冬の投げ釣りは鉱脈探し、大型を求めてひたすら遠投すべし!!

作成:2024.03.03更新:2024.03.03

真冬の投げ釣りは、北風あるいは西風が強く吹きすさび、気温・水温とも低下し、体感も水中環境も厳しいタフな釣りになることが多いです。それでも厳冬期に投げ釣りをする人がいます。
私も投げ釣りをする場合は夏場よりも冬に行うことの方が多いです。暑いのが苦手なのが一番の理由ではありますが、冬の投げ釣りは餌盗りが極端に少なく、アイナメやカレイ、カワハギなど、釣り味も食味も大変の良い白身の大物をショアから狙えることが、冬の寒さをおしてでも投げ釣りを行う理由と言えます。

今回は、冬の投げ釣りについて、狙い目や攻略法について解説して行きたいと思います。

日本近海を流れる海流について

いきなり余談ですが、まずは日本列島周辺の海洋環境に影響を及ぼす海流について、簡単に説明します。

日本近海には、フィリピン海周辺に発し、太平洋沿岸を東進する日本海流(黒潮)と、九州西岸から日本海側を東進する対馬海流という2つの暖流と、北極海を発し、ベーリング海、日本列島東岸を南下する千島海流(親潮)と、ロシア極東部のオホーツク海西岸に発し、間宮海峡(タタール海峡)を通り、日本海沿岸部を南下するリマン海峡という2つの寒流が支配しています。

暖流と寒流がぶつかる「潮目」と呼ばれる場所は、質の異なる海水が混じりあい、プランクトンなどの栄養が豊富なため優良な漁場となることが多いのですが、いつも同じ場所に潮目が形成されるわけではありません。
暖流と寒流の力関係により潮目の場所が目まぐるしく変わります。また、南米ペルー沖の海水面温の変化によるエルニーニョ現象、ラニーニャ現象の影響で、日本近海を流れる海流の強さや進路に影響を及ぼし、年単位で大きく潮目が変わることもあります。
ここ数年、サンマやイワシ、イカなど、特定の種の極端な不漁や、北海道でブリの大豊漁などの問題が報道されていますが、海流の変化で生息域が変わってしまった影響が大いにあるとされています。

一般的に、日本では太平洋側で茨城沖から三陸沖にかけてのエリア、日本海側では五島列島付近にあたる場所が、潮目が形成されやすい場所とされています。
潮目ができる場所以北では寒海性魚が、以南では暖海性魚が優位となるのですが、昨今地球温暖化による海水温の上昇が急速に進んでおり、暖海性動植物の生息域がどんどん北上しており、寒海性動植物の生息域の後退など、海洋環境全体のバランスに影響が及び始めています。

冬のショア釣りは厳しい

言うまでもなく、冬の投げ釣りは厳しいものとなります。水深が浅いショア域では、近くで温排水などでもない限り、水温がどんどん下がり、水温はひとケタ台、場所によっては5℃を下回るようなポイントもあります。そういった場所ではまず、食物連鎖の最下層を支えるプランクトンが極端に少なくなります。
そうなると、それらを捕食している小魚や甲殻類などがいなくなります。そして、それらを捕食するフィッシュイーターと呼ばれる肉食魚も、ロックフィッシュなどの居着きの種を除き、多くの魚はショアを離れ、沖合の深場へ移動しています。これが、冬のショア釣りが難しいと言われる最大の理由です。

しかし、冬のショア釣りがノーチャンスなのかといえば、決してそんなことはありません。寒海性の魚種の中に、冬季に産卵のために浅場に接岸してくるものがいます。
カレイをはじめとした、冬から春に産卵期を迎える種や、カサゴ、メバル、カワハギ、アイナメなど、低水温に強い種は、翌春の産卵・産仔に備えて体力をつけるべく、活発に餌を摂ります。数は多くはありませんが、ライバルが少ない中、一発大物を狙うことができるのが、真冬の釣りの醍醐味と言えるでしょう。

冬の投げ釣りは遠投が正義となる!?

