロダイを狙う「落とし込み釣り」は、完全フカセ釣りと言える釣法ではありますが、潮に仕掛けを乗せて流し、撒き餌と刺し餌の同調を行うという行為を伴わない釣りのため、メソッドを考慮すると別の釣りと考えた方が合理的であるため、今回は割愛いたします。
仕掛け投入前にオキアミを撒きます。カップの小さいコマセ柄杓を使って少しずつ撒きます。オキアミの沈み方をよく観察しながら撒き餌の中に仕掛けを投入します。オキアミの沈下スピードは生タイプが速く、ボイルタイプは遅くなります。狙う水深によって、また、エサ盗りの数などの状況に応じて使い分けると良いでしょう。
オフショアの完全フカセ同様、手でラインを引き出しながら、仕掛けを沈めていきます。できるだけ自然に流したいので、ラインスラックを出しながら潮の流れに任せてラインを出していきます。ショアからの完全フカセ釣りは、小さなウキをつけていることが多いので、アタリはウキで辛うじて視認できます。ただし、軽量の仕掛けですのでどうしてもラインスラックが多めに出てしまいますので、ウキよりも先にラインにアタリが出ます。
完全フカセ釣りのアワセの出方も、オフショアでの完全フカセ釣りとほぼ変わりません。ウキがついているため、ラインスラックはウキなしの完全フカセに比べれば少ない傾向があるものの、手でラインを引き出しながら仕掛けを流し続けているため、それなりに出ています。あたりはまずラインがスーッと沈んだり横に走ったりします。このラインの変化に注視しつつ、アタリウキの挙動も見逃すことのないように、集中力を高めましょう。
ラインが走れば餌をしっかりくわえ混んだ証拠ですので、大きくロッドをあおり、確実にフッキングさせましょう。ロッドが大きく曲がり、ドカンと言う衝撃とともに魚との息詰まるバトルの始まりです!
最後に、完全フカセ釣りを行う際の注意点について記しておきます。
浮力の調整の際、ハリスにガン玉やジンタンを打つ場合、むやみに売ってもあまり意味がありません。あくまでも、水中を自然にエサだけが沈んで行く状態を演出するのが完全フカセ釣りですので、仕掛けが沈まないからといって単純に仕掛けの重量を上げるためにガン玉やジンタンを適当に打っていたのでは、海千山千を切り抜けて生き延びてきた大型魚や老成魚はその沈み方に違和感を感じ、エサをガン無視してしまうでしょう。基本は「刺し餌先行」です。ただし、エサ取りが表層付近に多すぎてどうにもならないときは、図の2のように、まずはエサ取りの泳層を素早く回避するため、一気に沈めてエサ取りの層より下で刺し餌を馴染ませるということも必要な場合があります。
本来、完全フカセ釣りはハリスには何もつけず、針とエサだけで流すものです(上図の1が理想)。しかし、風が強い時、うねりがあるときなど、仕掛けが馴染まず、エサが落ちて行かなか状況はどうしてもあります。そんな時は、針を太軸の重量針に変えることから対策し、それでもだめであればガン玉やジンタンをハリスに打ちます。ガン玉やジンタンの打ち方は上の図の通りですが、図の2、3、4を状況によって使い分けることが必要です。どのパターンが良いかはその時々で変わりますので、「ダメならパターンを変えてみる」といった試行錯誤を繰り返すことが大事です。
こうして説明していると、完全フカセ釣りは非常に難しい釣り方に思われるかも知れませんが、決してそんなことはありません。いにしえ人が太古の昔に実践していた釣りの方法と、考え方もメソッドもまったく同じです。思わぬ大型魚が釣れる可能性のあるか完全フカセ釣り、是非チャレンジしてみてください。
この記事を書いた人
合わせてよく読まれる記事
「フカセ釣り」関連の記事
新着記事