メバリング入門リールの優先候補に! 月下美人X LT2000S-Pのインプレ
「月下美人」シリーズはダイワのライトゲーム専用のブランドです。リールのラインナップは4種類あり、下から順番に「X」、「MX」、「AIR」、「EX」のグレードに分かれています。「20月下美人X LT2000S-P」はその中でも最も安価なグレードに位置するリールですが、メバリングに使用するための機能は十分に有しており、価格も1万円程度であることから、これからメバリングを始めたいと考えている人にもオススメできるリールです。そんなリールの特徴と実際に使用したインプレをご紹介します。
20月下美人X LT2000S-Pの基本仕様は?
まず注目したいことは、「月下美人X」はLT化されているということです。「LT」とは、「LIGHT TOUGH」の略であり、リール全体の軽量化と剛性アップのため、新たに設計し直されたシリーズで、従来よりも安価なリールであってもその性能が大幅に向上しています。リール重量は「200g」と16月下美人よりも15g軽量化されていることから、LTの恩恵が大きいことがわかります。ハンドル1回転あたりの巻き取り量は63cmと、メバリングにはもってこいの数値なので、ゆっくり巻くことにストレスを感じません。巻き感もしっとりとした感じで滑らかであることが特徴です。ハンドルもガタが少ないねじ込み式である点も好印象です。ベアリング数は5個と数は普通ですが、自分で追加することにより8個まで増やすことができます。場所はハンドルノブとラインローラーになります。
MAGSEALED:マグシールド
リール内部に侵入してくる海水を磁性流体による油の膜でガードする、ダイワ独自の防水技術です。リール内部まで海水が侵入してしまうと、塩ガミや、錆が発生しやすくなり、リールの故障やストレスにつながります。海水はラインを伝わってリール本体に侵入してきますが、マグシールドは様々な状況からリールを守ってくれるうれしい機能です。加えて釣行後はシャワー洗浄をすることで、長く機能を保つことができます。
ATD:オートマチックドラグシステム
魚の引きに滑らかに追従しながら効き続けるドラグシステムで、滑り出しがスムーズであるためラインブレイクしにくく、魚に違和感を与えにくくなっています。ラインの滑り出しがスムーズで、魚の引くスピードに追従してブレーキがかかるため、フッキング後のドラグ操作回数が減ります。あらかじめドラグを緩めに設定しておりてもフッキング時にはしっかりと効きますし、急な突っ込みに対しても柔軟に対応できます。特に細いラインを使用するメバリングではかなり重宝します。
AIR ROTOR:エアローター
特徴的な形状と構造により負荷が分散することで、同等の強度で大幅な軽量化を実現しています。ローターの材質は、「DS4」という強度と軽さを両立した樹脂が使用されています。ローターの軽量化は巻きの軽さにもつながっており、滑らかな巻き感がスムーズに持続します。ただ巻きが多いメバリングでは心地よい巻き感を提供してくれます。
パーフェクトラインストッパー
PEやフロロカーボンのような細い糸でも、リーダーのような太い糸にも対応した新形状のラインストッパーです。 掛けやすく、外れにくく、外しやすく、なおかつ軽い。実際に使用するフロロは2.5~4lbが大半だと思われますが、このストッパーはかなり使いやすいです。よく勘違いされがちですが、ラインは上から止めるのが正しい使い方です。
ON / OFFストッパー
ON/OFFストッパーは、ローターの正転/逆回転を切り替えるレバーです。LT化されたリールは基本的にON/OFFストッパーがなくなっている印象がありましたが、20月下美人にはON/OFFストッパーがついています。なくした理由は主に防水性を上げることであったり、部品点数を減らすことだと考えられますが、実際ON/OFFストッパーを使用したいと思う機会はあるもので、より汎用性が高くなったといえるでしょう。
比較検討されるリールと比べると?
シマノのライトゲーム専用リールである「ソアレ」シリーズはダイワの月下美人と双璧をなすものになります。その中でも価格帯が同じである「18ソアレBB C2000SSPG」は、一番の比較対象になるでしょう。重量、ハンドル長さ、ベアリング数は同じですが、巻き取り量は57cmと、60cnを切っていることが特徴です。デザインはソアレらしく、黒と金が特徴的です。ただし、価格帯・スペックともにほとんど差はありません。ダイワ、シマノのどちらが好みかということと、合わせるロッドによって選択肢が変わるでしょう。
メバリング専用のスペック
個人的にメバリングに使用するリールに求めているものは、「軽さ」と「巻き取り量」です。「20月下美人X LT2000S-P」は、ハイエンドのリールに比べと軽さの面では当然劣るのですが、1万円前後の価格でこの重量はかなりコスパが良いと言えます。また、ゆっくり巻くことが多いため、63cmという巻き取り量はちょうどよいスペックになります。ハイギアをゆっくり巻くことは少し神経を使うため、コスパの良いローギアモデルは魅力的です。
月下美人らしいデザイン
月下美人を使用する方の多くはロッドも月下美人でそろえるパターンが多いと思います。今までは黒と赤が基調とされているイメージがありましたが、20月下美人Xは、黒とシルバーを基調としており、赤の三日月がワンポイントのアクセントとして入っている点も良いです。ロッドとのあわせもデザイン的にマッチしていますし、月下美人とはもともと花なので、その名の通り気品すら感じるデザインに仕上がっています。
逆に残念だと思うところは?
搭載できるリールスタンドの種類が限られる
スピニングリールを使用する際、タックルを置いた際にリールに置き傷が入ることを防止するためにリールスタンドを装着する方も多くいると思います。しかし、「20月下美人X」は、ハンドル取り付け部のねじの規格が特殊であるため、通常のリールスタンドをそのまま使用することはできません。リールスタンドを装着する際には、適合しているかをよく確認する必要があります。無理にねじ込もうとすると、ねじ山が削れてしまうため、注意が必要です。
ハンドルノブにエンドキャップがない
目立ちにくいところですが、ハンドルノブにエンドキャプが搭載されていません。ほとんどのリールには搭載されているものなので、はじめはつけ忘れなのかとも思いましたが、メーカーHPにもエンドキャップがない写真があるため、間違いないでしょう。エンドキャップがないため、釣行後にシャワー洗浄をしたときに水がたまるため、ふき取りにくいという点と、かなり安っぽく見える点が良くないです。
20月下美人X LT2000S-Pの実釣と使用インプレ
ナイトゲームのメバリングに使用しましたが、まず驚いたことは巻き感の滑らかさです。普段使用している「18月下美人MX LT1000S-P」と比較しても遜色ない感覚です。また、ローギアモデルであるため、スローに巻くことも容易でありメバリングに適していると感じました。実際に釣れたメバルはかなり小さいため、剛性を確かめることはできませんでしたが、使用した感じでは全く問題ないと言えるでしょう。
20月下美人X LT2000S-Pは入門にピッタリなメバリング専用リール
月下美人シリーズはLT化されたことでかなりその性能は向上しており、もはや入門機のレベルを超えていると感じます。実際に1万円前後でこの性能のリールはかなりお買い得であると思いますし、デザインもかっこいいため、ロッドも月下美人で揃えたくなります。冬の季節に特に楽しめるメバリング専用リールを駆使して楽しんでいただきたいです。