真冬の投げ釣りは、他のシーズンと同じように、サーフからのフルキャスト釣り、堤防からのフルキャスト釣り、磯からのぶっこみ釣り、胴突き投げ釣りなどが可能ですが、夏場と比較して魚の絶対数が少ないこと、真冬の日本列島上空では西高東低の気圧配置になる日が多く、特に東日本、北日本で海が荒れる事が多いため、非常に難しい釣りになります。

そんなタフなコンディションの中、やはり正義となるのは「飛距離」となるでしょう。数少ないヒットポイントをひたすら探し求める釣りとなりますので、ひたすらキャスト回数を稼ぎ、広い範囲を探ることが必要です。そのため、厳冬期の投げ釣りは、タックルにもアングラーにもパワーとデュラビリティが求められます。

狙うべきポイント

真冬の投げ釣りといっても、サーフからキャストするのか、堤防からキャストするのか、地磯からキャストするのかによって、狙い目となるポイントは変わりますが、「飛距離が正義」となることは先述の通りです。しかし、冬季はターゲットが普遍的に存在していることは少なく、ある要件を満たしている場所に集中していることが多いです。むやみに広範囲をローラー作戦で探るより、ある程度目星をつけて探ると良い結果につながるかもしれません。

周囲より水深が深い場所

ショアからの投げ釣りですから、あまりディープなポイントに仕掛けを持って行くことは難しいかも知れません。しかし、周囲より少しでも水深のあるポイントは狙うべきポイントです。サーフであれば、仕掛けを投入した後、ボトムを引きながらシンカーが一段落ちるポイントを探します。
ズルズル引いていて、一瞬フッと仕掛けが軽くなるポイントがあれば、一段深い場所にシンカーが落ちて行ったと考えられます。その直後、再び仕掛けを引いたとき、さっきより重みを感じたら、深場に落ちたシンカーが浅い場所に向かって引き上げられる局面だと判断できます。こういう、水深が変化する際の部分は「ブレイク」と呼ばれ、様々な魚が身を潜めている確率が高い場所になります。

堤防からのキャストであれば、船が頻繁に通る道「船道」の周辺は、常に底砂が巻き上げられているため、巻き上げられた底砂の中にいたプランクトンなどが豊富に舞っていて、底はV字谷が掘られています。ここは魚たちにとって絶好のポイントになります。船頭の周辺はねちっこく攻略するべきです(くれぐれも船舶の航行を妨げない範囲で!)。

地磯からの胴突き仕掛けのキャストの場合は、海底の変化のあるところを狙います。あまり攻めすぎると根掛かりの危険性が高まりますので、まずは根掛かりをしないと断言できる場所に仕掛けをキャストし、仕掛けを引いてくる道程で、岩礁地帯と砂底の境目や、離れ根と離れ根の間とか、海面の色が周囲より黒っぽく見える藻場など、根魚などが身を潜めているであろう場所まで仕掛けを寄せてアタリを待つと良いでしょう。そのため、最初のキャストはできるだけ遠くに仕掛けを飛ばす必要があります。

潮目

水温や水質が異なる二つの潮がぶつかってできる境界線である潮目は、潮がぶつかって舞い上がったプランクトンが溜まりやすく、それを捕食するベイトフィッシュの数が多く、かつ酸素濃度も高いため、回遊魚、居着きの魚種問わず良好な漁場となります。
潮目が狙い目なのは冬季に限った話ではありませんが、潮目を見つけたら、そこに向かってフルキャストしてみましょう。なかなか自分の仕掛けが届く範囲に潮目はできないでしょうが、少しでも潮目に近づけるようにフルキャストしましょう。また、潮目ができる場所は刻一刻と変わります。突然消えてなくなることもあります。集中力を維持し、しっかり海況を見極めましょう。

藻場

特に地磯から胴突き仕掛けをキャストして根魚やカワハギなどを狙う際に有効なのが「藻場」を重点的に攻略することです。藻場の存在は初めて入るポイントの場合は非常にわかりづらいですが、藻場は主に沈み根の周辺に形成されることが多く、周辺より黒っぽく見えます。干潮時に確認しておくと良いでしょう。

藻場は様々な生き物の産卵場所であったり、仔魚の隠れ家になったり、プランクトンや甲殻類などの餌場になっていたりと、大物を狙うには絶対に外せないポイントです。
また藻場にはサザエやアワビなど、栽培漁業のために種苗放流された種がついていることが多く、それを狙ったクロダイやイシダイなどの大型魚が居着いていることも多いため、根掛かりのリスクは高いですが、藻場を見つけたら果敢に攻略しましょう。沖の離れ根付近に藻場が広がっているような場所は大チャンスといえるでしょう。

