【インプレ】まさにライトゲーム専用リール!ダイワ 17月下美人AIR2003について
今回インプレッションするリールは、ダイワの17月下美人AIR2003です。メバリングやアジングゲーム向けという印象の強いリールですが、他の機種との違いや汎用性について気になっている方も多いのでは無いでしょうか?そこでこの記事では、このリールの特徴はもちろんのこと、同価格帯で販売されている20ルビアスとの違い、汎用性についても解説します。
月下美人シリーズとは
月下美人シリーズは、アジングやメバリングなどのライトゲームに特化したダイワのプライベートブランドです。ブランド製品の多くが赤と黒を基調としたスタイリッシュなデザインに統一されており、リールはもちろんロッドやライン等まで幅広く展開されています。中でもルアーの品揃えは特に豊富で、どんな状況にも対応できるのが特徴です。ちなみにリールは現在3機種がラインナップされており、実売価格15,000円前後の月下美人MXから、50,000円前後の月下美人EXまで、どんな方でも選びやすくなっています。
月下美人AIRの特徴
さきほど触れたように、月下美人のリールは現在3機種がラインナップされています。月下美人AIRはその中間に位置する実売価格30,000円前後のモデルです。ここではこのリールに搭載されている技術を踏まえながら、その特徴に迫っていきます。
肉薄アルミスプール
17月下美人AIRには、非常に軽量なアルミ製スプールが採用されています。ブランキング※ができないほどアルミを薄く削り、ラインストッパーを排除することで「AIR」という名を冠するにふさわしい軽さを実現しています。こうした点に注目すると、17月下美人AIRがライトゲーム特化のリールであることがよくわかります。※ブランキングとは、素材から任意の形状を打ち抜くことを指す。素材が薄すぎると、打ち抜く際に変形してしまう。
ZAION製エアローター
「エアローター」は、アーチ型の形状で負荷を分散させ、強度を維持したまま大幅な軽量化を可能にしたローターです。17月下美人AIRのエアローターは「ZAION」と呼ばれる特殊なプラスチック素材で製造されており、さらなる軽量化と高感度に貢献しています。ZAIONは樹脂素材でありながらマグネシウムとほぼ同等の剛性を持ち、腐食も強いという特徴を持ちます。このZAION製エアローターと肉薄アルミスプールが組み合わさることでウェイトバランスが向上し、17月下美人AIRは高い操作性を実現しました。
ラインローラーBB
17月下美人AIRのラインローラー部には、ボールベアリングが2つ搭載されており、糸ヨレが防止や回転性能の向上につながります。ライトゲームでは非常に細いラインを使用するため、ラインローラーの性能は非常に重要です。
20ルビアスとの違い
ライトゲーム専用シリーズではありませんが、ほぼ同価格で販売されている20ルビアスとの違いについても確認していきましょう。今回は20ルビアスFC LT2000Sを比較対象として解説します。
重さについて
重さは17月下美人AIR2003が170g、20ルビアスFC LT2000Sが150gと、20ルビアスが20gほど軽量です。リールは軽いほど感度や操作性が向上しますが、アジングやメバリングでは必ずしも軽いリールが適しているとは限りません。キャロライナリグやフロートリグ向けの長いロッドは重心が穂先に寄っており、軽いリールでは先重りになる可能性があります。
巻糸量について
公式ホームページ上は同じ号数での表記がありませんが、17月下美人AIR2003はPE0.3号が120m、20ルビアスFC LT2000SはPE0.4号が200m巻けることになっています。この点を比較して分かるのは、17月下美人AIRの方がより細いラインの仕様を想定して設計されているということです。あくまでルビアスシリーズは汎用モデルであり、本格的なライトゲームでは月下美人が適しているといえます。
ベアリングの追加について
17月下美人AIRには8個のベアリングが搭載されていますが、さらに4個の追加が可能です。ライトゲームでは非常に細いラインを使用するため、負荷の少ない滑らかなドラグ性能が求められます。元々このリールのドラグは十分高性能ですが、スプールやドラグにベアリング追加することで更に滑らかさのあるドラグになります。またハンドル部にベアリングを追加することでスムーズな巻き心地を得ることが可能です。元々17月下美人AIRのハンドルには樹脂製のカラーが採用されているため、ベアリングに比べて回転効率が悪く、操作性が低下します。大物が掛かった際の巻き抵抗にも影響するため、ハンブル部へのベアリングの追加は非常に有効です。
17月下美人AIR2003の良い点
ドラグ性能が高い
17月下美人AIR2003にはATD※と呼ばれるドラグが搭載されており、アジング中にシーバスが掛かった時にも比較的楽にやり取りすることができました。このドラグはフィネスに特化した性能を持ち、1.5lb程度の極細ラインの使用も可能になっています。その性能はアワセで口が切れやすいアジにも有効で、バラシを大幅に軽減してくれます。※ATD(オートマチックドラグシステム)は、従来のダイワ製ドラグで問題となっていたラインの不安定な滑り出しを解消した新たなドラグシステム。
2017年モデルながら非常に軽量
ライトゲームにおいて、軽さは感度や操作性を高めるための非常に重要な要素です。17月下美人AIR2003の重さは175gと、発売から数年経過した今でも十分に通用する軽さを誇ります。実際の使用感も非常に軽やかで、潮流や地形の僅かな変化も逃さず感じ取ることができました。
17月下美人AIR2003の悪い点
剛性・耐久性は期待できない
17月下美人AIR2003は軽さや感度に特化している分、剛性・耐久性は犠牲になっています。もちろんアジやメバルといった魚であれば問題ありませんが、ライトゲームではそれ以外の大きな魚がヒットすることも珍しくありません。高性能なドラグを活かしてやり取りすれば対応できますが、無理なファイトは禁物です。特に極限まで軽量化されたアルミスプールは、大きな負荷がかかると歪みが発生しやすいので注意しましょう。
汎用性が低い
17月下美人AIRはあくまでライトゲームでの使用を想定したリールです。極細ラインに対応するための浅溝スプールや先ほど紹介した剛性・耐久性の低さからも分かるように、他の釣りにおいての快適性は期待できません。
17月下美人AIR2003が向いている人
17月下美人AIR2003は、本格的なライトゲームでの使用を目的とした中・上級者におすすめできるリールです。極細ラインに対応した浅溝スプールや負荷の少ないドラグ、極限まで軽量化された自重など、ライトゲームでの使い勝手は非常に高いといえます。もちろん初心者の方が購入しても問題ありません。初めからこうした専用リールを使用することで、釣りに集中することができます。
17月下美人AIR2003が向いていない人
逆に、様々な釣りに使用できるリールを探している方や剛性・耐久性を求める方にはおすすめできません。17月下美人AIR2003の性能はかなりライトゲームに特化しており、他の釣りでの使用には適していないと言えます。全く使用できないということはありませんが、ストレスを感じる場面は多いかもしれません。また実売価格30,000円前後で販売されているため、できるだけコストを抑えたい方の選択肢には入りづらいでしょう。
まさにライトゲーム専用、しかしその分汎用性は期待できない
今回はダイワのライトゲーム専用リール、17月下美人AIR2003についてインプレッションしました。ラインに負担をかけないドラグ性能や2017年発売のモデルとは思えない軽量さは、ライトゲームにおいて大きな戦力となります。その他にも様々な工夫が感じられる1台ですが、剛性や耐久性は決して高いとは言えず汎用性は期待できません。本格的にライトゲームを楽しみたいという方にはおすすめのリールです。