ヒラメより1ヶ月遅れくらいでシーズンインを迎え、真夏にトップシーズンを迎えるのがマゴチです。基本的なタックルはヒラメのそれと同じで問題ありませんが、マゴチは、獲物を見つけて素早く捕食するタイプではなく、目の前を通るものに食いつく捕食行動のため、リフトアンドフォールを基本のアクションに、フォールで十分見せて食わせます。
マゴチは、ヒラメほど活発に動き回る魚ではなく、レンジもボトムに集中します。ヒラメは目が上を見るのに適しているため、ボトムから数m程度の場所まで浮き上がってベイトに襲いかかることがありますが、マゴチの目は前を見るのに適しているため、前方のベイトにしか食いついてきません。ボトムバンピングと呼ばれる、底面をネチネチ叩くようなアクションが必須です。
シーバスも通年狙えるターゲットですが、春のサーフでは、稚鮎、稚ボラ、アミ、バチなど、小型のベイトが多く河口付近や波打ち際に集まる時期です。ベイトの存在を確認したら、まずはそのベイトが何なのかを明らかにし、できるだけサイズやカラー、動くスピードなどをそのベイトに似せることを第一に考えましょう。
中でも特徴的なのが「バチ抜けパターン」です。バチ抜けとは、ゴカイやイソメなどの多毛類が産卵のため、水温や月齢、天気など、ある条件を満たした日に、底砂から出てきて水中を群泳し、生殖活動を行うことをいいます。この、大量に水中を泳ぐバチをシーバスは夢中になって捕食します。バチ抜けパターンのときは、他のベイトには反応しないとも言われます。いつどこでバチ抜けが発生するかを予測することは大変難しいのですが、運良くバチ抜けに遭遇した暁には爆釣が期待できます。バチ抜けパターンは3月〜6月頃まで、不定期に数回発生します。同じ場所に通い続け、ベイトのパターンを注意深く観察することは非常に大切です。
サゴシはサワラの若魚で、50cm程度までの個体を言います。成魚のサワラは、漢字で魚偏に春(鰆)と書きます。春が旬の大変美味しい魚です。サーフエリアでの釣りのシーズンは関西方面では春(3月~5月頃)、関東では冬(12月~2月頃)であることが多いようです。サゴシは、濁りが入った水を好みますので、前日荒れて濁りが入っている状態の日が狙い目です。
タックルはシーバス用、エギング用タックルで代用が利きますが、歯が非常に鋭い魚のため、ショックリーダーは20lb~24lbといった、やや太いものを使用します。ワイヤーリーダーを使用すれば歯によるリーダーの切断は防げます(食いはやや落ちます)。サゴシはリーダーに歯を当てさせないことが絶対条件となりますので、あまり大きくしゃくったりせず、ただ巻きや小さめのワンピッチジャークなどで確実にルアー本体を食わせるようにします。
シロギスは夏から秋にかけてがトップシーズンですが、春も釣れないわけではありません。まだポイントは遠く、大遠投が必要ではありますが、通年シロギスを追いかけている鱚師にとっては、比較的ライバルが少ない春のロングキャストシロギスを楽しむことも多いでしょう。
4m以上のサーフキャストロッドに大型のサーフキャストリール(ドラグレスモデル)を合わせ、PE0.6号〜0.8号を200m以上巻き、25号〜30号のシンカーをつけてフルキャストしましょう。目標は150m以遠、可能であれば200mを目指します。エサはジャリメを小さくつけ、タラシは1cm程度にとどめます。着底したらゆっくりサビきながらアタリを待ちます。シロギスは濁りを嫌いますので、海水が澄んでいる日に狙います。
イシモチもサーフから狙うのは真夏のイメージがあるでしょうが、当然春でも釣れます。水温が極端に低いと活性が上がらず釣りになりませんが、水温が18℃前後にまで上がってくればチャンスです。4m以上のサーフキャストロッドに大型サーフキャストリール、PE1.2〜1.5号程度の道糸を200m巻き、シンカーを仕掛けの一番下につけた、2本〜3本針の胴突き投げ仕掛けをフルキャストします。
エサはイワイソメが最もおすすめです。イシモチは基本夜行性なので、夜釣りで簡単に数釣りできる魚です、日中にイシモチを釣る場合は、シロギスとは逆に、濁りが入っている日であれば十分勝負になります。
高水温期にはほぼ常に釣りシーズンと言って良いサバは、春本番の4月から10月いっぱい頃まで、サーフからのショアジギングで狙えます。春先は30cm程度の小型のものが多く、脂の乗りも今ひとつのものが多いかも知れませんが、小型でも引きは大変強く、ショアジギングの醍醐味を味わうにはもってこいのターゲットです。未明から朝マヅメにかけてがチャンスです。9ft~10ft程度のライトショアジギングロッドで、ラインはPE1号を200m上、30g程度のメタルジグをロングキャストし、ワンピッチジャークなど、速めのリトリーブで誘いましょう。