温排水が流れる場所は大チャンス

地磯やサーフでは非常にレアなケースとなりますが、堤防や岸壁などで投げ釣りをする場合は、大規模な工場や火力発電所などからの設備冷却水などの排水が海に流れ込むところが意外なほどたくさんあります。この排水は、温水のまま排水されるケースがほとんどのため、排水口の周囲の海水温が高くなり、特に厳冬期は様々な魚が溜まります。

東京湾奥の福浦岸壁や根岸港、大黒ふ頭から扇島を経て羽田空港周辺に至る京浜運河一帯は、周辺がぐるりと工場地帯となっており、あちこちから温排水が放出されています。こういった温排水の影響を受ける場所では、クロダイやシーバスなど、温かい水を好む魚種が真冬でも活発に活動しています。わざわざミニボートで排水口の近くまで行ってそれらを狙うアングラーもたくさんいます。

ボートを出さずとも、釣り場周辺の工場や、海に接続する河川や運河をよく観察し、温水が流れ込んでいるであろう場所を探し、重点的にキャストを繰り返せば、他の誰もが全く釣れていない状況の中、一人勝ちを収めることも不可能ではありません。それほど、温排水の流入は見逃せないポイントなのです。

冬の投げ釣り仕掛けについて

ショアからの冬の投げ釣りは、夏のシロギス釣りや秋のハゼ釣りなどとは異なり、数釣りを楽しむことは非常に困難です。せっかくですので一発大物を狙いましょう。メインのターゲットは、カレイ、アイナメ、タチウオ、イシモチ、カワハギあたりになろうかと思いますが、いずれもサイズを追求するため、他のシーズンより強めのタックルを使用しましょう。

潮の流れが速く、風が強く荒れることが多い冬の海では、シンカーの号数を上げ、仕掛けが流されないよう工夫します。通常25号を使っていれば28号~30号、それでも潮が速くて制御できないときは35号を使います。
当然、シンカーの号数を上げる場合は、それに耐えられるロッド、ラインを使うことが大前提です。狙いがタチウオなど歯が鋭い魚種の場合はワイヤーハリスを使ったり、熱収縮チューブを針の結び目にかぶせるなどの対策が必須です。

餌について

ターゲットごとに餌は異なりますが、どの魚種をターゲットにするにしても、キャストの衝撃に耐えることとが求められます。虫エサの場合は針持ちが良いため、あまり気にする必要はないかも知れませんが、その他の餌を使用する場合は注意が必要です。魚の切り身を使う場合は塩締めされたものを、エビを餌にする場合は殻付きで軽くボイルしたものを使いましょう。


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一番気を遣うのが、胴突き投げ仕掛けでカワハギを狙う場合です。特効餌とされているアサリのむき身は投げ釣りでは身切れがひどく、使えないと思った方が良いでしょう。カワハギを投げ釣りで狙う場合は、餌はイワイソメ(本虫)一択です。小さく切って使いましょう。

フィンガーガードは必須アイテム

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冬のパワフルな投げ釣りはエキサイティングで心はアツい状態ではありますが、身体は芯から冷え切ってしまいます。防寒装備に万全を期すことはもちろんですが、フィンガーガードは必ず使いましょう。写真のフィンガーガードは、ハードなキャストをする際に人差し指を保護するためのものですが、これでは寒いと思いますので、冬用のウエットスーツの素材として使われている、ネオプレンゴム製の5本指グローブが良いでしょう。人差し指が痛くなってしまうと、キャスティングのパフォーマンスが著しく低下してしまいます。

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少ないチャンスをモノにせよ! 真冬の投げ釣りはアツい!

いかがでしたでしょうか? 冬の投げ釣りという、ざっくりとしたテーマで、取り留めなく書き散らしてしまった感もありますが、真冬の釣りは数釣りが期待できず、タフコンディションの中での厳しい釣りになることがほとんどですが、逆に言うとライバルが少なく、寒さにさえ耐えることさえできれば、「一発大物を釣り上げるチャンスがあるよ!」ということを言いたかったのです。
真冬の海は、ターゲットが溜まっているところは大体決まっています。同じポイントに通い倒し、海底の地形を頭に描けるまでになることが、冬の投げ釣りの唯一の必勝法なんだと思います。厳しい冬の海でアツい釣りを楽しみましょう!

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この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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