最近は、スロージギングで青物を狙うジギンガーも増えています。特にサーフで行うスロージギングはショアスローと呼ばれ、着底したら数回シャクリを入れてジグを跳ね上げ、その後のフォールで食わせる方法です。スロージギング用のメタルジグは、片側が扁平していたり、薄っぺらい形状のものが多く、フォール時にひらひらと前後左右に揺れながらゆっくり落ちる動作を演出する形状になっています。本来はフラットフィッシュに効くアクション法でしたが、青物にもシーバスにも効くことが分かり、ひとつのジャンルとして進化を続けている新しい釣法です。
ブリの若魚であるワカシは、夏のショアジギングの定番のターゲットというイメージですが、ベイトがいれば春のサーフでも釣れます。春先のベイトは稚鮎、カタクチイワシ、オボコ(ボラの稚魚)などがいますが、これらが波打ち際に打ち上がっているか、沖に鳥山が出来ているかなどをよく観察して、気配があるようでしたらひたすらキャストしまくりましょう。
時合に入ると、短時間ではありますが立て続けに釣れます。手返し良く、間髪を入れず打ち続けましょう。ショゴ(カンパチの若魚)やメッキ(ギンガメアジの若魚)なども混じることがありますが、これらはワカシよりすこし後といったイメージです。
春の乗っ込みシーズンは産卵間近のクロダイが続々と接岸します。岩礁地帯はもとより、藻場やサーフにも押し寄せます。ジグヘッドにワームを付けたチニングや、シンキングミノーやメタルジグ、バイブレーションなどによるジギングで釣れます。
もちろん、エサ釣りでも釣れます。渚釣りという、サーフからのウキフカセ釣りが近年流行しています。波打ち際からコマセを打ち、5.3mの磯竿を使い、ウキフカセ釣り仕掛けをキャストします。引き波にうまく仕掛けを乗せて流します。あとは磯のフカセ釣りと要領は同じです。時にマダイが混じることもあります。
春のサーフは天気、気温、風が非常に不安定で、コンディションが良い状態で釣りができる日は非常に少ないということを前提条件にして釣行予定を組みましょう。
春先、すなわち3月上旬頃は、冬の気圧配置が少しずつ崩れ、日本上空を支配していた大陸からのシベリア気団(寒気団)が少しずつ北に追いやられ、変わりに温暖な楊子江気団(移動性高気圧)が入り込んできます。この移動性高気圧は偏西風に乗って移動してきますが、日本上空を通り過ぎたあとは低気圧がやってきます。この頃は、天気は周期的に変わり、春の陽気と寒の戻りを繰り返しながら徐々にシベリア気団が後退し、南岸から小笠原気団(暖気団)が北上してきます。
この、南からの暖気が入る頃は突風が吹きやすい状態で、海も荒れ模様となり、釣りには不向きなコンディションとなることが多いのです。暖かく、天気も良いのに風が強く、海が荒れて釣りにならなかったという経験は誰にでもあるでしょう。冬の終わりから春が本格化するまでの時期は非常に気候が不安定であるということを頭に入れておきましょう。
やがて、南岸の小笠原気団と北方のオホーツク気団が拮抗してくると前線が停滞し、梅雨に入ります。そして、小笠原気団の勢力が支配的になると梅雨が明けて暑い夏が本格化します。
前半でも説明しましたが、空気と水の比熱の違いから、水温上昇は、陸上の気温上昇よりも約1ヶ月のタイムラグがあると思っておきましょう。気温の体感では春の訪れを実感しても、水温はまだ厳寒期とさほど変わらないということもありますので、ウエーディングする場合は、防寒に十分気をつけましょう。
春のシーズンは産卵期を迎える種が非常に多いです。産卵のためにわざわざ藻場などに接岸してくる種がたくさんいます。資源保護の観点から、明らかな抱卵個体はリリースするなどの配慮をしたいです。特に釣りによる資源の減少が指摘されているカサゴは、卵胎生魚といって、メスの体内で卵が受精し、体内で孵化、一定のサイズに成長したら産仔します。こうした卵胎生魚は、冬に交尾し、春に産仔する種が多いです。釣りのシーンでよく見かけるのはカサゴ、メバル、ウミタナゴでしょうか。これらの、抱卵個体や産仔前のお腹がパンパンの個体が釣れたらリリースしましょう。また、小さな個体もリリースし、持ち帰る個体も食べ切る最小限の数にしたいものです。
春は、特に3月はコンディションが不安定で難しい場合も多いのですが、桜の開花とともに季節が進み、4月以降はどんどん海も賑やかになってきます。最近は爽やかな陽気の中、快適な釣りが楽しめるシーズンはどんどん短くなってきており、灼熱の夏が訪れるのはあっという間です。その前に、広大なサーフで豪快に仕掛けを投げて、一発大物を狙ってみませんか?
この記事を書いた人
合わせてよく読まれる記事
新着記事